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カラスが「釣り針」を作り、部品を組み立てる。ニューカレドニアの道具職人、カレドニアガラス

カラスが「釣り針」を作り、部品を組み立てる。ニューカレドニアの道具職人、カレドニアガラス

読む前に予想してみよう!

道具を部品から組み立てられる動物は、人間以外では見つかっていない

研究カード(どんな研究?)
対象
野生と飼育下のニューカレドニアガラスほか
規模
野外観察と実験(8羽など小規模)
研究の種類
行動観察・問題解決実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ニューカレドニアのカラスは小枝からカギ形の道具を作り、虫を釣り出す。実験では短い部品をつなぎ合わせて長い道具を組み立てた個体もいた。

ひとことで言うとこのカラスは、木の枝でつり針を作って虫をつり上げる!

もくじ
  1. 野生のカラスが「カギ形の道具」を作っていた
  2. 地域ごとに「デザイン」が違う
  3. 針金を曲げた「ベティ」と、部品を組み立てるカラス
  4. まとめ

ゴミ袋を破る、人の顔を覚える……日本のカラスもかなりの知恵者です。でも、南太平洋の島ニューカレドニアには、そのさらに上を行く“職人”がいます。

その名もカレドニアガラス(ニューカレドニアガラス)。このカラスは、小枝から釣り針を作り、木の穴にひそむ虫を“釣り上げる”のです。

01野生のカラスが「カギ形の道具」を作っていた

ポイントは、落ちている棒をそのまま使うのではなく、目的に合わせて形を加工していること。しかも、使いやすい道具は持ち歩き、使い終わったら置いておくこともあります。

02地域ごとに「デザイン」が違う

ハントさんとグレイ(Gray)さんは、ニューカレドニア各地でカラスが葉から作る道具を集めました(2003年)。すると、幅の広い単純な形、段々に細くなる形など、分布する地域がデザインごとに違い、一部は重なり合っていたのです。

研究者たちは、これが改良が少しずつ積み重なってきた“道具の文化”かもしれないと考えています。人間の道具の歴史を、小さなスケールで見ているようです。

地域によって、葉で作る道具の“デザイン”が違う
地域によって、葉で作る道具の“デザイン”が違う

03針金を曲げた「ベティ」と、部品を組み立てるカラス

2002年には、イギリス・オックスフォード大学の研究室で飼われていたベティというメスのカラスが話題になりました(Weirら、『Science』)。筒の底にある小さなバケツを取るために、まっすぐな針金を曲げてカギを作ったのです。

さらに2018年、ドイツ・イギリスなどの研究チーム(von Bayernら)は、もっとむずかしい課題を出しました。エサは箱の奥にあり、手元の部品はどれも短すぎて届かない。でも、部品どうしは差しこんでつなげられる――。

すると、8羽のうち4羽が、自分で部品をつないで長い道具を作り、エサを取り出しました。しかも1羽は、必要に応じて3本つなぎ、4本つなぎの道具まで組み立てたのです。部品を組み合わせた道具づくりは、人間以外では、飼育されている大型類人猿でわずかに観察されているだけでした。

04まとめ

カレドニアガラスは、道具を使い、作り、ときには組み立てることまでできる鳥でした。脳の大きさはクルミほどでも、そのものづくりの腕前は一流です。

「鳥頭」という言葉は、そろそろ“ほめ言葉”に変えたほうがいいのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerNew Caledonian crows, which live on an island in the South Pacific, do more than just use tools. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

New Caledonian crows, which live on an island in the South Pacific, do more than just use tools. In 1996, a researcher named Hunt reported that wild crows shape twigs into hooks and cut long strips from spiny leaves. They use these tools to get insects out of holes in trees.

Later research found that the leaf tools have different designs in different areas, and each design is found mostly in its own area. This may be a kind of tool culture. In 2002, a crow named Betty bent a straight wire into a hook to lift a small bucket. In 2018, researchers gave crows pieces that were too short to reach food. Four of eight crows joined the pieces into a longer tool.

124 words ・ CEFR B1

和訳を見る

南太平洋の島にすむニューカレドニアガラスは、ただ道具を使うだけではありません。1996年、ハントという研究者は、野生のカラスが小枝をカギの形にしたり、トゲのある葉から細長い切れはしを切り取ったりしていると報告しました。カラスはこれらの道具を使って木の穴から虫を取り出します。

その後の研究で、葉の道具は地域ごとにデザインが違い、それぞれのデザインが主に決まった地域で見つかることがわかりました。これは一種の道具の文化かもしれません。2002年には、ベティという名のカラスがまっすぐな針金を曲げてカギを作り、小さなバケツを引き上げました。2018年、研究者たちはエサに届くには短すぎる部品をカラスに与えました。8羽のうち4羽が、部品をつないでもっと長い道具にしました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did Betty do?

Q3. Why do researchers think the crows may have a "tool culture"?

重要単語

  • toolA2
    名詞道具The crow used a tool to get food. tool use(道具使用)と tool making(道具製作)の違いは動物の知能を論じる長文の定番。
  • hookB1
    名詞カギ、釣り針The crow shaped a hook at the end of the twig. 動詞で「引っかける」。be hooked on ~「~に夢中になる」は口語で頻出。
  • combineB1
    動詞組み合わせるFour crows combined short sticks into a long tool. combine A with B / combine A into B。名詞は combination。
  • extractB2
    動詞引き抜く、取り出すThey extract insect larvae from dead wood. ex-(外へ)+tract(引く)。attract(引きつける)、tractor と同語源。名詞は「抽出物、エキス」。
  • innovationB2
    名詞新しい工夫、革新Tool innovation requires flexible thinking. in-(中に)+nov(新しい)。novel(小説・新しい)と同語源。
  • compoundB2
    形容詞複合のThe crow built a compound tool from four parts. 名詞で「化合物」。compound interest(複利)、compound word(複合語)も覚えておきたい。
  • cumulativeC1
    形容詞累積的な、積み重なるHuman technology is the result of cumulative culture. accumulate(蓄積する)と同語源。cumulative culture「累積的文化」は人類進化の長文でよく出る。

動画でもっと知る

4コマでわかる

カラスが「釣り針」を作り、部品を組み立てる。ニューカレドニアの道具職人、カレドニアガラスの4コマ漫画
南太平洋のニューカレドニアにすむカラスは、小枝を加工して先がカギ状の「釣り針」を作り、木の穴から虫を引っかけて取り出す。実験では、短すぎる部品を差しこんでつなぎ、2本・3本・4本つなぎの長い道具まで作ったカラスがいた。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Hunt (1996) Manufacture and use of hook-tools by New Caledonian crows, Naturedoi.org
  2. Weir, Chappell & Kacelnik (2002) Shaping of Hooks in New Caledonian Crows, Sciencedoi.org
  3. Hunt & Gray (2003) Diversification and cumulative evolution in New Caledonian crow tool manufacture, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  4. von Bayern et al. (2018) Compound tool construction by New Caledonian crows, Scientific Reportsdoi.org
  5. Rutz et al. (2016) Discovery of species-wide tool use in the Hawaiian crow, Naturedoi.org