羊を数えても眠れない? オックスフォード大の実験で効いたのは「景色を思い浮かべる」方法

読む前に予想してみよう!
眠れない時は、羊を数えるのが科学的に最も効果的
研究で効果が見られたのは、心地よい景色を具体的に思い浮かべる「イメージ法」。単調な作業では心配ごとが入り込みやすいと考えられる。
- 対象
- 不眠に悩む成人
- 規模
- 41人
- 研究の種類
- 3群に分けた一夜の実験(指示の比較)
- 確かさ
- ★★☆☆☆
眠れない人に「心地よい情景を具体的に思い浮かべる」よう指示すると、何もしない場合より早く眠れた。一方「なんとなく気をそらす」方法では効果は見られなかった。
ひとことで言うと羊より、楽しい景色を思い浮かべるほうが眠れるかも!
「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹……」。眠れない夜の定番のおまじないですよね。
でも正直、羊を数えて本当に眠れたという人は、どれくらいいるでしょう? 100匹を超えたあたりで「今何匹だっけ」とイライラして、かえって目がさえた経験がある人も多いのでは。
実はイギリスのオックスフォード大学で、この「眠る前の頭の使い方」をきちんと調べた研究があります。そこで効果があったのは、羊ではなく、ある別の方法でした。
01眠れない大きな原因は「頭の中のおしゃべり」
不眠に悩む人の多くは、「寝ようとすると、明日のことや心配ごとが次々に頭に浮かんで止まらない」と訴えます。この頭の中のおしゃべりこそが、寝つきを邪魔する大きな原因だと考えられています。
じゃあ、どうやってそのおしゃべりを止めればいいのか?
023つのグループで比べた実験
研究チームは、イメージ法がうまくいった理由を、頭の中の“作業スペース”を心地よい情景で埋めることで、心配ごとが戻ってくるすきを与えなかったからだと考えています。

03羊を数えるのは、なぜイマイチ?
先に正直に言っておくと、この実験には「羊を数えるグループ」はありませんでした。なので「羊は効かない」と直接証明されたわけではありません。ここから先は、実験結果と研究チームの考え方から見た「たぶんこういうこと」という話です。
羊を数えるのは、単調すぎるのが弱点だと考えられます。数を数えるだけなら、頭のほんの一部しか使いません。残りのスペースに、明日のテストや人間関係の悩みが、するりと入り込んできてしまいます。
かといって、「考えないようにしよう!」と無理に押さえつけるのも逆効果。Harveyさんの2003年の研究では、眠る前の考えを抑え込むよう指示された人のほうが、寝つくまでの時間を長く、睡眠の質も悪く感じていました。
これは心理学で知られる「シロクマ効果」とも関係しています。アメリカの心理学者ウェグナーが実験で示し、1994年に「皮肉なプロセス理論」としてまとめた現象です。「シロクマのことを考えないで」と言われると、かえってシロクマのことばかり考えてしまう――。人の頭は、禁止されたことほど思い浮かべてしまうのです。
04まとめ
羊を数えるのは、単調すぎて心配ごとに負けてしまう作戦だと考えられます。代わりに、頭の中を心地よい景色で満たしてしまうほうが、眠りへの近道かもしれません。
今夜眠れなかったら、羊の柵の向こうにあるお気に入りの景色へ、ゆっくり散歩に出かけてみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCounting sheep is a famous way to fall asleep, but does it really help?
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Do you count sheep when you cannot sleep? A study at Oxford University tried a different idea. People with sleep problems imagined a nice place, like a beach or a waterfall. They thought about the sounds, smells, and feelings of that place.
These people fell asleep faster than people who got no advice. Counting sheep is very simple, so worries can come into your mind. A nice picture in your head may work better.
74 words ・ CEFR A2
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眠れないとき、羊を数えますか?オックスフォード大学の研究は、別のアイデアを試しました。睡眠に悩む人たちが、海辺や滝のような心地よい場所を思い浮かべました。彼らはその場所の音や匂い、感触について考えました。
この人たちは、何のアドバイスも受けなかった人たちより早く眠りにつきました。羊を数えるのはとても単純なので、心配ごとが頭の中に入ってくることがあります。頭の中の心地よい景色のほうが効くかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
心地よい場所を思い浮かべると早く眠れた、という研究の紹介なので C。
Q2. Where was the study done?
A study at Oxford University とあるので A。
Q3. In this passage, "imagined" means ...
imagine は「想像する・心に思い描く」なので B。
Counting sheep is a famous way to fall asleep, but does it really help? In 2002, researchers at Oxford University divided 41 people with insomnia into three groups. The first group practiced imagining a pleasant scene, such as a waterfall or a holiday beach, in great detail, including sounds and smells. The second group was simply told to distract themselves, and the third group received no instructions.
The imagery group fell asleep faster than the group with no instructions and reported fewer unpleasant thoughts before sleep. The simple distraction group showed no clear benefit. The researchers believe a rich mental scene fills the mind and leaves less space for worries. Counting sheep was not tested, but it may be too boring to keep worries away.
125 words ・ CEFR B1
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羊を数えるのは眠りにつくための有名な方法ですが、本当に役立つのでしょうか?2002年、オックスフォード大学の研究者たちは、不眠に悩む41人を3つのグループに分けました。1つ目のグループは、滝や休暇の海辺のような心地よい情景を、音や匂いも含めてとても細かく思い浮かべる練習をしました。2つ目のグループはただ気をそらすように言われ、3つ目のグループは何の指示も受けませんでした。
イメージ法のグループは、指示なしのグループより早く眠りにつき、眠る前の嫌な考えも少なかったと報告しました。単に気をそらすグループには、はっきりした効果は見られませんでした。研究者たちは、豊かな心の情景が頭を満たし、心配ごとの入る余地を少なくすると考えています。羊を数えることは検証されませんでしたが、それは心配ごとを遠ざけるには退屈すぎるのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. How many people took part in the study?
divided 41 people with insomnia into three groups とあるので D。
Q2. Which group fell asleep faster than the group with no instructions?
The imagery group fell asleep faster than the group with no instructions とあるので B。
Q3. Why might counting sheep not work well, according to the passage?
最終文 it may be too boring to keep worries away とあり、単調すぎて心配ごとを防げないと推測しているので A。
Counting sheep is the classic cure for a sleepless night, but there is little evidence that it works. In fact, sheep counting itself has seldom been studied. The closest evidence comes from a 2002 experiment at Oxford University, in which 41 people with insomnia were assigned to one of three conditions for a single night. One group was trained to build a pleasant and engaging scene, such as a waterfall, using all the senses.
Another was simply asked to distract themselves, and a third received no instructions. The imagery group fell asleep sooner than the group given no instructions and reported less distressing thinking before sleep. General distraction gave no clear advantage. The researchers argued that a vivid scene takes up limited mental capacity, leaving little room for worries to creep back.
The study was small, and sleep onset was mostly self-reported, so expectation may have played a part. A related 2003 study found that people told to suppress their thoughts before sleep reported sleeping worse, which fits the idea that forbidden thoughts tend to rebound.
176 words ・ CEFR B2
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羊を数えるのは眠れない夜の定番の対処法ですが、効果があるという証拠はほとんどありません。実は、羊を数えること自体はほとんど研究されていないのです。最も近い証拠は2002年のオックスフォード大学の実験で、不眠に悩む41人が、ひと晩、3つの条件のいずれかに割り当てられました。あるグループは、滝のような心地よく引き込まれる情景を五感すべてを使って組み立てるよう訓練されました。
別のグループは単に気をそらすよう求められ、3つ目のグループは何の指示も受けませんでした。イメージのグループは、指示を受けなかったグループより早く眠りにつき、眠る前の苦痛な考えも少なかったと報告しました。一般的な気そらしには、はっきりした利点はありませんでした。研究者たちは、鮮やかな情景が限られた心の容量を占めるので、心配ごとが忍び込んでくる余地がほとんどなくなると主張しました。
この研究は小規模で、寝つきは主に自己報告だったため、期待が影響した可能性もあります。関連する2003年の研究では、眠る前の考えを抑え込むよう指示された人のほうが眠りが悪かったと報告しており、これは禁じられた考えほど跳ね返ってくるという考え方と一致していました。
4択リーディングクイズ
Q1. What was the main finding of the 2002 experiment?
The imagery group fell asleep sooner than the group given no instructions とあるので C。
Q2. What did the 2003 study suggest about suppressing thoughts?
people told to suppress their thoughts before sleep reported sleeping worse とあるので B。
Q3. Which is NOT mentioned as a limitation of the research?
実験はひと晩だけ(for a single night)であり、数年続いたという記述はない。正解は D。
重要単語
- insomniaC1名詞不眠(症)Stress is a common cause of insomnia.
in-(否定)+somnus(眠り)。suffer from insomnia「不眠に悩む」の形で出やすい。 - imageryC1名詞心に描くイメージ、心像Guided imagery can help some people relax.
image の集合名詞。文学では「比喩的表現」の意味でも使う。 - distractionB2名詞気をそらすこと(もの)Music can be a useful distraction from pain.
動詞 distract A from B「AをBからそらす」。集中を妨げる悪い意味でも使う。 - suppressC1動詞抑え込むTrying to suppress a thought often makes it stronger.
sub-(下へ)+press(押す)。suppress a yawn「あくびをかみ殺す」。 - sleep onset latencyC1名詞(句)入眠潜時(寝つくまでの時間)Her sleep onset latency dropped to ten minutes.
onset は「始まり」、latency は「潜伏期間・遅れ」。latent「潜在的な」と同語源。 - vividB2形容詞鮮やかな、生き生きとしたShe has a vivid memory of her first trip abroad.
vivi-(生きる)が語源。vivid colors / a vivid dream などのコロケーションで頻出。 - remedyB2名詞治療法、対処法Hot milk is a traditional remedy for sleeplessness.
a remedy for ~「~の対処法」。home remedy は「民間療法」。
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- Insomnia(NIH 国立心肺血液研究所)nhlbi.nih.gov
- 不眠症(厚生労働省 e-ヘルスネット)kennet.mhlw.go.jp
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「眠れない時は羊を数える」は定番だけど、オックスフォード大の研究で効いたのは別の方法だった。滝や海辺など、心地よい景色を細かく思い浮かべるイメージ法のほうが、早く眠れたらしい。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Harvey & Payne (2002) The management of unwanted pre-sleep thoughts in insomnia: distraction with imagery versus general distraction, Behaviour Research and Therapydoi.org
- Harvey (2003) The attempted suppression of presleep cognitive activity in insomnia, Cognitive Therapy and Researchdoi.org
- Harvey (2002) A cognitive model of insomnia, Behaviour Research and Therapydoi.org
- Wegner (1994) Ironic processes of mental control, Psychological Reviewdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









