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「サンスベリアは夜に酸素を出す」は本当? CAM植物の“夜ふかし”を正しく理解する

「サンスベリアは夜に酸素を出す」は本当? CAM植物の“夜ふかし”を正しく理解する

読む前に予想してみよう!

サンスベリアは夜、光がなくても酸素をどんどん作っている

研究カード(どんな研究?)
対象
CAM植物の生理学(総説)+室内の観葉植物7種
規模
室内光レベルでの測定
研究の種類
総説+実験室測定
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

サンスベリアが夜にしているのは「CO2の取りこみと貯金」。酸素をつくる反応には光が必要で、夜に酸素を出しているわけではない。

ひとことで言うとサンスベリアは夜にCO2をためるだけ。酸素づくりは昼のしごと!

もくじ
  1. 砂漠の植物は「夜に息を吸う」
  2. 酸素ができるのは、やっぱり「光がある昼」
  3. そもそも1鉢の量はどれくらい?
  4. それでもサンスベリアが寝室向きな理由
  5. まとめ

「サンスベリアは夜に酸素を出すから、寝室に最適」。園芸店やネット通販で、こんな説明を見たことはありませんか?

じつはこれ、半分だけ合っていて、肝心なところが違う話です。サンスベリアが夜に“特別なこと”をしているのは本当。でもそれは酸素を出すことではなく、二酸化炭素(CO2)を取りこんで貯金することなのです。

01砂漠の植物は「夜に息を吸う」

ふつうの植物は、昼に葉の気孔(きこう)を開けてCO2を取りこみ、光のエネルギーで糖をつくります。ところが、暑くて乾いた場所で昼に気孔を開けると、そこから水分がどんどん逃げてしまいます。

そこで一部の植物は、涼しい夜に気孔を開けてCO2を取りこむ作戦をとりました。これがCAM(カム)型光合成。ベンケイソウ科の植物で最初に詳しく調べられたので、この名前(ベンケイソウ型有機酸代謝)がつきました。サンスベリアもCAM型の性質をもつことで知られています。

02酸素ができるのは、やっぱり「光がある昼」

ここがポイントです。光合成で出てくる酸素は、光のエネルギーで水を分解したときに生まれます。夜にどれだけCO2を取りこんでも、光がなければこの反応は動きません。

つまりCAM植物の1日は、こうなります。

  • 夜:気孔を開けてCO2を取りこみ、酸として貯金(酸素はほぼ出ない。呼吸で少し使う)
  • 昼:気孔を閉じ、貯金したCO2と光で糖をつくる(ここで酸素ができる)

「夜にCO2を取りこむ」が、どこかで「夜に酸素を出す」に言い換えられてしまったのが、この誤解の正体だと考えられます。

CAM植物は「夜にCO2を貯金、昼に光で使う」。酸素が出るのは昼の工程
CAM植物は「夜にCO2を貯金、昼に光で使う」。酸素が出るのは昼の工程

03そもそも1鉢の量はどれくらい?

仮に酸素を出す時間帯が正しくても、もう一つ問題があります。量です。

室内の観葉植物7種類を調べたガブ(Gubb)らの研究(2018年)では、ふつうの室内の暗さでは、1鉢あたりのCO2吸収はおおむね1時間に4mgに届かない程度でした。これを酸素に換算すると、1時間に数ミリリットル程度にしかなりません。

いっぽう人は、安静にしていても1日に数百リットルの酸素を使います。ケタがまるで違うのです。部屋の酸素を左右しているのは、植物よりも換気のほうです。

04それでもサンスベリアが寝室向きな理由

では、サンスベリアは寝室にふさわしくないのでしょうか? そんなことはありません。

  • 水やりが少なくてすむ:CAMのおかげで水を節約できる
  • 暗さに比較的強い:室内でも育てやすい
  • 湿度をあまり上げない:2025年のバーガー(Berger)らの研究では、調べた5種の植物の中でサンスベリアの蒸散量がもっとも少なく、「湿気を増やしたくない場所向き」とされています

つまり「酸素を出すから」ではなく、「手間がかからず、見て落ち着く」から寝室に向いている、というのが正しい理解です。

05まとめ

サンスベリアの「夜の秘密」は、酸素を出すことではなく、水を節約するためにCO2を夜に取りこむことでした。

植物の宣伝文句は、ちょっとした言い換えで意味が変わってしまうことがあります。「夜にCO2を吸う」と「夜に酸素を出す」は、似ているようでまったく別の話。この違いがわかれば、あなたはもう植物の“なんちゃって豆知識”にだまされません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people believe that snake plants are perfect for bedrooms because they release oxygen at night. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people believe that snake plants are perfect for bedrooms because they release oxygen at night. This is a misunderstanding. Snake plants use a special kind of photosynthesis called CAM. Plants in hot, dry places would lose a lot of water if they opened their stomata, the tiny holes in their leaves, during the day.

So CAM plants open them at night, take in carbon dioxide, and store it as an acid. During the day, they close the holes and use the stored carbon dioxide and light to make sugar. Oxygen is produced only in this daytime step, because it needs light energy. Even then, the amount from one pot is tiny compared with what a person breathes.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの人は、サンスベリアは夜に酸素を出すので寝室にぴったりだと信じています。これは誤解です。サンスベリアは、CAMと呼ばれる特別な種類の光合成を行います。暑く乾いた場所の植物は、昼間に気孔、つまり葉の小さな穴を開けると、多くの水を失ってしまいます。

そこでCAM植物は夜に気孔を開け、二酸化炭素を取りこみ、酸としてためておきます。昼間は穴を閉じ、ためた二酸化炭素と光を使って糖を作ります。酸素が作られるのは、光のエネルギーが必要なので、この昼間の段階だけです。そのときでさえ、1鉢から出る量は、人が呼吸で使う量に比べればごくわずかです。

4択リーディングクイズ

Q1. Why do CAM plants open their stomata at night?

Q2. When do snake plants produce oxygen?

Q3. What does the writer most likely think about putting a snake plant in a bedroom to get more oxygen?

重要単語

  • photosynthesisB2
    名詞光合成Photosynthesis needs light, water, and carbon dioxide. photo(光)+synthesis(合成)。動詞は photosynthesize。理系長文の超頻出語。
  • stomataC1
    名詞(複数形)気孔CAM plants open their stomata at night. 単数形は stoma(ギリシャ語で「口」)。葉の「口」と覚えるとよい。
  • succulentC1
    形容詞・名詞多肉質の/多肉植物A succulent stores water in its thick leaves. 「汁気の多い」が元の意味。succulent steak(ジューシーなステーキ)とも言う。
  • storeA2
    動詞蓄えるThe plant stores carbon dioxide as malic acid. 名詞「店」でおなじみだが、動詞「蓄える」も重要。storage(貯蔵)とセットで。
  • misconceptionC1
    名詞誤解It is a common misconception that this plant makes oxygen at night. mis-(誤った)+conception(考え)。It is a common misconception that ~ は長文の定番の書き出し。
  • aridC1
    形容詞乾燥したCAM plants are common in arid regions. dry の硬い言い方。arid climate(乾燥気候)は地理の長文で頻出。
  • absorbB2
    動詞吸収するLeaves absorb carbon dioxide from the air. 名詞 absorption。be absorbed in ~ は「~に夢中になる」で入試頻出。

動画でもっと知る

「寝室にサンスベリアを置くと夜に酸素を出してくれる」はよくある誤解。夜にやっているのはCO2を取りこんで“酸”としてためる作業で、酸素をつくる反応には光が必要。1鉢の量も人の呼吸よりケタ違いに小さい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Lüttge (2004) Ecophysiology of Crassulacean Acid Metabolism (CAM), Annals of Botanydoi.org
  2. Gubb et al. (2018) Can houseplants improve indoor air quality by removing CO2 and increasing relative humidity?, Air Quality, Atmosphere & Healthdoi.org
  3. Berger et al. (2025) The impact of plants on indoor air quality and the wellbeing of building occupants, Acta Horticulturaedoi.org
  4. Cummings & Waring (2019) Potted plants do not improve indoor air quality, Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiologydoi.org