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冷たいものが歯に「キーン」としみるのはなぜ? 歯の中に“冷たさセンサー”を持つ細胞がいた

冷たいものが歯に「キーン」としみるのはなぜ? 歯の中に“冷たさセンサー”を持つ細胞がいた

読む前に予想してみよう!

冷たいものが歯にしみるのは、歯の一番外側のエナメル質に神経が通っているからだ

研究カード(どんな研究?)
対象
マウス・人の抜去歯
規模
動物実験+組織の分析
研究の種類
実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

エナメル質がすり減ったり歯ぐきが下がったりして象牙質が出ると、冷たさが神経に伝わりやすい。2021年には歯の中の細胞が冷たさセンサーを持つと判明。

ひとことで言うと歯の中には「つめたい!」を感じるセンサー細胞がいたんだ!

もくじ
  1. 歯は「3層構造」
  2. むき出しの象牙質から「冷たさ」が入る
  3. 歯の中に「冷たさセンサー」を持つ細胞がいた
  4. 昔の歯痛薬とつながった
  5. まとめ

キンキンに冷えたアイスや氷水を口に入れた瞬間、歯に「キーン」と鋭い痛み。いわゆる「知覚過敏」です。

答えを先に言うと、歯がしみるのは、歯の表面を守るエナメル質がすり減ったり、歯ぐきが下がったりして、内側の「象牙質」がむき出しになると、冷たさが歯の奥の神経に伝わりやすくなるからです。さらに2021年には、歯の内側の細胞そのものが「冷たさセンサー」を持っているという新しい発見もありました。

01歯は「3層構造」

歯は、外側から

  1. エナメル質:体の中で一番かたい組織。神経はない
  2. 象牙質:エナメル質の内側。ものすごく細い管(象牙細管)が無数に通っている
  3. 歯髄:いちばん奥。神経や血管が通る「歯の中身」

という3層になっています。ふだんはエナメル質と歯ぐきが象牙質をすっぽり覆っているので、冷たいものを口にしても強くしみることはありません。

02むき出しの象牙質から「冷たさ」が入る

ところが、強すぎる歯みがき、歯ぎしり、酸っぱい飲み物のとりすぎ、歯周病などで、歯の根もとの象牙質がむき出しになることがあります。

03歯の中に「冷たさセンサー」を持つ細胞がいた

象牙芽細胞は、これまで「象牙質を作る細胞」と考えられてきました。それが、冷たさを感じて神経に知らせる感覚の細胞でもあったわけです。研究チームは、TRPC5は刺激に慣れにくい性質を持つため、冷たさの痛みが長く続くことにも関わっていると考えています。

歯の内側に並ぶ象牙芽細胞が、冷たさを感じて神経に知らせていた
歯の内側に並ぶ象牙芽細胞が、冷たさを感じて神経に知らせていた

04昔の歯痛薬とつながった

この研究には、ちょっとした歴史のオチもあります。

研究チームは、歯科で昔から使われてきた丁子(クローブ)油の主成分オイゲノールが、TRPC5の働きを抑えることも示しています。先人たちが経験的に使ってきた薬が、じつは「冷たさセンサー」をブロックしていたのかもしれません。ただし、家庭で丁子油を歯に使うのは刺激が強く、おすすめできません。

05まとめ

冷たいものが歯にしみるのは、象牙質がむき出しになって冷たさが奥へ伝わりやすくなるから。そして歯の内側には、冷たさセンサーTRPC5を持つ象牙芽細胞が並び、痛みの信号を送っていました。

アイスがしみるのは、歯からの「ちょっと守りが弱くなってるよ」というお知らせ。やさしい歯みがきと歯医者さんで、応えてあげましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA spoonful of ice cream can make a tooth hurt sharply. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A spoonful of ice cream can make a tooth hurt sharply. Why does cold do this? A tooth has three layers. Hard enamel covers the outside. Dentin is in the middle, and the pulp, which contains nerves, is at the center.

Dentin has countless tiny tubes filled with fluid. When enamel wears away or gums pull back, the dentin becomes exposed. According to the most widely accepted theory, cold makes the fluid in the tubes move slightly, and this movement stimulates the nerves.

In 2021, an international team discovered that odontoblasts, cells along the inner edge of the dentin, have a cold sensor called TRPC5. Mice without this sensor showed much less pain behavior after a tooth injury.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

アイスクリームをひと口食べただけで、歯が鋭く痛むことがあります。なぜ冷たさでこうなるのでしょうか。歯には3つの層があります。かたいエナメル質が外側を覆っています。真ん中には象牙質があり、中心には神経を含む歯髄があります。

象牙質には、液体で満たされた細い管が無数にあります。エナメル質がすり減ったり歯ぐきが下がったりすると、象牙質がむき出しになります。最も広く受け入れられている説によると、冷たさで管の中の液体がわずかに動き、その動きが神経を刺激します。

2021年、国際的な研究チームは、象牙質の内側の縁に並ぶ象牙芽細胞が、TRPC5という冷たさのセンサーを持っていることを発見しました。このセンサーを持たないマウスは、歯を傷つけたあとも、痛みを示す行動がずっと少なかったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the 2021 team discover?

Q3. Based on the passage, what might help prevent tooth sensitivity?

重要単語

  • sensitiveB1
    形容詞敏感な、しみやすいMy teeth are sensitive to cold drinks. be sensitive to ~「~に敏感だ」。sensible(分別のある)との区別は入試の定番。
  • enamelC1
    名詞エナメル質Enamel is the hardest part of the body. 発音は /ɪˈnæməl/(イナメル)。食器や塗料の「ほうろう・エナメル」も同じ語。
  • dentinC1
    名詞象牙質Dentin lies under the enamel. dent-(歯)はラテン語由来で、dentist(歯医者)、dental(歯の)と同じ仲間。
  • gumB1
    名詞歯ぐきBrushing too hard can hurt your gums. 「チューインガム」の gum とつづりは同じだが別語源。gum disease は「歯周病」。
  • sensorB2
    名詞感知器、センサーThis protein works as a cold sensor. sense(感じる)+-or。sensory(感覚の)は sensory cells「感覚細胞」のように使う。
  • exposeB2
    動詞むき出しにする、さらすGum disease can expose the dentin. be exposed to ~「~にさらされる」は頻出。名詞 exposure。
アイスで歯がキーンとしみる理由に新しい答え。2021年の研究で、歯の内側に並ぶ細胞が「冷たさセンサー(TRPC5)」を持ち、冷たさを神経に伝えていたらしい。昔から歯科で使われた丁子油の成分が、このセンサーを抑えるとか。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Bernal et al. (2021) Odontoblast TRPC5 channels signal cold pain in teeth, Science Advancesdoi.org
  2. Sotelo-Hitschfeld, Bernal & Zimmermann (2021) Odontoblasts are cold sensory cells in teeth, Temperaturedoi.org
  3. West et al. (2012) Dentin hypersensitivity: pain mechanisms and aetiology of exposed cervical dentin, Clinical Oral Investigationsdoi.org