宇宙・NASAホント

月の手前で酸素タンクが爆発。アポロ13号を生還させたのは「ガムテープと段ボール」だった

月の手前で酸素タンクが爆発。アポロ13号を生還させたのは「ガムテープと段ボール」だった

読む前に予想してみよう!

映画で有名な「失敗という選択肢はない」は、1970年の管制室で実際に言われたセリフだ

研究カード(どんな研究?)
対象
アポロ13号ミッション
規模
乗員3人
研究の種類
事故調査報告・公式記録
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

1970年、月へ向かうアポロ13号で酸素タンクが爆発。月着陸船を救命ボートにし、手持ちの材料で二酸化炭素の除去装置を作って、3人は地球へ生還した。

ひとことで言うと手もとにある物だけで、宇宙のピンチを乗りこえた!

もくじ
  1. 「ヒューストン、問題が発生した」
  2. 月を回って帰る「近道」
  3. 最大のピンチは「二酸化炭素」
  4. 「成功した失敗」
  5. 寒さと水不足とのたたかい
  6. まとめ

1970年4月、3人の宇宙飛行士を乗せたアポロ13号は、3回目の月着陸を目指して飛んでいました。

打ち上げから約56時間後、地球から30万km以上離れた場所で、「バン!」という音が船内に響きます。機械船の酸素タンクが爆発したのです。

酸素は、呼吸だけでなく電気を作る燃料電池にも使われていました。月着陸は中止。ここから、人類史に残る「帰り道」が始まります。

01「ヒューストン、問題が発生した」

宇宙飛行士が地上に伝えた言葉は、今では有名なフレーズになっています。電気も酸素も減っていく中、3人は月着陸船「アクエリアス」に移りました。

本来は2人が月面で使うための小さな船です。NASAによると、2人で約45時間使う想定の船を、3人で約90時間使うことになりました。月着陸船が、まるごと救命ボートになったのです。

02月を回って帰る「近道」

すぐにUターンするには、大きなエンジン噴射が必要です。でも、爆発で傷んだ機械船のエンジンは使えるか分かりません。

そこで選ばれたのが、月の裏側をぐるっと回り、月の重力を利用して地球へ戻るルートでした。月着陸船の小さなエンジンで軌道を調整し、帰る時間も短くしました。

月の重力を借りて、ぐるっと回って帰る
月の重力を借りて、ぐるっと回って帰る

03最大のピンチは「二酸化炭素」

次の問題は、息で出る二酸化炭素でした。月着陸船の二酸化炭素を吸収する装置は2人用で、3人分にはすぐに足りなくなります。

予備の吸収缶は司令船にありました。ところが、司令船の缶は四角、月着陸船の差し込み口は丸。形が合わないのです。

地上の技術者たちは、船内にあるものだけを並べて考えました。ビニール袋、段ボールの表紙、ホース、そしてガムテープ。これらで四角い缶を丸い口につなぐ「箱」を設計し、手順を無線で伝えます。宇宙飛行士がその通りに作ると、二酸化炭素の濃度は下がっていきました。

04「成功した失敗」

4月17日、3人は南太平洋に着水し、全員が無事に帰ってきました。NASAはこのミッションを「成功した失敗」と呼んでいます。

アポロ13号は、月の裏側を回ったときに人類が地球から最も遠くまで行った記録も作りました。この記録は、2026年4月にアルテミス2号が更新するまで、半世紀以上破られませんでした。

05寒さと水不足とのたたかい

帰り道では、電気を節約するため、ほとんどの機器が止められました。暖房も弱まり、船内は冷蔵庫の中のような寒さになったと伝えられています。飲み水も限られ、3人は脱水ぎみの状態で耐えました。

地上では、月着陸船のわずかな電力を使って、止めていた司令船を地球に帰る直前に再び起動する手順が、限られた時間の中でゼロから作られました。

06まとめ

アポロ13号を救ったのは、最新の機械ではなく、手持ちの材料と、チームで考え抜く力でした。

「ないもの」を嘆くより、「あるもの」で何ができるか。50年以上前の宇宙からの教えは、今の私たちの毎日にも使えます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn April 1970, Apollo 13 was on its way to the Moon when an oxygen tank exploded about 56 hours after launch. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In April 1970, Apollo 13 was on its way to the Moon when an oxygen tank exploded about 56 hours after launch. Oxygen was needed not only for breathing but also for making electricity, so the Moon landing was cancelled. The three astronauts moved into the lunar module, a small craft designed for two people for about 45 hours, and used it as a lifeboat for about 90 hours.

Instead of turning back directly, they flew around the Moon and used its gravity to return to Earth. Another danger was carbon dioxide. The spare filters were square, but the opening was round, so engineers on the ground designed a connector from bags, cardboard, and tape.

115 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1970年4月、アポロ13号が月へ向かっている途中、打ち上げから約56時間後に酸素タンクが爆発しました。酸素は呼吸だけでなく電気を作るためにも必要だったので、月着陸は中止されました。3人の宇宙飛行士は、2人で約45時間使うよう設計された小さな船である月着陸船に移り、それを約90時間、救命ボートとして使いました。

すぐに引き返すのではなく、彼らは月の周りを回り、月の重力を利用して地球に戻りました。もう一つの危険は二酸化炭素でした。予備のフィルターは四角でしたが、差しこみ口は丸かったので、地上の技術者たちは袋と段ボールとテープでつなぐ部品を設計しました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why was the Moon landing cancelled?

Q2. How did the astronauts return to Earth?

Q3. What does the story of the filter show?

重要単語

  • explosionB1
    名詞爆発An oxygen tank explosion damaged the spacecraft. 動詞 explode。population explosion(人口爆発)は入試頻出の比喩表現。
  • lifeboatB1
    名詞救命ボートThe lunar module became a lifeboat for the crew. life+boat。比喩で「頼みの綱」の意味にも使える。
  • improviseC1
    動詞即席で作るThe engineers improvised a filter with tape and bags. im-(否定)+provide(前もって見る)=「準備なしで」。音楽の「アドリブ」は improvisation。
  • carbon dioxideB1
    名詞(句)二酸化炭素Too much carbon dioxide is dangerous to breathe. di-(2つの)+oxide(酸化物)。CO2。carbon monoxide(一酸化炭素)と区別。
  • trajectoryC1
    名詞軌道、飛行経路They chose a trajectory that looped around the Moon. trans-(横切って)+ject(投げる)。career trajectory(キャリアの道筋)のように比喩でも使う。
  • deviseC1
    動詞考案するEngineers devised an adapter from plastic bags. 名詞 device(装置)とスペル・発音が違う(devise は /dɪˈvaɪz/)。come up with と言い換え可。
  • abandonB2
    動詞断念する、見捨てるThe Moon landing was abandoned. give up の硬い言い方。abandon a plan(計画を断念する)。入試の同意語選択で頻出。

動画でもっと知る

4コマでわかる

月の手前で酸素タンクが爆発。アポロ13号を生還させたのは「ガムテープと段ボール」だったの4コマ漫画
1970年、月へ向かうアポロ13号で酸素タンクが爆発。3人を救ったのは、ビニール袋と段ボールとガムテープで作った「空気をきれいにする箱」だったらしい。地上チームが手もとの材料だけで設計して、無線で作り方を伝えた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. NASA: Apollo 13 Mission Detailsnasa.gov
  2. NASA: Apollo 13 – The Successful Failurenasa.gov
  3. NASA NSSDCA: Apollo 13 Mission Informationnssdc.gsfc.nasa.gov