赤ちゃんの骨は約270本あり、20代になってからくっつき合う骨もある
体と食べ物No.245

赤ちゃんの骨は約270本あり、20代になってからくっつき合う骨もある

腰の骨がくっつき終わるのは、20代後半のこともある。

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もくじ
  1. 赤ちゃんの頭の骨は、ぬい目と柔らかいすき間でつながっている
  2. おでこのぬい目は、生後8か月ごろまでにくっつく
  3. 頭の前のほうの柔らかいすき間(大泉門)は、3歳までにほとんど閉じる
  4. 腰の仙骨は、20代後半までくっつき終わらない人もいる
  5. 鎖骨の胸側の端が完全にくっつくのは、早い人でも20歳ごろ
  6. 深掘り講義
  7. まとめ
  8. 英語で読む(A2・4択5問)
  9. 出典・ウラ取り

大人の体には、206本の骨があります。ところが、生まれたばかりの赤ちゃんには、それより多い約270本の骨があるとされています。アメリカの医学の教科書サイト「StatPearls」も、そう説明しています。

骨の数が減るのは、骨がなくなるからではありません。成長するあいだに、別々だった骨どうしがくっついて、1本になるからです。

では、骨はいつまでにくっつき終わるのでしょうか。早いものは、生まれて1年もたたないうちにくっつきます。ところが、腰の骨や鎖骨の端は、20代になってもまだくっつき終わっていない人がいます。

この記事では、まず赤ちゃんの頭の骨がくっつく様子を見ます。次に、腰の骨と鎖骨がくっつく時期を、日本とドイツの研究で紹介します。最後に、大人の骨の数も、人によって少し違うという話をします。

01赤ちゃんの頭の骨は、ぬい目と柔らかいすき間でつながっている

赤ちゃんの頭の骨は、1つのかたまりではありません。何枚もの骨が、「縫合」と「泉門」というつなぎ目でつながっています。縫合は、骨と骨の間のぬい目のような線です。泉門は、何枚かの骨が集まる所にある、柔らかいすき間です。

2025年にアメリカの研究チームが発表した論文は、このつなぎ目の役目を2つ挙げています。1つは、生まれるときに、頭を少し縮められるようにすることです。もう1つは、生まれた後に脳が大きくなるのに合わせて、頭が広がれるようにすることです。

頭の前のほうにある泉門を「大泉門」といいます。英語の名前も「前の泉門」という意味です。

02おでこのぬい目は、生後8か月ごろまでにくっつく

頭の骨のぬい目の中で、早くくっつくものがあります。おでこの真ん中を縦に走る「前頭縫合」です。

2003年、アメリカのフィラデルフィア小児病院などのチームが、この縫合を調べました。けがでCT(体の断面を撮る検査)を受けた、生後10日から18か月までの76人の画像を使いました。

すると、前頭縫合は、早い子では生後3か月でくっつき始めていました。そして、頭の骨に病気のない子では、全員が生後6〜8か月までにくっつき終わっていました。くっつく順番も決まっていました。鼻の付け根から始まり、上へ進んで、大泉門の所で終わっていたのです。

研究チームによると、頭の骨のぬい目の中で、ふつう幼いうちにくっつくのは、この前頭縫合だけです。ほかのぬい目は、ずっと後になってからくっつきます。

赤ちゃんの頭の骨は、ぬい目(縫合)と柔らかいすき間(泉門)でつながっている。おでこの真ん中のぬい目は、生後6〜8か月までにくっつく。
赤ちゃんの頭の骨は、ぬい目(縫合)と柔らかいすき間(泉門)でつながっている。おでこの真ん中のぬい目は、生後6〜8か月までにくっつく。

03頭の前のほうの柔らかいすき間(大泉門)は、3歳までにほとんど閉じる

大泉門が閉じる時期も、調べられています。2025年、中国の上海小児病院のチームは、CTを撮った36か月以下の子どもの画像を調べました。頭の骨に異常のない子どもは、2,777人いました。

その子どもたちで、大泉門が閉じていた割合は、次のとおりでした。生後1〜3か月では0.76%、10〜12か月では6.9%でした。1歳になる前後の時期でも、ほとんどの子の大泉門は開いていたのです。13〜24か月では45.8%と半分近くになり、25〜36か月では94.0%が閉じていました。

04腰の仙骨は、20代後半までくっつき終わらない人もいる

仙骨は、背骨の下のほうにある骨です。大人の仙骨は1つの骨ですが、もとは5つの骨(仙椎)が別々にできたものです。上から順に、S1からS5と呼びます。

教科書では、仙椎のすき間は16〜18歳ごろから少しずつくっつき始め、30歳までに全部くっつくとされています。ただし、実際の病院では、同じ年齢でもくっつく時期が人によって違います。

そこで2025年、岐阜大学のチームが、0〜40歳の385人、402個の仙骨のCT画像を調べました。仙椎のすき間ごとに、骨がくっついているかを確かめたのです。

すると、いちばん遅かったのは、一番上のS1とS2の間でした。80%の人がくっつき終わる年齢は、男性で28.7歳、女性で24.6歳でした。女性のほうが、くっつき始めるのが早かったのです。

05鎖骨の胸側の端が完全にくっつくのは、早い人でも20歳ごろ

鎖骨は、首の付け根から肩へ横に走る骨です。その胸側の端には、「骨端」という部分があります。骨端は、初めは軟骨(骨より柔らかく、弾力のある部分)でできています。年齢とともに、骨端の中に骨ができ、やがて鎖骨の本体とくっつきます。

鎖骨の胸側の骨端は、くっつくのがとても遅い場所です。2004年、ドイツのベルリンの大学病院のチームが、16〜30歳の職員の胸のX線写真を調べました。873枚のうち、鎖骨の様子を判断できたのは699枚でした。

骨端が本体と部分的にくっついた状態は、早い人で16歳から見られました。完全にくっついた状態が初めて見られたのは、女性で20歳、男性で21歳でした。くっついた跡まで消えた状態は、いちばん早い人でも26歳でした。

このように、鎖骨の端がくっつく様子は年齢と結びついています。本当の年齢がはっきりしない若い人について、医師が体を調べて年齢を推定することがあります。研究チームによると、そのとき、鎖骨の骨端のX線写真が大切な手がかりになっています。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

「骨の数」は、体の中の部品の数え方で決まる

骨の数が減ることを、もう少し正確に言い直します。骨の数は、「別々の骨として数える部品の数」です。赤ちゃんでは、仙骨は5つの仙椎に分かれています。大人では、それが1つの仙骨になります。部品がつながったので、数え方が変わったのです。

そのため、骨の数は、年齢によって少しずつ変わります。しかも、くっつく時期には、人による違いがありました。大泉門が閉じる時期も、仙骨がくっつく時期も、同じ年齢の子どもや大人の間でばらばらでした。「赤ちゃんは約270本、大人は206本」という数は、生まれたときと、大人になったときの目安だと考えると分かりやすくなります。

頭の骨が分かれているのは、生まれるときと、脳が育つときのため

2025年の論文によると、縫合と泉門は、生まれるときに頭が縮むことに欠かせません。生まれた後は、脳が大きく育ちます。縫合と泉門は、それに合わせて頭が広がるのにも欠かせません。

2003年の研究によると、頭のぬい目の中で、幼いうちにくっつくのは前頭縫合だけでした。ほかのぬい目は、ずっと後までくっつかずに残ります。大泉門も、生後10〜12か月では、ほとんどの子で開いていました。頭の骨のつなぎ目の多くは、脳が育つ時期に開いたままなのです。

大人の骨の数も、人によって少し違う

「大人は206本」と言いますが、全員がぴったり同じ骨を持っているわけではありません。その例が、ひざの裏にある「ファベラ」という小さな骨です。

ファベラは「種子骨」の1つです。種子骨は、強い圧力やこすれる力がかかる所にできる小さな骨で、その力をやわらげる働きをします。ひざのお皿(膝蓋骨)も種子骨です。ファベラは、ふくらはぎの筋肉の腱(筋肉の端の、骨につながる丈夫なひも)の中にうまっています。人以外の哺乳類ではよく見られますが、人では、ある人とない人がいます。

2019年、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンのチームが、韓国の人のひざをCTで調べました。すると、52.83%の人にファベラがありました。両ひざにある人は67.86%で、片方だけの人(32.14%)より多くいました。男女の差はなく、この調査の大人の中では、身長や年齢ともはっきりした関係はありませんでした。

チームはさらに、1875年から2018年までの58本の研究をまとめました。すると、ファベラを持つ人の割合(中央値)は、1900年には7.64%でした。それが、2000年には31.00%になっていました。約3.5倍です。一方、ほかの10種類の種子骨では、割合は増えていませんでした。

研究チームは、ファベラがあるかないかは、遺伝と環境の両方で決まると書いています。そして、ほかの種子骨の割合は100年間変わっていないので、ファベラだけが増えた理由は環境のほうにあると考えました。

その環境の変化として、チームは、栄養がよくなって人の背が高くなり、体重が増えたことを挙げています。すねの骨が長くなり、ふくらはぎの筋肉が大きくなると、ひざの腱にかかる力が強くなるかもしれないからです。ただし、これはまだ確かめられていない推測です。

06まとめ

生まれたときの骨は約270本で、大人の206本より多くあります。成長するあいだに、一部の骨どうしがくっついて1本になるからです。おでこのぬい目は生後6〜8か月までにくっつき、大泉門は2〜3歳までにほとんどが閉じます。

一方、腰の仙骨のいちばん上のすき間は、80%の人がくっつき終わるのが男性28.7歳、女性24.6歳でした。鎖骨の胸側の端が完全にくっつく人が出始めるのも、20歳を過ぎてからです。体の中で骨どうしがくっつき終わるのは、多くの人が思っているよりずっと後なのです。

人に話すなら、こう言おう

赤ちゃんの骨って約270本あって、大人の206本より多いんだって。成長しながらくっついて減るんだけど、腰の骨なんかは20代後半までくっつき終わらない人もいるらしいよ。
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英語で読む

Babies Have More Bones Than Adults

CEFR A2231 words4択 5問全訳つき
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英文をタップすると、その文の訳が出ます。

An adult has 206 bones.大人には206本の骨があります。 But a newborn baby has about 270 bones.でも、生まれたばかりの赤ちゃんには約270本の骨があります。 Where do the extra bones go?多い分の骨は、どこへ行くのでしょうか。 They do not disappear.消えてしまうわけではありません。 As a child grows, some bones fuse, or join together, and become one bone.子どもが成長するにつれて、いくつかの骨はくっつき合い、1本の骨になるのです。

A baby's skull is made of several pieces.赤ちゃんの頭の骨は、いくつかの部品でできています。 They are connected by soft joints.それらは柔らかいつなぎ目でつながっています。 These joints help the head get a little smaller during birth.このつなぎ目は、生まれるときに頭が少し小さくなるのを助けます。 They also let the head grow as the brain grows.また、脳が育つのに合わせて、頭が大きくなれるようにしています。 One joint in the middle of the forehead closes early, by 6 to 8 months.おでこの真ん中にあるつなぎ目の1つは早く閉じ、生後6〜8か月までにくっつきます。

Other bones take much longer.ほかの骨は、ずっと長い時間がかかります。 The sacrum, a bone in the lower part of the spine, starts as five separate parts.背骨の下のほうにある骨である仙骨は、5つの別々の部品から始まります。 In 2025, a team at Gifu University in Japan studied 402 of these bones with CT scans.2025年、日本の岐阜大学のチームが、CT検査でこの骨402個を調べました。 The top part was the slowest to join.いちばん上の部分が、くっつくのがいちばん遅いことが分かりました。 For 80 percent of people, it joined by about age 29 for men and about 25 for women.80%の人では、男性で約29歳、女性で約25歳までにくっついていました。

The end of the collarbone near the chest is also slow.胸に近い側の鎖骨の端も、くっつくのが遅い場所です。 In a German study, it was fully joined at 20 at the earliest for women and 21 for men.ドイツの研究では、完全にくっついていたのは、早くても女性で20歳、男性で21歳でした。 Doctors can use this to guess the age of young people.医師は、これを若い人の年齢を推定するのに使うことができます。

Even adults do not all have the same bones.大人でさえ、全員が同じ骨を持っているわけではありません。 A small bone behind the knee, the fabella, is found in some people but not in others.ひざの裏にあるファベラという小さな骨は、ある人とない人がいます。 In 1900, few people had it, but by 2000, many more people did.1900年には持っている人は少なかったのですが、2000年までには、ずっと多くの人が持つようになりました。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2How many bones does a newborn baby have?

    生まれたばかりの赤ちゃんには、骨が何本ありますか。

  3. Q3Why are the soft joints in a baby's skull useful?

    赤ちゃんの頭の骨の柔らかいつなぎ目は、なぜ役に立つのですか。

  4. Q4In paragraph 1, the word "fuse" is closest in meaning to

    第1段落の "fuse" に最も意味が近いのはどれですか。

  5. Q5Which is true about the fabella?

    ファベラについて正しいものはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • bone名詞
    骨

    The dog is eating a bone.

    犬が骨を食べている。

    💡 backbone は「背骨」、そこから「中心となる人・もの」の意味も。

  • newborn形容詞
    生まれたばかりの

    The newborn kitten could not open its eyes.

    生まれたばかりの子ネコは目を開けられなかった。

    💡 new+born(生まれた)。名詞で「新生児」の意味もある。

  • fuse動詞
    くっつく、融合する

    The two pieces of metal fused in the heat.

    2つの金属片は熱でくっついた。

    💡 名詞の fusion は「融合」。電気の「ヒューズ」も同じつづり。

  • skull名詞
    頭の骨、頭がい骨

    A helmet protects your skull.

    ヘルメットは頭の骨を守る。

    💡 skeleton(骨格)と混同しないように。

  • joint名詞
    つなぎ目、関節

    My knee joint hurts after running.

    走ったあと、ひざの関節が痛む。

    💡 形容詞では「共同の」。a joint project で「共同の計画」。

  • forehead名詞
    おでこ、額

    She touched his forehead to check for a fever.

    彼女は熱があるか確かめるために、彼のおでこにさわった。

    💡 fore(前)+head(頭)。発音は「フォーヘッド」または「フォーリッド」。

  • collarbone名詞
    鎖骨

    He broke his collarbone when he fell off his bike.

    彼は自転車から落ちて鎖骨を折った。

    💡 collar(えり)のあたりにある bone(骨)。

  • guess動詞
    推測する、言い当てる

    Can you guess how old my grandmother is?

    私の祖母が何歳か当てられる?

    💡 名詞でも使う。Good guess! で「いい読みだね!」。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 27件)。

  1. Kamel-ElSayed, S. A. ほか (2024) Physiology, Bone, StatPearlsncbi.nlm.nih.gov
  2. Weinzweig, J. ほか (2003) Metopic synostosis: defining the temporal sequence of normal suture fusion, Plastic and Reconstructive Surgery 112:1211-1218doi.org
  3. Fu, J. ほか (2025) Difference in anterior fontanelle closure between non-syndromic craniosynostosis and normal controls, Italian Journal of Pediatrics 51:288doi.org
  4. Bobzin, L. ほか (2025) FGFR2 directs inhibition of WNT signaling to regulate anterior fontanelle closure during skull development, Development 152:dev204264doi.org
  5. Ishizuka, K. ほか (2025) Age-specific normative values of sacral development and fusion in children and adolescents, BMC Musculoskeletal Disorders 26:351doi.org
  6. Schmeling, A. ほか (2004) Studies on the time frame for ossification of the medial clavicular epiphyseal cartilage in conventional radiography, International Journal of Legal Medicine 118:5-8doi.org
  7. Berthaume, M. A., Di Federico, E., Bull, A. M. J. (2019) Fabella prevalence rate increases over 150 years, Journal of Anatomy 235:67-79doi.org

文章はすべて資料をもとに独自の言葉で書いています。画像はオリジナルのイメージです。誤りにお気づきの方は訂正窓口へ。

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