3000人で冷水シャワーを試したら、「病欠」が約3割減った。でも病気の日数は…

読む前に予想してみよう!
冷水シャワーの実験では、体調を崩した日数がはっきり減った
減ったのは「仕事を休んだ日」。体調不良の日数には差が出なかった。
- 対象
- オランダの18〜65歳の成人
- 規模
- 3018人
- 研究の種類
- ランダム化比較試験(非盲検)
- 確かさ
- ★★★☆☆
オランダの実験で、シャワーの最後を冷水にした人は病欠が約29%少なかった。ただし「体調を崩した日数」自体は減っていなかった。
ひとことで言うと冷たいシャワーで病気が減ったんじゃなく、「休まず働けた」みたい。
朝のシャワー、最後の30秒だけ冷水にする。それだけで「会社を休む日が減る」としたら、ちょっと試したくなりませんか?
実はこれ、オランダで3000人以上を対象にした、かなり本格的な実験で確かめられた話です。
ところが結果をよく読むと、「え、そういうこと?」というオチがついていました。
013000人を「くじ引き」で分けた本格実験
「くじ引きで分ける」実験はランダム化比較試験と呼ばれ、薬の効果を確かめるときにも使われる、信頼度の高い方法です。もともと健康な人だけが冷水を選ぶ、といったかたよりを防げます。
02結果:病欠は29%減。でも…
冷水シャワー群は、浴びなかった群に比べて、90日間(30日の実施+その後60日の追跡)で仕事を病気で休んだ日数が約29%少なかった。30秒でも90秒でも、差はあまりありませんでした。
ところが、もうひとつの大事なデータ、体調を崩した日数(病気の日数)には、はっきりした差がなかったんです。

03「風邪をひかない」ではなく「ひいても動ける」?
研究チームは、冷水シャワーで体調が悪くても動ける感じがした(だるさを感じにくい、気分がシャキッとする)可能性などを考えています。
ただし、この実験には弱点もあります。
- 病欠や体調は参加者の自己申告
- 自分が冷水グループだと本人がわかっている(「効くはず」という思い込みが入りうる)
さらに、実験が終わったあとも自主的に冷水シャワーを続けた人が少なくなかったと報告されています。「シャキッとして気持ちいい」という感覚そのものが、仕事に向かう気分を後押しした可能性もありますね。
つまり、「冷水で免疫が強くなった」とまでは言えません。2025年に発表された冷水浴のシステマティックレビュー(たくさんの研究をルールに沿って集めて評価したもの)でも、研究の数や規模がまだ少ないことが課題として挙げられています。
04「何秒浴びるか」はあまり関係なかった
もうひとつおもしろいのは、冷水を30秒浴びた人も90秒浴びた人も、病欠の減り方に大きな差がなかったこと。もし冷たさそのものが体を鍛えているなら、長く浴びるほど効きそうなものですよね。
研究チームは仕組みまでは特定できておらず、期待(プラセボ)効果も否定できないとしています。ただ、少なくとも我慢大会のように長く浴びる必要はなさそうです。
05冷水には「ヒヤッ」の危険もある
冷たい水を急に浴びると、体は息をハッと吸い込み、心拍や血圧がグッと上がる反応(コールドショック反応)を起こします。健康な人なら一瞬ですみますが、心臓や血管に持病がある人には負担になりえます。
06まとめ
冷水シャワーで「病欠が減った」のは本当。でも「病気にならなくなった」わけではない、というのがこの研究のおもしろいところでした。
タイトルだけ読んで飛びつかず、「何が減ったのか」まで確認する。それが論文を読むときの一番のコツです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCan a cold shower keep you healthy?
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
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この研究を英語で読もう
In the Netherlands, scientists did a big test with about 3,000 adults. For 30 days, some people ended their warm shower with 30 to 90 seconds of cold water. Other people did not. The cold water group took about 29 percent fewer sick days from work.
But they did not feel sick for fewer days. So cold showers may help people keep working, but they may not stop colds.
69 words ・ CEFR A2
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オランダで、科学者たちが約3000人の大人を対象に大きな実験をしました。30日間、一部の人は温かいシャワーの最後に30〜90秒間冷たい水を浴びました。ほかの人は浴びませんでした。冷水のグループは、病気で仕事を休んだ日が約29%少なくなりました。
でも、体調が悪いと感じた日が少なくなったわけではありませんでした。つまり、冷たいシャワーは働き続けるのを助けるかもしれませんが、風邪を防ぐとは限らないのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
冷水シャワーと仕事の病欠についての実験が全体のテーマなので A。
Q2. How many fewer sick days did the cold water group take?
took about 29 percent fewer sick days from work とあるので C。
Q3. In this passage, "sick days" means ...
sick days from work は「病気で仕事を休んだ日」なので D。
Can a cold shower keep you healthy? In 2016, researchers in the Netherlands carried out a randomized controlled trial with 3,018 adults. Participants were randomly put into four groups. For 30 days, three groups ended their usual warm shower with 30, 60 or 90 seconds of cold water, and one group did not. The cold shower groups reported about 29 percent less sickness absence from work. The length of the cold shower made little difference.
However, the number of days people actually felt ill did not clearly change. The researchers think cold showers may make people feel more energetic, so they can keep working even when they are a little sick.
111 words ・ CEFR B1
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冷たいシャワーで健康を保てるのでしょうか?2016年、オランダの研究者たちは3018人の大人を対象にランダム化比較試験を行いました。参加者はくじ引きで4つのグループに分けられました。30日間、3つのグループはいつもの温かいシャワーの最後に30秒、60秒、または90秒の冷水を浴び、1つのグループは浴びませんでした。冷水シャワーのグループは、仕事の病欠が約29%少なかったと報告しました。冷水シャワーの長さはほとんど差を生みませんでした。
しかし、実際に体調が悪いと感じた日数ははっきりとは変わりませんでした。研究者たちは、冷水シャワーによって人がより元気に感じ、少し具合が悪くても働き続けられるのではないかと考えています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
冷水シャワーと病欠の関係を調べたランダム化比較試験の話なので D。
Q2. Which statement is true according to the passage?
Participants were randomly put into four groups とあるので C。長さによる差はほとんどなく、体調不良の日数も変わらず、期間は30日。
Q3. What can we infer from the results?
病欠は減ったが体調不良の日数は変わらず、元気に感じて働き続けられた可能性がある、という流れから B。
In a Dutch trial published in 2016, Buijze and colleagues recruited 3,018 adults who did not normally take cold showers. For 30 consecutive days, some were randomly assigned to end their usual warm shower with 30, 60 or 90 seconds of cold water, and the rest served as a control group. The cold shower groups reported about 29 percent less sickness absence from work. How long they stayed under the cold water made little difference. The number of days people actually felt ill, however, did not differ significantly between the groups.
So the showers did not seem to stop people from getting sick. Instead, participants appeared to keep working while unwell, perhaps because the routine made them feel more energetic. The design has weak points. Both illness and absence were self-reported, and everyone knew which group they were in, so expectations may have shaped the answers.
The missing dose-response effect may also point to habit or mood rather than physical conditioning, since 90 seconds worked no better than 30. One practical warning applies to anyone tempted to try. A sudden blast of cold water triggers a cold shock response, which can put a strain on people with heart conditions.
199 words ・ CEFR B2
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2016年に発表されたオランダの試験で、ブイゼさんらは、ふだん冷水シャワーを浴びない大人3018人を集めました。30日間連続で、一部の人はくじ引きで、いつもの温かいシャワーの最後に30秒、60秒、または90秒の冷水を浴びるように割り当てられ、残りの人は対照群になりました。冷水シャワーのグループは、仕事の病欠が約29%少なかったと報告しました。冷水を浴びる時間の長さは、ほとんど差を生みませんでした。しかし、実際に体調が悪いと感じた日数には、グループ間で有意な差がありませんでした。
つまり、シャワーで病気にかからなくなったわけではないようです。そうではなく、参加者は具合が悪くても働き続けたらしいのです。おそらく、その習慣によって元気が出たと感じたからでしょう。研究デザインには弱点もあります。体調不良も欠勤も自己申告で、全員が自分がどのグループかを知っていたため、期待が回答に影響したかもしれません。
また、量と効果の関係が見られず、90秒でも30秒より効果が高くなかったことは、体が鍛えられたというより、習慣や気分の影響を示しているのかもしれません。試してみたい人には、実用的な注意が1つあります。いきなり冷たい水を浴びるとコールドショック反応が起き、心臓に持病のある人には負担になることがあるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the most important finding of the trial, according to the passage?
病欠は約29%減ったが、The number of days people actually felt ill, however, did not differ significantly とあり、体調不良の日数は変わらなかったのが核心なので A。
Q2. Why might expectations have influenced the results?
everyone knew which group they were in, so expectations may have shaped the answers とあるので C。盲検化できないことは研究の限界。
Q3. What does the missing "dose-response effect" suggest?
The missing dose-response effect may also point to habit or mood rather than physical conditioning とあるので D。90秒でも30秒より効果が高くなかった点に注目。
重要単語
- randomized controlled trialC1名詞(句)ランダム化比較試験A randomized controlled trial reduces bias.
略して RCT。くじ引き(random)でグループを分け、対照群(control)と比べる研究。信頼度が高い方法として長文頻出。 - sickness absenceB2名詞(句)病欠Sickness absence dropped in the cold shower group.
absence は absent(欠席の)の名詞。sick leave(病気休暇)も同じ意味で使われる。 - self-reportedC1形容詞自己申告のThe data on illness were self-reported.
self-(自分で)+reported。思い込みや記憶ちがいが入りうるので、研究の限界として出やすい。 - cold shock responseC1名詞(句)コールドショック反応Sudden cold water can trigger a cold shock response.
冷水で息をのみ、心拍・血圧が急上昇する反応。trigger a response「反応を引き起こす」のコロケーションも覚えたい。 - immune systemB2名詞(句)免疫系The study did not prove a stronger immune system.
immune は「免れた」。be immune to ~「~に免疫がある・影響されない」は比喩でも使う頻出表現。 - limitationB2名詞限界、制約Every study has some limitations.
limit(限度)の名詞形。論文の limitations セクションは「この研究の弱点」を書く場所。 - consecutiveC1形容詞連続したIt rained for five consecutive days.
consecutive days / years の形で頻出。in a row とほぼ同じ意味。
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オランダで3000人超を対象に「シャワーの最後を冷水に」する実験をした。病欠は約3割減ったのに、体調を崩した日数はほぼ変わらなかったらしい。風邪をひかなくなったのではなく、「ひいても動けた」?
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- Buijze et al. (2016) The Effect of Cold Showering on Health and Work: A Randomized Controlled Trial, PLoS ONEdoi.org
- Cain et al. (2025) Effects of cold-water immersion on health and wellbeing: A systematic review and meta-analysis, PLOS ONEdoi.org
- Tipton et al. (2017) Cold water immersion: kill or cure?, Experimental Physiologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









