語学・英語学習ウソ

「英語ネイティブは早口すぎる」は本当? 実は日本語のほうが1秒あたりの音節数は多かった

「英語ネイティブは早口すぎる」は本当? 実は日本語のほうが1秒あたりの音節数は多かった

読む前に予想してみよう!

英語は日本語よりも、1秒あたりに話す音節の数が多い

研究カード(どんな研究?)
対象
7言語、のちに17言語の話者
規模
数百人規模の音声コーパス
研究の種類
言語間比較(音声資料の分析)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

言語ごとの話す速さを測ると、日本語は1秒あたりの音節数が多い“早口”言語だった。ただ1音節の情報量が少ないため、伝わる情報の速さはどの言語もほぼ同じだった。

ひとことで言うと日本語は実は「早口」な言葉。でも伝わる情報のスピードは、どの言葉もだいたい同じ!

もくじ
  1. 日本語は「早口」言語だった
  2. 17言語で比べたら「1秒約39ビット」
  3. じゃあ、なぜ英語は速く感じる?
  4. まとめ

英語のリスニングで多くの人が感じる「ネイティブ、しゃべるの速すぎ!」。

でも、実際に言語ごとの話す速さを測ってみると、意外な結果が出ました。1秒あたりに話す音節の数では、日本語のほうが英語より多かったのです。

01日本語は「早口」言語だった

日本語の音節は、ほとんどが「カ」「サ」のような単純な形で、種類が少ないのが特徴です。1つの音節で区別できることが少ないぶん、たくさんの音節を速く並べて情報を伝えているのです。

一方、英語は「strength」のように1音節に子音がぎゅっと詰まった複雑な音節が多く、1音節あたりの情報が多いぶん、音節の数はゆっくりめになります。

0217言語で比べたら「1秒約39ビット」

2019年には、同じグループを含む研究チームがさらに規模を広げました。

つまり、速く話す言語も、ゆっくり話す言語も、伝えている情報のスピードはだいたい同じ。人間の脳や体の処理能力に合わせて、言語が「ちょうどいい速さ」に落ち着いているのではないか、と研究者たちは考えています。

小さな粒をたくさん並べるか、大きな粒を少し並べるか。運ぶ量は同じ
小さな粒をたくさん並べるか、大きな粒を少し並べるか。運ぶ量は同じ

03じゃあ、なぜ英語は速く感じる?

「日本語のほうが音節は速い」のに、英語が速く感じるのはなぜでしょう。考えられる理由の一つは、英語では弱い音節が極端に短くなり、単語どうしがつながることです。日本語のように一つひとつの拍がはっきりしていないので、区切りが見えにくいのです。

もう一つは単純に、知らない言語ほど速く聞こえるという感じ方の問題です。処理が追いつかないと、相手が速く話しているように感じます。

実際、学習者にとって話す速さが理解に影響するのは確かです。グリフィスの1992年の研究などでは、一定以上速い話し方になると、学習者の理解度が落ちることが示されています。「英語は速い」というより、自分の処理速度を超えると急に苦しくなると考えるのがよさそうです。

04まとめ

「英語ネイティブは早口」というイメージは、少なくとも音節の数で見ると逆でした。日本語も立派な早口言語で、どの言語も伝える情報の速さはほぼ同じ。

英語が速く感じるのは、言語のせいというより、区切りが見えず処理が追いつかないから。だからこそ、練習で区切りが見えるようになれば、英語は「速すぎる」ものではなくなっていきます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIt is common to hear Japanese learners complain that native English speakers talk too fast. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

It is common to hear Japanese learners complain that native English speakers talk too fast. But when a French research team compared seven languages in 2011, using recordings of the same texts read aloud, Japanese turned out to have one of the highest numbers of syllables per second. At the same time, each Japanese syllable carried the least information, because Japanese syllables are simple and few in type.

In 2019, a larger study of 17 languages found that, despite these differences, languages transmit information at a similar rate of about 39 bits per second. So why does English feel fast? One reason is that weak syllables become very short and words run together. Studies also show that learners understand less once speech goes beyond a certain speed.

127 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本人学習者が、英語のネイティブスピーカーは話すのが速すぎると不満を言うのはよく耳にすることです。しかし2011年、フランスの研究チームが同じ文章を読み上げた録音を使って7つの言語を比較したところ、日本語は1秒あたりの音節数が最も多い言語の1つであることがわかりました。同時に、日本語の音節は単純で種類が少ないため、1音節が運ぶ情報は最も少ないものでした。

2019年には、17言語を対象としたより大規模な研究で、こうした違いがあるにもかかわらず、言語は1秒あたり約39ビットという似た速さで情報を伝えていることがわかりました。では、なぜ英語は速く感じるのでしょうか。1つの理由は、弱い音節がとても短くなり、単語どうしがつながってしまうことです。また研究によれば、話し方がある速さを超えると、学習者の理解は落ちるのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the French team find about Japanese in 2011?

Q2. What did the 2019 study of 17 languages show?

Q3. According to the passage, why might English feel fast to learners?

重要単語

  • speech rateB2
    名詞(句)話す速さHer speech rate is quite fast. rate は「割合・速度」。音声研究では syllables per second(1秒あたりの音節数)などで測る。at a rate of ~「~の速さで」。
  • information densityC1
    名詞(句)情報の密度English syllables have high information density. density は dense(密な)の名詞形。population density「人口密度」も入試頻出。
  • trade-offC1
    名詞トレードオフ(一方を取ると他方が減る関係)There is a trade-off between speed and density. a trade-off between A and B の形で使う。長文読解で「両立しない関係」を示すサイン語。
  • transmitB2
    動詞伝える・送るLanguages transmit information at a similar rate. trans-(向こうへ)+ mit(送る)。名詞 transmission。submit、emit も同じ mit の仲間。
  • syllableB2
    名詞音節Japanese syllables are simple and few in type. 日本語の「カ」「サ」は単純な音節、英語の strength は子音の詰まった複雑な1音節。音節の形が情報量の差を生む。
  • perceiveB2
    動詞感じる・知覚するWe perceive foreign languages as faster than our own. perceive A as B「A を B だと感じる」。形容詞 perceived は「(主観的に)感じられる」の意味で研究英語に多い。
  • thresholdC1
    名詞しきい値・限界点Comprehension drops above a certain threshold. もとは「敷居」。above / below the threshold「しきい値を超えて/下回って」。発音は /ˈθreʃhoʊld/(h は1つ)。

4コマでわかる

「英語ネイティブは早口すぎる」は本当? 実は日本語のほうが1秒あたりの音節数は多かったの4コマ漫画
「英語って早口だよね」と思いがちだけど、言語ごとに測ると日本語のほうが1秒あたりの音節数が多かったらしい。しかも伝わる情報量の速さは、17言語でだいたい同じ1秒約39ビット。言葉ってよくできてる。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Pellegrino, Coupé & Marsico (2011) A cross-language perspective on speech information rate. Languagedoi.org
  2. Coupé, Oh, Dediu & Pellegrino (2019) Different languages, similar encoding efficiency: Comparable information rates across the human communicative niche. Science Advancesdoi.org
  3. Griffiths (1992) Speech rate and listening comprehension: Further evidence of the relationship. TESOL Quarterlydoi.org