鳥は飛びながら眠れるのか? グンカンドリの脳波が明かした「空中の1日42分睡眠」

読む前に予想してみよう!
長距離を飛ぶ鳥は、飛びながら陸上と同じくらいたっぷり眠っていることがわかった
グンカンドリの飛行中の睡眠は1日約42分で、陸にいるときの1割以下だった。
- 対象
- オオグンカンドリ(ガラパゴス諸島の野生個体)
- 規模
- 小規模
- 研究の種類
- 野外での脳波・行動記録
- 確かさ
- ★★★☆☆
グンカンドリに脳波計をつけると、最長10日の飛行中に本当に眠っていた。ただし1日わずか約42分。アホウドリが飛びながら眠るかは、まだ脳波で確かめられていない。
ひとことで言うとグンカンドリは、空を飛びながら少しだけ眠っていた!
アホウドリは、何千キロも海の上を旅します。ヨーロッパのアマツバメは、10か月ものあいだ、ほとんど地面に降りずに飛び続けることがわかっています。
では、彼らはいつ眠っているのでしょう? 「飛びながら眠っているにちがいない」と昔から言われてきましたが、それを確かめた人は誰もいませんでした。飛んでいる鳥の脳波を測るのは、とんでもなく難しいからです。
01片目を開けて眠る鳥たち
ヒントはありました。陸の上の鳥は、脳の片側だけを眠らせることができるのです。
1999年の研究(Rattenborgら、『Nature』)では、一列に並んで休むマガモのうち、列の端にいるカモほど片側の脳だけで眠り、そのとき開いている目は群れの外側(敵が来る方向)を向いていました。眠りながら見張りもする、高度なワザです。
「飛んでいる鳥も、きっとこの方法で眠っているのだろう」――多くの研究者がそう考えていました。
02グンカンドリの頭に脳波計をつけてみた
さらに、片側の脳だけで眠るとき、起きている側の脳につながった目は、進む方向に向けられていることが多く、ぶつからないように前を見張っているようでした。眠りの多くは、上昇気流に乗ってゆっくり旋回しているときに起きていました。

03でも、睡眠時間は「1日約42分」
ここからが意外な結果です。飛行中のグンカンドリの睡眠は、1日あたり約0.69時間(約42分)。陸の上で眠るときのわずか7.4%でした。しかも、1回1回の眠りはごく短いものが中心でした。
研究チームは、「飛ぶ鳥は空中でも十分眠っている」という予想は外れ、海の上では眠りよりも“注意”が優先されていると考えています。陸に戻ると、グンカンドリは長く深く眠り、“睡眠不足”を取り戻しているようでした。
04アホウドリやアマツバメは?
ヨーロッパのアマツバメが10か月間の99%以上の時間を空中で過ごすことは、小型の記録装置で確かめられています(Hedenströmら、2016年)。つまり彼らも、空中で眠っているはず。ただし、アマツバメやアホウドリの飛行中の脳波はまだ記録されていません。「アホウドリは飛びながら眠る?」の答えは、今のところ「たぶん。でも未確認」です。
05まとめ
鳥は、本当に飛びながら眠っていました。でもそれは、たっぷり眠るためではなく、ほんの数秒ずつ、ギリギリの“仮眠”をつなぐための技でした。
海の上をゆうゆうと飛ぶグンカンドリの姿は、じつは“眠い目をこすりながらの長旅”だったのかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBirds such as frigatebirds fly over the ocean for days, so scientists have long wondered whether they sleep…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some birds fly over the ocean for many days. When do they sleep? Scientists put small machines on the heads of frigatebirds to record their brain waves. The birds flew for up to 10 days.
The record showed that they really slept while flying. Sometimes only half of the brain slept. But they slept only about 42 minutes a day in the air. On land, they slept much longer.
69 words ・ CEFR A2
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何日も海の上を飛び続ける鳥がいます。彼らはいつ眠るのでしょうか。科学者たちは、グンカンドリの頭に小さな機械をつけて脳波を記録しました。鳥たちは最長10日間飛び続けました。
記録から、鳥たちは飛びながら本当に眠っていたことがわかりました。脳の半分だけが眠っていることもありました。しかし、空中での睡眠は1日にわずか約42分でした。陸の上では、もっとずっと長く眠っていました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
When do they sleep? という問いに、飛びながら眠っていたと答える内容なので D。
Q2. How long did the birds sleep each day in the air?
they slept only about 42 minutes a day in the air とあるので B。10は飛行日数。
Q3. In this passage, "Sometimes only half of the brain slept" means ...
half of the brain は「脳の半分」。片側の脳が眠り、もう片側は起きていたという意味なので A。
Birds such as frigatebirds fly over the ocean for days, so scientists have long wondered whether they sleep in the air. Birds on land can sleep with one half of the brain while keeping one eye open. In 2016, a German research team attached small devices to great frigatebirds in the Galápagos Islands to record their brain waves during flights lasting up to 10 days.
The birds slept in flight, sometimes with one side of the brain and sometimes with both. However, they slept only about 42 minutes a day, which was just 7.4 percent of their sleep on land. Back on land, they slept long and deeply.
108 words ・ CEFR B1
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グンカンドリのような鳥は何日も海の上を飛ぶので、科学者たちは彼らが空中で眠るのかどうか長いあいだ疑問に思ってきました。陸の上の鳥は、片目を開けたまま脳の半分で眠ることができます。2016年、ドイツの研究チームはガラパゴス諸島のオオグンカンドリに小さな装置をつけ、最長10日間の飛行中の脳波を記録しました。
鳥たちは飛びながら眠っており、脳の片側で眠ることも、両側で眠ることもありました。しかし睡眠は1日約42分しかなく、陸での睡眠のわずか7.4%でした。陸に戻ると、鳥たちは長く深く眠りました。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 2016 study show?
飛びながら眠っていたが、1日約42分(陸の7.4%)だけだったので A。
Q2. How did the researchers study the birds' sleep?
attached small devices ... to record their brain waves とあるので C。
Q3. Why did the birds probably sleep long and deeply after returning to land?
飛行中は陸の7.4%しか眠れなかったので、陸で睡眠不足を取り戻したと推測できる。正解は D。
Common swifts stay airborne for ten months, and people have long assumed that they, like albatrosses, sleep on the wing. But nobody had ever recorded the brain activity of a bird in flight, and for swifts and albatrosses that is still the case. One clue came from ducks.
In 1999, researchers showed that mallards at the end of a row slept more often with one half of the brain, keeping the open eye turned away from the group, toward possible predators. In 2016, Rattenborg's team at the Max Planck Institute fitted great frigatebirds in the Galápagos with miniature EEG recorders. On foraging flights lasting up to 10 days, the birds slept with one hemisphere or with both, mostly while circling in rising air currents.
During one-sided sleep, the eye linked to the awake hemisphere tended to face the direction of flight. They slept very little. Most episodes were extremely short, and at sea, staying alert seems to matter more to these birds than rest. In total, sleep in flight came to only about 42 minutes a day, just 7.4 percent of what the same birds got on land.
188 words ・ CEFR B2
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ヨーロッパのアマツバメは10か月も空中にとどまり、アホウドリと同じように飛びながら眠っていると昔から考えられてきました。しかし、飛行中の鳥の脳活動を記録した人はそれまで誰もおらず、アマツバメとアホウドリについては今もそうです。手がかりの一つはカモから得られました。
1999年、研究者たちは、一列に並んだマガモのうち端にいる個体ほど脳の片側だけで眠ることが多く、開いた目を群れの外側、つまり敵が来るかもしれない方向に向けていることを示しました。2016年、マックスプランク研究所のラッテンボルグのチームは、ガラパゴス諸島のオオグンカンドリに小型の脳波記録装置を取りつけました。最長10日間の採餌飛行中、鳥たちは脳の片側または両側で眠り、その多くは上昇気流に乗って旋回しているときでした。
片側で眠っているときには、起きている側の脳につながった目が進行方向を向く傾向がありました。眠る時間はごくわずかでした。ほとんどの睡眠はきわめて短く、海の上では、この鳥たちにとって休むことよりも注意を保つことのほうが大切なようです。飛行中の睡眠は合計で1日約42分にすぎず、同じ鳥が陸上でとる睡眠のわずか7.4%でした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
オオグンカンドリが飛びながら眠ること、ただしその量はごくわずかであることが中心なので C。
Q2. According to the passage, when did frigatebirds mostly sleep in flight?
mostly while circling in rising air currents とあるので D。
Q3. What does the author suggest about albatrosses?
nobody had ever recorded the brain activity of a bird in flight, and for swifts and albatrosses that is still the case とあり、飛行中の睡眠は確認されていないので B。
重要単語
- hemisphereC1名詞(脳の)半球、(地球の)半球One hemisphere stayed awake while the other slept.
hemi-(半分)+sphere(球)。the Northern Hemisphere「北半球」も頻出。 - EEGC1名詞脳波(記録)The EEG showed slow waves during flight.
electroencephalogram の略。encephalo-(脳)+-gram(記録)。 - glideB2動詞滑空する、すべるように進むFrigatebirds rise on warm air, then glide down.
glider(グライダー)の動詞。slide(すべる)と似た「なめらかな動き」のイメージ。 - alertB2形容詞警戒している、油断のないOne eye stays open to remain alert.
stay alert「注意を保つ」。名詞で「警報」、on the alert「警戒して」。 - predatorB2名詞捕食者、天敵The open eye watched for predators.
prey(獲物)とセットで覚える。predatory(捕食性の・略奪的な)。 - forageC1動詞(食べ物を)探し回るFrigatebirds forage over the ocean for days.
名詞で「飼料」。foraging flight「採餌飛行」は生態学の定番表現。 - airborneC1形容詞空中にいる、飛行中のCommon swifts stay airborne for ten months.
air+borne(運ばれた)。airborne virus「空気感染するウイルス」の意味でも使う。
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- 論文全文:Rattenborg et al. 2016(NIH PubMed Central)pmc.ncbi.nlm.nih.gov
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何日も海の上を飛び続ける鳥は、いつ眠るのか。グンカンドリの頭に小さな脳波計をつけたら、飛びながら本当に眠っていた。片方の脳だけ眠ることも、両方眠ることも。でも睡眠は1日わずか約42分で、陸の上の1割以下だった。
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※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













