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英語の絵本は「読み聞かせ」より「おしゃべり読み」? メタ分析が示した効果と“意外な小ささ”

英語の絵本は「読み聞かせ」より「おしゃべり読み」? メタ分析が示した効果と“意外な小ささ”

読む前に予想してみよう!

英語の絵本は、親が上手な発音でスラスラ読んであげることが一番大事だ

研究カード(どんな研究?)
対象
1〜6歳の子ども
規模
19件のランダム化比較試験・計2,594人ほか
研究の種類
メタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

絵本を「質問しながら」読むと子どもの語彙は伸びやすい。ただし効果は中くらい以下で、長く続くかははっきりしない。

ひとことで言うと絵本は読んであげるより「いっしょにおしゃべり」がコツ!

もくじ
  1. 「おしゃべり読み」=ダイアロジック・リーディング
  2. 1〜6歳の2,594人をまとめると…「小さめだけど、ある」
  3. どんでん返し:「比べる相手」を変えると効果が消えた
  4. まとめ

「英語の絵本を毎晩読み聞かせれば、子どもは英語が話せるようになる」。子育て中なら、一度は聞いたことがあるはずです。

でも研究者が注目してきたのは、読むかどうかよりもどう読むかでした。親がスラスラ読み上げるより、子どもに「これなあに?」と話させながら読むほうが、言葉が伸びやすい――。

ところが、研究をたくさん集めて計算し直すと、その効果は期待されていたより小さく、しかも時間がたつと薄れる可能性が見えてきました。

01「おしゃべり読み」=ダイアロジック・リーディング

対話しながら読む方法は「ダイアロジック・リーディング(dialogic reading)」と呼ばれ、1980年代にアメリカの心理学者ホワイトハーストらが考案しました。

基本は4ステップです。

  1. うながす:「このネコ、何してる?」と聞く
  2. ほめる・確かめる:「そう、寝てるね!」
  3. 広げる:「ソファの上で、まるくなって寝てるね」
  4. くり返させる:「まるくなって寝てる、って言ってみよう」

ポイントは、子どもが「聞き手」から「話し手」に変わること。読み手は大人から、だんだん子どもへ移っていきます。

021〜6歳の2,594人をまとめると…「小さめだけど、ある」

2020年に Child Development 誌に載ったダウドールらのメタ分析は、親に絵本の読み方を教えた19件のランダム化比較試験(計2,594人、1〜6歳)を集めました。

結果は、話す言葉で d = 0.41、聞いてわかる言葉で d = 0.26。研究者の物差しでは「小さめ」の効果です。しかも、練習の回数や期間が少ない介入ではほとんど効果が出なかったことも報告されました。

英語を第二言語として学ぶ子どもに絞った研究もあります。アメリカで行われた54件の研究をまとめたフィットンらのメタ分析(2018年)では、英語学習児でも絵本の共有読みは英語力にプラスの効果を示しました。

言葉が「親→子」の一方通行ではなく、行き来するのがコツ
言葉が「親→子」の一方通行ではなく、行き来するのがコツ

03どんでん返し:「比べる相手」を変えると効果が消えた

ここからが「マジか!?」です。

イギリスのノーブルらが2019年に発表したメタ分析では、絵本の共有読み全体の効果は g = 0.194 と、それまでのまとめより小さめでした。さらに驚くのは、比べる相手が「何もしないグループ」ではなく、別の活動をしたグループ(アクティブ対照群)だと、効果は g = 0.028 とほぼゼロになったことです。

つまり、効果の一部は「絵本の魔法」ではなく、大人が子どもとじっくり関わる時間そのものから来ていた可能性があります。

英語を外国語として学ぶ子ども(ESL/EFL)に絞った最新のメタ分析(13研究・1,857人)でも、終了直後は中くらいの効果(g = 0.49)があった一方、しばらくたった後の効果は小さく、統計的にはっきりしなかったと報告されています。

04まとめ

英語の絵本は、読み方しだいで効果が変わる道具です。研究が支持するのは「上手に読み聞かせる」より「子どもに話させながら読む」こと。

ただし、それだけで英語がペラペラになるほどの効果ではありません。親子の会話を増やす、楽しい習慣のひとつ。そう考えて続けるのが、研究から見たいちばん賢い付き合い方です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerReading picture books aloud is a popular way to support young children's language. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Reading picture books aloud is a popular way to support young children's language. Researchers have found that the way adults read matters. In dialogic reading, adults ask questions, praise the child's answers and add a few new words, so the child becomes a speaker, not just a listener. A 2008 meta-analysis of 16 studies showed a moderate effect on the words children could say.

A later review of 19 randomized trials with about 2,600 children aged one to six also found benefits, though they were smaller. But when shared reading was compared with other activities, the effect almost disappeared. For children learning English as a foreign language, the gains seemed to fade after the program ended.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

絵本を声に出して読むことは、幼い子どもの言葉を支える人気の方法です。研究者たちは、大人の読み方が重要であることを発見してきました。ダイアロジック・リーディングでは、大人が質問をし、子どもの答えをほめ、新しい言葉をいくつか付け足すので、子どもはただの聞き手ではなく話し手になります。16件の研究をまとめた2008年のメタ分析は、子どもが言える言葉に中程度の効果を示しました。

1〜6歳の約2,600人を対象にした19件のランダム化試験をまとめた後のレビューでも効果が見られましたが、より小さいものでした。しかし、共有読みを他の活動と比べると、効果はほとんど消えました。英語を外国語として学ぶ子どもでは、プログラム終了後に伸びが薄れていくようでした。

4択リーディングクイズ

Q1. What makes dialogic reading different from ordinary reading?

Q2. What happened when shared reading was compared with other activities?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • dialogic readingC1
    名詞(句)対話型の読み聞かせDialogic reading turns a story into a conversation. dialogue(対話)の形容詞形 dialogic。PEER(Prompt, Evaluate, Expand, Repeat)の4ステップが基本。
  • shared book readingB2
    名詞(句)共有読み(大人と子どもがいっしょに本を読むこと)Shared book reading is a common bedtime routine. share(共有する)。read aloud(音読する・読み聞かせる)もあわせて覚えたい。
  • expressive vocabularyC1
    名詞(句)発信語彙(自分で言える言葉)Her expressive vocabulary grew quickly. express(表現する)から。receptive vocabulary(受容語彙)と対で使われる。
  • receptive vocabularyC1
    名詞(句)受容語彙(聞いて・読んでわかる言葉)Receptive vocabulary is usually larger than expressive vocabulary. receive(受け取る)から。一般に受容語彙のほうが発信語彙より大きい。
  • promptB2
    動詞うながす・きっかけを与えるParents prompt the child to name the animals. prompt A to do「Aに〜するよう促す」。名詞で「(AIへの)指示文」の意味でもおなじみ。
  • fadeB2
    動詞(色・効果などが)薄れるSome effects fade after the program ends. fade away「次第に消える」。研究では fade-out effect(効果の減衰)という言い方もある。
  • moderateB2
    形容詞中程度の・ほどほどのThe study found a moderate effect. 効果量の説明で small / moderate / large と並ぶ定番語。moderate exercise「適度な運動」。
絵本の読み聞かせ、ただ読むより「これなあに?」と子どもに話させながら読むほうが語彙が伸びやすい。ただ最新のまとめでは効果は思ったより小さく、後で薄れる傾向も。魔法ではなく“毎日の小さな会話”として続けるのが正解かも。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Mol, Bus, de Jong & Smeets (2008) Added Value of Dialogic Parent–Child Book Readings: A Meta-Analysis, Early Education and Developmentdoi.org
  2. Dowdall, Melendez-Torres, Murray et al. (2020) Shared Picture Book Reading Interventions for Child Language Development: A Systematic Review and Meta-Analysis, Child Developmentdoi.org
  3. Noble, Sala, Peter et al. (2019) The impact of shared book reading on children's language skills: A meta-analysis, Educational Research Reviewdoi.org
  4. Fitton, McIlraith & Wood (2018) Shared Book Reading Interventions With English Learners: A Meta-Analysis, Review of Educational Researchdoi.org
  5. Li & Pang (2026) The effects of shared book reading on language and literacy development of ESL/EFL learners: a multi-level meta-analysis, European Early Childhood Education Research Journaldoi.org