休日の寝だめは太る?やせる? 研究で"真逆の結果"が出たワケを読み解く

読む前に予想してみよう!
平日の寝不足は、週末に寝だめすれば体への影響もすべて帳消しになる
実験では、週末に寝だめしても食べすぎや血糖を下げる力の低下は元に戻らなかった。
- 対象
- 一般成人
- 規模
- 約2,000人(調査)+36人(実験)
- 研究の種類
- 横断研究+ランダム化比較試験
- 確かさ
- ★★★☆☆
韓国の調査では週末に寝だめする人のBMIがわずかに低かった。一方、米国の実験では週末に寝だめしても夜食と体重増加は防げなかった。調べ方の違いが答えを分けていた。
ひとことで言うと寝だめは「借金の返済」にはなるけど、「借金しない」が一番!
平日は睡眠6時間、土日は昼まで寝る。そんな「寝だめ生活」をしている人は多いはずです。
では、この寝だめは体重にとって良いのでしょうか、悪いのでしょうか。
調べてみると、研究によって「寝だめする人はやせている」と「寝だめしても太るのは防げない」という、一見真逆の結果が出ていました。どちらかが間違っているのでしょうか?
01結果1:寝だめする人はBMIが少し低かった
「寝だめはやせる!」と言いたくなりますが、差はわずか0.3。しかもこれは、ある一時点のアンケート調査(横断研究)です。寝だめできる余裕のある生活をしている人は、もともと別の健康的な習慣を持っているのかもしれません。
02結果2:寝だめしても夜食と体重増加は止まらなかった
一方、2019年に米コロラド大学の研究チームが行った実験は、まったく違う答えを出しました。
健康な若い大人36人を研究施設に約2週間泊め、
- 毎晩しっかり眠るグループ
- 毎晩5時間しか眠れないグループ
- 平日5時間、週末は好きなだけ寝てよいグループ
に分けたのです。
その結果、睡眠不足のグループでは夕食後の夜食が増え、体重も増える傾向がありました。そして週末に寝だめしたグループでも、平日に戻るとこの傾向が再び現れ、血糖を下げるインスリンの効きやすさも低下していました。

03真逆に見えて、実はつながっている
この2つの結果は、矛盾しているわけではありません。
調査研究が示すのは、「同じくらい平日に寝不足な人の中では、週末に取り戻す人のほうがまだマシかもしれない」ということ。スウェーデンの約4万4000人を13年追った研究でも、65歳未満では平日が短くても週末に長く眠る人は、毎日6〜7時間眠る人と死亡率に差がなかったと報告されています。
一方の実験が示すのは、「寝だめは、毎日しっかり眠ることの代わりにはならない」ということです。
さらに、週末に起きる時刻が大きく遅れると、体内時計がずれる「社会的時差ボケ」が起こります。2012年のドイツなどの研究では、このズレが大きい人ほどBMIが高い傾向も報告されています。
なぜ寝不足で食べすぎてしまうのでしょうか。寝不足のときは、起きている時間が長いぶん食べる機会そのものが増えるうえ、食欲にかかわるホルモンのバランスが変わり、甘いものや高カロリーのものが欲しくなりやすいとも考えられています。
ここで大事なのは、研究の「調べ方」を見ることです。アンケート調査は多くの人の実態をとらえるのが得意ですが、原因と結果を見分けるのは苦手です。逆に、実験は原因を確かめるのが得意ですが、人数が少なく期間も短めです。両方を合わせて読むことで、ようやく全体像が見えてきます。
04まとめ
休日の寝だめは「睡眠の借金返済」としては意味があるかもしれません。でも、借金をくり返す生活そのものが、食欲や代謝を乱してしまうようです。
一番の近道は、地味だけど平日の睡眠を少しでも増やすこと。週末は「返済日」ではなく「休日」にしたいですね。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIs weekend catch-up sleep good or bad for body weight?
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many people sleep late on weekends to make up for short sleep on weekdays. Is this good for body weight? A survey in Korea found that people who slept longer on weekends were a little thinner.
But an experiment in the US found something different. People who slept only five hours on weekdays ate more at night, even after long sleep on the weekend. So, sleeping well every night is the best plan.
73 words ・ CEFR A2
和訳を見る
多くの人は、平日の短い睡眠を埋め合わせるために週末に遅くまで眠ります。これは体重にとって良いことでしょうか?韓国の調査では、週末に長く眠る人は少しやせていることがわかりました。
しかし、アメリカの実験では違う結果が出ました。平日に5時間しか眠らなかった人は、週末に長く眠った後でさえ、夜にたくさん食べたのです。だから、毎晩よく眠ることが一番の方法です。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
週末の寝だめと体重の関係についての2つの研究を紹介しているので B。
Q2. In the US experiment, how long did people sleep on weekdays?
People who slept only five hours on weekdays とあるので D。
Q3. In this passage, "make up for" means ...
make up for は「埋め合わせる、取り戻す」。平日の不足分を週末に取り戻すという意味なので B。
Is weekend catch-up sleep good or bad for body weight? Two studies seem to give opposite answers. In a 2017 survey of 2,156 Korean adults, 43.2 percent slept longer on weekends, by about 1.8 hours on average. Their BMI was slightly lower, 22.8 compared with 23.1.
However, in a 2019 US experiment, 36 young adults stayed in a lab for about two weeks. Those who slept five hours on weekdays but could sleep as long as they liked on weekends still ate more after dinner when the week started again, and their bodies became less sensitive to insulin. The two results do not really conflict. Catching up may be better than nothing, but it is no substitute for enough sleep every night.
122 words ・ CEFR B1
和訳を見る
週末の寝だめは体重にとって良いのでしょうか、悪いのでしょうか?2つの研究は正反対の答えを出しているように見えます。韓国の成人2,156人を対象とした2017年の調査では、43.2%が週末に平均約1.8時間長く眠っていました。彼らのBMIはわずかに低く、23.1に対して22.8でした。
しかし、2019年のアメリカの実験では、36人の若い成人が約2週間研究施設に滞在しました。平日は5時間眠り、週末は好きなだけ眠ってよかった人たちは、それでも週が再び始まると夕食後に多く食べ、体はインスリンが効きにくくなりました。2つの結果は実は矛盾していません。寝だめは何もしないよりはましかもしれませんが、毎晩十分に眠ることの代わりにはならないのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What percentage of the Korean adults slept longer on weekends?
43.2 percent slept longer on weekends とあるので D。22.8と23.1はBMIの値。
Q2. What happened to the weekend catch-up group in the US experiment?
still ate more after dinner when the week started again とあるので C。インスリンは効きにくくなった。
Q3. What does the writer think about catch-up sleep?
最終文 Catching up may be better than nothing, but it is no substitute for enough sleep every night. とあるので B。
Sleeping in on weekends seems to help body weight in one study but not in another. A 2017 cross-sectional survey of 2,156 Korean adults found that the 43.2 percent who slept longer on weekends, by an average of 1.8 hours, had a slightly lower BMI after adjustment for age, sex and average sleep time.
The gap was tiny, 22.8 versus 23.1, and a survey of this kind cannot establish cause and effect. A 2019 randomized trial in the United States took a different approach. It housed 36 healthy young adults in a laboratory for about two weeks. Some were held to five hours on weeknights but allowed unlimited sleep on weekends.
Once the weekdays resumed, they still snacked more after dinner, and their insulin sensitivity dropped. That experiment was small and brief, so its long-term effect on weight is unknown. The two results can be reconciled. Among people who are short of sleep, recovering some of it may be better than never recovering at all. But weekend lie-ins are no substitute for adequate sleep every night.
176 words ・ CEFR B2
和訳を見る
週末に寝だめをすることは、ある研究では体重によい影響があるように見え、別の研究ではそうは見えません。韓国の成人2,156人を対象とした2017年の横断調査では、週末に平均1.8時間長く眠る43.2%の人は、年齢・性別・平均睡眠時間を調整した後、BMIがわずかに低いことがわかりました。
その差は22.8対23.1とごくわずかで、この種の調査では因果関係を立証できません。2019年にアメリカで行われたランダム化試験は、別の方法をとりました。36人の健康な若い成人を約2週間研究施設に滞在させたのです。一部の人は平日の夜は5時間に制限され、週末は無制限に眠ることを許されました。
平日が再開すると、彼らはそれでも夕食後の間食が増え、インスリン感受性も低下しました。この実験は小規模で短期間だったので、体重への長期的な影響はわかっていません。2つの結果は両立させることができます。睡眠が足りない人の中では、一部を取り戻すことは全く取り戻さないよりよいのかもしれません。しかし、週末の寝坊は毎晩の十分な睡眠の代わりにはなりません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main purpose of the passage?
一見矛盾する2つの研究結果を The two results can be reconciled. と両立させて説明しているので A。
Q2. What was observed in the weekend recovery group of the 2019 trial?
Once the weekdays resumed, they still snacked more after dinner とあるので D。
Q3. Which weakness of the survey does the author mention?
The gap was tiny ... and a survey of this kind cannot establish cause and effect とあるので C。B と D は実験側の特徴。
重要単語
- catch-up sleepB2名詞(句)寝だめ(不足分を取り戻す睡眠)Weekend catch-up sleep is common among workers.
catch up on ~「(遅れ・不足)を取り戻す」。catch up on sleep で「寝不足を取り戻す」。 - body mass indexC1名詞(句)BMI(体格指数)Body mass index is calculated from height and weight.
体重(kg)÷身長(m)の2乗で計算。略語 BMI のまま英文でもよく使われる。 - insulin sensitivityC1名詞(句)インスリン感受性(血糖を下げる効きやすさ)Poor sleep can reduce insulin sensitivity.
sensitive(敏感な)の名詞形 sensitivity。sensible(分別のある)との混同に注意。 - cross-sectionalC1形容詞横断的な(ある一時点の)A cross-sectional study cannot show cause and effect.
cross section は「断面」。対になるのは longitudinal(縦断的な=長期追跡の)。 - irregularB2形容詞不規則なAn irregular sleep schedule confuses your body clock.
ir-(否定)+regular。r で始まる語の否定は ir- になる(irresponsible など)。 - contradictoryC1形容詞矛盾したThe two studies gave contradictory results.
contra-(反対)+dict(言う)。contradict「矛盾する、反論する」も頻出。 - substituteB2名詞・動詞代わりのもの/代用するWeekend sleep is no substitute for good nightly sleep.
be no substitute for ~「~の代わりにはならない」。substitute A for B「Bの代わりにAを使う」の語順に注意。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
この話題を TED で聞く
同じテーマの TED・TED-Ed を、
TED HACK で。英語の見どころ・使える表現・学習ミッションつきの日本語ガイドです。(運営:原田英語)
公式・一次情報をチェック
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)mhlw.go.jp
このネタ、誰かに教えたくなった?
休日の寝だめで太る?やせる? 韓国約2000人の調査では寝だめする人のBMIがわずかに低かったのに、米国の実験では週末に寝だめしても夜食と体重増加が止まらなかった。真逆に見えるけど、どっちも大事なヒントらしい。
押すと「マジかリスト」に保存されます
出典・参考文献(4件)タップで表示
- Im HJ et al. (2017) Association Between Weekend Catch-up Sleep and Lower Body Mass: Population-Based Study, Sleepdoi.org
- Depner CM et al. (2019) Ad libitum Weekend Recovery Sleep Fails to Prevent Metabolic Dysregulation during a Repeating Pattern of Insufficient Sleep and Weekend Recovery Sleep, Current Biologydoi.org
- Åkerstedt T et al. (2019) Sleep duration and mortality – Does weekend sleep matter?, Journal of Sleep Researchdoi.org
- Roenneberg T et al. (2012) Social Jetlag and Obesity, Current Biologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










