テストは「朝イチ」が有利? デンマーク全公立校のデータでわかった休み時間の力

読む前に予想してみよう!
休み時間を減らして授業を増やした方が、テストの点は上がりやすい
デンマークのデータでは、20〜30分の休憩をはさむとテストの成績が上がっていた。休憩は頭の回復に役立つ。
- 対象
- デンマークの公立校の子ども
- 規模
- 全公立校・4年度分のテスト
- 研究の種類
- 大規模な自然実験(行政データ分析)
- 確かさ
- ★★★★☆
デンマークの全公立校の子どものテストを分析したら、1時間遅くなるごとに成績が少し下がった。でも20〜30分の休憩をはさむと、それ以上に回復していた。
ひとことで言うと時間がたつと頭は疲れる。でも休み時間でちゃんと回復する!
1時間目と6時間目、同じテストを受けるならどっちがいい? なんとなく「朝の方が頭がスッキリしてそう」と思う人は多いかもしれません。
この素朴な疑問に、デンマークの研究者たちが国全体のテストデータで答えを出しました。さらにその研究は、休み時間がテストの点を上げるという、ちょっとうれしい発見もしていたのです。
01テストの時間は「くじ引き」みたいなものだった
数字だけ見ると小さく感じますが、国全体で見れば無視できない差です。そして大事なのは、休憩による回復が、1時間分の疲れによる低下より大きかったことです。
研究チームは、この結果を学校の評価にも結びつけています。もしテストの時間帯が学校ごとにちがえば、「午後にテストを受けた学校は、実力より低く見える」ことになります。テストの点で学校を比べるなら、受けた時間帯のような外の要因も考慮すべきだ、というわけです。
02頭も「スタミナ切れ」を起こす
研究チームは、この現象を「認知的疲労」で説明しています。授業を受け続けると、集中するための力が少しずつ消耗していく。でも休憩をはさむと、それが回復するというわけです。

03休み時間があるクラスは、先生の評価が良かった
アメリカでも休み時間の価値を示す研究があります。Barrosさんらは2009年、8〜9歳の約1万人のデータを分析し、1日に15分以上の休み時間が1回以上あるクラスでは、先生が評価した「クラスの行動」の得点が良好だったと報告しました(『Pediatrics』誌)。
ただし、休み時間がほとんどないクラスには、低所得家庭や大都市の学校が多いといった偏りもありました。統計的に調整はしていますが、休み時間だけの効果とは言い切れません。
アメリカ小児科学会は2013年の声明で、休み時間は「子どもの発達に欠かせない時間」であり、罰として取り上げたり、授業時間確保のために削ったりすべきではないと述べています。
日本の学校には、授業の合間の10分休みや昼休みがあります。テスト期間中、休み時間も机にかじりついて単語帳を見続けている人は多いかもしれません。でもこの研究を見ると、休憩をはさんで頭を休ませることには、ちゃんと意味がありそうです(ただし研究で効果が見られたのは20〜30分の休憩です)。
04まとめ
テストは時間が遅くなるほど、ほんの少し不利になる。でも、20〜30分の休み時間はそれ以上の回復力を持っていました。
休み時間は「勉強していない時間」ではなく、次の勉強のための充電時間。テスト期間こそ、ちゃんと休んでくださいね。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany students feel that their minds are fresher in the morning.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Is it better to take a test in the morning? Researchers in Denmark looked at national tests taken by all children in public schools. The test time depended on the school timetable, not on the students. Scores went down a little for every hour later in the day. Our brains get tired.
But after a break of 20 to 30 minutes, scores went up again, even more than they had gone down. So breaks really help.
76 words ・ CEFR A2
和訳を見る
テストは朝に受けた方がいいのでしょうか。デンマークの研究者たちは、公立校のすべての子どもが受けた全国テストを調べました。テストの時間は生徒ではなく、学校の時間割によって決まっていました。1日の中で1時間遅くなるごとに、点数は少しずつ下がりました。私たちの脳は疲れるのです。
しかし、20〜30分の休憩の後には点数が再び上がり、下がった分よりも多く上がりました。つまり、休憩は本当に役に立つのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
テストの時間帯で点数が下がることと、休憩で回復することがテーマなので B。
Q2. What happened after a break of 20 to 30 minutes?
after a break of 20 to 30 minutes, scores went up again とあるので D。
Q3. In this passage, "tired" means ...
tired は「疲れた」。休みが必要な状態なので A。
Many students feel that their minds are fresher in the morning. Researchers in Denmark tested this idea using national computer-based tests taken by every child in public schools over four school years, 2009/10 to 2012/13. In Denmark, the time of each test depended on class schedules and when the computer room was free, so it was almost like a natural lottery. The researchers found that for every hour later in the day, test scores fell by 0.9 percent of a standard deviation.
However, students who took the test right after a 20 to 30 minute break scored 1.7 percent of a standard deviation higher. The researchers explained this with "cognitive fatigue." The mind gets tired during lessons, but breaks restore it.
121 words ・ CEFR B1
和訳を見る
多くの生徒は、朝の方が頭がすっきりしていると感じています。デンマークの研究者たちは、2009/10年度から2012/13年度の4年度にわたって公立校のすべての子どもが受けたコンピュータ形式の全国テストを使って、この考えを確かめました。デンマークでは、各テストの時間は時間割やパソコン室が空いている時間によって決まっていたので、ほとんど「自然のくじ引き」のようなものでした。研究者たちは、1日の中で1時間遅くなるごとに、テストの点が標準偏差の0.9%ずつ下がることを発見しました。
しかし、20〜30分の休憩の直後にテストを受けた生徒は、標準偏差の1.7%高い点を取りました。研究者たちはこれを「認知的疲労」で説明しました。授業の間に頭は疲れますが、休憩がそれを回復させるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why was the Danish data like a "natural lottery"?
テストの時間は時間割やパソコン室の空きで決まっていた(生徒の能力とは無関係)ので C。
Q2. How much did scores rise after a 20 to 30 minute break?
scored 1.7 percent of a standard deviation higher とあるので A。0.9%は1時間ごとの低下幅。
Q3. What can we infer from the passage?
1時間ごとの低下(0.9%)より休憩後の上昇(1.7%)の方が大きいので、休憩は1時間分の疲れを上回って回復させると推測できる。正解は D。
Danish public school children take national tests on computers, and the time of each test is set by class timetables and by when a computer room is free. That is unrelated to the students' ability, so it creates a natural experiment. A study in PNAS analyzed four school years of these tests, covering every child. For each hour later in the day, scores fell by 0.9 percent of a standard deviation.
But children who took the test right after a 20 to 30 minute break scored 1.7 percent of a standard deviation higher, which more than made up for an hour of decline. The authors put this down to cognitive fatigue, the gradual draining of mental resources during continuous work. Other explanations are possible, since hunger and daily swings in alertness were not separated from fatigue.
For one child, effects of this size are small. Across a whole country they add up, and a school that happens to test in the afternoon may look weaker than it really is. In the United States, daily recess of at least 15 minutes has been linked to better classroom behavior, although schools without recess also differed in other ways.
196 words ・ CEFR B2
和訳を見る
デンマークの公立校の子どもたちはコンピュータで全国テストを受けますが、各テストの時間は、時間割とパソコン室が空いているかどうかで決まります。これは生徒の能力とは無関係なので、一種の自然実験になります。『PNAS』誌の研究は、すべての子どもが受けた4年度分のテストを分析しました。1日の中で1時間遅くなるごとに、点数は標準偏差の0.9%ずつ下がっていました。
しかし、20〜30分の休憩の直後にテストを受けた子どもは、点数が標準偏差の1.7%高く、1時間分の低下を上回るほど取り戻していました。著者らはこれを、続けて作業する間に心の資源が少しずつ消耗していく「認知的疲労」によるものと考えました。空腹や、1日の中での覚醒度の変動が疲労と切り分けられていないため、ほかの説明も考えられます。
この大きさの効果は、子ども一人にとっては小さなものです。しかし国全体では積み重なり、たまたま午後にテストを受けた学校は、実力より弱く見えるかもしれません。アメリカでは、1日15分以上の休み時間が、先生が評価するクラスの行動の良さと結びついていましたが、休み時間のない学校は他の点でも違いがありました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the most important finding of the Danish study?
休憩直後のテストでは点数が上がり、which more than made up for an hour of decline(1時間分の低下を上回って取り戻した)とあるので A。
Q2. According to the passage, why might schools tested in the afternoon look weaker?
1時間遅くなるごとに点数が下がるため、a school that happens to test in the afternoon may look weaker than it really is とある。C。
Q3. What limitation of the fatigue explanation does the author mention?
hunger and daily swings in alertness were not separated とあるので B。
重要単語
- fatigueB2名詞疲労Mental fatigue builds up during the school day.
発音は /fəˈtiːɡ/(ファティーグ)。cognitive fatigue で「認知的疲労(頭の疲れ)」。 - recessB2名詞休み時間We play soccer during recess.
主にアメリカ英語。イギリスでは break や playtime。議会の「休会」の意味もある。 - standardized testB2名詞(句)標準テスト・統一テストStandardized tests are given to all students.
standardize(標準化する)の過去分詞。全員が同じ条件で受け、比較できるテストのこと。 - restoreB2動詞回復させるA short break can restore your focus.
re-(再び)+store(蓄える)のイメージ。restore A to B「A を B の状態に戻す」。 - scheduleA2名詞・動詞時間割・予定(を組む)The test time depended on the class schedule.
ahead of schedule「予定より早く」、behind schedule「予定より遅れて」は頻出熟語。 - cognitiveC1形容詞認知の・頭の働きに関するLong lessons can cause cognitive fatigue.
名詞 cognition(認知)。cognitive ability「認知能力」、cognitive science「認知科学」など。
この話題を TED で聞く
同じテーマの TED・TED-Ed を、
TED HACK で。英語の見どころ・使える表現・学習ミッションつきの日本語ガイドです。(運営:原田英語)
公式・一次情報をチェック
- Recess(CDC, 米国疾病予防管理センター)cdc.gov
このネタ、誰かに教えたくなった?
デンマークの全公立校の子どものテスト結果を調べたら、テストの時間が1時間遅くなるごとに成績が少しずつ下がっていたらしい。でも20〜30分の休み時間をはさむと、下がった分以上に回復。休み時間はサボりじゃなかった。
押すと「マジかリスト」に保存されます
出典・参考文献(3件)タップで表示
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。








