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ポトスはなぜ枯れにくい? じつは野生でも花を咲かせない“ジャングルの登山家”だった

ポトスはなぜ枯れにくい? じつは野生でも花を咲かせない“ジャングルの登山家”だった

読む前に予想してみよう!

ポトスは、ふつうに育てていても数年に一度は花を咲かせる

研究カード(どんな研究?)
対象
ポトス(Epipremnum aureum)ほか室内植物
規模
遺伝子解析と室内測定
研究の種類
遺伝子発現解析+ホルモン処理実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ポトスは暗さや乾燥に強く、茎を切ってもすぐ根を出すタフな植物。しかも野生でも栽培でも花を咲かせない。その理由は植物ホルモン(ジベレリン)の不足とみられる。

ひとことで言うとポトスは切っても根が出る“ふっかつ名人”。でも花はさかせない!

もくじ
  1. 本当の姿は「木によじ登るつる植物」
  2. 花を咲かせないナゾを解いた研究
  3. 「空気清浄」より「湿度」
  4. まとめ

日当たりの悪いオフィスの棚、トイレの窓辺、水を入れたコップ。ポトスはどこでもしぶとく育ちます。「植物を枯らしてばかりの人でも、ポトスだけは生きている」なんて話もよく聞きます。

このタフさの秘密は、ポトスのふるさとでの暮らし方にあると考えられます。そしてもう一つ、ポトスには意外な“欠点”があります。花をほとんど咲かせないのです。

01本当の姿は「木によじ登るつる植物」

ポトスはサトイモ科のつる植物で、南太平洋の島が原産とされています。熱帯の森では、地面をはい、木に出会うと茎から気根を出してよじ登ります。

おもしろいのは、登るにつれて姿が変わること。鉢で見る手のひらサイズの葉は、じつは子どもの姿。木を高く登った大人の株では、葉がずっと大きくなり、切れこみが入ることもあります。

そんな暮らしの中で、ポトスは次のような力を身につけました。

  • 暗さに強い:うす暗い森の地面から出発するので、少ない光でも生きていける
  • 茎がちぎれても平気:茎の節から根を出せるので、折れた切れはしがそのまま新しい株になる
  • つるで広がる:1本の茎がどんどん伸びて、陣地を広げる

室内での「切って水にさせば根が出る」は、まさにこの能力のおかげです。

鉢の中のポトスは“子どもの姿”。木を登ると葉が大きく変わる
鉢の中のポトスは“子どもの姿”。木を登ると葉が大きく変わる

02花を咲かせないナゾを解いた研究

ポトスの花を見たことがある人は、ほとんどいないでしょう。それもそのはず。ポトスは野生でも栽培でも、ほぼ花を咲かせない植物なのです。

花を咲かせないかわりに、ポトスは茎のちぎれはしで増える生き方を得意にしてきたと考えられます。園芸店に並ぶポトスの多くは、挿し木で増やされた“クローン”です。

03「空気清浄」より「湿度」

ポトスは、NASAの古い実験で有名になった「空気をきれいにする植物」の代表でもあります。でも、普通の部屋で換気と同じくらい空気をきれいにするには、ものすごい数の鉢が必要だという再分析(Cummings & Waring、2019年)があります。

いっぽうで、2025年の研究(Bergerら)では、比べた室内植物5種の中でポトスの蒸散量がもっとも多いという結果でした。部屋の湿度に少しだけ貢献する“よく水を飲む植物”なのです。

04まとめ

ポトスが枯れにくいのは、暗い森の地面から木を登り、ちぎれても根を出して生きのびるという、ジャングル育ちのたくましさに由来すると考えられます。

花は咲かせないけれど、切れはし1本から何度でもよみがえる。そう思うと、机の上のポトスが、ちょっと頼もしい相棒に見えてきませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPothos is famous as a houseplant that almost anyone can keep alive. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Pothos is famous as a houseplant that almost anyone can keep alive. Its toughness comes from the way it lives in tropical forests. It starts on the dark forest floor, so it can survive with little light. When it finds a tree, it uses aerial roots to climb up, and its leaves become much larger.

Because new roots can grow from the joints of its stem, a broken piece can become a new plant. Strangely, pothos almost never flowers, either in the wild or in pots. In 2016, researchers found that a gene needed to make the active form of a hormone called gibberellin was not working. When they gave the plants this hormone, the plants flowered.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ポトスは、ほとんど誰でも枯らさずに育てられる観葉植物として有名です。そのたくましさは、熱帯の森での暮らし方から来ています。ポトスは暗い森の地面から生活を始めるので、少ない光でも生き延びられます。木を見つけると気根を使ってよじ登り、葉はずっと大きくなります。

茎の節から新しい根が出るので、ちぎれた切れはしが新しい株になることができます。不思議なことに、ポトスは野生でも鉢植えでも、ほとんど花を咲かせません。2016年、研究者たちは、ジベレリンというホルモンの活性型を作るのに必要な遺伝子が働いていないことを突き止めました。このホルモンを与えると、ポトスは花を咲かせました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why can pothos survive with little light?

Q2. What happened when researchers gave pothos gibberellin?

Q3. What can we infer about how pothos usually spreads?

重要単語

  • cuttingB1
    名詞挿し穂(切った茎)You can grow a new pothos from a cutting. cut+-ing で「切り取ったもの」。take a cutting「挿し穂をとる」。新聞の切り抜きの意味もある。
  • climbA2
    動詞よじ登るIn the wild, pothos climbs up tall trees. 発音は /klaɪm/(クライム)。最後の b は読まない。climber は「つる植物・登山家」。
  • aerial rootC1
    名詞(句)気根Aerial roots help the plant hold on to the tree. aerial は「空中の」。aerial photograph(航空写真)も同じ aerial。
  • hormoneB2
    名詞ホルモンA plant hormone called gibberellin can trigger flowering. 発音は /ˈhɔːrmoʊn/(ホーモウン)。日本語の「ホルモン」と発音が違うのでリスニング注意。
  • tolerateB2
    動詞耐える、許容するPothos can tolerate low light. 名詞 tolerance、形容詞 tolerant。drought-tolerant(乾燥に強い)のように複合語でも使う。
  • resilienceC1
    名詞回復力、しぶとさThe resilience of pothos makes it popular with beginners. re-(元に)+salire(跳ねる)=跳ね返る力。心理学・防災の文脈でも入試頻出。
  • juvenileC1
    形容詞幼い、未成熟のPothos in pots usually has juvenile leaves. 反対語は mature(成熟した)。juvenile crime(少年犯罪)のように人にも使う。

動画でもっと知る

観葉植物の定番ポトス。暗い部屋でも育ち、茎を切って水にさせば根が出るタフさは、ジャングルで木によじ登る生き方に由来するとみられる。しかも野生でも花を咲かせず、原因はホルモン不足とみられる。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Hung et al. (2016) Gibberellin deficiency is responsible for shy-flowering nature of Epipremnum aureum, Scientific Reportsdoi.org
  2. Berger et al. (2025) The impact of plants on indoor air quality and the wellbeing of building occupants, Acta Horticulturaedoi.org
  3. Cummings & Waring (2019) Potted plants do not improve indoor air quality, Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiologydoi.org