心理学ビミョー

【検証】MBTI(16タイプ診断)は科学的? 心理学者が首をかしげる3つの理由

【検証】MBTI(16タイプ診断)は科学的? 心理学者が首をかしげる3つの理由

読む前に予想してみよう!

MBTIで出たタイプは、何度受けても必ず同じになる

研究カード(どんな研究?)
対象
一般成人・学生
規模
468人(1989年)ほか多数
研究の種類
質問紙の妥当性研究・信頼性メタ分析・レビュー
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

MBTIは4つの軸で人を16タイプに分ける。軸の点数にはある程度の安定性があるが、「人はきっちり16種類に分かれる」という考え方は研究で支持されていない。

ひとことで言うと16タイプは話のネタには楽しい。でも人をきっちり分けるのはムリ!

もくじ
  1. MBTIはどうやって生まれた?
  2. 首をかしげる理由1:人は「2つの山」に分かれていない
  3. 首をかしげる理由2:境目の人はタイプが入れ替わる
  4. 首をかしげる理由3:「当たってる!」は誰にでも起きる
  5. 結局、MBTIは使っちゃダメなの?
  6. まとめ

「わたしINFPなんだよね」「やっぱりENTJっぽい!」

SNSのプロフィールにも並ぶようになったMBTI(16タイプ診断)。自己紹介の定番になりつつありますよね。

でも、心理学の研究者にこの話をすると、ちょっと困った顔をされることがあります。いったいなぜ? 研究をもとに、どこまでが科学で、どこからが言いすぎなのかを整理してみましょう。

01MBTIはどうやって生まれた?

MBTIは、アメリカのキャサリン・ブリッグスさんと娘のイザベル・マイヤーズさんが、心理学者ユングの「タイプ論」をもとに、1940年代ごろから作り上げた質問紙です。

人を4つの軸で2つずつに分けます。

  • E / I:外向 or 内向
  • S / N:感覚 or 直観
  • T / F:思考 or 感情
  • J / P:判断 or 知覚

2×2×2×2で16タイプ。シンプルで覚えやすいのが人気の理由です。

02首をかしげる理由1:人は「2つの山」に分かれていない

タイプ分けをするなら、本来は「外向の山」と「内向の山」の2つの山に人が分かれているはず。

ところが、実際に点数を集めると、ほとんどの人は真ん中あたりに集まる1つの山になります。身長で「背が高い人」と「低い人」の2種類に分けるようなもので、境目のすぐ両側にいる人は、実はほとんど同じなのです。

逆に言えば、ビッグファイブの5つ目「神経症傾向(不安や落ち込みやすさ)」に当たる軸は、MBTIにはありません。性格の大事な一面が抜けているわけです(ビッグファイブについてはこちらの記事)。

03首をかしげる理由2:境目の人はタイプが入れ替わる

軸の点数そのものは、何週間か空けて測り直しても、ある程度は安定しているという研究が多くあります。

問題は、その点数を真ん中で無理やり2つに切ること。真ん中付近にいる人は、その日の気分でちょっと回答が変わるだけで、IがEに、TがFにひっくり返ります。4つの軸のどれか1つでも入れ替われば、もう別のタイプです。

1993年のレビュー(Pittenger)では、数週間あけて受け直しただけで、かなりの割合(研究によっては約半数)の人が別のタイプに判定されたという報告が紹介されています。

多くの人は「真ん中」にいる。だから少しの差でタイプが入れ替わる
多くの人は「真ん中」にいる。だから少しの差でタイプが入れ替わる

04首をかしげる理由3:「当たってる!」は誰にでも起きる

診断結果を読んで「めっちゃ当たってる!」と感じるのは、診断が正確だからとは限りません。

1949年、心理学者フォアさんは学生たちに性格テストを受けさせ、一人ひとりに「あなた専用の分析」を渡しました。学生たちは5点満点で平均4点以上の「当たっている」評価をつけましたが、実は全員に同じ文章が配られていたのです。

誰にでも当てはまりそうな文章を「自分のことだ」と感じてしまうこの現象は、バーナム効果と呼ばれます(くわしくはバーナム効果の記事や血液型性格診断の記事へ)。

05結局、MBTIは使っちゃダメなの?

そんなことはありません。「自分はひとりの時間で回復するタイプかも」と考えるきっかけや、友だちとの会話のネタとしては、十分楽しい道具です。

ただし、就職の選考や、人を判断する材料に使うのはNG。MBTIの提供元自身も、採用の合否などに使うべきではないという立場をとっています。

06まとめ

MBTIは、軸の点数としてはそれなりに意味があるけれど、「人は16種類にきっちり分かれる」というのは言いすぎ。判定は「ビミョー」です。

性格は箱ではなくグラデーション。診断は「自分を知るきっかけ」くらいの距離感で楽しむのがちょうどいいのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe MBTI sorts people into 16 personality types using four scales, such as extraversion versus introversion. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The MBTI sorts people into 16 personality types using four scales, such as extraversion versus introversion. It was developed by Katharine Briggs and her daughter Isabel Myers from around the 1940s, based on Carl Jung's ideas. Scores on each scale are fairly stable over time.

However, most people score near the middle, not at the two ends. When the scores are cut in half, a small change in answers can flip a person into a different type. A 1993 review reported that in some studies, about half of the people received a different type after retaking the test a few weeks later. The MBTI can be a fun starting point for thinking about yourself, but it should not be used for hiring decisions.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

MBTIは、外向性対内向性のような4つの尺度を使って、人を16の性格タイプに分類します。これはキャサリン・ブリッグスと娘のイザベル・マイヤーズが、カール・ユングの考えをもとに1940年代ごろから作り上げたものです。各尺度の点数は、時間がたってもそこそこ安定しています。

しかし、ほとんどの人は両端ではなく真ん中付近の点数になります。点数を半分に切ると、回答が少し変わるだけで、別のタイプにひっくり返ることがあるのです。1993年のレビューは、一部の研究では数週間後に受け直すと約半数の人が別のタイプと判定されたと報告しました。MBTIは自分について考える楽しいきっかけにはなりますが、採用の判断に使うべきではありません。

4択リーディングクイズ

Q1. Who developed the MBTI?

Q2. What did the 1993 review report?

Q3. What is the writer's opinion about the MBTI?

重要単語

  • personality typeB1
    名詞(句)性格タイプSome quizzes claim to reveal your personality type. personality trait(性格特性)との違いがこの記事の核心。type は「箱」、trait は「目盛り」のイメージ。
  • reliabilityB2
    名詞信頼性(測るたびに同じ結果が出る度合い)A good test needs high reliability. 形容詞 reliable、動詞 rely on。研究用語では validity(妥当性)とセットで出る。
  • validityC1
    名詞妥当性(測りたいものを測れている度合い)Scientists questioned the validity of the survey. 形容詞 valid(有効な・妥当な)。a valid passport=有効なパスポート。反対は invalid。
  • categorizeB2
    動詞分類するIt is hard to categorize people into neat boxes. category+-ize。categorize A as B(AをBとして分類する)。classify とほぼ同義。
  • spectrumC1
    名詞連続した幅、範囲Personality traits exist on a spectrum. もとは光の「スペクトル」。複数形 spectra。a wide spectrum of ~=幅広い~。
  • skepticismC1
    名詞懐疑、疑いThe claim was met with skepticism. 形容詞 skeptical(be skeptical of / about ~)。英国つづりは scepticism。
  • discreteC1
    形容詞別々の、離散的なThe data fall into discrete categories. 同音の discreet(慎重な・控えめな)と混同注意。continuous(連続的な)の反対語。

動画でもっと知る

大人気のMBTI(16タイプ診断)。心理学の研究では、4つの軸の点数はそこそこ安定している一方、「人は16種類にきっちり分かれる」という前提は支持されていないらしい。境目の人は受けるたびにタイプが変わることも。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. McCrae & Costa (1989) Reinterpreting the Myers-Briggs Type Indicator from the perspective of the five-factor model of personality, Journal of Personalitydoi.org
  2. Pittenger (1993) The utility of the Myers-Briggs Type Indicator, Review of Educational Researchdoi.org
  3. Capraro & Capraro (2002) Myers-Briggs Type Indicator score reliability across studies: A meta-analytic reliability generalization study, Educational and Psychological Measurementdoi.org
  4. Stein & Swan (2019) Evaluating the validity of Myers-Briggs Type Indicator theory: A teaching tool and window into intuitive psychology, Social and Personality Psychology Compassdoi.org
  5. Forer (1949) The fallacy of personal validation: A classroom demonstration of gullibility, Journal of Abnormal and Social Psychologydoi.org