人の体はかすかに光っている。肉眼の1000分の1の明るさを撮影した研究と、オーラとの違い

読む前に予想してみよう!
人の体が出している光は、肉眼でも暗い部屋なら見える
強さは肉眼の感度の約1000分の1とされ、特別な冷却カメラがないと撮影できない。
- 対象
- 健康な男性ボランティア/マウス・植物
- 規模
- 男性5人の反復測定/マウス実験
- 研究の種類
- 超高感度CCD/EMCCD撮像
- 確かさ
- ★★★☆☆
人の体は目に見えないほど弱い光を出している。日本の研究で顔の発光に日内リズムがあることが示され、2025年には生きたマウスと死後で違いが報告された。
ひとことで言うと人の体はとても弱い光を出している。でもオーラとは別の話。
「人は光っている」と聞くと、スピリチュアルな話だと思うかもしれません。
ところが、これは物理的な事実です。生き物の体は、超微弱発光(ultraweak photon emission)と呼ばれる、極端に弱い光を出しています。
ただし、強さは肉眼の感度の約1000分の1。見えないのは当然で、撮影するには特別なカメラが必要です。
01真っ暗な部屋で、人の顔を20分撮影
面白いのは、体温(サーモグラフィ)とは一致しなかったこと。首の横は体温が高いのに発光は弱く、ほほは発光が強い。つまり、この光は単なる熱放射ではないのです。
02光の正体は「代謝の副産物」
では、どこから光が出るのでしょう。
有力な説明は、体の中で起きる酸化反応です。代謝の過程で生まれる活性酸素が脂質やタンパク質と反応すると、エネルギーの高い状態の分子ができます。それが元に戻るときに、わずかな光(可視光を中心とする領域)を出すのです。
研究チームは、発光のリズムが唾液中のコルチゾール(体内リズムの指標)の変化と関係しうることにも触れています。

032025年、生と死で発光が変わった
「死ぬと光が弱くなる」というと神秘的に聞こえますが、説明は地味です。生きている体では代謝による酸化反応が続いていますが、死ぬとそれが止まるためと考えられます。
04オーラや「気」とは別の話
ここは、はっきり分けて考える必要があります。
05どんでん返し:測るのが難しすぎる
この分野の最大の課題は、測定の難しさです。
光があまりに弱いため、カメラ自体のノイズ、室内のわずかな光漏れ、皮膚に残った化粧品や汗、直前に見た明かりによる残光(燐光)などが結果を乱します。
2009年の研究でも、参加者は化粧品の使用を禁止され、睡眠時間を一定にそろえ、暗順応の時間が設けられました。それでも参加者は5人。研究は一貫して小規模で、追試の積み重ねが必要です。
「病気の診断に使える」といった主張には、まだ十分な根拠がありません。
06まとめ
- 人の体は、肉眼の1000分の1ほどの弱さで本当に光っている
- ほほの発光は夕方にピークを迎える日内リズムを示した
- 光の正体は、代謝で生まれる活性酸素による酸化反応とみられる
- オーラや霊的な現象とは無関係で、測定も非常に難しい
私たちは、文字どおり「ほのかに光る存在」。ただしその光は、スピリチュアルな輝きではなく、細胞が今も働いている証拠なのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerYour body is glowing right now, but you cannot see it.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Did you know that your body gives off light? The light is very weak, about 1,000 times too weak for our eyes to see.
In 2009, Japanese scientists used a special cold camera in a dark room. They took pictures of five healthy men. The light from their faces was strongest around 4 p.m. This light comes from chemical reactions in the body. It is not an aura.
68 words ・ CEFR A2
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あなたの体が光を出していることを知っていましたか。その光はとても弱く、私たちの目で見るには約1000倍も弱すぎます。
2009年、日本の科学者たちは暗い部屋で特別な冷えたカメラを使いました。彼らは5人の健康な男性を撮影しました。顔からの光は午後4時ごろに最も強くなりました。この光は体の中の化学反応から生まれます。それはオーラではありません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
人の体が出しているとても弱い光がテーマなので D。
Q2. When was the light from the faces strongest?
The light from their faces was strongest around 4 p.m. とあるので B。
Q3. In this passage, "gives off" means ...
give off は「(光・熱・においなどを)発する・出す」なので B。
Your body is glowing right now, but you cannot see it. Living things, including humans, give off extremely weak light called ultraweak photon emission. It is about 1,000 times too faint for the human eye, so only very sensitive cameras can record it.
In 2009, a Japanese team photographed five healthy men in complete darkness every three hours over three days. The glow followed a daily rhythm. It was weak in the morning and peaked around 4 p.m. It was also strongest on the cheeks.
The brightest areas did not match the warmest areas, so the light is not simply heat. Scientists believe it comes from chemical reactions involving reactive oxygen, which is produced during metabolism. It has nothing to do with so-called auras.
124 words ・ CEFR B1
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あなたの体は今この瞬間も光っていますが、それを見ることはできません。人間を含む生き物は、超微弱発光と呼ばれるきわめて弱い光を出しています。それは人の目で見るには約1000倍も弱すぎるので、非常に感度の高いカメラでしか記録できません。
2009年、日本のチームは、5人の健康な男性を完全な暗闇の中で3日間、3時間おきに撮影しました。光は1日のリズムに従っていました。朝は弱く、午後4時ごろにピークに達したのです。また、ほほで最も強く光っていました。
最も明るい部分は最も温かい部分と一致しなかったので、この光は単なる熱ではありません。科学者たちは、代謝の間に生まれる活性酸素が関わる化学反応から生じると考えています。いわゆるオーラとはまったく関係がありません。
4択リーディングクイズ
Q1. Why can't we see the light from our bodies?
It is about 1,000 times too faint for the human eye とあるので C。
Q2. How often did the team photograph the men?
every three hours over three days とあるので D。
Q3. What does the fact that bright areas did not match warm areas suggest?
so the light is not simply heat とあり、体の熱だけでは説明できないことを示すので A。
A glowing human body sounds mystical, but ultraweak photon emission is a measurable physical phenomenon. Its intensity is roughly a thousandth of what the eye can detect, so it must be captured with cooled, highly sensitive cameras. In 2009, Kobayashi and colleagues photographed five healthy men in their twenties in total darkness every three hours from 10 a.m. to 10 p.m. over three days.
Emission followed a diurnal rhythm, peaking around 4 p.m., when the cheeks released about 3,000 photons per square centimeter per second, roughly twice the morning level. Because the brightest regions did not coincide with the warmest ones, the light is not merely thermal radiation. The leading explanation is that reactive oxygen species generated by metabolism oxidize lipids and proteins, producing excited molecules that release faint light as they return to a stable state.
In 2025, researchers using even more sensitive cameras reported a marked difference between living and dead mice and increased emission from stressed plants, suggesting a possible non-invasive measure of biological condition. Camera noise, cosmetics and stray light easily distort the signals, and studies have used few subjects. Claims that the glow reveals personality or an "aura" have no scientific basis.
197 words ・ CEFR B2
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光る人体というと神秘的に聞こえますが、超微弱発光は測定可能な物理現象です。その強さは目が感知できるもののおよそ1000分の1なので、冷却された非常に感度の高いカメラでとらえる必要があります。2009年、小林らは20代の健康な男性5人を完全な暗闇の中で撮影し、3日間にわたって午前10時から午後10時まで3時間おきに画像を記録しました。
発光は日内リズムに従い、午後4時ごろにピークに達しました。そのときほほは1平方センチあたり毎秒約3000個の光子を放出しており、これは朝のレベルのおよそ2倍でした。最も明るい部分が最も温かい部分と一致しなかったため、この光は単なる熱放射ではありません。有力な説明は、代謝によって生じる活性酸素種が脂質やタンパク質を酸化し、励起状態の分子ができて、それが安定した状態に戻るときにかすかな光を放つというものです。
2025年には、さらに感度の高いカメラを使った研究者たちが、生きたマウスと死んだマウスの間の顕著な差や、ストレスを受けた植物からの発光の増加を報告し、生物の状態を体を傷つけずに測る方法になりうることを示唆しました。信号はカメラのノイズ、化粧品、迷光によって簡単にゆがめられ、研究の対象者も少数です。この光が性格や「オーラ」を明らかにするという主張には科学的根拠がありません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
代謝による微弱な発光は実在するが、測定の限界があり、オーラとは無関係という内容なので D。
Q2. According to the leading explanation, where does the light come from?
reactive oxygen species ... oxidize lipids and proteins, producing excited molecules that release faint light とあるので A。
Q3. Which is NOT mentioned as a problem in measuring the light?
測定を乱すものとして挙げられているのはカメラのノイズ、化粧品、迷光。性格は測定上の問題として挙げられていないので C。
重要単語
- photonC1名詞光子(光の粒)The camera counted single photons.
photo-(光)+-on(粒子)。electron(電子)、proton(陽子)と同じ -on。 - emissionB2名詞放出This emission is extremely weak.
動詞 emit(放出する)。carbon emissions「炭素排出量」は環境系長文の頻出語。 - metabolismB2名詞代謝The glow is linked to metabolism.
「メタボ」の語源。形容詞 metabolic。 - reactive oxygen speciesC1名詞(句)活性酸素種Reactive oxygen species may produce the light.
略して ROS。species は「種」だが、ここでは「(化学物質の)種類」の意味。単複同形。 - rhythmB1名詞リズム・周期The glow follows a daily rhythm.
circadian rhythm「概日リズム(体内時計)」は入試頻出。つづりに注意。 - sensitivityB2名詞感度The camera has very high sensitivity.
sensitive(敏感な)の名詞形。sensible(分別のある)との混同に注意。
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人の体は、肉眼の感度の1000分の1ほどの弱さで実際に光っている。冷却カメラの撮影では、ほほの発光が夕方にピークを迎える日内リズムまで見えた。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Kobayashi, Kikuchi & Okamura (2009) Imaging of Ultraweak Spontaneous Photon Emission from Human Body Displaying Diurnal Rhythm, PLoS ONEdoi.org
- Cifra & Pospíšil (2014) Ultra-weak photon emission from biological samples: Definition, mechanisms, properties, detection and applications, Journal of Photochemistry and Photobiology Bdoi.org
- Ives et al. (2014) Ultraweak Photon Emission as a Non-Invasive Health Assessment: A Systematic Review, PLoS ONEdoi.org
- Salari et al. (2025) Imaging Ultraweak Photon Emission from Living and Dead Mice and from Plants under Stress, The Journal of Physical Chemistry Lettersdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













