語学・英語学習ホント

単語テストは「片方向」だけじゃもったいない。両方向で思い出すと翌日に差が出た

単語テストは「片方向」だけじゃもったいない。両方向で思い出すと翌日に差が出た

読む前に予想してみよう!

この研究では、両方向で思い出す練習の効果を、学習者自身が事前にしっかり予想できていた

研究カード(どんな研究?)
対象
実験参加者
規模
2つの実験(10分後・24時間後テスト)
研究の種類
実験研究
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

外国語の単語ペアを、毎回同じ向きで思い出すより「両方向」で思い出す練習をした方が、特に24時間後の難しい向きのテストで成績が良かった。

ひとことで言うと単語は「英→日」と「日→英」を混ぜて練習すると、忘れにくいみたい!

もくじ
  1. 「思い出す練習」はすでに最強クラス
  2. 両方向練習は「翌日・難しい向き」で特に強い
  3. 本人は効果に気づいていなかった
  4. まとめ

単語帳で英単語を覚えるとき、あなたはどちら向きで練習していますか? 英語を見て日本語を思い出す? それとも日本語を見て英語を思い出す?

2026年9月、学術誌『Behavioral Sciences』に、米国モンタナ州立大学の研究者が、この「向き」に注目した実験を発表しました。結論は、毎回同じ向きより、両方向を混ぜて思い出すほうが、翌日まで記憶に残りやすいというものでした。

01「思い出す練習」はすでに最強クラス

前提として、教科書を読み返すよりテストのように思い出す練習(想起練習)のほうが記憶に残ることは、多くの研究で示されています(Karpicke & Roediger, 2008)。くわしくはテスト効果の記事もどうぞ。

今回の研究は、その想起練習を「どんな向きで」やるとよいかを調べたものです。

一般に、外国語の単語を見て母語の意味を答える方が「やさしい向き」、母語を見て外国語を答える方が「難しい向き」とされます。

02両方向練習は「翌日・難しい向き」で特に強い

結果、両方向で練習したグループのほうが、記憶がよく残っていました。

特に差がはっきりしたのは、

  • 時間がたってから(24時間後)
  • 難しい向きでテストされたとき

でした。つまり、本番で「日本語→英語」のように自分で英単語をひねり出す場面ほど、両方向練習の効果が表れやすい可能性があるのです。

練習中に少し手こずる条件のほうが、長く記憶に残る——これは「望ましい困難」と呼ばれる考え方で、外国語の単語学習でも以前から報告されてきました(Schneider et al., 2002)。

楽な道と険しい道、両方を行き来した方が記憶の地図はしっかりする
楽な道と険しい道、両方を行き来した方が記憶の地図はしっかりする

03本人は効果に気づいていなかった

もう一つの発見は、学習者の予想です。参加者が事前に出した「最終テストで何点取れそうか」という予想は、両方向練習の効果をとらえていませんでした。

一方で、参加者は両方向練習を「効果的そう」とは感じていて、似た勉強法を自分でも使っていると答えた人も多かったそうです。「効くとは思うけど、どれくらい効くかは実感できない」——これが勉強法選びの難しいところです。

04まとめ

単語の練習は、片方向だけで終わらせないのがコツ。英語→日本語で「わかった!」と思っても、日本語→英語で言えるとは限りません。両方向で思い出す少しの手間が、翌日の自分を助けてくれるかもしれません。赤シート学習のコツはこちら。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerTesting yourself is one of the best ways to remember new vocabulary. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Testing yourself is one of the best ways to remember new vocabulary. But does the direction of practice matter? A researcher at Montana State University asked people to learn pairs of Lithuanian and English words. They went through four rounds of study and testing.

Some participants always recalled the words in the same direction. Others recalled them in both directions. The people who practiced both ways remembered more. Their advantage was clearest on a test 24 hours later in the harder direction, from English to Lithuanian.

Before that final test, the learners also guessed their own scores. Their guesses did not show this benefit. So the learners may not have realized which method was helping them.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

自分でテストすることは、新しい語彙を覚える最良の方法の一つです。しかし、練習の向きは関係があるのでしょうか。モンタナ州立大学の研究者は、参加者にリトアニア語と英語の単語のペアを覚えてもらいました。参加者は学習とテストを4回くり返しました。

いつも同じ向きで単語を思い出す参加者もいました。両方向で思い出す参加者もいました。両方向で練習した人の方が多く覚えていました。その優位は、24時間後に難しい向き(英語からリトアニア語)で行ったテストで最もはっきりしていました。

その最終テストの前に、学習者は自分の点数の予想もしました。その予想には、この効果が表れていませんでした。つまり学習者は、どの方法が役に立っているのかに気づいていなかったのかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. What question did the researcher want to answer?

Q2. When was the advantage of practicing both ways clearest?

Q3. What can we infer from the last three sentences?

重要単語

  • retrieval practiceC1
    名詞(句)想起練習(思い出す練習)Retrieval practice is more effective than rereading. retrieve(取り戻す、検索する)の名詞形。犬が物を取ってくる retriever と同じ語源。
  • retentionC1
    名詞記憶の保持Sleep helps the retention of new words. 動詞 retain(保持する)。re-(後ろに)+tain(保つ)。contain, maintain と同じ tain。
  • directionA2
    名詞向き、方向Practice the words in both directions. in the direction of ~「~の方向に」の前置詞 in に注意(× to the direction)。複数形 directions は「指示、道順」。
  • metacognitiveC1
    形容詞メタ認知の(自分の理解を把握する)Metacognitive judgments are often wrong. meta-(一段上の)+cognitive(認知の)。「自分の考えを上から見る力」。名詞は metacognition。
  • desirable difficultyC1
    名詞(句)望ましい困難Mixing problems creates a desirable difficulty. desirable は desire(望む)+-able。学習を少し難しくすると定着が良くなるという学習科学の重要概念。
  • recallB2
    動詞・名詞思い出す/想起Try to recall the English word before you turn the card. re-(再び)+call(呼ぶ)。記憶を「呼び戻す」。製品の「リコール(回収)」も同じ語。
外国語の単語を覚えるとき、いつも同じ向きで思い出すより、「外国語→英語」と「英語→外国語」の両方向で思い出す練習をした方が、翌日のテストで強かったらしい。しかも本人たちは、その効果を事前に予想できていなかったとか。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Soderstrom (2026) Learning Through Retrieval Variability: Benefits and Metacognitive Judgments in Foreign-Language Vocabulary Learning, Behavioral Sciencesdoi.org
  2. Schneider, Healy & Bourne (2002) What Is Learned under Difficult Conditions Is Hard to Forget: Contextual Interference Effects in Foreign Vocabulary Acquisition, Retention, and Transfer, Journal of Memory and Languagedoi.org
  3. Karpicke & Roediger (2008) The Critical Importance of Retrieval for Learning, Sciencedoi.org