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飛行機で耳がキーンと痛くなるのはなぜ? 痛いのは「上昇」より「着陸前」だった理由

飛行機で耳がキーンと痛くなるのはなぜ? 痛いのは「上昇」より「着陸前」だった理由

読む前に予想してみよう!

飛行機で耳が痛くなりやすいのは、離陸してすぐの上昇中である

研究カード(どんな研究?)
対象
飛行機の乗客
規模
188人(質問票)・134人(診察)
研究の種類
前向き比較研究+総説
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

鼓膜の奥の空気の部屋(中耳)と機内の気圧に差ができると耳が詰まる。上昇中は空気が自然に抜けやすいが、降下中は耳管を自分で開けないと圧が戻らず、痛みやすい。

ひとことで言うと耳のおくの「空気の部屋」と外の気圧がずれると、キーンとなる!

もくじ
  1. 鼓膜の奥には「空気の部屋」がある
  2. 上昇中は「勝手に抜ける」、降下中は「自分で開ける」
  3. 乗客を診察したら、何割に耳のトラブルが?
  4. どんでん返し:子ども・風邪の人は要注意
  5. まとめ

飛行機が着陸に向けて高度を下げ始めると、耳がツーンと詰まって、だんだん痛くなる。赤ちゃんが泣き出すのも、たいていこのタイミングです。

答えを先に言うと、原因は鼓膜の奥にある小さな「空気の部屋」(中耳)と、機内の気圧のズレです。そして痛みやすいのは、離陸後の上昇中より着陸前の降下中。それには、耳とのどをつなぐ「耳管(じかん)」という弁の性質が関係しています。

01鼓膜の奥には「空気の部屋」がある

耳の穴の突き当たりには鼓膜があり、その奥には中耳という空気の入った小さな部屋があります。中耳は、耳管という細い管で、のどの奥(鼻の奥)とつながっています。

ふだん耳管は閉じています。でも、つばを飲み込んだり、あくびをしたりすると一瞬開き、中耳の空気が入れかわって、外の気圧と同じに保たれます。耳が「ポコッ」と鳴るのは、この瞬間です。

02上昇中は「勝手に抜ける」、降下中は「自分で開ける」

飛行機の機内は、高い空の上でもある程度の気圧に保たれていますが、地上よりは低くなります。

  • 上昇中:機内の気圧が下がると、中耳の空気がふくらみます。押された空気は、閉じた耳管を内側から押し開けて自然に抜けやすいため、比較的ラクです
  • 降下中:機内の気圧が上がると、中耳の中が相対的に「低い気圧」になり、鼓膜が内側に引っぱられます。今度は、外から中耳へ空気を入れないといけませんが、耳管はつぶれる向きに力がかかって開きにくく、飲み込みやあくびで自分から開けないと圧が戻りません

この「降下中に開けそこねる」ことが積み重なると、鼓膜が強く引っぱられて痛みが出たり、中耳に液がたまったりします。これを航空性中耳炎(気圧外傷)と呼びます。

上昇中は空気が勝手に抜ける。降下中は耳管を自分で開けないといけない
上昇中は空気が勝手に抜ける。降下中は耳管を自分で開けないといけない

03乗客を診察したら、何割に耳のトラブルが?

研究チームは論文で、これまでの報告では飛行後の航空性中耳炎は8〜17%程度と幅があることも紹介しています。耳のトラブルは、決して珍しくないのです。

04どんでん返し:子ども・風邪の人は要注意

同じグループは1996年、子どもの乗客についても調べ、子どもでも飛行後の航空性中耳炎が珍しくないことを報告しています。一般に、子どもは耳管の形が大人と違い、自分でうまく開けるのも苦手なため、耳のトラブルが起きやすいと考えられています。

また、2005年の総説(Mirza さんら)は、航空性の耳の気圧外傷は耳管が中耳と外の気圧を等しくできないことで起こり、上昇後、または降下後(より多い)に生じると整理しています。風邪や鼻炎で耳管が開きにくいと起こりやすいとされています。「着陸前に耳が痛い」は、体調にも左右されるのです。

05まとめ

飛行機で耳が痛くなるのは、中耳の気圧と機内の気圧がズレるから。上昇中は空気が自然に抜けやすいのに、降下中は耳管を自分で開けないと圧が戻らないため、着陸前が要注意でした。

次の着陸前には、ガムやお水を用意して、耳の「空気の部屋」の換気を手伝ってあげましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEar pain on a plane is most common when the plane is coming down to land. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Ear pain on a plane is most common when the plane is coming down to land. Behind the eardrum is the middle ear, a small space filled with air. It is connected to the back of the nose by the Eustachian tube, which is usually closed.

A Danish study found signs of trouble in 15 percent of ears on flights with no special measures. When passengers blew up a small balloon with their nose during descent, the figure fell to 6 percent.

Why is landing worse? During the climb, cabin pressure falls, and the expanding air in the middle ear pushes the tube open by itself. During descent, cabin pressure rises and pulls the eardrum inward. The tube tends to stay shut unless we swallow or yawn.

127 words ・ CEFR B1

和訳を見る

飛行機での耳の痛みは、着陸に向けて下りていくときに最もよく起こります。鼓膜の奥には、空気で満たされた小さな空間である中耳があります。中耳は耳管によって鼻の奥とつながっており、耳管はふだん閉じています。

デンマークの研究では、特別な対策をしない便で、耳の15%にトラブルの兆候が見られました。乗客が降下中に鼻で小さな風船をふくらませると、その数字は6%に下がりました。

なぜ着陸のときのほうがつらいのでしょうか。上昇中は機内の気圧が下がり、中耳でふくらんだ空気が自然に耳管を押し開けます。降下中は機内の気圧が上がり、鼓膜を内側に押し込みます。耳管は、つばを飲み込んだりあくびをしたりしない限り、閉じたままになりがちです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. In the Danish study, what percentage of ears showed problems when people used the balloon?

Q3. Why is the climb usually easier for the ears than the descent?

重要単語

  • eardrumB2
    名詞鼓膜The eardrum vibrates when sound hits it. ear+drum(太鼓)。音で太鼓のように振動するイメージ。
  • pressureB1
    名詞圧力、気圧Air pressure changes during a flight. air pressure「気圧」、blood pressure「血圧」、peer pressure「仲間からの圧力」。
  • descentB2
    名詞降下My ears hurt during the descent. 動詞 descend。反対は ascent / ascend(上昇)。「家系・血統」の意味もある。
  • swallowB1
    動詞飲み込むSwallowing helps open the tube in your ear. 名詞では「ツバメ」の意味もある同形異義語。swallow one's pride「プライドを抑える」。
  • yawnB1
    動詞あくびをするTry to yawn when your ears feel blocked. 発音は /jɔːn/(ヨーン)。yawning is contagious「あくびはうつる」。
  • inflateB2
    動詞ふくらませるPassengers inflated a small balloon with their nose. 名詞 inflation は「インフレ(物価上昇)」。反対は deflate(空気を抜く)。
飛行機で耳が痛くなるのは、上昇より着陸前が多い。鼓膜の奥の空気の部屋は、上昇中は空気が勝手に抜けるが、降下中は“のどの奥の管”を自分で開けないと圧が戻らないから。降下中に鼻で風船をふくらませると耳のトラブルが減ったとか。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Stangerup et al. (2004) Point Prevalence of Barotitis and Its Prevention and Treatment with Nasal Balloon Inflation: A Prospective, Controlled Study, Otology & Neurotologydoi.org
  2. Stangerup et al. (1996) Barotitis in children after aviation; prevalence and treatment with Otovent, The Journal of Laryngology & Otologydoi.org
  3. Mirza & Richardson (2005) Otic barotrauma from air travel, The Journal of Laryngology & Otologydoi.org