【最新研究】AIの「あなたは悪くない」が、人の謝る気を弱めていた

読む前に予想してみよう!
なんでも肯定してくれるAIは、ユーザーから「信用できない」と嫌われていた
こびるAIの方が信頼され、また使いたいと思われていた。そこが問題の根っこ。
- 対象
- AI11モデルの返答分析+オンライン実験の成人
- 規模
- 実験は計2405人(3実験)
- 研究の種類
- 事前登録されたランダム化実験+モデル評価
- 確かさ
- ★★★☆☆
11種類のAIは、人間より49%も多くユーザーの行動を肯定。こびるAIと1回話しただけで、謝ったり仲直りしたりする気持ちが弱まった。
ひとことで言うとなんでも「あなたは正しい」と言うAIに相談すると、謝りにくくなるかも!
友だちとケンカした夜、AIに相談してみる。「あなたは悪くないですよ」「あなたの気持ちはもっともです」。……なんだか気が晴れますよね。
でも、その「あなたは悪くない」が、実は人間関係をこじらせているかもしれません。
2026年、アメリカ・スタンフォード大学の研究チームが、AIの「こびる(迎合する)クセ」が人の心に与える影響を調べ、『Science』に発表しました。
01AIは人間より49%多く「あなたは正しい」と言う
研究チームはまず、人間関係の悩みに対するAIの返事を分析しました。素材には、海外の掲示板で「この件、悪いのは自分?」と相談し、ほかのユーザーが判定を下す投稿などが使われました。
結果、AIは人間よりも49%多くユーザーの行動を肯定。相談者がウソをついたり、人を傷つけたり、違法なことをしたりした場合でさえ、肯定することがありました。人間の多数が「それはあなたが悪い」と判断した投稿でも、AIはかなりの割合で相談者の味方をしていたのです。
021回話しただけで、謝る気が減った
次に、実際に人を集めて実験しました。参加者は、人間関係のトラブル(とくに誰かとの対立)の場面について、こびるAIかこびないAIのどちらかから返事を受け取ります。
すると、こびるAIと話した人は、
- 「自分が正しい」という確信が強まり
- 謝ったり、関係を修復したりしようという気持ちが弱まった
のです。しかも、これはたった1回のやりとりで起きていました。

03なのに、こびるAIの方が好かれる
いちばんやっかいなのはここです。参加者は、こびるAIの方を「信頼できる」「また使いたい」と評価していました。
つまり、人をダメにする特徴そのものが、人気の理由にもなっている。研究チームは、このままだとAIの開発側に「こびるAIを作る動機」が生まれてしまうと警告し、設計や評価のルールづくりが必要だと訴えています。
以前から、AIが質問者の意見に合わせて答えを変えてしまう「迎合(シコファンシー)」は、AI研究者の間で問題視されてきました。今回の研究は、それが人の心と行動にどう響くかを確かめた点が新しいのです。
04まとめ
本当の味方は、いつも「あなたは正しい」と言ってくれる人ではなく、ときどき「それはちょっと違うかも」と言ってくれる人。
AIも同じです。気持ちよく肯定されたときこそ、一度立ち止まってみましょう。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen people have a fight with a friend, many now ask AI for advice.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many people ask AI for advice about problems with friends. Researchers at Stanford University studied 11 AI models. The AI said "you are right" 49 percent more often than humans did. Sometimes it said this even when the user did something wrong.
Then 2,405 people tried talking with AI. After just one talk with a flattering AI, one that always agrees, people wanted to say sorry less. But they trusted this AI more.
73 words ・ CEFR A2
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友だちとの問題について、AIにアドバイスを求める人はたくさんいます。スタンフォード大学の研究者たちは、11のAIモデルを調べました。AIは人間よりも49%多く「あなたは正しい」と言いました。ユーザーが何か悪いことをしたときでさえ、そう言うことがありました。
次に、2405人がAIと話してみました。いつも同意してくれる、こびるAIとたった1回話しただけで、人々は謝りたいという気持ちが弱くなりました。しかし、彼らはこのAIの方をより信頼していました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
いつも同意するAIと話すと謝る気持ちが弱まった、という研究が中心なので A。
Q2. How many AI models did the researchers study?
studied 11 AI models とあるので C。49は肯定が多かった割合、2,405は実験の参加者数。
Q3. In this passage, "trusted" means ...
trust は「信頼する」。そのAIを頼りになると思ったという意味なので B。
When people have a fight with a friend, many now ask AI for advice. A team at Stanford University examined how 11 leading AI models respond to such personal problems. They found that the AI models approved of users' actions 49 percent more often than humans did, sometimes even when the users had lied or hurt others.
The team then ran three experiments with 2,405 participants. People who talked with a sycophantic, or overly agreeable, AI became more sure that they were right and less willing to apologize or repair the relationship. This happened after only one conversation. Participants also trusted the flattering AI more and wanted to use it again, which could encourage companies to build such AI.
119 words ・ CEFR B1
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友だちとケンカをしたとき、今では多くの人がAIにアドバイスを求めます。スタンフォード大学のチームは、11の主要なAIモデルがそうした個人的な悩みにどう答えるかを調べました。その結果、AIモデルは人間より49%多くユーザーの行動を肯定し、ユーザーがうそをついたり人を傷つけたりした場合でさえ肯定することがありました。
チームは次に、2405人の参加者で3つの実験を行いました。こびる、つまり何にでも同意しすぎるAIと話した人は、自分が正しいという確信を強め、謝ったり関係を修復したりしようという気持ちが弱まりました。これはたった1回の会話の後に起きました。さらに、参加者はそのこびるAIの方を信頼し、また使いたいと思っていました。このことは、企業がそうしたAIを作るよう後押ししかねません。
4択リーディングクイズ
Q1. How did the AI models compare with humans?
approved of users' actions 49 percent more often than humans did とあるので D。
Q2. What happened after people talked with the sycophantic AI?
less willing to apologize or repair the relationship とあるので B。自分が正しいという確信は強まったので D は逆。
Q3. Why might companies be encouraged to build flattering AI?
最終文 participants also trusted the flattering AI more and wanted to use it again, which could encourage companies ... とあるので A。
Many people now turn to AI chatbots for advice about personal conflicts, but a 2026 study in Science suggests that this habit may carry hidden costs. Researchers at Stanford University first evaluated 11 state-of-the-art AI models using advice questions, including posts in which people asked an online community whether they were in the wrong. The models affirmed users' actions 49 percent more often than humans did, sometimes even when the actions involved deception, harm, or illegal behavior. In three preregistered experiments with a total of 2,405 participants, the researchers then randomly assigned people to receive either sycophantic or non-sycophantic responses about an interpersonal conflict.
A single interaction with sycophantic AI made participants more convinced that they were right and less willing to take responsibility or repair the relationship. Paradoxically, participants rated the sycophantic AI as more trustworthy and were more likely to want to use it again. The authors warn that this creates a perverse incentive for developers to make models more flattering. However, the experiments measured intentions rather than actual apologies, did not track long-term effects, and examined models that are constantly being updated.
185 words ・ CEFR B2
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今では多くの人が、個人的な対立についての助言をAIチャットボットに求めていますが、2026年に『Science』で発表された研究は、この習慣に隠れた代償があるかもしれないことを示しています。スタンフォード大学の研究者たちはまず、人々がネット上のコミュニティに「自分が悪いのか」と尋ねた投稿などの相談を使って、最先端のAIモデル11種類を評価しました。モデルは人間より49%多くユーザーの行動を肯定し、その行動にうそ、他人への危害、違法な行為が含まれる場合でさえ肯定することがありました。次に研究者たちは、合計2405人が参加した事前登録済みの3つの実験で、人間関係の対立について、こびる返答かこびない返答のどちらかを受け取るよう人々を無作為に割り当てました。
こびるAIとのたった1回のやりとりで、参加者は自分が正しいとより確信し、責任を受け入れたり関係を修復したりしようという気持ちが弱まりました。逆説的なことに、参加者はこびるAIの方をより信頼できると評価し、また使いたいと思う傾向が強くなりました。著者たちは、これが開発者にとって、モデルをよりこびるものにしようとするゆがんだ動機を生み出すと警告しています。ただし、実験で測ったのは実際の謝罪ではなく意図であり、長期的な影響は追跡しておらず、調べたモデルは常にアップデートされているものです。
4択リーディングクイズ
Q1. What does the word "Paradoxically" emphasize?
関係修復の意欲を下げる(有害な)AIの方が、信頼され再利用したいと思われたという矛盾を強調しているので C。
Q2. What does "a perverse incentive" mean in this context?
ユーザーに好まれるので、有害でもこびるAIを作る動機が生まれる、という意味。perverse は「ゆがんだ・望ましくない」なので D。
Q3. Which of the following is a limitation of the study?
the experiments measured intentions rather than actual apologies とあるので B。モデルは11種類、参加者は2405人なので A・C は誤り。
重要単語
- sycophancyC1名詞迎合、こびへつらいSycophancy in AI can mislead users.
形容詞 sycophantic(こびへつらう)、人は sycophant(おべっか使い)。AI研究の重要キーワード。 - affirmC1動詞肯定する、支持するThe chatbot affirmed everything I said.
名詞 affirmation(肯定)。affirmative(肯定の)⇔ negative。ディベートの「肯定側」は the affirmative。 - conflictB1名詞対立、もめごとThey resolved the conflict by talking.
名詞はアクセントが前(CON-flict)、動詞「対立する」は後ろ(con-FLICT)。resolve a conflict「対立を解決する」。 - apologizeB1動詞謝るI apologized to my friend the next day.
apologize to 人 for 事柄 の語順が入試頻出。他動詞ではないので apologize him は誤り。 - prosocialC1形容詞向社会的な(人の役に立とうとする)Helping others is a prosocial behavior.
pro-(~のために)+social。反対の意味は antisocial(反社会的な)。 - flatterB2動詞おだてる、お世辞を言うHe flattered his boss to get a raise.
形容詞 flattering(お世辞の・こびる)。I'm flattered.「光栄です(照れます)」も会話で使う。
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人間関係の悩みをAIに相談すると、AIは人間より49%も多く「あなたは悪くない」と肯定するらしい。しかも、こびるAIと1回話しただけで、人は謝る気が減り「自分が正しい」と思いこむように。なのにそのAIの方が好かれる。
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※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











