心理学ホント

人は1日約52分「うわさ話」をしていた。でもその中身、大半は"悪口じゃなかった"

人は1日約52分「うわさ話」をしていた。でもその中身、大半は"悪口じゃなかった"

読む前に予想してみよう!

うわさ話(ゴシップ)の大部分は、誰かの悪口である

研究カード(どんな研究?)
対象
米国の成人・大学生
規模
467人
研究の種類
日常の音声サンプリング(自然観察)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

467人の日常の音声を録音して調べたら、人は1日に推定約52分、その場にいない人の話をしていた。しかも大半は悪口ではなく、中立的な話だった。

ひとことで言うとうわさ話=悪口じゃない!ほとんどはふつうの情報交換だった。

もくじ
  1. 日常の音を"抜き取り録音"
  2. よくあるイメージを検証してみると
  3. ゴシップは「社会の接着剤」?
  4. まとめ

「ねえ聞いた? 〇〇ちゃん、引っ越すんだって」

こんな「その場にいない人の話」、つまりゴシップ(うわさ話)。なんとなく「よくないこと」「意地悪な人がするもの」というイメージがありませんか?

でも、実際に人がどれくらいゴシップをしていて、その中身が何なのかを、こっそり録音して調べた研究があります。結果は、イメージとはかなり違っていました。

01日常の音を"抜き取り録音"

52分というと、かなり長く感じるかもしれません。でもその中身は、「〇〇さん、今度引っ越すらしいよ」「△△くん、最近バイト始めたんだって」といった、ただの情報交換がほとんどだったのです。

02よくあるイメージを検証してみると

この研究では、「ゴシップをよくする人」についてのイメージも確かめられました。

  • 外向的な人ほど、ゴシップの量は多い傾向があった
  • 女性のほうが多かったのは中立的なゴシップで、悪口が多いわけではなかった
  • 若い人のほうが、ネガティブなゴシップがやや多い傾向
  • 有名人のゴシップは、身近な人の話よりずっと少なかった

「ゴシップ好き=意地悪」「女性のほうが悪口を言う」というよくあるイメージは、データでは支持されなかったのです。

集めてみると、うわさ話のほとんどは"ふつうの話"だった
集めてみると、うわさ話のほとんどは"ふつうの話"だった

03ゴシップは「社会の接着剤」?

なぜ人は、こんなにも他人の話をするのでしょうか。

イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは、ゴシップの起源をサルの毛づくろいにたとえました。サルは毛づくろいで仲間とのきずなを深めますが、人間の群れは大きすぎて、一人ひとりを毛づくろいするのは無理。そこで、言葉で「誰が何をしているか」を伝え合うことが、きずなを保つ役割を果たすようになった——という考え方です。ダンバーは、人の会話の約3分の2が人づきあいに関する話題だと述べています。

さらに、ゴシップにはずるい人から仲間を守る働きもあるようです。アメリカの実験では、ある人がずるい行動をするのを目撃した参加者の多くが、次にその人と関わる人に警告しようとしました。そして、こうした「警告のゴシップ」があると分かっている状況では、人はずるい行動をしにくくなりました。

04まとめ

人は1日に約52分も、その場にいない人の話をしていました。でも、その大半は悪口ではなく、ふつうの情報交換。ゴシップは、人と人とをつなぎ、ときには仲間を守る役割も持っているようです。

大切なのは、量よりも中身。今日のうわさ話、誰かを笑顔にする話にしてみませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerGossip, or talking about people who are not present, is often called a bad habit. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Gossip, or talking about people who are not present, is often called a bad habit. Researchers at the University of California, Riverside wanted to know what really happens. They analyzed data from 467 people who wore small devices for two to five days.

The devices automatically recorded short clips of sound throughout the day. The team then sorted the gossip into positive, negative, and neutral types. They estimated that people gossip for about 52 minutes a day.

But most of it was neutral, just sharing information. More outgoing people gossiped more. Women also gossiped more, but only in a neutral way, and their gossip was not more negative. And talk about celebrities was much less common than talk about people they knew.

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

うわさ話、つまりその場にいない人について話すことは、よく悪い習慣だと言われます。カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者たちは、実際に何が起きているのかを知りたいと考えました。彼らは、小さな装置を2〜5日間身につけた467人のデータを分析しました。

装置は1日を通して、音を自動的に短く録音しました。チームはそれから、うわさ話をポジティブ、ネガティブ、中立の種類に分けました。彼らの推定では、人は1日に約52分うわさ話をしています。

しかし、そのほとんどは中立的で、ただ情報を共有しているだけでした。外向的な人ほどうわさ話が多くなりました。女性もうわさ話が多かったのですが、それは中立的なものだけで、否定的なうわさ話が多いわけではありませんでした。そして、有名人についての話は、知り合いについての話よりずっと少なかったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. How did the researchers collect their data?

Q2. Which statement is true according to the passage?

Q3. What can we infer about the common image of gossip?

重要単語

  • gossipB1
    名詞・動詞うわさ話(をする)They shared some gossip about the new teacher. 数えられない名詞として a piece of gossip とも言う。gossip about ~「~のうわさをする」。
  • neutralB2
    形容詞中立的なHer comment was neutral, neither good nor bad. 車のギアの「ニュートラル」と同じ。neither A nor B「AでもBでもない」と相性がいい。
  • reputationB2
    名詞評判He has a good reputation in his class. have a reputation for ~「~で評判だ」。ゴシップ研究では「評判情報」が重要キーワード。
  • cooperationB2
    名詞協力Cooperation helps teams succeed. co(共に)+operate(働く)。in cooperation with ~「~と協力して」。
  • extravertC1
    名詞外向的な人Extraverts often enjoy big parties. extrovert ともつづる。反対は introvert(内向的な人)。
  • extrapolateC1
    動詞(既知のデータから)推定する、外挿するThey extrapolated the daily total from short recordings. extra(外へ)+polate。手元のデータの外側まで推し広げるイメージ。
467人に小型レコーダーをつけて日常会話を調べたら、人はその場にいない人の話を1日推定約52分もしていたらしい。でも中身の大半は悪口でも褒め言葉でもない"ふつうの話"。ゴシップ=意地悪は誤解だった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Robbins & Karan (2020) Who gossips and how in everyday life?, Social Psychological and Personality Sciencedoi.org
  2. Dunbar (2004) Gossip in evolutionary perspective, Review of General Psychologydoi.org
  3. Feinberg et al. (2012) The virtues of gossip: Reputational information sharing as prosocial behavior, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org