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語学アプリだけで英語は話せる? 研究から見えた「得意な力」と「課題」

語学アプリだけで英語は話せる? 研究から見えた「得意な力」と「課題」

読む前に予想してみよう!

語学アプリを続けるだけで、英語で自由に会話できる力が十分に身につくことが研究で確かめられている

研究カード(どんな研究?)
対象
語学アプリの利用者
規模
少人数〜数百人
研究の種類
事前・事後比較・横断調査・系統的レビュー
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

語学アプリは、単語や文法、読む・聞く力の入門には効果が報告されている。一方で、話す・書く力への効果はまだはっきりせず、続ける人が減っていく問題も。

ひとことで言うとアプリは「入り口」と「毎日の習慣づくり」が得意。話す練習は別に必要!

もくじ
  1. 得意な力:単語・文法と「読む・聞く」の入門
  2. 課題:研究の偏りと「続けること」
  3. アプリを「入口」と「習慣の柱」にする
  4. まとめ

電車の中、寝る前のベッドの中。スマホの語学アプリで「今日も連続〇日達成!」。手軽で楽しく、世界中で何億人もの人が使っています。

でも、ふと思いませんか。アプリだけで、本当に英語が話せるようになるの? と。

語学アプリの効果を調べた研究は、ここ10年ほどで増えてきました。それらを見ていくと、アプリには得意そうな力があり、一方で研究にも利用にも課題がありました。

01得意な力:単語・文法と「読む・聞く」の入門

まとめると、アプリは単語や文法の基礎、読む・聞く力の入門には、効果がありそうです。ただし、上で紹介した3つの研究が調べたのはトルコ語・スペイン語・フランス語の学習で、英語学習の研究ではありません。

02課題:研究の偏りと「続けること」

一方、アプリの研究には共通の課題があります。

2012年から2020年までのDuolingo研究をまとめた系統的レビュー(Shortt ら、2021年)は、研究の多くがアプリの設計に注目したもので、学習の過程や成果への注目は比較的少ないと指摘しました。

また、アプリの「連続記録」や「ポイント」などのゲームの仕組みは、毎日続けるきっかけになる一方、「記録を途切れさせないこと」が目的になってしまうことも。研究でも、途中で参加をやめる人の多さ(脱落)がたびたび問題になっています。

アプリは「中腹までのケーブルカー」。頂上へは自分の足で
アプリは「中腹までのケーブルカー」。頂上へは自分の足で

03アプリを「入口」と「習慣の柱」にする

英語を話せるようになるには、相手の言葉を聞いて、その場で考えて、言い返す練習が欠かせません。これは、選択肢を選んだり、決まった文を並べ替えたりする練習だけでは、なかなか身につきません。

だからといって、アプリが無意味なわけではありません。

アプリの最大の強みは、毎日英語に触れる習慣を作れること。英語力を伸ばすうえで、大きな壁のひとつは「続かない」ことです。アプリでその壁を越えつつ、話す・書く練習は別の方法で補う。これが現実的な使い方です。

また、アプリは自分のペースで、まちがえても恥ずかしくない環境で練習できるのも魅力です。人前で英語を話すのが不安な人にとって、アプリで基礎を固めておくことは、次のステップに進むための自信にもつながります。

04まとめ

語学アプリは、英語学習の入口として、そして毎日の習慣の柱として、とても頼もしい存在です。

ただし、アプリが連れて行ってくれるのは山の中腹まで。「話せる」という頂上へは、人と話す練習という自分の足で登っていきましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerLanguage apps are used by hundreds of millions of people, but can they make you a fluent speaker? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Language apps are used by hundreds of millions of people, but can they make you a fluent speaker? Research suggests they have clear strengths and weaknesses. In a 2019 case study, university students learned Turkish with an app for one semester, and those who spent more time on it improved more. A 2020 study found that adults who studied Spanish with an app for 12 weeks improved in grammar, vocabulary, and speaking, especially those who studied longer.

A company-led study also reported reading and listening levels, although results from the app's own researchers need independent checks. A 2021 review of app research pointed out that most studies focused on app design, and that learning outcomes got less attention. Apps seem best for building basic knowledge and a daily habit.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

語学アプリは何億人もの人に使われていますが、それで流暢に話せるようになるのでしょうか。研究によると、アプリにははっきりした長所と短所があります。2019年の事例研究では、大学生が1学期間アプリでトルコ語を学び、アプリに長く時間を使った人ほど伸びました。2020年の研究では、12週間アプリでスペイン語を学んだ大人は文法・語彙・話す力のいずれも伸び、長く学習した人ほど大きく伸びました。

ある企業主導の研究も読む・聞く力のレベルを報告しましたが、アプリ自身の研究者による結果は独立した確認が必要です。アプリ研究についての2021年のレビューは、研究のほとんどがアプリの設計に注目しており、学習の成果への注目は少ないと指摘しました。アプリは、基礎知識と毎日の習慣を作るのに最も向いているようです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2019 case study find?

Q2. Why do the results of the company-led study need independent checks?

Q3. What is the writer's overall opinion of language apps?

重要単語

  • gamificationC1
    名詞ゲーミフィケーション(ゲームの仕組みを学習に取り入れること)Gamification keeps learners coming back every day. game+-ify(~化する)+-ation。ポイント・連続記録・ランキングなどが典型。形容詞 gamified。
  • receptive skillsC1
    名詞(句)受容技能(読む・聞く力)Apps seem to help receptive skills. receive「受け取る」から。SLAでは input を処理する力。productive skills と対で覚える。
  • productive skillsC1
    名詞(句)産出技能(話す・書く力)Productive skills need more practice with real people. produce「生み出す」から。output(アウトプット)を伴う力で、アプリだけでは鍛えにくいとされる。
  • attritionC2
    名詞(参加者の)脱落・減少High attrition is a problem in app studies. 「すり減ること」が原義。language attrition は「(使わないことによる)言語の衰え」。
  • conflict of interestC1
    名詞(句)利益相反Readers should check for a conflict of interest. 研究者が結果によって得をする立場にあること。企業研究を読むときの必須チェック項目。
  • interactionB2
    名詞(人との)やりとり・相互作用Speaking improves through real interaction. SLAの Interaction Hypothesis(ロング)は、意味のやりとりの中で習得が進むとする説。
  • habitA2
    名詞習慣Studying ten minutes a day is a good habit. form / build a habit「習慣をつける」、break a habit「習慣をやめる」。custom(社会の慣習)と区別。

動画でもっと知る

語学アプリの効果研究をまとめると、単語や読む・聞く力の入門には効果あり。ただ、使った時間が長い人ほど伸びた一方で、途中でやめる人も多く、“話す力”への効果はまだはっきりしないらしい。アプリは英語学習の入口として頼れるかも。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Loewen et al. (2019) Mobile-assisted language learning: A Duolingo case study, ReCALLdoi.org
  2. Loewen, Isbell & Sporn (2020) The effectiveness of app-based language instruction for developing receptive linguistic knowledge and oral communicative ability, Foreign Language Annalsdoi.org
  3. Shortt et al. (2021) Gamification in mobile-assisted language learning: a systematic review of Duolingo literature from public release of 2012 to early 2020, Computer Assisted Language Learningdoi.org
  4. Jiang et al. (2021) Evaluating the reading and listening outcomes of beginning-level Duolingo courses, Foreign Language Annalsdoi.org