ガムの味が消えるのは「香りがなくなったから」じゃなかった。鼻にはまだミントが届いていたのに

読む前に予想してみよう!
ガムの味が消えたと感じるとき、ミントの香り成分はもう出てこなくなっている
実験では、香り成分はまだ鼻に届いていたのに、甘さが減るとともにミント味が弱く感じられた。
- 対象
- 訓練を受けた評価者
- 規模
- 少人数
- 研究の種類
- 実験研究(成分測定+官能評価)
- 確かさ
- ★★★☆☆
ガムの味が消えていくとき、ミントの香り成分はまだ鼻に届いていた。感じるミント味の強さは、香りではなく「砂糖の量」に合わせて下がっていた。
ひとことで言うと砂糖入りガムの味が消えるとき、ミントの香りはまだあって、なくなっていたのは「甘さ」だったよ!
ミントガムをかんでいると、最初はスーッと爽やかなのに、しばらくすると「味がなくなった」と感じますよね。
ふつうに考えれば、「ガムの中のミントの香りが全部出ていってしまったから」と思うはずです。
ところが、イギリスの研究者たちが口と鼻の中を同時に測ってみると、意外なことがわかりました。ミントの香りは、まだしっかり鼻に届いていたのです。では、いったい何がなくなっていたのでしょうか?
01口の中と鼻の中を、同時に"実況中継"
ガムをかみ続けると、砂糖は唾液に溶けて口から早く出ていってしまいます。一方、ミントの香り成分は、ガムの中からゆっくりと長く出続けます。
それなのに、人の感じる「ミント味」は、砂糖がなくなるタイミングで一緒に消えていたのです。

02甘さが「香り」を支えていた
この結果が示しているのは、味(甘さ)と香りは、脳の中で互いに影響し合っているということです。
食べ物の「風味」の多くは、口から鼻へ抜ける香りで感じています。ただし脳は、その香りを単独で評価しているのではなく、舌から届く味の情報とセットで「これは○○味だ」と判断しているようです。
ミントと甘さは、ガムの中で「いっしょにあるもの」として覚えられています。だから、甘さが消えると、脳はミントの香りの存在感まで弱く見積もってしまう——そんなふうに考えられます。
私たちは毎日、「甘いミント」「甘いイチゴ」「しょっぱいしょうゆ」のように、味と香りのセットを何度も経験しています。脳はそのセットを覚えていて、片方が欠けると、もう片方も「なんだか物足りない」と感じるのです。
03「もう一度甘くすると、ミントが復活」?
この話には、ちょっとした家庭実験のネタもあります。味がなくなったガムをかみながら、砂糖や甘いものを少し口に入れると、ミントの香りが"よみがえった"ように感じるという体験談はよく語られます。
厳密に検証された実験ではありませんが、今回の研究結果から考えると、理屈に合った現象かもしれません。
04まとめ
ガムの味が消えるのは、ミントの香りがなくなったからではなく、甘さがなくなったからのようでした(砂糖入りの市販ガムでの結果です)。鼻にはまだミントが届いていたのに、感じるミント味は甘さの減り方に合わせて弱まっていたのです。
味と香りは、脳の中でチームを組んでいる。次にガムをかむときは、「今、消えているのは甘さのほうだ」と思い出してみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy does chewing gum lose its flavor?
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
When you chew mint gum for a while, the taste seems to disappear. Most people think the mint smell is all gone.
But scientists in Britain found something different. They checked the air from people's noses while they chewed. The mint smell was still there! What was gone was the sugar. When the sweetness went away, the mint taste also felt weaker. Taste and smell work together in our brain.
70 words ・ CEFR A2
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ミントガムをしばらくかんでいると、味が消えてしまうように感じます。たいていの人は、ミントの香りが全部なくなったのだと思います。
しかし、イギリスの科学者たちはちがうことを発見しました。彼らは、人々がガムをかんでいる間、鼻から出る空気を調べました。ミントの香りはまだそこにあったのです!なくなっていたのは砂糖でした。甘さがなくなると、ミントの味も弱く感じられたのです。味と香りは、私たちの脳の中でいっしょにはたらいています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ガムの味が消えるように感じる理由(香りではなく甘さが消える)を説明しているので A。
Q2. What did the scientists find in the air from people's noses?
The mint smell was still there! とあるので D。
Q3. In this passage, "chew" means ...
chew は「かむ」。口の中で食べ物をかみ続ける動作なので B。
Why does chewing gum lose its flavor? You might guess that the mint aroma simply runs out. In 1999, researchers at the University of Nottingham tested this idea.
Trained tasters chewed mint gum while the team measured three things at the same time. They checked the amount of sugar on the tongue and the amount of mint aroma reaching the nose. They also asked the tasters how strong the mint flavor felt.
The results were not what most people would expect. The mint aroma kept coming out slowly for a long time, but the sugar disappeared much faster. And the tasters' sense of mint faded together with the sugar. So the brain seems to judge flavor by combining taste and smell.
121 words ・ CEFR B1
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ガムはなぜ味がなくなるのでしょうか。ミントの香りが単に尽きてしまうのだと思うかもしれません。1999年、ノッティンガム大学の研究者たちはこの考えを検証しました。
訓練を受けた評価者がミントガムをかみ、その間にチームは3つのことを同時に測りました。舌の上の砂糖の量と、鼻に届くミントの香りの量を調べました。また、ミント味がどれくらい強く感じられるかを評価者にたずねました。
結果は、多くの人が予想するものとは違いました。ミントの香りは長い時間ゆっくりと出続けましたが、砂糖はずっと早くなくなりました。そして、評価者が感じるミント味は、砂糖とともに弱まっていきました。つまり、脳は味と香りを組み合わせて風味を判断しているようです。
4択リーディングクイズ
Q1. How many things did the researchers measure at the same time?
measured three things at the same time とあり、砂糖の量・香りの量・感じるミント味の強さの3つなので C。
Q2. Which disappeared faster from the gum?
the mint aroma kept coming out slowly ..., but the sugar disappeared much faster とあるので A。
Q3. What can we infer from this study?
ミント味の感じ方は砂糖の量に合わせて変化したので、甘さを足せばミント味が強く感じられる可能性があると推測できる。正解は D。
Most people assume that chewing gum goes bland because the mint aroma has been used up. In 1999, researchers at the University of Nottingham put that assumption to the test. While trained panelists chewed commercial mint gum, the team tracked three variables at once: the concentration of sucrose in the saliva on the tongue, the amount of menthone, a key mint aroma compound, reaching the nose with each breath, and the panelists' moment-by-moment ratings of mint flavor.
In both gums tested, sucrose was released quickly and soon declined, while menthone kept coming out for much longer. The panelists' sense of mint faded along with the sugar. It did not track the aroma, which was still there. The most likely explanation is that the brain combines taste and smell, having learned through repeated experience that mint and sweetness go together, so when one partner disappears, the other seems weaker.
The tasters were a small panel of trained assessors, and ordinary gum chewers might respond differently. Some people report that adding sugar to tasteless gum brings the mint back, though no one has tested this rigorously. This may also explain why a little sweetness can lift the aromas in a dish.
199 words ・ CEFR B2
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たいていの人は、ガムの味がなくなるのはミントの香りが使い果たされたからだと思い込んでいます。1999年、ノッティンガム大学の研究者たちは、この思い込みを検証しました。訓練を受けた評価者が市販のミントガムをかんでいる間、チームは3つの変数を同時に追跡しました。
舌の上の唾液に含まれるショ糖の濃度、主要なミントの香り成分であるメントンが一呼吸ごとに鼻に届く量、そして評価者がその時々に感じるミント味の強さの評価です。調べた2種類のガムのどちらでも、ショ糖はすばやく放出されてすぐに減っていきましたが、メントンはそれよりずっと長く出続けました。評価者が感じるミント味は、砂糖とともに弱まっていきました。香りはまだ出ていたのに、それには連動しなかったのです。最も有力な説明は、脳が味と香りを組み合わせており、ミントと甘さはセットであることをくり返しの経験から学んでいるため、片方がいなくなるともう片方も弱く感じられる、というものです。
評価者は訓練を受けた少人数のグループだったので、ふつうにガムをかむ人は違う反応をするかもしれません。味のなくなったガムに砂糖を加えるとミントがよみがえると言う人もいますが、これを厳密に検証した人はいません。少しの甘さが料理の香りを引き立てる理由も、これで説明できるかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What assumption did the 1999 study challenge?
Most people assume that chewing gum goes bland because the mint aroma has been used up. とあり、1999年の研究が put that assumption to the test(その思い込みを検証した)とあるので B。
Q2. According to the passage, what did perceived mint flavor follow?
The panelists' sense of mint faded along with the sugar. It did not track the aroma とあるので C。
Q3. Which statement about adding sugar to tasteless gum is correct according to the passage?
Some people report ... though no one has tested this rigorously. とあるので A。体験談はあるが未検証。
重要単語
- chewA2動詞かむChew your food slowly.
chewing gum「チューインガム」の chew。bite(かじる・かみつく)との違いに注意。 - releaseB1名詞・動詞放出(する)The gum slowly releases its flavor.
「解放する」「(新作を)発売する」などの意味もある多義語。press release「報道発表」。 - aromaB2名詞香りThe mint aroma reached my nose.
ふつう良い香りに使う。aromatherapy(アロマテラピー)と同じ語。 - perceiveB2動詞知覚するWe perceive flavor with both taste and smell.
名詞は perception。perceived ~「知覚された~・感じられる~」は研究英語の定番。 - interactionB2名詞相互作用There is an interaction between sweetness and aroma.
inter-(間で)+action。interact with ~「~と相互に作用する・交流する」。 - integrateC1動詞統合するThe brain integrates taste and smell.
名詞は integration。integrate A into B「A を B に組み込む」の形でも頻出。
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動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
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ガムの味がなくなるのは、ミントの香りが抜けたからだと思ってた。でもイギリスの実験で、香り成分はまだ鼻に届いているのに、感じるミント味は「砂糖の減り方」に合わせて弱まっていたらしい。甘さが香りを“支えて”いた。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Davidson et al. (1999) Effect of sucrose on the perceived flavor intensity of chewing gum, Journal of Agricultural and Food Chemistrydoi.org
- Rozin (1982) "Taste-smell confusions" and the duality of the olfactory sense, Perception & Psychophysicsdoi.org
- Small et al. (2005) Differential neural responses evoked by orthonasal versus retronasal odorant perception in humans, Neurondoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











