宇宙・NASAホント

無重力でろうそくを灯すと、炎が「青いまんまる」になる。しかも消えたあとも燃えていた

無重力でろうそくを灯すと、炎が「青いまんまる」になる。しかも消えたあとも燃えていた

読む前に予想してみよう!

無重力でも、ろうそくの炎は地上と同じしずく形になる

研究カード(どんな研究?)
対象
微小重力下の燃焼
規模
スペースシャトル・ミール・ISSでの実験
研究の種類
実験研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

地上の炎がしずく形なのは、温められた空気が上にのぼるから。無重力ではそれが起きず、炎は丸く青白くなる。宇宙の実験では、見えない「冷たい炎」も見つかった。

ひとことで言うと宇宙のろうそくの炎は、青くてまんまる!

もくじ
  1. 炎がしずく形なのは「重力のせい」
  2. 宇宙の炎は「青くてまんまる」
  3. 消えたはずの炎が、燃え続けていた
  4. なぜ宇宙で炎を研究するの?
  5. 宇宙の火事は気づきにくい?
  6. まとめ

ろうそくの炎を思い浮かべてください。上に向かってのびる、オレンジ色のしずく形ですよね。

では、無重力に近い宇宙でろうそくに火をつけたら? 答えは、青くてまんまるな炎です。しかも宇宙の実験では、炎についての常識をくつがえす発見まで飛び出しました。

01炎がしずく形なのは「重力のせい」

地上でろうそくが燃えると、炎のまわりの空気が温められて軽くなります。軽い空気は上へのぼり、そのあとに下から新しい空気が流れこみます。これが対流です。

この上向きの流れが炎を引きのばし、しずく形を作ります。また、新しい酸素がどんどん運ばれてくるので、炎は勢いよく燃えます。

ところが無重力では、温められた空気も「軽い」「重い」の区別がなくなり、上にのぼりません。そもそも「上」がないのです。

地上(左)と無重力(右)の炎のちがい
地上(左)と無重力(右)の炎のちがい

02宇宙の炎は「青くてまんまる」

地上の炎がオレンジ色なのは、燃え残りのすすの粒が熱で光っているからです。宇宙の炎は燃え方がゆっくりで、すすが作られにくいため、青白く見えるのです。

03消えたはずの炎が、燃え続けていた

2012年、国際宇宙ステーション(ISS)で、燃料のしずくを燃やす実験(FLEX)中に不思議なことが起きました。

この発見は、自動車エンジンの効率を上げる研究にもつながると期待されています。

04なぜ宇宙で炎を研究するの?

一番の理由は、宇宙船の火災対策です。宇宙船の中は閉ざされた空間で、逃げ場がありません。重力がない場所で火がどう広がるかを知ることは、命を守ることに直結します。

さらに、対流がない宇宙では、燃焼の基本的なしくみを地上よりシンプルに調べられる、という利点もあります。

05宇宙の火事は気づきにくい?

無重力の炎は小さくて青白く、煙も上にのぼっていきません。そのため、地上と同じ感覚では火事に気づきにくい可能性があります。宇宙船の煙感知器や消火の方法は、こうした宇宙の燃焼研究をもとに工夫されています。

06まとめ

ろうそくの炎がしずく形なのは、重力が作る空気の流れのおかげでした。重力がなければ、炎は青いまんまるになります。

いつも見ている炎の形にも、地球の重力が関わっていた。そう思うと、ろうそく1本でも宇宙を感じられますね。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy is a candle flame on Earth shaped like a teardrop? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why is a candle flame on Earth shaped like a teardrop? The air around the flame gets hot and becomes lighter, so it rises, and fresh air flows in from below. This movement, called convection, stretches the flame upward.

In microgravity, however, hot air does not rise, so there is no convection. According to NASA, flames in space become round, blue, and produce little soot. Oxygen reaches them only slowly, so they burn more weakly and much more slowly.

In 2012, an experiment on the International Space Station showed something surprising. A burning fuel droplet seemed to go out, but it kept getting smaller. An invisible "cool flame" was still burning it.

112 words ・ CEFR B1

和訳を見る

なぜ地球のろうそくの炎はしずく形なのでしょうか。炎のまわりの空気は熱くなって軽くなるので上にのぼり、下から新しい空気が流れこみます。対流と呼ばれるこの動きが、炎を上に引きのばすのです。

しかし微小重力では熱い空気がのぼらないので、対流が起きません。NASAによると、宇宙の炎は丸く青くなり、すすをほとんど出しません。酸素はゆっくりとしか届かないので、炎はより弱く、ずっとゆっくり燃えます。

2012年、国際宇宙ステーションでの実験が驚くべきことを示しました。燃えている燃料のしずくが消えたように見えたのに、しずくは小さくなり続けたのです。目に見えない「冷たい炎」が、まだそれを燃やしていました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is convection?

Q2. Why do flames in space burn more weakly?

Q3. How did scientists know the droplet was still burning?

重要単語

  • flameB1
    名詞炎The flame turned blue and round in space. fire は「火・火事」全体、flame は「炎(1つの火の形)」。flammable(燃えやすい)も覚えよう。
  • buoyancyC1
    名詞浮力Buoyancy makes hot air rise on Earth. buoy(ブイ)の名詞形。発音は /ˈbɔɪənsi/(ボイアンシー)。形容詞 buoyant は「浮かぶ・好調な」。
  • convectionC1
    名詞対流There is no convection in microgravity. conduction(伝導)・convection(対流)・radiation(放射)の3点セットで。
  • diffusionC1
    名詞拡散Oxygen reaches the flame only by diffusion. 動詞 diffuse。技術や文化の「普及」の意味でも使う(the diffusion of smartphones)。
  • combustionC1
    名詞燃焼Scientists study combustion on the space station. internal combustion engine(内燃機関)は入試頻出。burn の硬い名詞形。
  • sootC1
    名詞すすGlowing soot makes the flame orange. 発音は /sʊt/(スット)。不可算名詞。
  • sustainB2
    動詞維持する、支えるA cool flame sustained the burning. sustainable(持続可能な)の元の動詞。SDGs の S も sustainable。

動画でもっと知る

4コマでわかる

無重力でろうそくを灯すと、炎が「青いまんまる」になる。しかも消えたあとも燃えていたの4コマ漫画
無重力でろうそくを灯すと、炎がしずく形にならず「青いまんまる」になるらしい。理由は、熱い空気が上にのぼる「上」がないから。さらにISSの実験では、炎が消えたように見えた後も、目に見えない「冷たい炎」で燃え続けていた。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Nayagam et al. (2012) Can cool flames support quasi-steady alkane droplet burning?, Combustion and Flamedoi.org
  2. Dietrich et al. (2022) Can cool flames support candle flame burning in microgravity?, Combustion and Flamedoi.org
  3. Irace et al. (2021) Observations of long duration microgravity spherical diffusion flames aboard the International Space Station, Combustion and Flamedoi.org
  4. NASA: Candle Flame – 1g vs Microgravitynasa.gov