宇宙・NASAホント

中性子星はスプーン1杯で「10億トン」。山ひとつ分の重さがティースプーンに

中性子星はスプーン1杯で「10億トン」。山ひとつ分の重さがティースプーンに

読む前に予想してみよう!

中性子星の大きさは、地球と同じくらいだ

研究カード(どんな研究?)
対象
中性子星(パルサー)
規模
個別の天体の精密観測
研究の種類
観測研究(X線・電波)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

大きな星が爆発したあとに残る中性子星は、直径20kmほどに太陽より重い質量がつまっている。NASAによると、ティースプーン1杯分で約10億トンにもなる。

ひとことで言うとスプーン1杯で、山と同じくらい重い星がある!

もくじ
  1. 大きな星の「燃えかすの芯」
  2. スプーン1杯で10億トン
  3. 宇宙の「灯台」パルサー
  4. 金の指輪のルーツかも
  5. 重さ以外も「ケタちがい」
  6. まとめ

ティースプーン1杯の砂糖は、だいたい数グラムです。では、同じスプーン1杯で10億トンになる物質があると言ったら、信じられますか?

それが、宇宙でもトップクラスの「ぎゅうぎゅう詰め」天体、中性子星です。

01大きな星の「燃えかすの芯」

太陽よりずっと重い星は、一生の最後に超新星爆発を起こします。外側は宇宙へ吹き飛びますが、中心部は自分の重力で一気に押しつぶされます。

このとき、原子の中の電子が陽子に押しこまれ、ほとんどが中性子という粒になってしまいます。こうしてできるのが中性子星です。

02スプーン1杯で10億トン

地球全体をこの密度まで押しつぶすと、大きさは直径数百メートルの球になります。高層ビルが1本すっぽり入るくらいの球に、地球がまるごと入ってしまう計算です。

ひとさじで、山ひとつ分の重さ
ひとさじで、山ひとつ分の重さ

03宇宙の「灯台」パルサー

中性子星の中には、ものすごい速さで回転しているものがあります。回転しながら磁極のあたりから電波などのビームを出し、それが地球の方向をかすめるたびに、ピッ、ピッと規則正しい信号が届きます。これがパルサーです。

最初のパルサーは1967年、イギリスの大学院生だったジョスリン・ベル・バーネルさんが見つけました。あまりに規則正しい信号だったため、最初は冗談で「宇宙人からの信号?」とも言われたそうです。

速いものは、1秒間に数百回も回転しています。直径20kmの球が、台所のミキサーの刃に負けない速さで回っている計算です。

04金の指輪のルーツかも

2017年には、2つの中性子星が合体したときに出た重力波と光が同時に観測されました。その光の分析から、金やプラチナなどの重い元素が大量に作られたと考えられています。あなたの身の回りの金も、昔どこかで中性子星がぶつかって生まれたのかもしれません。

05重さ以外も「ケタちがい」

中性子星の極端さは、密度だけではありません。

  • 重力:表面の重力は地球の千億倍ほど。高さ1mから物を落とすと、表面に着くまでに秒速2,000kmほどまで加速する計算になります。
  • 磁場:中でもマグネターと呼ばれる中性子星は、地球の磁場の1000兆倍ほども強い磁場を持つと考えられています。
  • 数:天の川銀河の中には、中性子星が数億個あると推定されています。そのほとんどは暗く、まだ見つかっていません。

太陽よりずっと重い星が一生を終えると、中性子星か、さらに重ければブラックホールになります。中性子星は、ブラックホールの一歩手前の「つぶれた星」なのです。

たとえるなら、中性子星の物質は原子核をすき間なくぎっしり並べたような状態です。ふつうの物質は、原子の中がほとんど「すき間」。それを全部つぶすと、ここまで重くなるのです。

06まとめ

中性子星は、スプーン1杯で山ひとつ分という、想像を超えた天体でした。

そして、その極限の世界が、私たちの持つ金の指輪にもつながっているかもしれない。宇宙の「ありえない」は、意外と身近なところにあります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA teaspoon of sugar weighs only a few grams, but a teaspoon of neutron star material would weigh about one… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A teaspoon of sugar weighs only a few grams, but a teaspoon of neutron star material would weigh about one billion tons on Earth, according to NASA. That is about the weight of a mountain. A neutron star forms when a star much heavier than the Sun explodes as a supernova. Its outer layers are blown away, but its core collapses under its own gravity.

Electrons are pushed into protons, turning most of the matter into neutrons. The result is a ball only about 20 kilometers across that contains more mass than the Sun. Some neutron stars spin very fast and send out beams like lighthouses. These are called pulsars, and the first one was discovered in 1967.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ティースプーン1杯の砂糖はわずか数グラムですが、NASAによると、中性子星の物質をティースプーン1杯とると、地球上では約10億トンの重さになります。これはだいたい山ひとつ分の重さです。中性子星は、太陽よりずっと重い星が超新星として爆発したときにできます。外側の層は吹き飛ばされますが、中心部は自分の重力でつぶれます。

電子が陽子に押しこまれ、物質のほとんどが中性子に変わります。その結果、直径わずか約20kmなのに太陽より大きな質量をもつ球ができるのです。中にはとても速く回転し、灯台のようにビームを出している中性子星もあります。これらはパルサーと呼ばれ、最初のものは1967年に発見されました。

4択リーディングクイズ

Q1. When does a neutron star form?

Q2. What happens to electrons when the core collapses?

Q3. Why are pulsars compared to lighthouses?

重要単語

  • neutron starC1
    名詞(句)中性子星A neutron star is only about 20 kilometers wide. neutron(中性子)は neutral(中性の)と同語源。proton(陽子)、electron(電子)とセットで。
  • denseB2
    形容詞密度が高い、ぎっしりつまったNeutron stars are incredibly dense. 名詞 density。dense fog(濃い霧)、densely populated(人口密度の高い)も頻出。
  • pulsarC1
    名詞パルサー(規則正しく電波などを出す中性子星)A pulsar spins like a cosmic lighthouse. pulsating star(脈打つ星)の略。pulse(脈拍)と同語源。
  • supernovaC1
    名詞超新星(爆発)A supernova can leave behind a neutron star. super+nova(新しい星)。昔は急に明るくなるので「新しい星」と思われた。複数形 supernovae。
  • collapseB2
    動詞・名詞つぶれる、崩れる/崩壊The core of the star collapsed under its own gravity. 建物の崩壊、経済の破綻、人が倒れることにも使う多義語。入試頻出。
  • compressB2
    動詞圧縮するIf Earth were compressed, it would be tiny. com-(共に)+press(押す)。ファイルの「圧縮」も compress。名詞 compression。
  • forgeC1
    動詞作り出す、鍛造するNeutron star mergers may forge gold. 本来は鍛冶で金属を「鍛える」。forge a relationship(関係を築く)、「偽造する」の意味もある。

動画でもっと知る

4コマでわかる

中性子星はスプーン1杯で「10億トン」。山ひとつ分の重さがティースプーンにの4コマ漫画
中性子星は、直径20kmほどに太陽より重いものがギュッとつまった星。NASAによると、そのかけらをティースプーン1杯すくうと約10億トン。山ひとつ分の重さらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Hewish et al. (1968) Observation of a Rapidly Pulsating Radio Source, Naturedoi.org
  2. Riley et al. (2019) A NICER View of PSR J0030+0451: Millisecond Pulsar Parameter Estimation, The Astrophysical Journal Lettersdoi.org
  3. NASA Science: Neutron Stars Are Weird!science.nasa.gov
  4. NASA Science: Where Does Gold Come From? NASA Data Has Cluesscience.nasa.gov