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つるはなぜクルクル巻く? キュウリの巻きひげは「途中で逆巻き」していた

つるはなぜクルクル巻く? キュウリの巻きひげは「途中で逆巻き」していた

読む前に予想してみよう!

キュウリの巻きひげは、引っぱるとほどけてまっすぐになる

研究カード(どんな研究?)
対象
キュウリの巻きひげ、世界17地点のつる植物1485本
規模
実験室の力学試験と野外調査
研究の種類
物理実験・数理モデル・野外調査
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

キュウリの巻きひげは、内側の繊維の束が片側だけ縮んでバネになる。両端が固定されると途中で巻く向きが逆転し、引っぱるとさらに巻きが強まる。

ひとことで言うとキュウリのひげは、途中で巻く向きが逆になる「ふしぎバネ」!

もくじ
  1. 巻きひげは「さわったら巻く」
  2. 「途中で逆巻き」が生まれるわけ
  3. 引っぱると、むしろ“もっと巻く”
  4. つる植物の茎は世界中ほぼ「同じ向き」
  5. まとめ

夏の家庭菜園で、キュウリやゴーヤの巻きひげをじっくり見たことはありますか? 支柱にからみついたひげは、電話のコードのようにクルクル。

ところがよく見ると、途中で巻く向きが逆になっているところがあります。右巻きだったのが、ある点を境に左巻きに……。これ、じつは物理学の美しい答えが隠れた現象なのです。

01巻きひげは「さわったら巻く」

巻きひげは、まっすぐ伸びながら先っぽをゆっくり回し、支えになるものを探しています。ダーウィンも、つる植物の茎や巻きひげがこうした回旋運動で支柱を見つけることを観察しました。

ひげの先が棒やネットにふれると、そこに巻きついてつかまります。そして次に、ひげ全体が縮れてらせん状になり、本体を支柱のほうへぐいっと引き寄せるのです。

02「途中で逆巻き」が生まれるわけ

ためしに、細長いリボンの両端を持ったまま、片方の面だけ縮むように力をかけてみると……真ん中でクルッと向きが変わります。巻きひげは、それを植物の細胞でやっているわけです。

両端を固定されると、途中で巻く向きが逆転する
両端を固定されると、途中で巻く向きが逆転する

03引っぱると、むしろ“もっと巻く”

さらに意外な発見がありました。逆巻きのある巻きひげを引っぱると、ふつうのバネのようにほどけるのではなく、かえって巻き数が増えたのです(研究チームはこれを「ねじれなしの巻きすぎ」と呼びました)。

最初はやわらかく伸び、さらに引っぱると急に硬くなる。風で揺れても最初はしなやかに受け流し、強く引っぱられると踏んばる――植物にとって理想的なバネです。巻いた巻きひげをやわらかいバネとみなしたダーウィンの見方を、約150年後に物理学が数字で裏づけた形になりました。

04つる植物の茎は世界中ほぼ「同じ向き」

巻きひげとは別に、アサガオのように茎そのものが巻きつく植物もいます。

オーストラリアの研究チーム(Edwardsら、2007年)は、9か国17地点でつる植物の巻く向きを調べました。結果は、1485本中92%が同じ向き(真上から見て反時計回りに巻き上がる)。北半球でも南半球でも割合は変わらず、「太陽の動きを追うから」「地球の自転(コリオリの力)のせい」といった説は否定されました。

ちなみに日本では、アサガオのつるを「右巻き」と呼ぶか「左巻き」と呼ぶかで、本や教科書によって説明が分かれてきた歴史があります。どこから見るかで呼び方が変わるので、比べるときは「上から見て時計回りか、反時計回りか」で確かめるのが確実です。

05まとめ

つるがクルクル巻くのは、片側だけ縮む繊維の帯と、ねじれを打ち消すという物理のルールのおかげでした。途中の逆巻きは、ミスではなく“計算どおり”の形だったのです。

身近な野菜の巻きひげ1本に、生物学と物理学が両方つまっている。夏の畑は、じつは最高の実験室なのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerLook closely at a cucumber tendril and you may notice something strange. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Look closely at a cucumber tendril and you may notice something strange. The coil turns one way, and then switches to the other way in the middle. A tendril first grows straight and slowly circles its tip, searching for support.

When it touches a stick, it holds on and starts to coil, pulling the plant toward the support. In 2012, a team at Harvard showed that a tendril contains a ribbon of fiber cells that shrinks more on one side.

Because of this, it naturally wants to curl. Both ends are fixed, so the twists in the two directions must cancel each other out. That is why a reversal point appears. Pull on a coiled tendril, and something unexpected happens. It does not unwind. It coils even more.

128 words ・ CEFR B1

和訳を見る

キュウリの巻きひげをよく見ると、不思議なことに気づくかもしれません。らせんが一方向に巻いたあと、途中で逆方向に切りかわっているのです。巻きひげは最初まっすぐ伸び、先端をゆっくり回して支えを探します。

棒にふれるとそれにつかまって巻きはじめ、植物を支えのほうへ引き寄せます。2012年、ハーバード大学のチームは、巻きひげの中に片側だけ多く縮む繊維細胞の帯があることを示しました。

そのため、巻きひげは自然に巻こうとします。両端は固定されているので、2つの向きのねじれは互いに打ち消し合わなければなりません。だから反転点が現れるのです。巻いた巻きひげを引っぱると、思いがけないことが起こります。ほどけないのです。それどころか、さらに巻きます。

4択リーディングクイズ

Q1. What does a tendril do before it finds a support?

Q2. According to the passage, why does a reversal point appear?

Q3. What is surprising about pulling a tendril?

重要単語

  • tendrilC1
    名詞巻きひげThe tendril wrapped around the stick. フランス語 tendron(やわらかい若芽)系の語。tendrils of smoke(煙の筋)のように比喩でも使う。
  • coilB2
    動詞・名詞巻く/らせんThe tendril began to coil after touching a support. 電気の「コイル」と同じ語。coil spring は「コイルばね」。
  • springA2
    名詞バネA coiled tendril works like a soft spring. 「春」「泉」「バネ」はどれも「跳ね出る」イメージでつながる多義語。
  • twistB1
    名詞・動詞ねじれ/ねじるBoth ends were fixed, so the total twist stayed zero. a twist in the story は「話の意外な展開」。比喩表現も頻出。
  • clockwiseB2
    副詞・形容詞時計回りにMost twining stems turn anticlockwise when seen from above. 反対は counterclockwise(米)/ anticlockwise(英)。図形・地図の問題で頻出。
  • contractB2
    動詞収縮するMuscles contract when they work. con-(共に)+tract(引く)=「引き縮める」。名詞「契約」とアクセント位置が違う(動詞は後ろ)。
  • reverseB2
    動詞逆にする、反転するThe coil reverses its direction in the middle. 名詞 reversal(反転)。in reverse order「逆の順で」も覚えておこう。

動画でもっと知る

キュウリの巻きひげは、途中で巻く向きが逆になっている。内側の繊維の束が片側だけ縮んでバネになり、両端が固定されると“ねじれ”を打ち消すために逆巻きが生まれる。引っぱるとさらに巻く。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Gerbode et al. (2012) How the Cucumber Tendril Coils and Overwinds, Sciencedoi.org
  2. Edwards, Moles & Franks (2007) The global trend in plant twining direction, Global Ecology and Biogeographydoi.org
  3. Stolarz (2009) Circumnutation as a visible plant action and reaction, Plant Signaling & Behaviordoi.org