睡眠・休息ホント

「6時間寝てれば十分」は危ない。2週間続けたら脳は徹夜明けと同じになっていた

「6時間寝てれば十分」は危ない。2週間続けたら脳は徹夜明けと同じになっていた

読む前に予想してみよう!

6時間睡眠を続けても、体が慣れるので成績は落ちない

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な成人(21〜38歳)
規模
48人(4・6・8時間群+3晩徹夜群)
研究の種類
実験室でのランダム化用量反応実験
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

6時間睡眠を2週間続けた人は、注意力のテストで一晩徹夜した人と同じくらい成績が落ちた。しかも本人は「そこまで眠くない」と感じていた。

ひとことで言うと毎日ちょっとの寝不足も、たまると徹夜と同じくらい効く!

もくじ
  1. 4時間・6時間・8時間で2週間くらしてもらった実験
  2. いちばん怖いのは「自分では気づかない」こと
  3. 寝不足の借金は、たまると返しにくい
  4. まとめ

「自分は6時間寝れば十分なタイプだから」。忙しい大人も、部活と勉強に追われる学生も、ついそう言いたくなります。

確かに6時間寝れば、徹夜よりはずっとマシな気がしますよね。ところが、6時間睡眠を2週間続けると、脳の集中力は“一晩まるごと徹夜した人”と同じレベルまで落ちる、という有名な実験があるんです。

しかも本人は、それにほとんど気づいていなかった。

014時間・6時間・8時間で2週間くらしてもらった実験

ポイントは、成績が途中で止まらず、じわじわ下がり続けたこと。「最初はきついけど、そのうち体が慣れる」という感覚は、少なくとも注意力に関しては当てはまらなかったのです。

睡眠が短いほど、成績の「下り坂」は急になる
睡眠が短いほど、成績の「下り坂」は急になる

02いちばん怖いのは「自分では気づかない」こと

この実験でさらにゾッとするのは、参加者自身の「眠さの感じ方」です。

6時間グループの人たちは、成績がどんどん落ちているのに、「眠い」と感じる度合いは最初の数日で少し上がっただけで、その後はあまり変わりませんでした。つまり、「ちょっと眠いけど、まあ平気」と感じながら、実際のパフォーマンスは徹夜明けレベルになっていたわけです。

これは、睡眠不足の脳は、自分の状態を正しく判断する力まで落ちていることを意味します。「慣れた」と思っているのは、実は「感覚がマヒした」だけかもしれません。

03寝不足の借金は、たまると返しにくい

アメリカ陸軍のウォルター・リード陸軍研究所のBelenkyさんらも2003年、『Journal of Sleep Research』誌で、66人に寝床にいる時間を3・5・7・9時間に分けて1週間過ごしてもらう実験を報告しています。短い睡眠のグループほど成績が落ち、その後3日間、毎晩8時間寝床にいても、5時間・7時間のグループの成績は元に戻りきりませんでした。

ちなみにこの研究では、5時間や7時間のグループの成績は「下がり続ける」のではなく、低いところで横ばいになりました。「どこまでも下がり続けるのか、低いレベルで落ち着くのか」は研究によって結果が違い、専門家の間でも議論があります。ただ、どちらにしても「元の状態より下がったまま」という点は共通しています。

アメリカ睡眠医学会と睡眠研究学会は2015年、健康な大人は毎晩7時間以上の睡眠をとることを勧める共同声明を出しています。10代はさらに長い睡眠が必要だとされています。

04まとめ

6時間睡眠×2週間=徹夜明けに近い状態。しかも本人は気づきにくい。これが「ちょっとだけの寝不足」の本当の怖さです。

明日の自分のパフォーマンスを上げたいなら、まずは今夜あと30分早く寝るところから。睡眠は削るものではなく、未来の自分への投資です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSix hours of sleep a night sounds like plenty to a lot of people. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Six hours of sleep a night sounds like plenty to a lot of people. In 2003, 48 healthy adults moved into a laboratory at the University of Pennsylvania to test this. For 14 days, some of them were randomly given four, six or eight hours in bed each night.

The others stayed awake for three nights. Every day, they took a simple attention test. The eight-hour group stayed about the same. The six-hour group got steadily worse. After two weeks, they performed close to people who had missed a full night of sleep.

But the six-hour sleepers felt only a little sleepier than before. They did not realize how badly they were doing.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

一晩6時間の睡眠で十分だと感じる人は多いでしょう。2003年、48人の健康な大人がペンシルベニア大学の実験室に移り住み、このことを確かめました。14日間、一部の人がランダムに、毎晩4時間、6時間、8時間のいずれかの時間を寝床で過ごすよう割り当てられました。

残りの人は3晩眠らずに過ごしました。参加者は毎日、簡単な注意力のテストを受けました。8時間のグループはほぼ変わりませんでした。6時間のグループは着実に悪化しました。2週間後には、一晩まるごと眠らなかった人に近い成績になりました。

それなのに、6時間睡眠の人たちは、前より少し眠いと感じただけでした。彼らは自分の成績がどれほど悪いかに気づいていなかったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. How did the eight-hour group perform?

Q3. What does the result about sleepiness suggest?

重要単語

  • sleep debtB2
    名詞(句)睡眠負債(たまった寝不足)Sleep debt builds up quietly night after night. debt は「借金」。発音は /det/(b は発音しない)。be in debt「借金がある」。
  • cumulativeC1
    形容詞累積的な、積み重なるThe cumulative effect of short nights can be serious. accumulate(蓄積する)と同語源。cumulative effect「累積効果」。
  • deprivationC1
    名詞(必要なものを)奪われること、欠乏Total sleep deprivation means no sleep at all. 動詞 deprive。deprive A of B「AからBを奪う」は語法問題の定番。
  • impairC1
    動詞損なう、悪くするLack of sleep can impair your judgment. 名詞 impairment。hearing-impaired「聴覚に障がいのある」のように使う。
  • unawareB2
    形容詞気づいていないMany people are unaware of their own sleepiness. be unaware of ~「~に気づいていない」。反対は be aware of ~。
  • deteriorateC1
    動詞悪化するTheir performance deteriorated day by day. 名詞 deterioration。get worse の硬い言い方で、論説文によく出る。

動画でもっと知る

4コマでわかる

「6時間寝てれば十分」は危ない。2週間続けたら脳は徹夜明けと同じになっていたの4コマ漫画
6時間睡眠を2週間続けたら、脳の集中力は「一晩徹夜した人」と同レベルまで落ちたという実験がある。怖いのは、本人は「まあ、そこまで眠くない」と思っていたこと。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Van Dongen et al. (2003) The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation, Sleepdoi.org
  2. Belenky et al. (2003) Patterns of performance degradation and restoration during sleep restriction and subsequent recovery: a sleep dose-response study, Journal of Sleep Researchdoi.org
  3. Watson et al. (2015) Recommended Amount of Sleep for a Healthy Adult: A Joint Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine and Sleep Research Society, Sleepdoi.org
  4. Banks & Dinges (2007) Behavioral and physiological consequences of sleep restriction, Journal of Clinical Sleep Medicinepubmed.ncbi.nlm.nih.gov