飛行機でトマトジュースが飲みたくなる理由? 機内の騒音で「うま味」が強く感じられていた

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大きな騒音の中では、すべての味が同じように弱く感じられる
機内騒音を再現した実験では、甘味は弱まったが、うま味はむしろ強く感じられ、塩味・酸味・苦味は変わらなかった。
- 対象
- 実験参加者
- 規模
- 48人
- 研究の種類
- 実験研究(クロスオーバー)
- 確かさ
- ★★☆☆☆
コーネル大の実験で、機内のような騒音の中では甘味が弱く、うま味が強く感じられた。うま味たっぷりのトマトジュースが機内で人気なのは、このせいかもしれない。
ひとことで言うと飛行機の「ゴーッ」という音で、うま味が強く感じられるかも!
飛行機の中で、ふだんは飲まないトマトジュースをなぜか頼みたくなる——そんな経験はありませんか?
実はこれ、多くの人が感じている"空の不思議"です。航空会社の機内サービスでも、トマトジュースはおなじみのメニュー。地上ではそれほど人気がないのに、空の上では注文が増えるという話もあります。
この現象に、ひとつの科学的なヒントを出したのが、アメリカ・コーネル大学の実験でした。飛行機の騒音が、味の感じ方を変えていたかもしれないのです。
01機内は「ずっと掃除機の横」レベルの騒音
飛行中の客室は、エンジンや風を切る音で、85デシベルを超えることもあるといわれます。これは、すぐそばで掃除機をかけ続けているような大きさです。
そんな環境で、私たちは食事をしているわけです。機内食が「なんだか味が薄い」と言われがちなのも、気圧や乾燥だけでなく、音も関係しているかもしれません。
02騒音の中で5つの味を試したら…
「騒音の中だと味が全部ぼやける」のではなく、味によって変わり方がちがったのがポイントです。そしてトマトは、グルタミン酸(うま味成分)をたっぷり含む食材。騒音の中でうま味が引き立つなら、トマトジュースが「機内でおいしく感じる」のも納得がいきます。

03なぜ「耳」が「舌」に影響するの?
研究者たちは、ひとつの仮説を立てています。
舌の前のほうの味を脳へ伝える神経(鼓索神経)は、なんと耳の鼓膜のすぐそばを通っています。大きな音で鼓膜が振動すると、この神経が影響を受け、味の信号が変わるのではないか、というのです。
ただし、これはまだ仮説の段階です。脳の中で、音と味の情報がどう混ざるのかについては、ほかの説明も考えられています。
もしこの仮説が正しければ、うま味は騒がしい場所でも「負けにくい」味ということになります。機内食や、にぎやかな場所で食べる料理の味つけに、だしやトマト、チーズなどのうま味をうまく使う——そんな工夫にもつながるかもしれません。
04「騒音で味が変わる」は前からあった
実は、2011年のイギリスの研究でも、大きな雑音の中では甘さや塩味を弱く感じ、パリパリ感は強く感じたという報告があります。2014年の総説では、騒音が食べ物や飲み物の感じ方に与える影響が、さまざまな研究からまとめられています。
とはいえ、これらの実験は参加者の数が限られていて、実験室の溶液やお菓子を使ったもの。機内のトマトジュース人気を「騒音のせい」と言い切れるほどの証拠ではありません。気圧の低下や空気の乾燥、そして「機内ではトマトジュース」という習慣やイメージも関係していそうです。
05まとめ
飛行機でトマトジュースが飲みたくなるのは、機内の騒音で甘味が弱まり、うま味が強く感じられることが関係しているのかもしれません。ただし、まだ1つの実験から生まれた有力な仮説です。
次に飛行機に乗ったら、トマトジュースを一口。「今、騒音でうま味がブーストされているのかも」と味わってみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany airline passengers say they want tomato juice on a plane, even if they rarely drink it on the ground.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
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Many people like to drink tomato juice on planes. Why? Scientists at Cornell University asked 48 people to taste sweet, salty, sour, bitter and umami liquids. They tasted them in a quiet room and with loud noise like a plane.
In the noise, sweet tastes felt weaker, but umami felt stronger. Umami is a rich, savory taste. Tomatoes have a lot of umami, so the noise may make tomato juice taste better.
72 words ・ CEFR A2
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飛行機の中でトマトジュースを飲むのが好きな人はたくさんいます。なぜでしょうか。コーネル大学の科学者たちは、48人に甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の液体を味わってもらいました。彼らは静かな部屋と、飛行機のような大きな騒音の中の両方で味わいました。
騒音の中では甘味が弱く感じられましたが、うま味は強く感じられました。うま味とは、コクのある、だしのような味です。トマトにはうま味がたくさんあるので、騒音のせいでトマトジュースがよりおいしく感じられるのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
騒音の中で甘味が弱く、うま味が強く感じられた実験が中心で、飛行機でのトマトジュースと結びつけているので C。
Q2. How many people took part in the study?
asked 48 people to taste ... とあるので A。
Q3. In this passage, "weaker" means ...
weak は「弱い」、weaker は「より弱い」。sweet tastes felt weaker は「甘味が弱く感じられた」なので B。
Many airline passengers say they want tomato juice on a plane, even if they rarely drink it on the ground. A 2015 experiment at Cornell University offers one possible reason. Researchers asked 48 participants to taste solutions of the five basic tastes at different strengths. Each person tasted them in silence and while listening to loud noise that copied the sound inside an airplane cabin.
In the noisy condition, sweetness seemed weaker, while umami seemed stronger. Salty, sour and bitter tastes did not change. Because tomatoes contain a lot of glutamate, the substance behind umami, the noise may make tomato juice taste especially good in the air. However, this idea is still only a hypothesis.
115 words ・ CEFR B1
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多くの航空機の乗客は、地上ではめったに飲まなくても、飛行機ではトマトジュースが飲みたくなると言います。2015年にコーネル大学で行われた実験が、その理由の一つの可能性を示しています。研究者たちは48人の参加者に、5つの基本味の溶液をさまざまな濃さで味わってもらいました。一人ひとりが、静かな状態と、飛行機の客室内の音を再現した大きな騒音を聞きながらの状態で味わいました。
騒音のある条件では、甘味は弱く感じられ、うま味は強く感じられました。塩味・酸味・苦味は変わりませんでした。トマトにはうま味のもとであるグルタミン酸がたっぷり含まれているので、騒音によって空の上ではトマトジュースが特においしく感じられるのかもしれません。ただし、この考えはまだ仮説にすぎません。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the researchers compare in the experiment?
Each person tasted them in silence and while listening to loud noise ... とあり、静かな状態と騒音下を比べたので B。
Q2. Which taste did NOT change in the noisy condition?
Salty, sour and bitter tastes did not change. とあるので D。甘味は弱まり、うま味は強まった。
Q3. What does the writer suggest by saying "this idea is still only a hypothesis"?
hypothesis は「仮説」。騒音とトマトジュース人気の関係はまだ証明されていない、という含みなので A。
Passengers who seldom order tomato juice on the ground often say they crave it on a plane. A 2015 study from Cornell University points to cabin noise as part of the reason. Forty-eight participants rated the strength of solutions representing the five basic tastes. They did it twice, once in quiet and once while hearing loud noise designed to imitate an aircraft cabin, which can exceed 85 decibels.
With the noise on, sweetness seemed weaker and umami seemed stronger. Ratings for salty, sour and bitter did not change. The researchers suggested that the chorda tympani, a taste nerve that runs close to the eardrum, might be disturbed by intense sound. That mechanism has not been tested yet. The experiment had other limits too. It used laboratory solutions instead of real in-flight meals, and it involved only 48 people.
So the noise effect is a promising lead, but it may not be the whole answer. Lower cabin pressure, dry air and plain habit may also help explain why tomato juice is such a popular order once the drinks cart comes down the aisle.
182 words ・ CEFR B2
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地上ではめったにトマトジュースを注文しない乗客が、飛行機に乗ると無性に飲みたくなるとよく言います。2015年のコーネル大学の研究は、その理由の一部として客室の騒音を挙げています。48人の参加者が、5つの基本味を表す溶液の強さを評価しました。評価は2回行われ、一度は静かな中で、もう一度は85デシベルを超えることもある航空機の客室をまねた大きな騒音を聞きながらでした。
騒音があると、甘味は弱く、うま味は強く感じられました。塩味・酸味・苦味の評価は変わりませんでした。研究者たちは、鼓膜のすぐ近くを通る味覚神経である鼓索神経が、強い音によって乱されるのではないかと考えました。この仕組みはまだ検証されていません。実験にはほかにも限界がありました。実際の機内食ではなく実験室の溶液を使っており、参加者も48人にすぎませんでした。
つまり騒音の効果は有望な手がかりですが、それですべてが説明できるわけではないかもしれません。客室の気圧の低さ、乾燥した空気、そして単なる習慣も、飲み物のカートが通路をやって来たときにトマトジュースがこれほど人気の注文になる理由の説明になりそうです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main purpose of the passage?
騒音と味覚の研究を紹介し、後半で限界(溶液・人数・他の要因)を述べているので B。A は「唯一の理由」と言い切っており、it may not be the whole answer と矛盾。
Q2. According to the passage, what is true about the chorda tympani explanation?
might be disturbed by intense sound の直後に That mechanism has not been tested yet. とあるので D。
Q3. Which factor does the writer mention as another possible reason for tomato juice's popularity in flight?
Lower cabin pressure, dry air and plain habit may also help explain ... とあるので A。
重要単語
- cabinB1名詞(飛行機の)客室The cabin was noisy during the flight.
cabin crew(客室乗務員)、cabin pressure(客室の気圧)のセットで覚える。山小屋の意味もある。 - noiseA2名詞騒音Loud noise can change how food tastes.
形容詞は noisy(うるさい)。background noise(周囲の雑音)は長文頻出。 - in-flightB1形容詞機内のIn-flight meals are often seasoned strongly.
名詞の前に置く形容詞。in-flight meal / in-flight entertainment(機内エンタメ)が定番。 - intensityB2名詞強さ・強度The intensity of sweetness dropped in the noisy room.
intense(強烈な)の名詞形。high-intensity exercise(高強度運動)のように研究でよく使う。 - nerveB1名詞神経A taste nerve runs near the eardrum.
nervous(緊張した)と同語源。get on one's nerves「イライラさせる」も入試で出る。 - hypothesisB2名詞仮説The idea is still only a hypothesis.
複数形は hypotheses。test a hypothesis(仮説を検証する)は研究英語の定番コロケーション。 - cravingC1名詞強い欲求・無性に欲しくなることI have a craving for something salty.
crave(切望する)の名詞形。have a craving for ~ の形で使う。
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飛行機に乗るとなぜかトマトジュースが飲みたくなる人、多いらしい。コーネル大の実験では、機内のような騒音の中だと甘味は弱く、うま味は逆に強く感じられたんだとか。うま味たっぷりのトマトが、空の上でおいしくなる理由かも。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Yan & Dando (2015) A crossmodal role for audition in taste perception, Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performancedoi.org
- Woods et al. (2011) Effect of background noise on food perception, Food Quality and Preferencedoi.org
- Spence (2014) Noise and its impact on the perception of food and drink, Flavourdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












