世界の平均睡眠時間、日本は33か国で最短の7時間24分。国際比較データを読み解く

読む前に予想してみよう!
OECDの国際比較で、日本人の平均睡眠時間は33か国中もっとも短かった
15〜64歳の平均は7時間24分で最短。2番目に短い韓国より約27分短い。
- 対象
- 各国の15〜64歳など
- 規模
- 33か国の生活時間調査/アプリ利用者5,450人
- 研究の種類
- 公的統計の比較・観察研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
OECDの生活時間データでは33か国の平均睡眠は約8時間28分、日本は7時間24分で最短。しかも日本は珍しく女性のほうが男性より短い国だった。
ひとことで言うと日本人は、くらべた33の国の中でいちばんねる時間が短かった!
結論から言うと、OECD(経済協力開発機構)が各国の生活時間調査をまとめたデータでは、33か国の平均睡眠時間は約8時間28分。その中で日本は7時間24分と、いちばん短い国でした。
2番目に短い韓国(7時間51分)とくらべても、約27分の差。世界的に見ると、日本人の睡眠時間は「ちょっと短い」どころではなく、ダントツの最短クラスです。
しかも、データを男女別に分けると、もうひとつ意外な特徴が見えてきます。
01世界の平均睡眠時間ランキング(OECDデータ)
OECDのデータは、各国が行った「1日をどう過ごしたか」の調査(生活時間調査)を、主に15〜64歳でそろえて比べたものです。
ただし、調査年は国によって1998年から2019年までバラバラで、調べ方も少しずつ違います。「8時間28分」はざっくりした国際比較の目安と考えるのが正確です。
02日本だけの特徴:女性のほうが睡眠が短い
男女別に見ると、日本は男性7時間30分、女性7時間18分。女性のほうが約12分短いのです。
33か国のうち、女性のほうが短かったのは日本を含めて7か国ほど。日本の差はインドに次いで大きい部類でした。

家事や育児の時間の男女差が関係している可能性はありますが、このデータだけでは原因までは言えません。あくまで「そういう傾向がある」という観察結果です。
03スマホアプリで見えた「寝る時刻」が決め手
国によって睡眠時間が違うのはなぜでしょう。ヒントをくれたのが、米ミシガン大学のウォルチらの研究です。
研究チームは時差ボケ対策アプリを公開し、世界中の利用者から「ふだんの就寝・起床時刻」を集めました。データを整理して残った5,450人を分析すると、国の平均睡眠時間を左右していたのは「起きる時刻」ではなく「寝る時刻」でした。
起きる時刻は仕事や学校で決まりやすい。だから、夜更かしする社会ほど、そのぶん睡眠が削られるというわけです。研究チームは、社会的な圧力が夜の眠気という体のシグナルを押さえつけている、と考えています。
また、このアプリのデータでは、ほぼすべての年代で女性のほうが長く眠る予定を立てていて、その差は30〜60歳で最も大きくなっていました。日本の逆転現象が、いっそう目立ちます。
04どんでん返し:「7時間54分」というデータもある
ここで混乱しやすいのが、日本の公的統計です。総務省の「令和3年社会生活基本調査」では、日本人(10歳以上)の睡眠時間は7時間54分で、5年前より14分増えていました。
OECDの7時間24分と30分も違うのは、対象年齢と調査年が違うから(OECDの日本の値は2016年の調査)。社会生活基本調査は睡眠が長くなりやすい高齢者もふくむ「10歳以上の全員」の平均です。また2021年の調査は、新型コロナの緊急事態宣言が解除された直後で、テレワークをしていた人は睡眠が長い傾向も報告されています。
一方、厚労省の国民健康・栄養調査(令和元年)では、1日の睡眠が6時間未満の人が男性37.5%、女性40.6%。平均だけでは見えない「短く寝ている人の多さ」も、日本の特徴です。
05まとめ
国際比較で見ると、日本人の睡眠時間は33か国で最短の7時間24分。とくに女性の短さが目立ちます。
世界の研究が示すカギは「何時に寝るか」。今夜、寝る時刻を15分だけ早めることが、「世界最短」から抜け出す第一歩かもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe OECD collected time-use surveys from 33 countries, mainly for people aged 15 to 64.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
The OECD compared how people in 33 countries spend their day. On average, people slept about 8 hours and 28 minutes. Japan had the shortest sleep, only 7 hours and 24 minutes. In most countries, women sleep longer than men.
But in Japan, women sleep about 12 minutes less than men. One study found that people in countries with late bedtimes get less sleep.
64 words ・ CEFR A2
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OECDは、33か国の人々が1日をどのように過ごしているかを比べました。平均すると、人々は約8時間28分眠っていました。日本は最も睡眠が短く、わずか7時間24分でした。多くの国では、女性のほうが男性より長く眠ります。
しかし日本では、女性は男性より約12分短く眠っています。ある研究では、寝る時刻が遅い国の人ほど睡眠が少ないことがわかりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
33か国の睡眠時間の比較がテーマなので D。
Q2. How long did people in Japan sleep?
Japan had the shortest sleep, only 7 hours and 24 minutes. とあるので B。8時間28分は33か国の平均。
Q3. In this passage, "on average" means ...
on average は「平均して」。全体を均したときの典型的な量のことなので A。
The OECD collected time-use surveys from 33 countries, mainly for people aged 15 to 64. The average sleep time was about 8 hours and 28 minutes, but Japan was the shortest at 7 hours and 24 minutes, about 27 minutes less than South Korea, the second shortest.
Another unusual point is that Japanese women sleep about 12 minutes less than Japanese men, while women sleep longer in most countries. Why do countries differ? A study using a smartphone app found that national sleep time depended mainly on bedtime, not wake-up time. Since work and school decide when we get up, societies that stay up late lose sleep.
107 words ・ CEFR B1
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OECDは、主に15〜64歳の人々について、33か国の生活時間調査を集めました。平均の睡眠時間は約8時間28分でしたが、日本は7時間24分で最も短く、2番目に短い韓国よりも約27分少ないものでした。
もう一つの珍しい点は、多くの国では女性のほうが長く眠るのに、日本の女性は日本の男性より約12分短く眠っていることです。なぜ国によって違うのでしょうか。スマートフォンのアプリを使ったある研究では、国の睡眠時間は主に起きる時刻ではなく寝る時刻によって決まっていることがわかりました。起きる時刻は仕事や学校で決まるので、夜更かしする社会は睡眠を失うのです。
4択リーディングクイズ
Q1. Which country had the second shortest sleep time?
about 27 minutes less than South Korea, the second shortest とあるので C。
Q2. What is unusual about Japan's sleep data?
Japanese women sleep about 12 minutes less than Japanese men とあり、多くの国と逆なので B。
Q3. Why does bedtime matter more than wake-up time?
起きる時刻は仕事や学校で決まるので、夜更かしする社会ほど睡眠が削られる、とあるので D。
In time-use data compiled by the OECD for 33 countries, mostly covering people aged 15 to 64, the average night's sleep is about 8 hours and 28 minutes. Japan comes last, at just 7 hours and 24 minutes. It is unusual in another way too. Japanese women sleep roughly 12 minutes less than men, the reverse of the pattern in most countries, and cross-sectional data of this kind do not show why.
A study by Olivia Walch and colleagues, based on 5,450 users of a jet-lag app, offers one possible explanation. Sleep length depended mainly on when people went to bed, not on when they woke up. Work and school fix the morning, so if social pressure pushes bedtime later, sleep gets shorter.
But the app users chose to take part, and many of them were American. The international figures need care as well. The surveys were carried out in different years between 1998 and 2019, using different methods, so the average is only a rough guide. Japan's own government survey in 2021 reported 7 hours and 54 minutes. That higher figure comes partly from including everyone aged ten and over, among them older people, who tend to sleep longer.
200 words ・ CEFR B2
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OECDが33か国について、主に15〜64歳を対象にまとめた生活時間データでは、一晩の平均睡眠時間は約8時間28分です。日本は最下位で、わずか7時間24分です。日本は別の点でも珍しい国です。日本の女性は男性より約12分短く眠っており、多くの国のパターンとは逆ですが、この種の横断的なデータでは理由はわかりません。
時差ボケ対策アプリの利用者5,450人のデータにもとづくオリヴィア・ウォルチさんらの研究は、一つの説明を示しています。睡眠時間は、起きる時刻ではなく主に寝る時刻によって決まっていたのです。仕事や学校が朝の時刻を固定するので、社会的な圧力で就寝が遅くなれば、睡眠は短くなります。
ただし、アプリの利用者は自分から参加した人たちで、その多くはアメリカ人でした。国際的な数字にも注意が必要です。調査は1998年から2019年までのさまざまな年に、さまざまな方法で行われたため、平均は大まかな目安にすぎません。日本政府自身の2021年の調査は、7時間54分と報告しています。この数字が高いのは、一つには10歳以上の全員を対象にしていて、その中に睡眠が長くなりがちな高齢者が含まれていたためです。
4択リーディングクイズ
Q1. What explanation does the Walch study offer for differences between countries?
Sleep length depended mainly on when people went to bed ... if social pressure pushes bedtime later, sleep gets shorter とあるので A。
Q2. Why did Japan's 2021 government survey report a longer sleep time?
including everyone aged ten and over, among them older people, who tend to sleep longer とあるので C。
Q3. Which limitation is NOT mentioned by the writer?
調査年・方法の違い、アプリ利用者の偏り、横断データでは女性の睡眠が短い理由がわからないことは挙がっているが、大都市だけという話はないので D。
重要単語
- time-use surveyC1名詞(句)生活時間調査A time-use survey asks people how they spend each day.
survey は「調査」。conduct a survey「調査を行う」がよく使われる形。 - averageA2名詞・形容詞平均(の)The average sleep time was shorter in Japan.
on average「平均して」、above / below average「平均以上・以下」。 - bedtimeA2名詞就寝時刻A late bedtime can shorten your sleep.
bedtime story「寝る前に読み聞かせる話」。wake-up time と対で覚える。 - compareA2動詞比べるWe compared sleep data from 33 countries.
compare A with B「AとBを比べる」、compared with ~「~と比べると」。名詞は comparison。 - social pressureB2名詞(句)社会的な圧力Social pressure can push our bedtime later.
peer pressure「仲間からの圧力」もセットで覚えたい入試頻出表現。 - gender gapB2名詞(句)男女差The gender gap in sleep was unusual in Japan.
gender gap index「ジェンダーギャップ指数」で日本の順位がよく話題になる。
公式・一次情報をチェック
- 令和3年社会生活基本調査 結果(総務省統計局)stat.go.jp
- 睡眠対策(厚生労働省)mhlw.go.jp
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OECDが33か国の「1日の過ごし方」をくらべたら、平均睡眠は約8時間28分。日本は7時間24分でダントツの最短。しかも多くの国では女性のほうが長く寝ているのに、日本は女性のほうが短かった。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- OECD Gender Data Portal (2021) Time use across the world(各国の生活時間データ)oecd.org
- Walch, Cochran & Forger (2016) A global quantification of "normal" sleep schedules using smartphone data, Science Advancesdoi.org
- 総務省統計局(2022)令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約stat.go.jp
- 厚生労働省(2023)健康づくりのための睡眠ガイド2023mhlw.go.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










