数学の問題は「単元ごと」より「ごちゃ混ぜ」で解け。1週間後の正答率が約3倍になった実験

読む前に予想してみよう!
練習中の正答率が低くても、問題の種類を混ぜて解いた方が後のテストで点が高くなることがある
混ぜると練習中は難しく感じるが、「どの解き方を使うか」を選ぶ力がつき、時間がたったテストで逆転した。
- 対象
- 大学生・中高生
- 規模
- 数十人の実験〜787人の教室RCT+メタ分析
- 研究の種類
- 実験研究+ランダム化比較試験+メタ分析
- 確かさ
- ★★★★☆
同じ種類の問題をまとめて解くより、種類を混ぜて解いた方が1週間後のテストで大差がついた。練習中は混ぜる方が「できない」と感じるのがミソ。
ひとことで言うといろんな種類の問題を、まぜこぜにして練習しよう!
問題集って、だいたい「1次関数→1次関数→1次関数…」と同じタイプが並んでいますよね。実はあの並び順、本番に強くなる練習としてはベストじゃないかもしれません。
違う種類の問題を混ぜて解くやり方を、心理学では交互練習(インターリービング)と呼びます。トランプをシャッフルするように、問題の順番をばらばらにするイメージです。
そしてこのシャッフル、実験でかなりの差をつけました。
01練習では負けたのに、本番で圧勝
練習中は「まとめ派」の方が気持ちよく正解できます。直前に同じ解き方を使ったばかりなので、考えなくても手が動くからです。
でも本番のテストは、問題に「これは何の問題です」と書いてありません。「どの解き方を使うか」を自分で選ぶ力が必要なんです。混ぜて練習すると、毎回それを選ぶ練習ができるわけですね。
02絵の作者当てでも同じことが起きた
交互練習が効くのは数学だけではありません。
2008年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のコーネルとビョークの実験では、12人の画家の風景画を見て「誰の作品か」を学ぶとき、画家ごとにまとめるより、混ぜて見た方が新しい絵の作者を当てられるようになりました。
面白いのは、参加者の多くが「まとめて見た方が覚えられた」と感じていたこと。ここでも、手応えと実力がずれていたんです。

2020年には、米国の中学1年生(7年生)787人が参加したランダム化比較試験で、数学の宿題を数か月にわたって混ぜて出したクラスの方が、1か月後のテストで大きく上回ったと報告されています。2022年には、高校の理科の授業(9〜12年生155人)でも、週1回の小テストの問題を概念ごとにまとめるより、混ぜて出した方が1か月後の成績が良かった(正答率63%対54%)と報告されています。
03どうやって混ぜればいい?
ただし、習ったばかりで解き方がまだ分からない段階では、まとめて練習した方がいい場面もあります。まず「型」を覚え、そのあとシャッフルする、という順番がおすすめです。
04混ぜると「自然に日があく」というおまけ
交互練習には、もう一つうれしいおまけがあります。種類を混ぜて解くと、同じタイプの問題に再び出会うまでに自然と間があくんです。
つまり、交互練習をするだけで、日をあけて復習する分散学習の効果も一緒についてくる。ローラーらも、この「間があく効果」が交互練習の強さの一部だと考えています。
それでも多くの人がまとめ練習を選んでしまうのは、スラスラ解けるときの手応えが「上達した証拠」に見えるから。勉強中のスムーズさと、本当に身についたかどうかは別物だということは、多くの研究で指摘されています。
テスト前に「最後の総仕上げ」として、各単元から数問ずつ選んだミックス問題セットを自作してみるのもおすすめ。本番と同じく「何の問題か分からない」状態で解く練習になります。
05まとめ
勉強の「手応え」は、ときどき私たちをだまします。スラスラ解ける練習は気持ちいいけれど、本番の力になるのはちょっと迷いながら解く練習です。
次に問題集を開くときは、ページの順番どおりではなく、ばらばらに解いてみてください。最初は点が下がっても、それは伸びている途中のサインです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerInterleaving means mixing different types of problems during practice instead of doing one type at a time.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Most math workbooks give you the same type of problem again and again. But mixing different types may be better. In a 2007 study, students practiced finding the volume of shapes. One group did one type at a time.
The other group mixed the types. During practice, the first group did better. But one week later, the mixed group scored about 63 percent, and the other group only about 20 percent.
71 words ・ CEFR A2
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ほとんどの数学の問題集は、同じ種類の問題を何度も出します。しかし、違う種類を混ぜる方が良いかもしれません。2007年の研究で、学生たちは立体の体積を求める練習をしました。一方のグループは1種類ずつ解きました。
もう一方のグループは種類を混ぜて解きました。練習中は、最初のグループの方が良い成績でした。しかし1週間後、混ぜたグループは約63パーセントの得点で、もう一方のグループは約20パーセントだけでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
問題の種類を混ぜて練習すると、後のテストで良い結果になる、という内容なので D。
Q2. How did the mixed group score one week later?
the mixed group scored about 63 percent とあるので B。20%はまとめて解いたグループ。
Q3. In this passage, "mixing" means ...
mix は「混ぜる」。違う種類の問題を一緒にすることなので C。
Interleaving means mixing different types of problems during practice instead of doing one type at a time. In 2007, Rohrer and Taylor asked university students to learn how to find the volumes of different solids. Students who practiced one type at a time did better during practice, but a week later, students who had mixed the problems scored about 63 percent, compared with about 20 percent.
Why? On a real test, problems do not tell you which method to use, and mixed practice trains you to choose. A 2020 study with 787 seventh-graders also found that mixed math homework led to much higher test scores a month later. But learners often feel that blocked practice works better, even when it does not.
122 words ・ CEFR B1
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交互練習とは、1種類ずつ解くのではなく、練習中に違う種類の問題を混ぜることです。2007年、ローラーとテイラーは大学生に、さまざまな立体の体積の求め方を学ばせました。1種類ずつ練習した学生は練習中は成績が良かったのですが、1週間後には、問題を混ぜた学生が約63パーセントだったのに対し、もう一方は約20パーセントでした。
なぜでしょうか。本番のテストでは、問題がどの方法を使うべきかを教えてくれません。混ぜた練習は、それを選ぶ訓練になるのです。787人の7年生を対象とした2020年の研究でも、混ぜた数学の宿題によって1か月後のテストの点数がずっと高くなりました。ところが、学習者はしばしば、実際にはそうでないときでも、まとめ練習の方が効果的だと感じます。
4択リーディングクイズ
Q1. What happened during practice in the 2007 study?
Students who practiced one type at a time did better during practice とあるので A。1週間後に逆転した。
Q2. According to the passage, why does mixed practice help on real tests?
problems do not tell you which method to use, and mixed practice trains you to choose とあるので C。
Q3. What does the last sentence suggest?
まとめ練習の方が効くと感じても実際はそうでない、とあるので、手応えと実際の学習は一致しないと読み取れる。正解は B。
Most textbooks organize practice in blocks, presenting many problems of the same type in a row. Research on interleaving, the deliberate mixing of problem types, suggests that this arrangement may be a poor preparation for exams. In a 2007 experiment, Rohrer and Taylor taught university students to calculate the volumes of several solids. Students who practiced in blocks did better during practice, yet a week later the interleaved group answered about 63 percent correctly, compared with about 20 percent for the blocked group.
A likely explanation is that interleaving forces learners to decide which strategy fits each problem, a skill that real tests demand but blocked practice hides. Mixing also spaces out repetitions of each type, adding the benefits of spaced practice. Unusually for educational research, the effect has been confirmed in classrooms: a 2020 randomized trial with 787 seventh-graders found substantially higher scores a month later.
But interleaving is not a universal solution. A 2019 meta-analysis showed that its benefit depends heavily on similarity; it helps most when categories are easy to confuse, but may even be harmful for learning vocabulary. Beginners may also need some blocked practice to learn a method before shuffling.
195 words ・ CEFR B2
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ほとんどの教科書は練習をブロック単位で構成し、同じ種類の問題を連続して多く出します。交互練習、つまり問題の種類を意図的に混ぜることに関する研究は、この並べ方が試験への準備としては不十分かもしれないことを示しています。2007年の実験で、ローラーとテイラーは大学生にいくつかの立体の体積を計算する方法を教えました。まとめて練習した学生は練習中には上回っていましたが、1週間後には、交互に練習したグループが約63パーセント正解したのに対し、まとめたグループは約20パーセントでした。考えられる説明は、交互練習では学習者がどの方略がそれぞれの問題に合うかを決めざるをえない、ということです。
これは本番のテストが求めるのに、まとめ練習では見えなくなってしまう技能です。混ぜることで各種類の繰り返しの間隔もあくため、分散学習の効果も加わります。教育研究としては珍しく、この効果は教室でも確かめられています。787人の7年生を対象とした2020年のランダム化試験では、1か月後の点数がかなり高くなりました。
ただし、交互練習は万能の解決策ではありません。2019年のメタ分析は、その効果が類似性に大きく左右されることを示しました。カテゴリーが混同しやすいときに最も役立ちますが、単語学習ではかえって不利になることさえあります。また初心者は、混ぜる前に、方法を身につけるためのまとめ練習がある程度必要かもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, what skill does blocked practice "hide"?
interleaving forces learners to decide which strategy fits each problem, a skill that real tests demand but blocked practice hides とあるので B。
Q2. Why does the author describe the 2020 study as "unusual for educational research"?
Unusually for educational research, the effect has been confirmed in classrooms として787人の教室RCTを挙げているので D。
Q3. When does interleaving help most, according to the 2019 meta-analysis?
it helps most when categories are easy to confuse とあるので A。単語学習ではむしろ不利になりうる。
重要単語
- interleaveC1動詞交互に混ぜるInterleave different types of math problems.
inter-(間に)+leaf(紙のページ)=ページの間に別の紙をはさむ、が原義。名詞 interleaving(交互練習)。 - blocked practiceC1名詞(句)まとめ練習(同じ種類を続ける練習)Blocked practice feels easy but fades quickly.
block(ひとかたまり)ごとに練習すること。interleaved practice との対比で覚える。 - discriminateC1動詞見分ける、区別するMixed practice helps you discriminate between problem types.
discriminate between A and B「A と B を見分ける」。discriminate against ~ は「~を差別する」で意味が変わるので注意。 - strategyB1名詞解き方、戦略Choosing the right strategy is part of the skill.
形容詞 strategic。tactic(個々の戦術)より大きな計画を指す。 - shuffleB2動詞混ぜる、シャッフルするShuffle your flashcards before each review.
トランプを混ぜる動作が原義。音楽プレーヤーの「シャッフル再生」でもおなじみ。 - volumeB1名詞体積・量・音量Calculate the volume of the cone.
「体積」「音量」「(本の)巻」の多義語。turn up the volume「音量を上げる」。 - deliberateB2形容詞意図的な・慎重なInterleaving is the deliberate mixing of problem types.
副詞 deliberately(わざと)は on purpose と同義で入試頻出。deliberate practice は「意図的な練習」。
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- Interleaving(The Learning Scientists)learningscientists.org
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Rohrer & Taylor (2007) The shuffling of mathematics problems improves learning, Instructional Sciencedoi.org
- Kornell & Bjork (2008) Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"?, Psychological Sciencedoi.org
- Rohrer, Dedrick, Hartwig & Cheung (2020) A randomized controlled trial of interleaved mathematics practice, Journal of Educational Psychologydoi.org
- Sana & Yan (2022) Interleaving retrieval practice promotes science learning, Psychological Sciencedoi.org
- Brunmair & Richter (2019) Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators, Psychological Bulletindoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













