オウムは意味をわかって話している? 6までの数と「ゼロのような概念」を使ったヨウムのアレックス

読む前に予想してみよう!
オウムがしゃべる言葉は、すべて意味をわかって使っている
多くは音のまね。ただし長期の訓練を受けたヨウムのアレックスのように、意味と結びつけて使えた例もある。
- 対象
- ヨウム「アレックス」1羽ほか、セキセイインコなどの脳
- 規模
- 単一個体の長期研究+脳の解析
- 研究の種類
- 行動実験・遺伝子発現と神経連絡の解析
- 確かさ
- ★★☆☆☆
たいていのオウムは音をまねているだけ。でも訓練を受けたヨウムのアレックスは、6までの数を英語で答え、「何もない」を「none」と言い表した。
ひとことで言うと多くのオウムはものまね。でも、意味をわかって話した天才ヨウムもいた!
「オハヨー」「ピーちゃん、かわいいね」。オウムやインコのおしゃべりは、聞いていて楽しいものです。でも、彼らは意味をわかって話しているのでしょうか?
答えは、「ほとんどの場合はものまね。でも、そうとは言い切れない例がある」。その“例外”として世界的に有名なのが、ヨウム(アフリカの灰色のオウム)のアレックスです。
0130年近く続いた「アレックス・プロジェクト」
アメリカの研究者ペッパーバーグ(Pepperberg)さんは、1970年代からアレックスと一緒に研究を続けました。教え方はユニークです。
2人の人間が、アレックスの前で「これは何色?」「緑!」「正解!」とやりとりして見せる。アレックスは、正しく答えた人がほめられる様子を見て学ぶ――「モデル/ライバル法」と呼ばれるやり方です。正解すると、その物そのもの(たとえば好きなおもちゃ)がもらえるので、言葉と物が直接結びつくように工夫されていました。
026までの数を「理解」していた
さらに面白いのは、「何色のものがいくつ?」に対して、該当するものが1つもないとき、アレックスが「none(ない)」と答えたこと。研究者はこれを「ゼロに近い概念」と呼びました。
2006年の総説では、アレックスが小さな数の足し算もできたことが紹介されています。

03オウムの脳には「二重の歌回路」があった
なぜオウムは、ここまで声をあやつれるのでしょう?
鳥の中で、聞いた音をまねて自分の声を作り変えられる(発声学習ができる)のは、オウム・スズメの仲間(鳴き鳥)・ハチドリの3グループだけです。
04まとめ
オウムのおしゃべりのほとんどは、音のものまねです。でも、長い時間をかけて言葉と物を結びつけたアレックスは、色や形、数、そして「何もない」まで、意味をもった言葉として使ってみせました。
オウムの頭の中には、私たちが思うより多くのことが入っているのかもしれません。2007年にアレックスが亡くなったあとも、その研究は「動物の心」を考える大切な手がかりであり続けています。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost talking parrots simply imitate sounds without understanding them.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Parrots can say words, but most of them are only copying sounds. Alex, an African gray parrot, was different. A scientist named Pepperberg worked with him for almost 30 years.
Alex could name colors and count up to six. When the answer was "nothing," he said "none." This was like the idea of zero. He seemed to understand the meaning of some words.
63 words ・ CEFR A2
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オウムは言葉を話せますが、そのほとんどは音をまねしているだけです。ヨウムのアレックスは違いました。ペッパーバーグという科学者が、30年近くアレックスと一緒に研究しました。
アレックスは色の名前を言うことができ、6まで数えられました。答えが「何もない」のときは、「none(ない)」と言いました。これはゼロの考え方に似ていました。アレックスはいくつかの言葉の意味を理解しているようでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ほとんどのオウムはまねだけだが、アレックスは言葉を理解しているようだった、という話なので D。
Q2. Up to what number could Alex count?
count up to six とあるので A。30は研究の年数。
Q3. In this passage, "copying sounds" means ...
copy は「まねる」。聞いた音と同じ音を出すことなので C。
Most talking parrots simply imitate sounds without understanding them. An African gray parrot named Alex suggested that some parrots may understand more. For almost 30 years, the researcher Pepperberg trained him with a special method.
Alex watched two people ask and answer questions, and he learned by seeing the correct person get praised. In a 2005 study, Alex was shown mixed groups of colored objects and asked questions like "Which color has four?" He answered correctly more than 80 percent of the time.
When no group matched the number, he said "none." That is close to the idea of zero. Scientists have also found that parrot brains have a special song system.
112 words ・ CEFR B1
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話すオウムのほとんどは、意味を理解せずに音をまねているだけです。アレックスという名のヨウムは、もっと多くを理解しているオウムもいるかもしれないことを示しました。30年近くにわたり、研究者のペッパーバーグは特別な方法でアレックスを訓練しました。アレックスは2人の人が質問し答えるのを見て、正しく答えた人がほめられる様子から学んだのです。
2005年の研究では、アレックスに色の違うものをまぜたグループを見せ、「4つあるのは何色?」のような質問をしました。
アレックスは80%以上の確率で正しく答えました。その数に合うグループがないときは「none(ない)」と言いました。これはゼロの考え方に近いものです。科学者たちは、オウムの脳に特別な歌の回路があることも見つけています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
アレックスが数や「none」を意味をもって使えたことが中心なので B。
Q2. How often did Alex answer correctly in the 2005 study?
He answered correctly more than 80 percent of the time. とあるので D。
Q3. Why did Alex's use of "none" interest researchers?
"none" と答えたことについて That is close to the idea of zero. とあるので A。
Most talking parrots are vocal mimics, reproducing sounds without linking them to meaning. Alex, an African gray parrot that Pepperberg trained from the 1970s until his death in 2007, seemed to be an exception. His training tied words directly to things. In a model/rival technique, two humans acted out questions and answers, and the one who answered correctly was praised. When Alex named an object, he got that very object as a reward.
In a 2005 study with Gordon, Alex looked at mixed sets of objects and answered questions such as which color had four items. He had never been trained on that format, yet he was right more than 80 percent of the time, whatever the objects' size or shape. When no set matched, he said "none," which the researchers called a zero-like concept.
All of this comes from a single bird, though, and his abilities may not generalize to other parrots. Trainers can also give unintentional cues, the so-called Clever Hans effect, which the researchers had to guard against. A possible basis turned up in 2015, when Chakraborty and colleagues found that parrots have a "shell" song system wrapped around the core system shared with other vocal-learning birds.
200 words ・ CEFR B2
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話すオウムのほとんどは音声のものまね上手で、音を意味と結びつけずに再現しています。ペッパーバーグが1970年代から2007年に死ぬまで訓練したヨウムのアレックスは、その例外のようでした。アレックスの訓練は、言葉と物を直接結びつけるものでした。「モデル/ライバル法」では、2人の人間が質問と答えをやってみせ、正しく答えた人がほめられました。アレックスが物の名前を言うと、ごほうびとしてその物そのものがもらえました。
2005年のゴードンとの研究で、アレックスはさまざまな物がまざったセットを見て、「4つあるのは何色か」といった質問に答えました。その形式の訓練は一度も受けていなかったのに、物の大きさや形にかかわらず、正答率は80%を超えました。合うセットがないときは「none」と答え、研究者はこれを「ゼロに近い概念」と呼びました。ただし、これはすべて1羽の鳥から得られた結果で、その能力がほかのオウムにもあてはまるとは限りません。
また訓練者は、無意識に手がかりを与えてしまうことがあり(いわゆる「賢いハンス効果」)、研究者はそれを防がなければなりませんでした。2015年には、その土台となりうるものが見つかりました。チャクラボルティらが、オウムには、発声学習をするほかの鳥と共通する「コア」の歌回路を包むように、「シェル」の歌回路があることを発見したのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
アレックスの言葉や数の理解、脳の仕組み、そして1羽だけの結果であることや「賢いハンス効果」という限界を述べているので C。
Q2. What was special about the 2005 test format?
He had never been trained on that format とあるので A。訓練していない形式でも答えられたことが理解の証拠になる。
Q3. Why does the author mention the Clever Hans effect?
Trainers can also give unintentional cues ... which the researchers had to guard against とあり、訓練者の無意識のヒントで正解してしまう可能性を指摘しているので B。
重要単語
- imitateB2動詞まねるParrots can imitate human speech.
名詞 imitation。mimic, copy も同じ意味で、言い換え問題で出る。 - labelB1名詞・動詞名前(をつける)、ラベルAlex used English labels for colors.
発音は /ˈleɪbəl/(レイベル)。label A as B「AにBというレッテルを貼る」。 - vocal learningC1名詞(句)発声学習Vocal learning is rare in the animal kingdom.
聞いた音をまねて自分の声を作り変える能力。鳥ではオウム・鳴き鳥・ハチドリだけに見られる。 - comprehensionB2名詞理解His comprehension of numbers was tested carefully.
comprehend(理解する)の名詞形。reading comprehension「読解」。comprehensive(包括的な)と区別。 - gray parrotB2名詞(句)ヨウムThe gray parrot named Alex became famous.
gray はアメリカ綴り、イギリスでは grey。どちらも正しい。 - conceptB1名詞概念Alex seemed to have a zero-like concept.
conceive(考えつく)と同語源。conception(概念・妊娠)も入試頻出。 - generalizeB2動詞一般化するResults from one bird cannot be generalized to all parrots.
名詞 generalization。研究の限界(少数例からの一般化)を述べる定番語。
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オウムのおしゃべりは、ほとんどが音のものまね。でも長年訓練を受けたヨウムのアレックスは、色や6までの数を英語で答え、ものが1つもないときは「none」と言った。意味をわかって話せた例だ。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Pepperberg & Gordon (2005) Number comprehension by a grey parrot (Psittacus erithacus), including a zero-like concept, Journal of Comparative Psychologydoi.org
- Pepperberg (2006) Grey parrot numerical competence: a review, Animal Cognitiondoi.org
- Chakraborty et al. (2015) Core and Shell Song Systems Unique to the Parrot Brain, PLOS ONEdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













