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紙で指を切るとなぜあんなに痛い? 小さな傷が“最強クラスに痛い”3つの理由

紙で指を切るとなぜあんなに痛い? 小さな傷が“最強クラスに痛い”3つの理由

読む前に予想してみよう!

紙で切った傷が痛いのは、紙に毒のような物質がついているからだ

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な成人
規模
少人数
研究の種類
神経生理学・感覚の測定研究
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

指先は痛みを含む感覚の神経がとても密な場所。紙の傷は浅く血があまり出ず、神経の通る層がむき出しのまま、しかも指を動かすたびに刺激される。

ひとことで言うと指先はセンサーだらけ。そこに浅いキズがむき出しになるから痛い!

もくじ
  1. 理由1:指先は「センサーの密集地帯」
  2. 理由2:浅いからこそ、ふさがりにくい
  3. 理由3:一日中、傷を「使って」いる
  4. まとめ

書類をめくった瞬間、「いたっ!」。見ると、指先にうっすら赤い線。転んでひざをすりむいたときより、なぜかずっと痛い気がする。

答えを先に言うと、理由は大きく3つあります。①指先は全身でもトップクラスに神経が密な場所、②紙の傷は浅くて血があまり出ず、神経のある層がむき出しになりやすい、③指は一日中動かすので、傷が何度も刺激される。小さな傷なのに、痛みの条件がそろってしまうのです。

01理由1:指先は「センサーの密集地帯」

指先は、物の形や質感を見分けるための精密な道具です。そのため、皮膚の感覚を伝える神経が特に密集しています。

2020年のイギリスの研究(Corniani さんと Saal さん)の推計では、全身の触覚の神経線維のうち、両手のひら側だけで約15%を占めるとされます。体の面積から見ると、とんでもない集中ぶりです。

つまり指先は、痛みの「どこが」を細かく見分けられる場所。その分、小さな傷でもはっきり気づきやすいと考えられます。

02理由2:浅いからこそ、ふさがりにくい

深い切り傷はたくさん血が出ますが、血はやがて固まってかさぶたのフタになります。

一方、紙で切った傷は、皮膚の表面からほんの少しの深さ。神経の末端がある層までは届くのに、血はにじむ程度しか出ません。そのため傷口がフタをされないまま空気や汗にさらされ、ヒリヒリが続きやすいと考えられています。

紙の傷は浅いのに、神経の通る層まで届いてしまう
紙の傷は浅いのに、神経の通る層まで届いてしまう

03理由3:一日中、傷を「使って」いる

指はスマホ、ペン、ドアノブ、キーボードと、一日に数えきれないほど物に触れます。

そのたびに傷口が引っぱられたり押されたりして、閉じかけた傷がまた開く。腕の傷ならじっとさせておけますが、指先はそうはいきません。治りかけを何度も邪魔されることが、「いつまでも地味に痛い」感覚につながります。

心理的な要素もありそうです。痛みは、注意を向けるほど強く感じやすいことが知られています。指先の傷は作業のたびに目に入り、触れるたびに存在を思い出させられる。気をそらしにくい場所にあることも、痛みを大きく感じさせているのかもしれません。

04まとめ

紙で切ると痛いのは、神経だらけの指先に、ふさがりにくい浅い傷ができ、それを一日中使って刺激してしまうから。小さくても、痛みの条件がフルコースでそろった傷なのです。

「たかが紙の傷」と放っておかず、絆創膏でフタをしてあげましょう。それだけで、ヒリヒリはずいぶん静かになるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy does a tiny paper cut hurt more than a scraped knee? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why does a tiny paper cut hurt more than a scraped knee? First, fingertips are packed with nerve endings. In 1979, Swedish researchers recorded signals from nerves in the hand and found that touch nerves are many times denser in the fingertips than in the palm. A 2014 study also showed that fingertips can locate pain more precisely than the other body parts tested.

Second, a paper cut is shallow. It reaches the layer where nerve endings are, but it does not bleed much, so it is not sealed by a scab. Third, we use our fingers constantly, so the cut is pulled and pressed again and again. The best idea is to clean it and cover it.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

小さな紙の切り傷が、すりむいたひざより痛いのはなぜでしょうか。第一に、指先には神経の末端がぎっしり詰まっています。1979年、スウェーデンの研究者たちは手の神経から信号を記録し、触覚を伝える神経は手のひらより指先のほうが何倍も密であることを発見しました。2014年の研究では、指先は調べられたほかの部位よりも正確に痛みの場所を特定できることも示されました。

第二に、紙の傷は浅いのです。神経の末端がある層までは届くのに、あまり血が出ないので、かさぶたでふさがれません。第三に、私たちは絶えず指を使うので、傷は何度も引っぱられたり押されたりします。いちばん良いのは、傷を洗ってふさぐことです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the 1979 study find?

Q3. Why does the author suggest covering the cut?

重要単語

  • fingertipA2
    名詞指先My fingertip is very sensitive. tip は「先端」。at one's fingertips は「すぐ使える、熟知して」という熟語。
  • nerve endingB2
    名詞(句)神経終末(神経の先端)Nerve endings send pain signals to the brain. nerve は「神経」のほか get on one's nerves「~をいらいらさせる」も頻出。
  • shallowB1
    形容詞浅いA paper cut is shallow but painful. 反意語は deep。「(考えが)浅はかな」の意味でも使う。
  • densityB2
    名詞密度The density of nerves is high in the fingers. 形容詞 dense(密な)。population density「人口密度」は地理・社会の長文で頻出。
  • woundB1
    名詞傷Cover the wound to protect it. 発音は /wuːnd/(ウーンド)。wind の過去形 wound /waʊnd/ と区別。
  • preciselyB2
    副詞正確に、精密にFingertips can locate pain very precisely. 形容詞 precise、名詞 precision。with great precision「非常に正確に」。
紙で指を切ると、大ケガでもないのに妙に痛い。理由は、指先が「痛みの場所」を、調べた体の部位の中で一番細かく見分けられる場所だから。しかも浅い傷は血でふさがりにくく、使うたびに刺激されるらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Mancini et al. (2014) Whole-body mapping of spatial acuity for pain and touch, Annals of Neurologydoi.org
  2. Johansson & Vallbo (1979) Tactile sensibility in the human hand: relative and absolute densities of four types of mechanoreceptive units in glabrous skin, The Journal of Physiologydoi.org
  3. Corniani & Saal (2020) Tactile innervation densities across the whole body, Journal of Neurophysiologydoi.org