発音練習、"ネイティブっぽさ"より先に直すべき所があった。「伝わる発音」の研究

読む前に予想してみよう!
英語の発音は、一つひとつの子音や母音をネイティブ並みに直さないと伝わらない
訛りがあっても伝わる発話は多い。研究では、強勢やリズムなどを中心に学んだほうが、自由な会話のわかりやすさが伸びた。
- 対象
- カナダの成人英語学習者
- 規模
- 小規模(数十人)
- 研究の種類
- 比較実験(12週間の指導)
- 確かさ
- ★★★☆☆
ネイティブ並みの発音は必須ではない。研究によると、伝わりやすさを大きく左右するのは強勢やリズムなど。個々の音を磨くより先に直すべき所がある。
ひとことで言うと発音は「ネイティブっぽさ」より「強く読む場所」とリズムが先!
発音の練習というと、LとR、THの音、「ア」に似た何種類もの母音…。一つひとつの音をネイティブそっくりに直すことを思い浮かべる人が多いでしょう。
もちろん、それも大切です。でも、限られた時間で「相手に伝わる英語」を目指すなら、研究は別の優先順位を示しています。
カギは、ネイティブっぽさではなく「伝わりやすさ」。そして、伝わりやすさを大きく左右するのは、意外にも個々の音より強弱とリズムでした。
01まず知っておきたい:「訛り」と「伝わる」は別物
カナダの研究者マンローとダーウィングは、学習者の発音を3つのものさしに分けて考えました。
- 訛りの強さ:母語話者の発音とどれくらいちがって聞こえるか
- わかりやすさ:聞き手が「理解するのが楽だ」と感じるか
- 聞き取りやすさ:実際に、どれだけ正確に内容を理解できたか
1995年の研究では、訛りが強いと評価された発話でも、内容はかなり正確に書き取られていることが多く、訛りと伝わりやすさは部分的に独立していることが示されました。1997年には、日本語・広東語・ポーランド語・スペイン語を母語とする学習者の英語でも、似た傾向が確認されています。
つまり、目標を「訛りゼロ」に置く必要はありません。問題は、どこを直すと伝わりやすさが上がるかです。
02「個々の音」組と「リズム・強勢」組、勝ったのは?
決まった文をていねいに読むときは、個々の音の練習も役に立ちます。でも、実際の会話のようにその場で話す場面で効いてきたのは、リズムや強勢といった全体の話し方だったのです。
03単語の「強く読む場所」がズレると伝わりにくい
単語の強勢(アクセント)の重要性を示す研究もあります。2005年に TESOL Quarterly 誌で発表された実験では、英単語の強勢の位置をずらして聞かせると、聞き手がその単語を聞き取れる割合が下がる傾向がありました(特に強勢が後ろの音節にずれた場合)。
英語の聞き手は、強く読まれた音節を手がかりに単語を探していると考えられているからです。たとえば hotel を「ホテル」と前を強く読むと、英語の聞き手が想定している強勢の位置からずれてしまいます(英語では hoTEL と後ろが強い)。

発音指導の研究をまとめた2015年のメタ分析でも、指導にはしっかりした効果がありました。ただし効果は、読み上げのような統制された課題で大きく、自由な会話では小さくなりがち。だからこそ、会話に効きやすいポイントから優先して練習するのが賢い方法です。
04まとめ
発音は、ネイティブ並みでなくてもちゃんと伝わります。そして、限られた時間で伝わりやすさを上げたいなら、強く読む場所とリズムから手をつけるのが近道です。
一つひとつの音を完璧にするのは、その後でも遅くありません。まずは、次に覚える単語の「強く読む場所」に印をつけるところから始めてみましょう。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen people practice pronunciation, they often focus on difficult single sounds such as L and R.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many learners try hard to say L, R, and TH like native speakers. But you do not need a perfect accent. People can often understand you well, even with an accent. In a study in Canada, one class practiced single sounds.
Another class practiced stress and rhythm. Stress means which part of a word is strong. When students spoke freely, only the stress and rhythm class became easier to understand. So start with the strong parts of words.
78 words ・ CEFR A2
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多くの学習者は、L、R、THをネイティブのように言おうと一生懸命努力します。でも、完璧な発音は必要ありません。なまりがあっても、人はあなたの言うことをよく理解できることが多いのです。カナダのある研究では、1つのクラスは個々の音を練習しました。
別のクラスは強勢とリズムを練習しました。強勢とは、単語のどの部分を強く言うかということです。生徒が自由に話したとき、わかりやすくなったのは強勢とリズムのクラスだけでした。ですから、単語の強い部分から始めましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
なまりがあっても伝わり、自由に話すときには強勢とリズムの練習が効いた、という内容なので C。
Q2. Which class became easier to understand when students spoke freely?
only the stress and rhythm class became easier to understand とあるので D。
Q3. In this passage, "stress" means ...
本文で Stress means which part of a word is strong. と説明されているので B。「ストレス(緊張)」の意味ではない。
When people practice pronunciation, they often focus on difficult single sounds such as L and R. However, Canadian researchers Munro and Derwing showed that a strong accent and being understood are not the same thing. Even speech with a strong accent was often understood quite accurately. In a 1998 study, adult learners in Canada were divided into three classes for 12 weeks.
One class studied single consonants and vowels, another studied stress, rhythm and intonation, and the third received no special pronunciation teaching. When reading sentences aloud, both trained classes improved. But when students spoke freely without preparation, only the stress and rhythm class became easier to understand. Another experiment found that putting stress on the wrong part of a word made it harder for listeners to recognize.
128 words ・ CEFR B1
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人は発音を練習するとき、LやRのような難しい個々の音に注目しがちです。しかし、カナダの研究者マンローとダーウィングは、なまりが強いことと理解されることは同じではないと示しました。なまりの強い話し言葉でも、かなり正確に理解されることが多かったのです。
1998年の研究では、カナダの成人学習者が12週間、3つのクラスに分けられました。1つのクラスは個々の子音と母音を学び、別のクラスは強勢・リズム・イントネーションを学び、3つ目のクラスは特別な発音指導を受けませんでした。文を音読するときは、指導を受けた2つのクラスがどちらも向上しました。しかし、準備なしで自由に話したときにわかりやすくなったのは、強勢とリズムのクラスだけでした。別の実験では、単語の間違った部分に強勢を置くと、聞き手がその単語を聞き取りにくくなることがわかりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What did Munro and Derwing show?
a strong accent and being understood are not the same thing とあるので B。
Q2. How long did the 1998 study last?
divided into three classes for 12 weeks とあるので C。
Q3. What can we infer from the passage?
自由な発話で伸びたのは強勢・リズム組だけで、強勢の誤りは聞き取りを妨げるとあるので D。個々の音も音読では効果があったので A は言い過ぎ。
Many learners aim to sound like native speakers, but research from Canada suggests this can be the wrong target. Munro and Derwing separated three things. Accentedness is how different speech sounds from native norms. Comprehensibility is how easy it feels to understand. Intelligibility is how accurately it is actually understood.
In their 1995 study, many utterances rated as heavily accented were still transcribed accurately, so the three measures are partly independent. A 1997 study found similar patterns among learners whose first languages included Japanese. In 1998, Derwing, Munro and Wiebe followed three groups of adult learners for 12 weeks. One group was taught individual consonants and vowels.
Another was taught prosody, such as stress, rhythm and intonation. The third had no pronunciation instruction. Both taught groups improved when reading sentences aloud, but only the prosody group became easier to understand in unprepared storytelling. That study was small, and a 2015 meta-analysis found that the benefits of instruction tend to shrink in spontaneous speech.
There is also evidence that putting stress on the wrong syllable lowers intelligibility. For a learner short on time, learning where the stress falls in a word is a better first step than polishing every single sound.
200 words ・ CEFR B2
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多くの学習者はネイティブのように聞こえることを目指しますが、カナダの研究は、それが的はずれな目標になりうることを示しています。マンローとダーウィングは3つのものを区別しました。訛りの強さは、話し方が母語話者の基準とどれほど違って聞こえるかです。わかりやすさは、理解するのがどれほど楽に感じられるかです。聞き取りやすさは、実際にどれほど正確に理解されるかです。
2人の1995年の研究では、訛りが強いと評価された発話の多くが、それでも正確に書き取られていました。つまり、この3つの尺度は部分的に独立しているのです。1997年の研究では、母語に日本語を含む学習者の間でも似た傾向が見られました。1998年、ダーウィング、マンロー、ウィーブは成人学習者の3つのグループを12週間追跡しました。1つ目のグループは個々の子音と母音を教わりました。
2つ目は、強勢・リズム・イントネーションといった韻律を教わりました。3つ目は発音指導を受けませんでした。指導を受けた2グループはどちらも文の音読で向上しましたが、準備なしで話をするときにわかりやすくなったのは韻律グループだけでした。この研究は小規模で、2015年のメタ分析では、指導の効果は自発的な発話では小さくなる傾向があるとされています。
また、強勢を間違った音節に置くと聞き取りやすさが下がるという証拠もあります。時間の限られた学習者にとっては、個々の音を1つ残らず磨くより、単語のどこに強勢が来るかを覚えるほうが、よい第一歩になります。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, what does "intelligibility" refer to?
Intelligibility is how accurately it is actually understood. と定義されているので B。C は comprehensibility の説明。
Q2. Which limitation of the research does the author mention?
That study was small, and a 2015 meta-analysis found that the benefits ... shrink in spontaneous speech とあるので A。
Q3. What would the author most likely advise a learner with limited time?
最終文 learning where the stress falls in a word is a better first step than polishing every single sound が筆者の提案なので C。
重要単語
- intelligibilityC1名詞聞き取りやすさ(実際に正確に理解される度合い)Intelligibility matters more than a perfect accent.
intelligible「理解できる」+-ity。発音研究では accentedness(訛り)と区別するのが基本。 - comprehensibilityC1名詞わかりやすさ(聞き手が感じる理解の楽さ)Clear word stress improves comprehensibility.
comprehend「理解する」から。intelligibility が「正確さ」、こちらは「楽さ」という主観的評価。セットで覚える。 - accentednessC1名詞訛りの強さAccentedness and intelligibility are not the same thing.
accented(訛りのある)+-ness。訛りが強くても伝わることはある、というのがこの分野の重要な発見。 - prosodyC1名詞韻律(強勢・リズム・イントネーション)Prosody helps listeners follow your message.
個々の音(segmental)に対し、文全体の音の流れを指す。suprasegmental(超分節的)とも言う。 - stressB1名詞強勢(強く読む部分)In "hotel," the stress is on the second syllable.
「精神的ストレス」と同じ綴り。word stress / sentence stress。入試の発音・アクセント問題の主役。 - segmentalC1形容詞分節音の(個々の子音・母音に関する)Segmental practice focuses on single sounds like /r/ and /l/.
segment(区切り・部分)の形容詞。prosody とペアで発音指導の2本柱。 - spontaneousB2形容詞自発的な・即興のSpontaneous speech is harder than reading aloud.
準備なしの発話を spontaneous speech と言う。副詞 spontaneously も頻出。
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発音練習でLやRやTHを必死に直す前に。カナダの研究では、強勢やリズムを中心に学んだグループだけが、自由に話すときの“わかりやすさ”まで伸びたらしい。ネイティブっぽさより、まず「どこを強く読むか」だった。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Munro & Derwing (1995) Foreign accent, comprehensibility, and intelligibility in the speech of second language learners, Language Learningdoi.org
- Derwing & Munro (1997) Accent, intelligibility, and comprehensibility: Evidence from four L1s, Studies in Second Language Acquisitiondoi.org
- Derwing, Munro & Wiebe (1998) Evidence in favor of a broad framework for pronunciation instruction, Language Learningdoi.org
- Field (2005) Intelligibility and the listener: The role of lexical stress, TESOL Quarterlydoi.org
- Lee, Jang & Plonsky (2015) The effectiveness of second language pronunciation instruction: A meta-analysis, Applied Linguisticsdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










