ペンギンにも「ひざ」がある。極寒を乗り切る“おしくらまんじゅう”は30〜60秒ごとに全員で一歩

読む前に予想してみよう!
ペンギンにはひざがない
ひざはちゃんとあるが、太ももごと羽毛と体の中に隠れていて外からは見えない。
- 対象
- コウテイペンギンの繁殖集団
- 規模
- 数百〜数千羽の群れ(各研究)
- 研究の種類
- 野外での温度記録・タイムラプス映像解析・数理モデル
- 確かさ
- ★★★☆☆
ペンギンの脚は羽毛の中で「ひざを曲げた空気いす」状態。コウテイペンギンの群れ(ハドル)は30〜60秒ごとに全員が少しずつ動き、波のように入れかわっていた。
ひとことで言うとペンギンはひざを体の中にかくしている。冬は全員でくっついて場所を入れかえる!
ペンギンの脚って、すごく短く見えますよね。でも実は、ペンギンにもちゃんとひざがあります。
ペンギンの太ももとひざは、ふかふかの羽毛と体の中に隠れています。骨格標本で見ると、ペンギンはいつもひざを曲げた「空気いす」のような姿勢で立っているのです。外に出ているのは、足首から先のほんの一部だけ。
そんな短い脚で、ペンギンたちは南極のきびしい冬を乗り切ります。特にすごいのが、コウテイペンギンの「おしくらまんじゅう」です。
01マイナス40℃、風速50mの世界で
コウテイペンギンは、わざわざ真冬の南極で卵を温め、ヒナを育てます。気温はマイナス40℃を下回ることもあり、強い風が吹きつけます。オスは卵を足の上にのせ、何週間もほとんど食べずに温め続けます。
この寒さをしのぐために、ペンギンたちは何百羽、何千羽と体を寄せ合います。これをハドルといいます。
外は冷凍庫、中はぽかぽか。そうなると、みんな中心に入りたくなりそうです。でも、ぎゅうぎゅうに詰まった群れの中で、どうやって場所を入れかえているのでしょうか。
0230〜60秒ごとの「全員で一歩」
2011年、ドイツ・エアランゲン=ニュルンベルク大学のダニエル・ツィッターバートさんたちは、南極の基地近くでハドルをタイムラプス撮影し、一羽一羽の動きを追いかけました。
1羽が大きく動こうとすると、まわりとぶつかって全体が止まってしまいます。でも全員が少しずつ動けば、群れ全体がなめらかに流れる。渋滞の解消と同じ発想です。

03波はどこから始まる?
2013年、同じ研究グループを含むチーム(Gerum ら)は、この「波」がどうやって生まれるかを数理モデルで調べました。
モデルでは、となりのペンギンとの距離だけを気にする簡単なルールで、観察された波のパターンが再現できました。リーダーが号令をかけているのではなく、どの1羽が動いても波が始まりうる、という結果です。車の渋滞で、先頭の車が少し進むと後ろへ順に動きが伝わっていくのとよく似ています。
04まとめ
ペンギンは、体の中にひざを隠し、全員で少しずつ動くことで南極の冬を乗り切っていました。
誰かが命令しなくても、一人ひとりが小さく動くだけで、全体がうまく回る。満員電車でも、少しずつ詰め合えばみんなが楽になる…のかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAlthough penguins seem to have very short legs, they actually have knees hidden inside their bodies, so…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Penguins have knees, but we cannot see them. Their knees are hidden under their feathers. Emperor penguins stay in Antarctica during the cold winter. To keep warm, hundreds of them stand very close together. This group is called a huddle.
Inside the huddle, it can be warmer than 20 degrees. Every 30 to 60 seconds, all the penguins take a small step. Slowly, the birds change places, so everyone gets warm.
71 words ・ CEFR A2
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ペンギンにはひざがありますが、私たちには見えません。ひざは羽毛の下に隠れているのです。コウテイペンギンは寒い冬の間、南極にとどまります。温かくいるために、何百羽ものペンギンがとても近くに集まって立ちます。この集まりはハドルと呼ばれます。
ハドルの中は20度より暖かくなることもあります。30〜60秒ごとに、すべてのペンギンが小さく一歩動きます。ゆっくりと鳥たちは場所を入れかえるので、みんなが温まれるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
コウテイペンギンがハドルで冬の寒さをしのぐ話が中心なので C。
Q2. How often do the penguins in a huddle take a small step?
Every 30 to 60 seconds, all the penguins take a small step. とあるので B。
Q3. In this passage, "hidden" means ...
hidden は hide(隠す)の過去分詞で「隠れている」。外から見えにくいという意味なので A。
Although penguins seem to have very short legs, they actually have knees hidden inside their bodies, so they always stand in a bent-knee position. Emperor penguins breed during the Antarctic winter, when temperatures can fall below minus 40 degrees. To survive, they form tightly packed groups called huddles. In 2006, French researchers attached small recorders to penguins and found that the temperature inside a huddle sometimes rose above 20 degrees.
But how do the birds share the warm center? In 2011, Daniel Zitterbart's team filmed huddles and discovered that every 30 to 60 seconds, all the penguins moved a few centimeters together. These tiny steps spread through the group like a wave, allowing birds inside and outside to slowly change places.
121 words ・ CEFR B1
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ペンギンの脚はとても短いように見えますが、実は体の中に隠れたひざがあり、いつもひざを曲げた姿勢で立っています。コウテイペンギンは南極の冬に繁殖しますが、その時期には気温がマイナス40度を下回ることもあります。生き残るために、彼らはハドルと呼ばれるぎっしり詰まった集団を作ります。2006年、フランスの研究者たちはペンギンに小さな記録計を取りつけ、ハドルの中の温度が20度を超えることがあると発見しました。
しかし、鳥たちはどうやって暖かい中心を分け合っているのでしょうか。2011年、ダニエル・ツィッターバートさんのチームはハドルを撮影し、30〜60秒ごとにすべてのペンギンがそろって数センチ動くことを発見しました。この小さな一歩が波のように集団に広がり、内側と外側の鳥がゆっくりと場所を入れかえられるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why do penguins always stand in a bent-knee position?
knees hidden inside their bodies, so they always stand in a bent-knee position とあるので D。
Q2. What did the French researchers find in 2006?
the temperature inside a huddle sometimes rose above 20 degrees とあるので C。マイナス40度は外の気温。
Q3. What can we infer from the 2011 study?
全員の小さな一歩が波のように伝わり、内側と外側が入れかわる、とあるので B。
Emperor penguins incubate their eggs through the Antarctic winter, when temperatures fall below minus 40 degrees. They survive by packing together in dense huddles. In a 2006 French study, recorders attached to the birds showed that the temperature inside a huddle at times rose above 20 degrees and occasionally reached the thirties. Packing that tightly carries a risk called jamming, a state in which nobody can move.
In 2011, Daniel Zitterbart and colleagues analyzed time-lapse footage of huddles. Every 30 to 60 seconds, the penguins took small, coordinated steps of a few centimeters. These steps traveled through the crowd like waves and gradually reorganized it. A 2013 mathematical model reproduced the waves with one simple rule about the distance to neighbors. Under that rule, any bird can start a wave, and no leader is required.
The observations came from particular colonies and periods, and nobody yet knows whether huddling is cooperation or each bird's selfish search for warmth. The birds doing all this shuffling have an odd build. A penguin's thigh and knee are tucked inside its body, so its legs look short, and it effectively stands in a permanent half-squat.
191 words ・ CEFR B2
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コウテイペンギンは、気温がマイナス40度を下回る南極の冬を通して卵を温めます。彼らは、ぎっしりと身を寄せ合ったハドルを作って生き延びています。2006年のフランスの研究では、鳥に取りつけた記録計によって、ハドルの中の温度が20度を超えることがあり、ときには30度台に達することがわかりました。ただ、そこまで密集すると「ジャミング」という危険が生じます。
誰も動けなくなる状態のことです。2011年、ダニエル・ツィッターバートさんらは、ハドルのタイムラプス映像を分析しました。30〜60秒ごとに、ペンギンたちは数センチの小さな協調した一歩を踏み出していました。その一歩が波のように群れの中を伝わり、少しずつ群れを組みかえていたのです。2013年の数理モデルは、となりとの距離についての単純なルール1つだけでこの波を再現しました。このルールのもとでは、どの個体でも波を始めることができ、リーダーは必要ありません。
観察は特定のコロニーと期間のものであり、ハドルが協力なのか、それとも各個体が利己的に暖かさを求めた結果なのかは、まだ誰にもわかっていません。こうして小刻みに動くペンギンの体のつくりは、少し変わっています。太ももとひざが体の中にしまい込まれているので脚は短く見えますが、実質的にはずっと中腰の姿勢で立っているのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What problem do the small, coordinated steps help to avoid?
Packing that tightly carries a risk called jamming, a state in which nobody can move. と問題を示し、小さな協調した一歩がそれを防ぐ流れなので A。
Q2. What did the 2013 model suggest?
one simple rule about the distance to neighbors で再現でき、any bird can start a wave, and no leader is required とあるので C。
Q3. Which question does the writer say is still unanswered?
nobody yet knows whether huddling is cooperation or each bird's selfish search for warmth とあるので B。
重要単語
- huddleB2名詞・動詞身を寄せ合う(集まり)Penguins huddle together to keep warm.
huddle together「身を寄せ合う」。アメフトの作戦会議の「ハドル」も同じ語。 - kneeA2名詞ひざA penguin's knee is hidden under its feathers.
k は発音しない(/niː/)。knife, know と同じ黙字の k。動詞 kneel は「ひざまずく」。 - coordinatedB2形容詞協調した、そろったThe birds made coordinated movements.
co-(共に)+order(順序)。動詞 coordinate は「調整する」、服の「コーディネート」もここから。 - jammingC1名詞詰まって動けなくなることSmall steps prevent jamming in the crowd.
traffic jam「交通渋滞」の jam。紙詰まりは paper jam。 - peripheryC1名詞周辺、外側Birds on the periphery feel the cold wind.
形容詞は peripheral(周辺の)。peripheral vision は「周辺視野」。 - incubateC1動詞(卵を)温める、ふ化させるMale emperor penguins incubate the eggs on their feet.
名詞 incubator は「ふ卵器・保育器」、ビジネスでは「起業支援組織」の意味も。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
このネタ、誰かに教えたくなった?
ペンギンの脚は短く見えるけど、実はひざは羽毛の中に隠れていて、ずっと「空気いす」みたいな姿勢らしい。しかもコウテイペンギンのおしくらまんじゅうは、30〜60秒ごとに全員が数cmずつ動く「波」で中と外を入れかえていた。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Gilbert et al. (2006) Huddling behavior in emperor penguins: Dynamics of huddling, Physiology & Behaviordoi.org
- Zitterbart et al. (2011) Coordinated Movements Prevent Jamming in an Emperor Penguin Huddle, PLoS ONEdoi.org
- Gerum et al. (2013) The origin of traveling waves in an emperor penguin huddle, New Journal of Physicsdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










