初対面の会話のあと、相手はあなたを"思っているより"好きだった。「好かれ度ギャップ」の研究

読む前に予想してみよう!
初対面の会話のあと、人は相手からの好感度を正確に予想できる
多くの人は、相手からどれくらい好かれているかを実際より低く見積もっていた。
- 対象
- 米国・英国の大学生と一般成人
- 規模
- 数百人規模の実験・追跡調査を複数
- 研究の種類
- 実験+縦断調査
- 確かさ
- ★★★★☆
初対面の人と話したあと、多くの人は「相手は自分をあまり好きじゃなかった」と思いがち。でも実際は、相手は予想以上にあなたを好きだった。その差は数か月続くことも。
ひとことで言うと「うまく話せなかった…」と思っても、相手はけっこう楽しんでる!
初めて話す人との会話が終わったあと、頭の中で反省会が始まること、ありませんか?
「あそこで変なこと言っちゃった」「話がつまらなかったかも」「たぶん、もう話しかけてくれないだろうな」——。
もしそんな経験があるなら、朗報です。研究によると、あなたの反省会は、たいてい"厳しすぎる"のです。
01会話のあと、相手の気持ちを予想してもらった
研究チームは、この現象を実験室の外でも確かめました。
- 大学の寮で、同じスイート(共有の居住区画)に住むことになった1年生:このギャップは数か月にわたって続いた
- 一般の人が参加する自己啓発ワークショップの参加者同士でも、同じギャップが見られた
- 会話の長さを短くしても長くしても、ギャップは消えなかった
つまり、「相手は思ったよりあなたを好き」は、特別な状況だけでなく、かなり広く起きていることなのです。
02なぜ自分を低く見積もるのか
研究者たちは、理由のひとつとして「自分の失敗ばかり覚えている」ことを挙げています。
会話のあいだ、私たちは「次に何を言おう」「今の発言、大丈夫だったかな」と、自分のことで頭がいっぱいです。だから、相手が笑っていたことや楽しそうにうなずいていたことを見逃し、自分の小さな失敗ばかりを記憶に残してしまうのです。
一方、相手のほうは、あなたの失敗にそれほど注目していません。相手もまた、自分のことで頭がいっぱいだからです。
もうひとつの理由は、相手の本音が見えにくいこと。会話中に「あなたと話すの、すごく楽しい!」とはっきり言ってくれる人は多くありません。好意のサインは、笑顔やうなずきといったさりげない形で出ることが多く、緊張していると見落としやすいのです。
おもしろいことに、私たちは「相手の会話」はそれなりに好意的に評価しています。厳しくなるのは、自分自身に対してだけ。他人には優しく、自分には辛口——それが好かれ度ギャップの正体なのかもしれません。

03チームでも、電車の中でも
その後の研究では、この好かれ度ギャップがグループやチームの中でも起きることが報告されました。チームのメンバーは、仲間からどれくらい好かれているかを低く見積もりやすかったのです。
関連する研究もあります。シカゴの通勤電車やバスで、「隣の知らない人に話しかけてください」とお願いした実験では、多くの人が「ひとりで静かにしているほうが快適」と予想していました。ところが実際には、話しかけた人のほうが通勤時間をより楽しく感じていたのです。「相手は話したくないだろう」という思い込みが、楽しい会話のチャンスを減らしていたのかもしれません。
04まとめ
初対面の会話のあと、あなたは思っている以上に好かれています。これは、たくさんの実験で確かめられた「好かれ度ギャップ」です。
次に「うまく話せなかった…」と落ち込みそうになったら、思い出してください。相手もたぶん、同じように反省会をしています。だからこそ、勇気を出してもう一度話しかけてみる価値があるのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people review their conversations afterwards and worry that they said something boring or strange.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
After you talk with someone new, do you worry that they did not like you? Many people feel this way. In experiments, strangers talked for a few minutes.
Then they guessed how much the other person liked them. Most people guessed too low. The other person actually liked them more and enjoyed the talk more. Scientists call this the "liking gap." So next time, don't be too hard on yourself.
70 words ・ CEFR A2
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新しい人と話したあと、相手に好かれなかったのではと心配になりますか。多くの人がそう感じます。実験では、知らない人同士が数分間話しました。
そして、相手が自分をどのくらい好きかを予想しました。ほとんどの人は低く予想しすぎていました。相手は実際にはもっと彼らを好きで、会話をもっと楽しんでいたのです。科学者はこれを「好かれ度ギャップ」と呼びます。だから次からは、自分に厳しくしすぎないでください。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
相手からの好感度を実際より低く見積もる「好かれ度ギャップ」がテーマなので C。
Q2. How long did the strangers talk in the experiments?
strangers talked for a few minutes とあるので D。
Q3. In this passage, "guessed too low" means people ...
直後に The other person actually liked them more とあり、実際より低く見積もったという意味なので B。
Many people review their conversations afterwards and worry that they said something boring or strange. A study published in 2018 shows that this self-criticism is usually too harsh. Pairs of strangers chatted for a few minutes and then rated how much they liked their partner and how much they thought their partner liked them.
Most people underestimated how much they were liked and how much their partner had enjoyed the conversation. The researchers called this the "liking gap." They found the same gap among first-year students who became dorm mates, where it lasted for several months. One reason may be that people focus on their own mistakes and miss positive signals such as smiles and nods from the other person.
120 words ・ CEFR B1
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多くの人は会話のあとでそれを振り返り、退屈なことや変なことを言ったのではないかと心配します。2018年に発表された研究は、こうした自己批判はたいてい厳しすぎることを示しています。知らない人同士のペアが数分間おしゃべりし、そのあと自分が相手をどれだけ好きか、そして相手が自分をどれだけ好きだと思うかを評価しました。
ほとんどの人が、自分がどれだけ好かれているか、そして相手がどれだけ会話を楽しんだかを過小評価していました。研究者たちはこれを「好かれ度ギャップ」と呼びました。同じ寮で暮らすことになった1年生の間でも同じギャップが見られ、それは数か月続きました。理由の一つは、人が自分の失敗に注目し、相手の笑顔やうなずきのような好意的なサインを見逃すことかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 2018 study find?
Most people underestimated how much they were liked とあるので A。
Q2. Where else did the researchers find the liking gap?
among first-year students who became dorm mates とあるので C。数か月続いた点もポイント。
Q3. According to the passage, why might the liking gap happen?
最終文で、自分の失敗に注目し笑顔やうなずきを見逃すことが理由として挙げられているので D。
After meeting someone new, many people replay the conversation in their heads and conclude that they made a poor impression. Research published in 2018 suggests that this post-conversation review is systematically too negative. In laboratory studies, pairs of strangers talked briefly and then reported how much they liked their partner and how much they believed their partner liked them.
Participants consistently underestimated both how much they were liked and how much their partner had enjoyed the interaction, a bias the researchers labeled the "liking gap." The gap also appeared in a longitudinal study of first-year university dorm mates, where it persisted for several months, and among adults attending personal development workshops, and it did not disappear when conversations were made shorter or longer.
The researchers proposed that people are preoccupied with their own performance, so they remember their own awkward moments while overlooking subtle signs of approval, such as smiles and nods. A later study extended the effect to groups and teams. Even so, whether the gap differs across cultures or among people with high social anxiety remains to be tested. The practical message is encouraging: others probably enjoyed talking with you more than you think.
196 words ・ CEFR B2
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新しい人と出会ったあと、多くの人は頭の中で会話を再生し、悪い印象を与えてしまったと結論づけます。2018年に発表された研究は、こうした会話後の振り返りが、一貫して否定的すぎることを示唆しています。実験室での研究では、知らない人同士のペアが短く話し、そのあと自分が相手をどれだけ好きか、そして相手が自分をどれだけ好きだと思うかを報告しました。参加者は、自分がどれだけ好かれているか、相手がどれだけそのやりとりを楽しんだかの両方を一貫して過小評価しており、研究者たちはこの偏りを「好かれ度ギャップ」と名づけました。
このギャップは、同じ寮で暮らす大学1年生を追跡した研究でも見られ、そこでは数か月続き、さらに自己啓発ワークショップに参加した大人たちの間でも見られました。また、会話を短くしても長くしても消えませんでした。
研究者たちは、人は自分のふるまいのことで頭がいっぱいなので、笑顔やうなずきのようなさりげない好意のサインを見落とす一方、自分のぎこちない瞬間ばかり覚えているのだと提案しました。後の研究では、この効果がグループやチームにも広げられました。それでも、このギャップが文化によって、あるいは社交不安の強い人の間で異なるかどうかは、これらの研究では検証されていません。実践的なメッセージは心強いものです。相手はおそらく、あなたが思う以上にあなたとの会話を楽しんでいたのです。
4択リーディングクイズ
Q1. Which finding shows that the liking gap is not limited to short lab chats?
a longitudinal study of first-year university dorm mates, where it persisted for several months とあり、実験室の外でも長く続いたので B。
Q2. What was not tested in these studies, according to the passage?
whether the gap differs across cultures or among people with high social anxiety was not tested in these studies とあるので C。
Q3. Why do people overlook signs of approval, according to the researchers?
people are preoccupied with their own performance とあり、自分のことで頭がいっぱいで相手のサインを見落とすので D。
重要単語
- underestimateB2動詞過小評価するDon't underestimate your own abilities.
under(下に)+estimate(見積もる)。反対は overestimate。 - gapB1名詞差、すき間There is a gap between what we think and what is true.
a gap between A and B「AとBの差」。generation gap「世代間のずれ」。 - conversationA2名詞会話We had a long conversation about music.
have a conversation with ~「~と会話する」。動詞 converse は硬い語。 - strangerB1名詞見知らぬ人She smiled at a stranger on the bus.
I'm a stranger here.「このあたりは不案内です」も道案内の定番表現。 - impressionB1名詞印象He made a good impression on his teacher.
make an impression on ~「~に印象を与える」。動詞 impress。 - preoccupiedC1形容詞(ほかのことで)頭がいっぱいのShe was preoccupied with her own worries.
pre(前もって)+occupied(占められた)。be preoccupied with ~ の形で覚える。
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初対面の人と話したあと「たぶん好かれてない」と思うあれ。実験で確かめたら、相手は本人が思うよりずっとあなたを好きで、会話を楽しんでいたらしい。この"好かれ度ギャップ"、同じ寮で暮らす新入生同士だと数か月も続いた。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Boothby et al. (2018) The liking gap in conversations: Do people like us more than we think?, Psychological Sciencedoi.org
- Mastroianni et al. (2021) The liking gap in groups and teams, Organizational Behavior and Human Decision Processesdoi.org
- Epley & Schroeder (2014) Mistakenly seeking solitude, Journal of Experimental Psychology: Generaldoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













