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【Science掲載】試験直前の10分、不安を紙に書き出したら点数が上がった

【Science掲載】試験直前の10分、不安を紙に書き出したら点数が上がった

読む前に予想してみよう!

テスト前の不安な気持ちは、紙に書き出しても意味がない

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・米国の高校生
規模
実験室2実験+教室2実験(各20〜55人)
研究の種類
実験室実験+教室でのランダム化実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

試験前に約10分、テストへの不安を紙に書き出した生徒は、特に不安が強い人ほど成績が良かった。不安が頭の作業スペースを占領するのを防ぐと考えられる。

ひとことで言うとテストの前に、こわい気持ちを紙に書き出すと、本番で力を出しやすい!

もくじ
  1. 不安を書いた生徒の方が、点数が上がった
  2. 不安は「頭の作業スペース」を占領する
  3. 本番直前の「書き出し」のやり方
  4. 何でも書けばいい、わけではない
  5. まとめ

ここ一番のテストで、頭が真っ白になった経験はありませんか? 家では解けた問題なのに、本番だと手が止まる。いわゆる本番で力が出せない状態です。

そんな「本番に弱い」人に試してほしい、とてもシンプルな方法があります。それは、試験の直前に、不安な気持ちを紙に書き出すこと。

「そんなことで?」と思うかもしれませんが、世界トップクラスの科学誌 Science に載った研究なんです。

01不安を書いた生徒の方が、点数が上がった

面白いのは、不安が強い生徒は、ふだんなら本番で成績を落としがちなのに、書き出したことで不安の弱い生徒とあまり変わらない成績をとれた点です。

02不安は「頭の作業スペース」を占領する

なぜ書き出すと効くのか。カギはワーキングメモリです。

ワーキングメモリは、問題を解くときに情報を一時的に置いておく頭の中の作業机のようなもの。ところが、「失敗したらどうしよう」「親に怒られる」といった心配ごとが、この机の上を占領してしまうことがあります。そうなると、肝心の問題を解くスペースが足りなくなるんです。

不安を紙に移すと、頭の作業机が空く
不安を紙に移すと、頭の作業机が空く

書き出すことで心配ごとを紙の上に移し、自分の気持ちを整理できる。その結果、作業机が片付いて、本来の力が出せるようになると考えられています。

ちなみに、つらい気持ちを文章にする筆記開示(ひっきかいじ)という方法自体は、1980年代から米国の心理学者ペネベーカーらによって研究されてきました。ただし、多くの研究をまとめた2006年のメタ分析では、心身の健康への効果は平均すると小さいとされています。

03本番直前の「書き出し」のやり方

ただし、2018年に別の研究チームが行った事前登録の追試(実験室の実験)では、この効果は再現されませんでした。効果の大きさは状況によって違い、どんな人にも必ず効く万能薬ではありません。特に、もともと不安があまりない人では、効果が見られにくいようです。

04何でも書けばいい、わけではない

「じゃあ、試験前に何か文章を書けば落ち着くのかな?」と思うかもしれません。

ラミレスとベイロックの実験室の研究では、テストと関係ない出来事について書いたグループも用意されていましたが、このグループでは成績の改善は見られませんでした。効果があったのは、テストへの不安そのものを書き出した場合だったんです。

ポイントは、もやもやした不安を言葉にして外に出すこと。「失敗したら親にがっかりされそう」「時間が足りなくなるのが怖い」など、具体的に書くほど、頭の中で漠然と渦巻いていた心配が整理されやすくなります。

05まとめ

「緊張しちゃダメ」と気持ちを押さえ込むより、一度紙に出してしまう。たったそれだけで、頭の作業机が片付きます。

次の大事なテストでは、試験直前の数分を「不安の書き出しタイム」にしてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany students know how it feels to freeze during an important exam. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many students know how it feels to freeze during an important exam. In 2011, Ramirez and Beilock at the University of Chicago published a study in the journal Science that tested a simple solution. First, in a laboratory, university students who wrote freely about their feelings for about ten minutes before a stressful math test performed better than students who simply sat and waited.

Then the researchers tried the idea in a high school biology final exam. Students with high test anxiety benefited the most, and they scored almost as well as calm students. The researchers believe worries take up working memory, the mental desk we use to solve problems. Writing seems to move those worries onto paper and clear the desk.

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの学生は、大事な試験の最中に固まってしまう感覚を知っています。2011年、シカゴ大学のラミレスとベイロックは、シンプルな解決策を試した研究を科学誌『Science』に発表しました。まず実験室で、ストレスのかかる数学のテストの前に約10分間自分の気持ちを自由に書いた大学生は、ただ座って待っていた学生より良い成績をとりました。

次に研究者たちは、この方法を高校の生物の期末試験で試しました。テスト不安の強い生徒が最も恩恵を受け、落ち着いた生徒とほぼ同じくらいの点数をとりました。研究者たちは、心配ごとがワーキングメモリ、つまり問題を解くために使う頭の中の机を占領すると考えています。書くことで、そうした心配ごとが紙の上に移り、机が片付くようです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the students in the laboratory experiment do before the math test?

Q2. What happened to students with high test anxiety in the high school study?

Q3. Why does writing about worries seem to help?

重要単語

  • anxietyB2
    名詞不安Test anxiety can make your mind go blank. 形容詞 anxious。be anxious about ~「~を心配している」と be anxious to do「~したがっている」の意味の違いは入試頻出。
  • expressive writingC1
    名詞(句)筆記開示(気持ちを書き出すこと)Expressive writing helps you put feelings into words. express(表現する)の形容詞 expressive。put ~ into words「~を言葉にする」も一緒に覚えたい。
  • chokeC1
    動詞(プレッシャーで)実力を出せずに失敗するSome athletes choke in big games. 本来は「息が詰まる・窒息する」。choke under pressure「プレッシャーで力を出せない」は心理学・スポーツの定番表現。
  • pressureB1
    名詞重圧、プレッシャーWriting before the exam may reduce the pressure you feel. press(押す)の名詞形。under pressure「重圧の下で」、peer pressure「仲間からの同調圧力」。
  • worryA2
    名詞・動詞心配(する)Write down every worry, then turn the paper over. worry about ~「~を心配する」。be worried about も同じ意味。名詞では数えられる(worries)点に注意。
  • stakesC1
    名詞(成否にかかっているもの)賭け金The stakes are high in an entrance exam. the stakes are high「失敗したときの損失が大きい」。high-stakes test(人生を左右する試験)も頻出。
  • substantiallyC1
    副詞大幅に・かなりWriting substantially narrowed the gap. substantial(相当な)の副詞形。considerably とほぼ同義で、研究結果の大きさを表すときに使う。

動画でもっと知る

4コマでわかる

【Science掲載】試験直前の10分、不安を紙に書き出したら点数が上がったの4コマ漫画
試験の直前に10分間、「テストの何が不安か」を紙に書き出すだけで成績が上がったという研究がScienceに載っている。特に不安が強い生徒ほど効果が大きかったらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Ramirez & Beilock (2011) Writing about testing worries boosts exam performance in the classroom, Sciencedoi.org
  2. Beilock & Carr (2005) When high-powered people fail: Working memory and "choking under pressure" in math, Psychological Sciencedoi.org
  3. Pennebaker (1997) Writing about emotional experiences as a therapeutic process, Psychological Sciencedoi.org
  4. Frattaroli (2006) Experimental disclosure and its moderators: A meta-analysis, Psychological Bulletindoi.org