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ガムの味が消えるのは「香りがなくなったから」じゃなかった。鼻にはまだミントが届いていたのに

ガムの味が消えるのは「香りがなくなったから」じゃなかった。鼻にはまだミントが届いていたのに

読む前に予想してみよう!

ガムの味が消えたと感じるとき、ミントの香り成分はもう出てこなくなっている

研究カード(どんな研究?)
対象
訓練を受けた評価者
規模
少人数
研究の種類
実験研究(成分測定+官能評価)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ガムの味が消えていくとき、ミントの香り成分はまだ鼻に届いていた。感じるミント味の強さは、香りではなく「砂糖の量」に合わせて下がっていた。

ひとことで言うと砂糖入りガムの味が消えるとき、ミントの香りはまだあって、なくなっていたのは「甘さ」だったよ!

もくじ
  1. 口の中と鼻の中を、同時に"実況中継"
  2. 甘さが「香り」を支えていた
  3. 「もう一度甘くすると、ミントが復活」?
  4. まとめ

ミントガムをかんでいると、最初はスーッと爽やかなのに、しばらくすると「味がなくなった」と感じますよね。

ふつうに考えれば、「ガムの中のミントの香りが全部出ていってしまったから」と思うはずです。

ところが、イギリスの研究者たちが口と鼻の中を同時に測ってみると、意外なことがわかりました。ミントの香りは、まだしっかり鼻に届いていたのです。では、いったい何がなくなっていたのでしょうか?

01口の中と鼻の中を、同時に"実況中継"

ガムをかみ続けると、砂糖は唾液に溶けて口から早く出ていってしまいます。一方、ミントの香り成分は、ガムの中からゆっくりと長く出続けます。

それなのに、人の感じる「ミント味」は、砂糖がなくなるタイミングで一緒に消えていたのです。

ミントの香りはまだ出ているのに、感じるミント味は「甘さ」と一緒に消えていった
ミントの香りはまだ出ているのに、感じるミント味は「甘さ」と一緒に消えていった

02甘さが「香り」を支えていた

この結果が示しているのは、味(甘さ)と香りは、脳の中で互いに影響し合っているということです。

食べ物の「風味」の多くは、口から鼻へ抜ける香りで感じています。ただし脳は、その香りを単独で評価しているのではなく、舌から届く味の情報とセットで「これは○○味だ」と判断しているようです。

ミントと甘さは、ガムの中で「いっしょにあるもの」として覚えられています。だから、甘さが消えると、脳はミントの香りの存在感まで弱く見積もってしまう——そんなふうに考えられます。

私たちは毎日、「甘いミント」「甘いイチゴ」「しょっぱいしょうゆ」のように、味と香りのセットを何度も経験しています。脳はそのセットを覚えていて、片方が欠けると、もう片方も「なんだか物足りない」と感じるのです。

03「もう一度甘くすると、ミントが復活」?

この話には、ちょっとした家庭実験のネタもあります。味がなくなったガムをかみながら、砂糖や甘いものを少し口に入れると、ミントの香りが"よみがえった"ように感じるという体験談はよく語られます。

厳密に検証された実験ではありませんが、今回の研究結果から考えると、理屈に合った現象かもしれません。

04まとめ

ガムの味が消えるのは、ミントの香りがなくなったからではなく、甘さがなくなったからのようでした(砂糖入りの市販ガムでの結果です)。鼻にはまだミントが届いていたのに、感じるミント味は甘さの減り方に合わせて弱まっていたのです。

味と香りは、脳の中でチームを組んでいる。次にガムをかむときは、「今、消えているのは甘さのほうだ」と思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy does chewing gum lose its flavor? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why does chewing gum lose its flavor? You might guess that the mint aroma simply runs out. In 1999, researchers at the University of Nottingham tested this idea.

Trained tasters chewed mint gum while the team measured three things at the same time. They checked the amount of sugar on the tongue and the amount of mint aroma reaching the nose. They also asked the tasters how strong the mint flavor felt.

The results were not what most people would expect. The mint aroma kept coming out slowly for a long time, but the sugar disappeared much faster. And the tasters' sense of mint faded together with the sugar. So the brain seems to judge flavor by combining taste and smell.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ガムはなぜ味がなくなるのでしょうか。ミントの香りが単に尽きてしまうのだと思うかもしれません。1999年、ノッティンガム大学の研究者たちはこの考えを検証しました。

訓練を受けた評価者がミントガムをかみ、その間にチームは3つのことを同時に測りました。舌の上の砂糖の量と、鼻に届くミントの香りの量を調べました。また、ミント味がどれくらい強く感じられるかを評価者にたずねました。

結果は、多くの人が予想するものとは違いました。ミントの香りは長い時間ゆっくりと出続けましたが、砂糖はずっと早くなくなりました。そして、評価者が感じるミント味は、砂糖とともに弱まっていきました。つまり、脳は味と香りを組み合わせて風味を判断しているようです。

4択リーディングクイズ

Q1. How many things did the researchers measure at the same time?

Q2. Which disappeared faster from the gum?

Q3. What can we infer from this study?

重要単語

  • chewA2
    動詞かむChew your food slowly. chewing gum「チューインガム」の chew。bite(かじる・かみつく)との違いに注意。
  • releaseB1
    名詞・動詞放出(する)The gum slowly releases its flavor. 「解放する」「(新作を)発売する」などの意味もある多義語。press release「報道発表」。
  • aromaB2
    名詞香りThe mint aroma reached my nose. ふつう良い香りに使う。aromatherapy(アロマテラピー)と同じ語。
  • perceiveB2
    動詞知覚するWe perceive flavor with both taste and smell. 名詞は perception。perceived ~「知覚された~・感じられる~」は研究英語の定番。
  • interactionB2
    名詞相互作用There is an interaction between sweetness and aroma. inter-(間で)+action。interact with ~「~と相互に作用する・交流する」。
  • integrateC1
    動詞統合するThe brain integrates taste and smell. 名詞は integration。integrate A into B「A を B に組み込む」の形でも頻出。

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4コマでわかる

ガムの味が消えるのは「香りがなくなったから」じゃなかった。鼻にはまだミントが届いていたのにの4コマ漫画
ガムの味がなくなるのは、ミントの香りが抜けたからだと思ってた。でもイギリスの実験で、香り成分はまだ鼻に届いているのに、感じるミント味は「砂糖の減り方」に合わせて弱まっていたらしい。甘さが香りを“支えて”いた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Davidson et al. (1999) Effect of sucrose on the perceived flavor intensity of chewing gum, Journal of Agricultural and Food Chemistrydoi.org
  2. Rozin (1982) "Taste-smell confusions" and the duality of the olfactory sense, Perception & Psychophysicsdoi.org
  3. Small et al. (2005) Differential neural responses evoked by orthonasal versus retronasal odorant perception in humans, Neurondoi.org