太陽は、本当は白い
宇宙と地球No.163

太陽は、本当は白い

黄色や赤に見えるのは、空気を通るから。

ホントTRUE

この判定の対象「太陽は、本当は白い」

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もくじ
  1. 太陽の光は、虹のすべての色が混ざった「白」
  2. 太陽が地上で黄色や赤に見えるのは、空気が青い光を散らすから
  3. NASAの太陽の写真がオレンジや緑なのは、あとから色を付けているから
  4. 深掘り講義
  5. まとめ
  6. 英語で読む(A2・4択5問)
  7. 出典・ウラ取り

太陽の絵を描くとき、あなたは何色のクレヨンを選びますか。黄色? オレンジ? それとも、赤?

アメリカのスタンフォード大学の太陽センターのページには、こんな話が紹介されています。アメリカの幼稚園の子どもは、太陽を普通、黄色で塗る。ところが、日本の幼稚園の子どもは、普通、赤で塗る。ただし、このページに、調べた人数などの数字はのっていません。太陽を何色で描くかは、国や文化で変わることがある、という例です。

では、太陽は本当は何色なのでしょう。スタンフォード大学のページは、はっきり書いています。「太陽は、本当は白い」。

この記事では、まず、白い太陽がなぜ黄色や赤に見えるのかを説明します。次に、NASAの写真の太陽が、なぜオレンジ色や緑色なのかを考えます。最後に、「太陽の光は緑がいちばん強い」という話が、なぜそのままでは正しいと言えないのかを紹介します。

※太陽をじかに見るのは、目にとても危ないことです。NASAも、目を守る道具なしに見ないよう、注意を呼びかけています。

01太陽の光は、虹のすべての色が混ざった「白」

NASAの子ども向けのページは、こう書いています。太陽の光は白く見える。でも本当は、虹のすべての色が混ざっている。

プリズム(光を曲げるガラスの三角の柱)に日の光を通すと、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫と、色が分かれます。雨上がりの虹も、日の光が色ごとに分かれたものです。逆に、これらの色を全部混ぜると、目には白く見えます。

スタンフォード大学のページも、太陽が黄色やオレンジ、赤だというのはよくある誤解だ、と書いています。宇宙には、光の色を変える空気がありません。だから、宇宙から撮った写真を見れば、太陽が白いことがよく分かるといいます。

02太陽が地上で黄色や赤に見えるのは、空気が青い光を散らすから

では、なぜ地上からは、太陽が黄色や赤っぽく見えることがあるのでしょう。わけは、地球を包む空気にあります。

光には、波のような性質があります。NASAによると、青い光は赤い光より波の長さが短いので、空気の小さな粒(分子)にぶつかって、あちこちに散らされやすいのです。空が青いのは、あちこちに散らされた青い光が、空のどこからでも目に届くからです。

国立天文台によると、光が通ってくる空気の層の厚さは、見る方向で変わります。真上を見るときがいちばん薄く、地平線に近い方向ほど厚くなります。朝日や夕日は地平線の近くにあるので、その光は、厚い空気の中を長い距離通ってきます。そのあいだに青い光はどんどん散らされ、赤や黄色の光だけが目に届きます。だから、朝日や夕日は赤く見えるのです。

国立天文台は、地平線の近くの月や星が赤っぽく見えるのも、同じ理由だと説明しています。また、NASAによると、空気中のちりや汚れの粒も、青い光を散らします。夕焼けが特に赤い日があるのは、そのためです。

地平線近くの太陽の光は、厚い空気を通るあいだに、青い光が散らされてしまう
地平線近くの太陽の光は、厚い空気を通るあいだに、青い光が散らされてしまう

03NASAの太陽の写真がオレンジや緑なのは、あとから色を付けているから

インターネットで太陽の写真を探すと、オレンジ色、緑色、金色など、いろいろな色のものが出てきます。太陽は白いはずなのに、なぜでしょう。

NASAには、太陽を見張る衛星「SDO」があります。SDOのカメラは、10秒ごとに、10種類の光で太陽を撮っています。10種類の光は、波長(光の波の長さ)で分けたものです。その10種類の多くは、紫外線のように、人の目には見えない光です。

スタンフォード大学のページによると、目に見えない光で撮った画像には、人があとから色を付ける必要があります。そのとき科学者は、わざと目立つ色を選びます。見た人が「これは、目に見える光で撮った太陽ではない」とすぐ分かるようにするためです。

目に見える普通の光(白い光)で撮った写真でさえ、オレンジ色に加工されることがあります。私たちが「太陽らしい」と思う色に合わせるためです。スタンフォード大学のページは、その例として、ヨーロッパとアメリカの観測衛星SOHOの写真を挙げています。さらにこのページは、太陽が本当は白いと認めるのは、科学者にとってさえ難しい、とまで書いています。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

「太陽の光は緑がいちばん多い」かどうかは、グラフの目盛りの取り方で変わる

スタンフォード大学のページには、もう1つ、こんなことも書いてあります。太陽が出す目に見える光のうち、いちばん多いのは、黄色ではなく緑の光だというのです。この話から、「太陽は本当は緑だ」と言われることもあります。

ところが、「緑がいちばん多い」という話には注意が必要です。1999年、ソッファー(B. H. Soffer)とリンチ(D. K. Lynch)が、アメリカの物理学の雑誌に論文を出し、そのわけを説明しています。

太陽の光の強さを、色ごとにグラフにすることを考えます。このとき、横軸の目盛りには、2つの取り方があります。

  • 光の「波長」(波の長さ)で目盛りを取る
  • 光の「周波数」(1秒間に波が何回ふるえるか)で目盛りを取る

論文によると、波長の目盛りで描くと、グラフのいちばん高いところ(ピーク)は緑に来ます。ところが、周波数の目盛りで描くと、ピークは、目に見えない近赤外線に移ってしまいます。さらに、光の強さを、エネルギーではなく「光の粒(光子)の数」で数えても、ピークの位置は変わります。

なぜ、目盛りの取り方でピークが動くのでしょう。このグラフは、横軸を細かい区切りに分けて、「1つの区切りの中に、どれだけの光があるか」を表しています。その区切りの幅を、波長で決めるか、周波数で決めるか。それによって、1つの区切りに入る光の範囲が変わります。たとえば、周波数で同じ幅に区切ると、赤い光に近い側の区切りほど、波長で見て広い範囲の光が入ります。そのため、グラフの形そのものが変わるのです。

波長と周波数のどちらが正しい、ということはありません。つまり、「太陽の光がいちばん多いのは何色か」という問いには、目盛りの取り方を決めないかぎり、答えが出せないのです。

「人の目は太陽の光に合わせて進化した」という説明は誤解を招く、と1999年の論文は言う

よく聞く説明に、こんなものがあります。「人の目がいちばん敏感な色は、太陽の光がいちばん多い色と同じだ。だから、人の目は太陽の光に合わせて進化した」。論文によると、この説明はたびたび語られてきました。

ソッファーとリンチは、この説明は誤解を招くもので、間違っているとしています。理由は、さきほどのグラフの話です。太陽の光のピークの位置は、目盛りの取り方で動きます。だから、目がいちばん敏感な色とピークの色を比べても、何が言えるのかはっきりしないのです。

論文は、こうも指摘しています。私たちのまわりには、意外なほど多くの赤外線(目に見えない光の一種)がある。それなのに、人の目は赤外線を見るようにはできていない。周波数の目盛りで描けば、太陽の光のピークは近赤外線に来るのに、です。

では、人の目がどの色に敏感かは、何で決まるのでしょう。論文は、目を作っている材料から説明しています。材料が光を受けても壊れにくいか、化学的に変わりにくいか、という点です。そして論文は、目の色の感じ方を、人類の進化の旅の「おみやげ」のようなものだと表現しています。

「白」は、すべての色の光が混ざったときに感じる色

白は、虹の中にない色です。すべての色の光が混ざったとき、私たちの目と脳は、それを「白」と感じます。太陽の光が白く見えるのは、太陽がすべての色の光を混ぜて出しているからです。

だから、光の通り道でどれかの色が減ると、残りの色が目立ちます。たとえば、空気が青い光を散らすと、黄色やオレンジ、赤が残ります。

NASAによると、皆既日食(月が太陽をすっかり隠す日食)のときには、太陽のいちばん外側の「コロナ」が、白い冠のように見えます。そのすぐ内側の「彩層」は、赤く細いふちに見えます。

見える色は、3つのもので決まるのです。光そのもの、光の通り道、そして見る人の目です。

太陽を何色で描くかは、国や文化によって違うことがある

スタンフォード大学のページは、太陽をどんな色で描くかは、文化で決まることもあると書いています。アメリカの子は黄色で塗り、日本の子は赤で塗ります。どちらも、太陽の本当の色とは違います。

でも、それは「間違い」というより、それぞれの国で受け継がれてきた太陽の描き方です。科学で調べた太陽の色と、絵で描く太陽の色。この2つを分けて考えると、身近な太陽が少し違って見えてきます。

04まとめ

太陽の光は、虹のすべての色が混ざった白です。地上で黄色や赤に見えるのは、空気が青い光を散らすからです。NASAの写真のオレンジ色や緑色は、多くの場合、あとから付けた色です。

アメリカの子は黄色、日本の子は赤で塗る太陽。でも、宇宙から見た太陽は、まぶしい白に輝いています。

人に話すなら、こう言おう

太陽って本当は白いんだって。夕日が赤いのは、空気が青い光を散らしちゃうから。スタンフォード大学のページによると、アメリカの子は太陽を黄色でぬって、日本の子は赤でぬるらしいよ。
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英語で読む

What Color Is the Sun?

CEFR A2220 words4択 5問全訳つき
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英文をタップすると、その文の訳が出ます。

When you draw the Sun, what color do you use?太陽の絵をかくとき、あなたは何色を使いますか。 A website from Stanford University says that children in the United States usually color it yellow.スタンフォード大学のウェブサイトによると、アメリカの子どもはふつう太陽を黄色でぬります。 Children in Japan usually color it red.日本の子どもは、ふつう赤でぬります。 But the same website says the Sun is really white.でも、同じサイトは、太陽は本当は白いと言っています。

Sunlight looks white, but it has all the colors of the rainbow in it.太陽の光は白く見えますが、その中には虹のすべての色が入っています。 When all these colors mix together, our eyes see white.これらの色が全部まざると、私たちの目には白く見えます。 Photos taken from space show a white Sun.宇宙から撮った写真には、白い太陽が写っています。

So why does the Sun sometimes look yellow, orange, or red?では、なぜ太陽はときどき黄色やオレンジ、赤に見えるのでしょうか。 The reason is the air around the Earth.理由は、地球のまわりの空気です。 Blue light has short waves, so the air scatters it in many directions.青い光は波が短いので、空気がそれをいろいろな方向に散らします。 That is why the sky is blue.だから空は青いのです。 In the evening, sunlight travels through much more air, and even more blue light is lost.夕方には、太陽の光はずっと多くの空気を通るので、さらに多くの青い光が失われます。 Only the reds and yellows reach our eyes.赤や黄色の光だけが、私たちの目に届きます。

What about the orange and green Suns in NASA pictures?では、NASAの写真に出てくるオレンジや緑の太陽はどうでしょうか。 Many of these pictures use light that our eyes cannot see.そうした写真の多くは、私たちの目には見えない光を使っています。 Scientists add bright colors to them, so people can understand them.科学者は、人が見て分かるように、それらに明るい色をつけます。 Sometimes they even make normal photos orange, because people expect an orange Sun.ときには、人がオレンジの太陽を期待するので、ふつうの写真までオレンジ色にすることもあります。

NASA calls the Sun a yellow dwarf star.NASAは太陽を「黄色い矮星」と呼んでいます。 But this is only the name of a type of star.でもこれは、星の種類の名前にすぎません。 Above the air, in space, the Sun shines a bright white.空気の上の宇宙では、太陽はまぶしい白にかがやいています。 Never look at the Sun directly, though.ただし、太陽を直接見ては絶対にいけません。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2What color do children in Japan usually use for the Sun?

    日本の子どもは、ふつう太陽を何色でぬりますか。

  3. Q3Why does the Sun look red in the evening?

    夕方、太陽が赤く見えるのはなぜですか。

  4. Q4In paragraph 3, the word "scatters" is closest in meaning to ...

    第3段落の "scatters" に最も意味が近いのはどれですか。

  5. Q5Which is true according to the story?

    本文によると、正しいのはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • rainbow名詞
    虹

    We saw a big rainbow after the rain.

    雨のあと、大きな虹が見えた。

    💡 rain(雨)+ bow(弓)。弓の形から。

  • mix動詞
    まぜる、まざる

    Mix the red and white paint.

    赤と白の絵の具をまぜなさい。

    💡 mix A with B で「AとBをまぜる」。名詞 mixture。

  • scatter動詞
    まき散らす、散らばる

    The wind scattered the leaves.

    風が葉をまき散らした。

    💡 光が空気で散らばることを「散乱」という。

  • wave名詞
    波

    The waves were high at the beach today.

    今日は海岸の波が高かった。

    💡 動詞では「手をふる」。light wave で「光の波」。

  • expect動詞
    予想する、期待する

    I expect it will rain tomorrow.

    明日は雨だと思う。

    💡 名詞 expectation(予想、期待)。

  • dwarf名詞
    矮星(小さな星)、小人

    Pluto is called a dwarf planet.

    冥王星は準惑星(dwarf planet)と呼ばれる。

    💡 「小さいもの」を表す。white dwarf は「白色矮星」。

  • type名詞
    種類、型

    What type of music do you like?

    どんな種類の音楽が好きですか。

    💡 a type of 〜 で「〜の一種」。

  • directly副詞
    直接に、じかに

    Please send the letter directly to him.

    その手紙を直接彼に送ってください。

    💡 形容詞 direct(直接の)に -ly がついた形。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 20件)。

  1. What Color is the Sun?(Stanford SOLAR Center, スタンフォード大学)solar-center.stanford.edu
  2. Why Is the Sky Blue?(NASA Space Place)spaceplace.nasa.gov
  3. 質問2-3)月が赤く見えるときがあるのはなぜ?(国立天文台)nao.ac.jp
  4. Our Sun: Facts(NASA Science)science.nasa.gov
  5. SDO Instruments(NASA Solar Dynamics Observatory)sdo.gsfc.nasa.gov
  6. Soffer, B. H. & Lynch, D. K. (1999) Some paradoxes, errors, and resolutions concerning the spectral optimization of human vision, American Journal of Physics 67doi.org

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文章はすべて資料をもとに独自の言葉で書いています。画像はオリジナルのイメージです。誤りにお気づきの方は訂正窓口へ。

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