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「人は1日で7割忘れる」は誤解だった? 忘却曲線の正しい読み方と復習のベストタイミング

「人は1日で7割忘れる」は誤解だった? 忘却曲線の正しい読み方と復習のベストタイミング

読む前に予想してみよう!

エビングハウスの忘却曲線は「覚えた内容の何%を忘れたか」を表している

研究カード(どんな研究?)
対象
エビングハウス本人・追試者1人/成人1,350人以上
規模
自己実験+大規模オンライン実験+数百実験のメタ分析
研究の種類
実験研究+メタ分析
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

忘却曲線の数字は「忘れた量」ではなく「覚え直しで節約できた時間」。でも、時間をあけて復習すると強く残るのは本当。

ひとことで言うと一気にやるより、日をあけて何回も復習する方が残る!

もくじ
  1. 140年前、自分を実験台にした男
  2. 「一気に」より「ばらばらに」が勝つ
  3. じゃあ、何日あければいいの?
  4. 「すぐ復習」が一番お得、とは限らない
  5. まとめ

「人間は1日たつと、覚えたことの7割を忘れる」。塾や勉強本で一度は見たことがある忘却曲線のグラフです。

ところがこの数字、元の研究を読むと「忘れた割合」ではありません。ちょっと意外な正体があるんです。

でも安心してください。グラフの読み方は誤解されがちでも、そこから導かれる「復習は日をあけて何回も」という結論は、その後の研究でしっかり支えられています。

01140年前、自分を実験台にした男

ここがポイント。エビングハウスが測ったのは節約率です。

節約率とは「最初は10回かかったのに、2回目は7回で覚えられた。だから30%節約できた」というような数字。つまり曲線が下がっても、記憶がゼロになったわけではなく、脳の奥に「下地」が残っているんです。

02「一気に」より「ばらばらに」が勝つ

同じ時間勉強するなら、1日にまとめるより、何日かに分けた方が長く残ります。これを分散学習(間隔効果)と呼びます。

2006年、心理学者セペダらは、この効果を調べた数百の実験結果をまとめて分析(メタ分析=たくさんの研究を束ねて全体の傾向を見る方法)し、分散学習の有利さを確認しました。

一夜漬けでも翌日のテストはなんとかなります。でも、期末テストや受験で「前に習った範囲」が出たとき、一夜漬けの記憶はほとんど残っていません。

03じゃあ、何日あければいいの?

2008年のセペダらの大規模なオンライン実験(1,350人以上、最長で約1年後にテスト)では、本番までの期間が長いほど、復習の間隔も長くするのが良いという傾向が見つかりました。

ざっくりした目安はこんな感じです。

  • 1週間後のテスト → 1〜2日くらいあけて復習
  • 1か月以上先の試験 → 1〜2週間あけて復習も効く

ただし「何日が絶対正解」という魔法の数字はありません。大事なのは少し忘れかけたころに思い出すことです。

復習の間隔は、だんだん広げていくのがコツ
復習の間隔は、だんだん広げていくのがコツ

04「すぐ復習」が一番お得、とは限らない

「忘れる前に、すぐ復習すればいいのでは?」と思うかもしれません。でも、覚えた直後の復習は簡単すぎて、思い出す努力がほとんどいりません。

むしろ少し時間をあけて、「えーと、何だっけ…」と苦労しながら思い出す方が、記憶はしっかり強化されると考えられています。研究者たちは、こうした「ちょっと大変だけど学びを深めるむずかしさ」を望ましい困難と呼んでいます。

ただし、あけすぎて完全に忘れてしまうと、覚え直しに時間がかかります。目指すのは「思い出せるか、ギリギリ」のタイミング。復習で思い出せなかった項目は、次の間隔を短めにすると調整しやすくなります。

05まとめ

忘却曲線は「人はすぐ忘れるから絶望しよう」というグラフではなく、「忘れても下地は残る。だから日をあけて復習しよう」というグラフです。

忘れることは失敗ではありません。少し忘れたところで思い出すたびに、記憶は太くなっていきます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe forgetting curve is often explained as "people forget 70 percent of what they learn within a day."… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The forgetting curve is often explained as "people forget 70 percent of what they learn within a day." However, Hermann Ebbinghaus, who published the curve in 1885, did not measure how much he forgot. He memorized lists of meaningless syllables and then recorded how much time he saved when relearning them later.

Even when the curve dropped, the memory had not completely gone, because relearning was still faster than the first time. What matters more is the spacing effect. A 2006 review of hundreds of experiments confirmed that spreading study over several days works better than cramming. A 2008 online experiment with more than 1,350 people also showed that the further away a test is, the longer the gaps between reviews should be.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

忘却曲線は「人は学んだことの70パーセントを1日以内に忘れる」と説明されることがよくあります。しかし、1885年にこの曲線を発表したヘルマン・エビングハウスは、自分がどれだけ忘れたかを測ったのではありません。彼は意味のないつづりのリストを覚え、後でそれを覚え直すときにどれだけ時間を節約できたかを記録したのです。

曲線が下がっても、記憶は完全に消えてはいませんでした。覚え直す方が最初より速かったからです。もっと大事なのは間隔効果です。数百の実験をまとめた2006年のレビューは、勉強を数日に分散させる方が一夜漬けよりも効果的であることを確認しました。1,350人以上が参加した2008年のオンライン実験も、テストが先であるほど、復習の間隔を長くすべきだということを示しました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did Ebbinghaus memorize in his experiments?

Q2. What did the 2008 online experiment show?

Q3. Why does the writer say the memory had not completely gone?

重要単語

  • forgetting curveB2
    名詞(句)忘却曲線The forgetting curve drops quickly at first. curve は「曲線・カーブ」。learning curve(学習曲線)は a steep learning curve「覚えるのが大変」という比喩でも使う。
  • spacing effectC1
    名詞(句)間隔効果(分散学習の効果)The spacing effect is one of the most reliable findings in memory research. space は動詞で「間隔をあける」。spaced practice / distributed practice も同じ意味で使われる。
  • cramC1
    動詞詰め込み勉強をする、一夜漬けするCramming may work for tomorrow but not for next month. 本来は「(物を)ぎゅうぎゅうに詰め込む」。cram for an exam「試験のために詰め込む」。cram school は「塾」。
  • retentionC1
    名詞保持、記憶の定着Spaced review improves long-term retention. retain(保持する)の名詞形。customer retention(顧客の維持)のようにビジネスでも使う。
  • intervalB2
    名詞間隔Increase the interval between reviews little by little. inter-(間)+val(壁)=「壁と壁の間」。at regular intervals「一定の間隔で」は頻出表現。
  • misleadingB2
    形容詞誤解を招くThe popular explanation of the graph is misleading. mislead(誤った方向に導く)の形容詞形。発音は「ミスリーディング」。データの読み方を論じる評論文で頻出。
  • syllableB2
    名詞音節・つづりEbbinghaus memorized lists of nonsense syllables. 英語のアクセント問題で「第何音節」と言うときの「音節」。nonsense syllable は「無意味つづり」。

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「人は1日で7割忘れる」でおなじみの忘却曲線、実は“忘れた割合”のグラフじゃないらしい。それでも、日をあけた復習が最強なのはガチだった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Murre & Dros (2015) Replication and analysis of Ebbinghaus' forgetting curve, PLOS ONEdoi.org
  2. Cepeda, Pashler, Vul, Wixted & Rohrer (2006) Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis, Psychological Bulletindoi.org
  3. Cepeda, Vul, Rohrer, Wixted & Pashler (2008) Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention, Psychological Sciencedoi.org
  4. Carpenter, Pan & Butler (2022) The science of effective learning with spacing and retrieval practice, Nature Reviews Psychologydoi.org