「サンスベリアは夜に酸素を出す」は本当? CAM植物の“夜ふかし”を正しく理解する

読む前に予想してみよう!
サンスベリアは夜、光がなくても酸素をどんどん作っている
夜はCO2をリンゴ酸として貯めるだけ。水を分解して酸素を出す反応には光が必要。
- 対象
- CAM植物の生理学(総説)+室内の観葉植物7種
- 規模
- 室内光レベルでの測定
- 研究の種類
- 総説+実験室測定
- 確かさ
- ★★★☆☆
サンスベリアが夜にしているのは「CO2の取りこみと貯金」。酸素をつくる反応には光が必要で、夜に酸素を出しているわけではない。
ひとことで言うとサンスベリアは夜にCO2をためるだけ。酸素づくりは昼のしごと!
「サンスベリアは夜に酸素を出すから、寝室に最適」。園芸店やネット通販で、こんな説明を見たことはありませんか?
じつはこれ、半分だけ合っていて、肝心なところが違う話です。サンスベリアが夜に“特別なこと”をしているのは本当。でもそれは酸素を出すことではなく、二酸化炭素(CO2)を取りこんで貯金することなのです。
01砂漠の植物は「夜に息を吸う」
ふつうの植物は、昼に葉の気孔(きこう)を開けてCO2を取りこみ、光のエネルギーで糖をつくります。ところが、暑くて乾いた場所で昼に気孔を開けると、そこから水分がどんどん逃げてしまいます。
そこで一部の植物は、涼しい夜に気孔を開けてCO2を取りこむ作戦をとりました。これがCAM(カム)型光合成。ベンケイソウ科の植物で最初に詳しく調べられたので、この名前(ベンケイソウ型有機酸代謝)がつきました。サンスベリアもCAM型の性質をもつことで知られています。
02酸素ができるのは、やっぱり「光がある昼」
ここがポイントです。光合成で出てくる酸素は、光のエネルギーで水を分解したときに生まれます。夜にどれだけCO2を取りこんでも、光がなければこの反応は動きません。
つまりCAM植物の1日は、こうなります。
- 夜:気孔を開けてCO2を取りこみ、酸として貯金(酸素はほぼ出ない。呼吸で少し使う)
- 昼:気孔を閉じ、貯金したCO2と光で糖をつくる(ここで酸素ができる)
「夜にCO2を取りこむ」が、どこかで「夜に酸素を出す」に言い換えられてしまったのが、この誤解の正体だと考えられます。

03そもそも1鉢の量はどれくらい?
仮に酸素を出す時間帯が正しくても、もう一つ問題があります。量です。
室内の観葉植物7種類を調べたガブ(Gubb)らの研究(2018年)では、ふつうの室内の暗さでは、1鉢あたりのCO2吸収はおおむね1時間に4mgに届かない程度でした。これを酸素に換算すると、1時間に数ミリリットル程度にしかなりません。
いっぽう人は、安静にしていても1日に数百リットルの酸素を使います。ケタがまるで違うのです。部屋の酸素を左右しているのは、植物よりも換気のほうです。
04それでもサンスベリアが寝室向きな理由
では、サンスベリアは寝室にふさわしくないのでしょうか? そんなことはありません。
- 水やりが少なくてすむ:CAMのおかげで水を節約できる
- 暗さに比較的強い:室内でも育てやすい
- 湿度をあまり上げない:2025年のバーガー(Berger)らの研究では、調べた5種の植物の中でサンスベリアの蒸散量がもっとも少なく、「湿気を増やしたくない場所向き」とされています
つまり「酸素を出すから」ではなく、「手間がかからず、見て落ち着く」から寝室に向いている、というのが正しい理解です。
05まとめ
サンスベリアの「夜の秘密」は、酸素を出すことではなく、水を節約するためにCO2を夜に取りこむことでした。
植物の宣伝文句は、ちょっとした言い換えで意味が変わってしまうことがあります。「夜にCO2を吸う」と「夜に酸素を出す」は、似ているようでまったく別の話。この違いがわかれば、あなたはもう植物の“なんちゃって豆知識”にだまされません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people believe that snake plants are perfect for bedrooms because they release oxygen at night.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some shops say that snake plants make oxygen at night. This is not true. Snake plants come from dry places. At night, when it is cool, they open small holes in their leaves. They take in carbon dioxide and save it.
In the daytime, they use sunlight to make sugar, and oxygen comes out then. Plants need light to make oxygen. Also, one plant makes only a very small amount.
70 words ・ CEFR A2
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サンスベリアは夜に酸素を作る、と言う店があります。これは本当ではありません。サンスベリアは乾燥した場所の出身です。夜、涼しくなると、葉の小さな穴を開けます。二酸化炭素を取りこんで、ためておきます。
昼間に日光を使って糖を作り、そのときに酸素が出てきます。植物が酸素を作るには光が必要なのです。また、1つの植物が作る量はとても少ないです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
「夜に酸素を出す」という話が本当ではないことが主題なので B。
Q2. What do snake plants do at night?
At night ... They take in carbon dioxide and save it. とあるので C。
Q3. In the passage, "amount" means ...
amount は「量」。a very small amount=とても少ない量、なので A。
Many people believe that snake plants are perfect for bedrooms because they release oxygen at night. This is a misunderstanding. Snake plants use a special kind of photosynthesis called CAM. Plants in hot, dry places would lose a lot of water if they opened their stomata, the tiny holes in their leaves, during the day.
So CAM plants open them at night, take in carbon dioxide, and store it as an acid. During the day, they close the holes and use the stored carbon dioxide and light to make sugar. Oxygen is produced only in this daytime step, because it needs light energy. Even then, the amount from one pot is tiny compared with what a person breathes.
118 words ・ CEFR B1
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多くの人は、サンスベリアは夜に酸素を出すので寝室にぴったりだと信じています。これは誤解です。サンスベリアは、CAMと呼ばれる特別な種類の光合成を行います。暑く乾いた場所の植物は、昼間に気孔、つまり葉の小さな穴を開けると、多くの水を失ってしまいます。
そこでCAM植物は夜に気孔を開け、二酸化炭素を取りこみ、酸としてためておきます。昼間は穴を閉じ、ためた二酸化炭素と光を使って糖を作ります。酸素が作られるのは、光のエネルギーが必要なので、この昼間の段階だけです。そのときでさえ、1鉢から出る量は、人が呼吸で使う量に比べればごくわずかです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why do CAM plants open their stomata at night?
昼に気孔を開けると would lose a lot of water とあり、水を節約するために夜に開けるので B。
Q2. When do snake plants produce oxygen?
Oxygen is produced only in this daytime step, because it needs light energy. とあるので D。
Q3. What does the writer most likely think about putting a snake plant in a bedroom to get more oxygen?
最終文で1鉢の量は人の呼吸に比べてごくわずかと述べているので、酸素の面では効果がないと考えている。A。
Garden shops often sell the snake plant as the perfect bedroom plant because it supposedly releases oxygen at night. That claim is only half right. Snake plants use crassulacean acid metabolism, or CAM, a water-saving kind of photosynthesis common in plants from dry regions. Opening their stomata in the heat of the day would cost them a lot of water, so CAM plants open them during the cool night instead. They take in carbon dioxide and store it as malic acid.
In daylight, with the stomata shut, they release that carbon dioxide inside their leaves and turn it into sugar. Oxygen, though, is produced when light energy splits water. In the dark almost none comes out. What happens at night is the uptake of carbon dioxide, and the oxygen story probably began when someone carelessly swapped one idea for the other.
The amounts are tiny anyway. A 2018 study of seven houseplants found that under normal indoor light, each pot absorbed less than about 4 milligrams of carbon dioxide per hour, a trivial amount next to what one person breathes out. If a snake plant belongs in the bedroom, it is because it needs so little care.
197 words ・ CEFR B2
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園芸店はよく、サンスベリアを夜に酸素を出すので寝室にぴったりの植物として売っています。この主張は半分しか正しくありません。サンスベリアはベンケイソウ型有機酸代謝、つまりCAMを使います。これは乾燥地の植物によく見られる、水を節約するタイプの光合成です。昼の暑さの中で気孔を開けると水を大量に失うため、CAM植物はかわりに涼しい夜に気孔を開けます。
二酸化炭素を取りこみ、リンゴ酸としてためておくのです。日中は気孔を閉じたまま、その二酸化炭素を葉の中で放出し、糖に変えます。ところが、酸素は光のエネルギーが水を分解するときに生じます。暗闇ではほとんど出てきません。夜に起きているのは二酸化炭素の取りこみであり、酸素の話はおそらく、だれかが不注意に一方の考えをもう一方とすりかえたことから始まったのでしょう。
そもそも量がごくわずかです。2018年の観葉植物7種の研究では、ふつうの室内の明るさでは、1鉢が吸収する二酸化炭素は1時間あたり約4ミリグラム未満で、人ひとりが吐き出す量に比べればとるに足らない量でした。サンスベリアが寝室に向いているとすれば、それはほとんど手間がかからないからです。
4択リーディングクイズ
Q1. What does the passage mainly argue?
What happens at night is the uptake of carbon dioxide とあり、In the dark almost none (oxygen) comes out とあるので B。最後に寝室向きでもありうると述べているので A は誤り。
Q2. According to the passage, why is almost no oxygen released at night?
Oxygen, though, is produced when light energy splits water. In the dark almost none comes out. とあるので C。夜は気孔が開いているので A は逆。
Q3. What does the word "trivial" most likely mean in the passage?
1鉢あたり1時間4ミリグラム未満を人が吐き出す量と比べている文脈から、trivial は「とるに足らない、ごくわずかな」の意味。A。
重要単語
- photosynthesisB2名詞光合成Photosynthesis needs light, water, and carbon dioxide.
photo(光)+synthesis(合成)。動詞は photosynthesize。理系長文の超頻出語。 - stomataC1名詞(複数形)気孔CAM plants open their stomata at night.
単数形は stoma(ギリシャ語で「口」)。葉の「口」と覚えるとよい。 - succulentC1形容詞・名詞多肉質の/多肉植物A succulent stores water in its thick leaves.
「汁気の多い」が元の意味。succulent steak(ジューシーなステーキ)とも言う。 - storeA2動詞蓄えるThe plant stores carbon dioxide as malic acid.
名詞「店」でおなじみだが、動詞「蓄える」も重要。storage(貯蔵)とセットで。 - misconceptionC1名詞誤解It is a common misconception that this plant makes oxygen at night.
mis-(誤った)+conception(考え)。It is a common misconception that ~ は長文の定番の書き出し。 - aridC1形容詞乾燥したCAM plants are common in arid regions.
dry の硬い言い方。arid climate(乾燥気候)は地理の長文で頻出。 - absorbB2動詞吸収するLeaves absorb carbon dioxide from the air.
名詞 absorption。be absorbed in ~ は「~に夢中になる」で入試頻出。
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「寝室にサンスベリアを置くと夜に酸素を出してくれる」はよくある誤解。夜にやっているのはCO2を取りこんで“酸”としてためる作業で、酸素をつくる反応には光が必要。1鉢の量も人の呼吸よりケタ違いに小さい。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Lüttge (2004) Ecophysiology of Crassulacean Acid Metabolism (CAM), Annals of Botanydoi.org
- Gubb et al. (2018) Can houseplants improve indoor air quality by removing CO2 and increasing relative humidity?, Air Quality, Atmosphere & Healthdoi.org
- Berger et al. (2025) The impact of plants on indoor air quality and the wellbeing of building occupants, Acta Horticulturaedoi.org
- Cummings & Waring (2019) Potted plants do not improve indoor air quality, Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









