語学・英語学習ウソ

「ネイティブみたいに話せないと通じない」はウソだった。世界の英語は“非ネイティブ同士”が主役

「ネイティブみたいに話せないと通じない」はウソだった。世界の英語は“非ネイティブ同士”が主役

読む前に予想してみよう!

なまりが強い英語は、ほぼ必ず聞き取ってもらえない

研究カード(どんな研究?)
対象
英語のネイティブの聞き手・非ネイティブの話し手
規模
18人の聞き手×10人の話し手ほか
研究の種類
実験研究・理論的研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

強いなまりがあっても、英語はちゃんと通じることが多いという研究がある。今の英語は非ネイティブ同士の共通語として使われる場面が多く、目標は「伝わること」でいい。

ひとことで言うと英語はネイティブだけのものじゃない。通じればOK!

もくじ
  1. 強いなまりでも、ちゃんと通じていた
  2. 英語は「非ネイティブ同士の共通語」へ
  3. 「ネイティブ信仰」という見えない壁
  4. まとめ

「ネイティブみたいな発音じゃないと恥ずかしい」「アメリカ人の先生に習わないと本物の英語は身につかない」。

日本の英語学習には、こうした「ネイティブ信仰」が根強くあります。でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。あなたが英語を使う相手は、本当にネイティブばかりでしょうか?

応用言語学の研究は、英語の使われ方そのものが変わってきていること、そして「なまり=通じない」ではないことを示しています。

01強いなまりでも、ちゃんと通じていた

研究者は、英語の話し方を3つの別々のものさしで見るべきだと言います。

  • なまりの強さ:ネイティブとどれくらい違って聞こえるか
  • 理解しやすさ:聞き手がどれくらい楽に理解できるか
  • 通じやすさ:実際にどれくらい正確に伝わるか

発音の練習で大切なのは、1番目を消すことではなく、2番目と3番目を上げることなのです。

なお、この研究では、なまりの強さと書き取りの正確さがはっきり関係していた聞き手は、一部にとどまっていました。

02英語は「非ネイティブ同士の共通語」へ

英語は今、母語として話す人よりも、第二言語・外国語として使う人の方がずっと多いと推定されています。

ウィーン大学のザイドルホーファーは2001年、英語の研究や教育がネイティブの基準ばかりに縛られていると指摘し、非ネイティブ同士の共通語としての英語(ELF)そのものを記述する必要性を訴えました。

ロンドン大学などで研究してきたジェンキンスらも、国際的なやりとりでは、ネイティブ並みの発音より、相手に合わせて伝わる工夫の方が重要だと論じています。

英語は、いろいろな舟が集まる「共通の湖」
英語は、いろいろな舟が集まる「共通の湖」

03「ネイティブ信仰」という見えない壁

イギリスの研究者ホリデイは2006年、英語教育に広がる「ネイティブ・スピーカー主義」を論じました。

ネイティブの先生こそが本物で、英語も教え方も、その先生が手本だと考える立場です。ホリデイは、これが学習者や非ネイティブの教師を型にはめて見る偏見につながっていると指摘しました。

04まとめ

「ネイティブみたいに話せないと通じない」は、ウソ。強いなまりがあっても通じることは多く、そもそも世界の英語は非ネイティブ同士の共通語として使われる場面がたくさんあります。

目指すのは、ネイティブのコピーではなく、伝わる自分の英語。それで十分、世界とつながれます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerJapanese learners often feel they must sound like native speakers to be understood. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Japanese learners often feel they must sound like native speakers to be understood. Research suggests otherwise. In a 1995 study in Canada, 18 native English listeners heard ten Chinese-speaking learners talk freely. They rated each speaker's accent and how easy the speech was to understand, and they also wrote down what they heard. Although many accent ratings were at the strong end, the listeners' transcriptions were generally quite accurate.

So a strong accent does not always make speech hard to understand. In addition, English is now used more often between non-native speakers than with native speakers. Researchers studying English as a lingua franca argue that clear communication and adjusting to your listener matter more than copying a native accent.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本人学習者はしばしば、理解してもらうにはネイティブのように聞こえなければならないと感じています。研究はそうではないことを示しています。カナダでの1995年の研究で、英語のネイティブの聞き手18人が、中国語を母語とする学習者10人が自由に話すのを聞きました。彼らは各話し手のなまりと、話がどれくらい理解しやすいかを評価し、さらに聞いた内容を書き取りました。なまりが強い側の評価も多くありましたが、聞き手の書き取りはおおむねかなり正確でした。

つまり、強いなまりが必ずしも話をわかりにくくするわけではないのです。さらに、英語は今、ネイティブとよりも非ネイティブ同士で使われることの方が多くなっています。共通語としての英語を研究する研究者たちは、ネイティブの発音をまねることより、はっきりと伝えることや聞き手に合わせることの方が大切だと主張しています。

4択リーディングクイズ

Q1. Who were the speakers in the 1995 study?

Q2. What does the sentence "a strong accent does not always make speech hard to understand" summarize?

Q3. What do researchers of English as a lingua franca think is important?

重要単語

  • intelligibilityC1
    名詞通じやすさ・理解できる度合いIntelligibility matters more than a perfect accent. intelligible「理解できる」の名詞形。発音指導では「ネイティブらしさ」より優先される目標(intelligibility principle)。
  • lingua francaC2
    名詞(句)共通語(母語の異なる人どうしが使う言語)English is often used as a lingua franca in business. イタリア語で「フランク人の言葉」。ELF(English as a Lingua Franca)は応用言語学の重要概念。
  • comprehensibleC1
    形容詞理解できるHer English was accented but fully comprehensible. comprehend の形容詞形。クラッシェンの comprehensible input(理解可能なインプット)でも有名。
  • native speakerB1
    名詞(句)母語話者You don't need to sound like a native speaker. non-native speaker と対。最近は L1 user / L2 user という中立的な言い方も使われる。
  • accommodateC1
    動詞(相手に)合わせる・収容するGood speakers accommodate their listeners. 「宿泊させる・収容する」の意味も頻出(名詞 accommodation)。綴りは c と m が2つずつ。
  • outnumberC1
    動詞~より数が多いNon-native users outnumber native speakers of English. out-+名詞/動詞で「~を上回る」。A outnumber B「AはBより多い」。グラフ問題で便利。
  • ideologyC1
    名詞イデオロギー・(社会に広まった)考え方の体系Native-speakerism is described as an ideology. idea+-logy。発音は /ˌaɪdiˈɒlədʒi/(アイディオロジー)。社会系の長文で頻出。

動画でもっと知る

中国語なまりの英語をネイティブに書き取ってもらった研究で、「なまりが強い」と評価された話し方でも、内容はほとんど正確に聞き取れていたらしい。なまり=通じない、じゃなかった。

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  1. Munro & Derwing (1995) Foreign accent, comprehensibility, and intelligibility in the speech of second language learners. Language Learningdoi.org
  2. Seidlhofer (2001) Closing a conceptual gap: The case for a description of English as a lingua franca. International Journal of Applied Linguisticsdoi.org
  3. Jenkins (2006) Current perspectives on teaching World Englishes and English as a Lingua Franca. TESOL Quarterlydoi.org
  4. Holliday (2006) Native-speakerism. ELT Journaldoi.org
  5. Derwing & Munro (2005) Second language accent and pronunciation teaching: A research-based approach. TESOL Quarterlydoi.org