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楽しみで本を読む子は、数学まで伸びていた。親の学歴より強かった「読書の力」

楽しみで本を読む子は、数学まで伸びていた。親の学歴より強かった「読書の力」

読む前に予想してみよう!

楽しみのための読書は、国語の力にしか関係しない

研究カード(どんな研究?)
対象
1970年生まれの英国人/フィンランドの子ども
規模
約3,600人/約2,500人
研究の種類
縦断研究(出生コホート・追跡調査)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

イギリスの約3,600人の追跡研究で、10歳のころ楽しみで本を読んでいた子は、16歳までに語彙も数学も大きく伸びていた。その関係は親の学歴よりも強かった。

ひとことで言うと楽しみで本を読むと、ことばの力だけでなく数学の力まで伸びるかも!

もくじ
  1. 1970年生まれの約3,600人を追いかけた
  2. 「読める子が読む」のか、「読むから読める」のか
  3. どんでん返し:「何を読むか」で結果がちがった
  4. まとめ

「本を読みなさい」は、大人が子どもに言いがちなセリフの代表格です。でも、「本を読むと何が良いの?」と聞かれると、「国語の成績が上がるから…?」くらいしか答えられないかもしれません。

ところが、イギリスで数千人を追いかけた研究によると、楽しみで本を読む子は、語彙だけでなく数学の力まで伸びていたのです。しかもその関係は、親の学歴よりも強かったといいます。

011970年生まれの約3,600人を追いかけた

同じ研究では、「楽器を演奏する」という別の文化的な活動も調べましたが、こちらは学力の伸びとはほとんど関係していませんでした。

02「読める子が読む」のか、「読むから読める」のか

もちろん、「もともと勉強ができる子が、読書も好きなだけでは?」という疑問は当然出てきます。

オランダのMolさんとBusさんは2011年、乳幼児から大学生までの99の研究(約7,700人)をまとめたメタ分析で、この問いに一つの答えを出しました。読む力が高い子ほどたくさん読み、たくさん読むほど読む力がさらに伸びるという「上向きのらせん(好循環)」があるというのです。

しかも、読書量と言葉の力の関係は、年齢が上がるほど強くなっていきました。読書が苦手な子も、自分から楽しんで読むことで恩恵を受けていたそうです。

読むほど読めるようになり、読めるほど読みたくなる「好循環」
読むほど読めるようになり、読めるほど読みたくなる「好循環」

03どんでん返し:「何を読むか」で結果がちがった

では、スマホでSNSやネット記事を読むのも「読書」になるのでしょうか。フィンランドのTorppaさんらは2020年、約2,500人の子どもを7歳から16歳まで追跡しました。

その結果、低学年のうちは「読む力が弱い子ほど読書をしなくなる」という向きの関係が目立ちました。一方、学年が上がると、余暇の読書が多い子ほど、その後の読解力が伸びるという関係が見られ、とくに本を読むことが読解力の伸びと結びついていました。

ところが、デジタルの文章を読むことは、読む力とマイナスの関係にありました。論文のタイトルにある通り、「読書なら何でもいい」わけではなかったのです。

04まとめ

楽しみで本を読む子は、語彙だけでなく数学の力まで伸びていた。しかも、その関係は親の学歴より強かった。読書は、家庭環境にかかわらず、誰でも始められる「学びのブースター」かもしれません。

ただし、カギは楽しんで読むことと、できれば本を読むこと。次の休みには、スマホを置いて、気になる1冊を手に取ってみませんか。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAdults often tell children to read more, but what are the real benefits? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Adults often tell children to read more, but what are the real benefits? Researchers at University College London analyzed data from about 3,600 people born in Britain in 1970. They took family background, parents' education and the number of books at home into account.

Even so, children who read for pleasure made greater progress in vocabulary between ages 10 and 16. Reading was also linked, more weakly, to progress in math.

In fact, the link between reading and progress was stronger than the link between parents' education and progress. A review of 99 studies describes an "upward spiral." Good readers read more, and reading more makes them even better readers. A Finnish study added one warning. Reading digital texts was linked to weaker reading skills.

125 words ・ CEFR B1

和訳を見る

大人はよく子どもにもっと本を読むように言いますが、本当の利点は何なのでしょうか。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、1970年にイギリスで生まれた約3,600人のデータを分析しました。彼らは家庭の背景、親の学歴、家にある本の数を考慮に入れました。

それでも、楽しみで本を読んでいた子どもは、10歳から16歳の間に語彙がより大きく伸びていました。読書は、より弱いものの、数学の伸びとも結びついていました。

実は、読書と学力の伸びの結びつきは、親の学歴と学力の伸びの結びつきよりも強かったのです。99の研究をまとめたレビューは「上向きのらせん」について述べています。読む力のある子ほどたくさん読み、たくさん読むほどさらに読む力が伸びるのです。フィンランドの研究は、1つ注意点を加えました。デジタルの文章を読むことは、読む力の弱さと結びついていたのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the researchers in London find?

Q2. Which factor was the link with reading stronger than?

Q3. What does "upward spiral" mean in this passage?

重要単語

  • reading for pleasureB1
    名詞(句)楽しみのための読書Reading for pleasure helps build vocabulary. for pleasure「楽しみのために」⇔ for business「仕事で」。leisure reading とも言う。
  • vocabularyB1
    名詞語彙Her vocabulary grew a lot this year. 「単語1つ」ではなく「語彙全体」を指す。have a large vocabulary「語彙が豊富だ」。
  • comprehensionB2
    名詞理解(力)Book reading predicted better reading comprehension. 動詞 comprehend(理解する)。comprehensive(包括的な)とは意味が違うので注意。
  • cohortC1
    名詞同じ時期に生まれた集団The study followed a cohort born in 1970. cohort study「コホート研究」は同じ集団を長期間追跡する研究方法。
  • leisureB2
    名詞余暇What do you do in your leisure time? 発音はアメリカ英語で /ˈliːʒər/(リージャー)、イギリス英語で /ˈleʒə/(レジャ)。
  • upward spiralC1
    名詞(句)好循環Reading and skill create an upward spiral. 反対は downward spiral(悪循環)。vicious circle(悪循環)、virtuous circle(好循環)も同義。

4コマでわかる

楽しみで本を読む子は、数学まで伸びていた。親の学歴より強かった「読書の力」の4コマ漫画
イギリスで約3,600人を追跡した研究で、子どものころ楽しみで本を読んでいた人は、10〜16歳で語彙だけでなく数学の力まで大きく伸びていたらしい。しかもその関係は親の学歴より強かった。読むなら「本」がカギという研究も。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Sullivan & Brown (2015) Reading for pleasure and progress in vocabulary and mathematics, British Educational Research Journaldoi.org
  2. Torppa et al. (2020) Leisure Reading (But Not Any Kind) and Reading Comprehension Support Each Other—A Longitudinal Study Across Grades 1 and 9, Child Developmentdoi.org
  3. Mol & Bus (2011) To read or not to read: A meta-analysis of print exposure from infancy to early adulthood, Psychological Bulletindoi.org