小惑星ベンヌの砂に、DNA・RNAの「文字」5種類がそろっていた。しかも「塩水」の跡まで

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ベンヌの試料から見つかった塩基は、DNAとRNAで使われる5種類のうち2種類だけだった
生物が使う5種類の塩基すべてが見つかった。ただし生命そのものの痕跡ではない。
- 対象
- 小惑星ベンヌの回収試料
- 規模
- 121.6gの試料の一部
- 研究の種類
- 試料分析(有機物・鉱物)
- 確かさ
- ★★★★☆
NASAが持ち帰った小惑星ベンヌの試料から、生命が使うアミノ酸20種類中14種類と、DNA・RNAの塩基5種類すべてが見つかった。塩水が蒸発した跡の鉱物も。
ひとことで言うと小惑星の砂の中に、生き物の材料がほぼそろっていた!
地球の生命は、どこから来たのでしょう?
ひとつの有力な説が、「生命の材料は、宇宙から隕石や小惑星に乗ってやって来た」というもの。でも、地球に落ちてきた隕石は、地上の物質で汚れてしまうので、確かめるのが難しいのが悩みでした。
そこでNASAは、小惑星から直接、砂を持ち帰るという作戦に出ました。そして2025年1月、その分析結果が発表されました。
01小惑星ベンヌから121.6グラムを持ち帰った
NASAの探査機オサイリス・レックスは、2020年に小惑星ベンヌの表面から砂や石を採取し、2023年に地球へ届けました。その量は121.6グラム。この貴重な試料を、世界中の研究者が分析しています。
02アミノ酸14種類、塩基は5種類すべて
有機物の分析で見つかったのは、
- アミノ酸:生き物がたんぱく質を作るのに使う20種類のうち14種類
- 核酸塩基:DNAやRNAの「文字」にあたる5種類すべて(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)
- アンモニア:生命に関わる化学反応で重要な物質が、豊富に
つまり、生命の「部品」にあたるものが、かなりそろっていたのです。

03塩水が干上がった「塩の跡」も
鉱物の分析では、もう一つの驚きがありました。塩水が蒸発したときにできる鉱物が、何種類も見つかったのです。
その中には、ナトリウムを含む炭酸塩やリン酸塩、硫酸塩、塩化物(食塩の仲間)などがありました。地球では、干上がった塩湖などで見られる鉱物です。
これは、ベンヌのもとになった大きな天体(母天体)の中に、昔塩分を含んだ水があり、それが蒸発していったことを示しています。研究チームは、こうした塩水の環境が、生命の材料となる分子が作られ、混ざり合う「場」になっていた可能性を考えています。
04日本の「はやぶさ2」とつながる発見
実は、日本の探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料からも、RNAの材料になるウラシルなどが見つかったことが、2023年に報告されています。
別々の小惑星から、同じように生命の材料が見つかったことで、「生命の部品は宇宙のあちこちで作られていた」という考えが、ますます有力になってきました。
05まとめ
46億年前の太陽系では、小惑星の中で塩水と有機物が出会い、生命の部品が作られていたのかもしれません。
そして、それが地球に降り注いだとしたら――。私たちの体を作る材料の一部は、もしかすると宇宙からの贈り物だったのかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhere did the ingredients for life on Earth come from?
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
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NASA's spacecraft OSIRIS-REx brought back 121.6 grams of sand and rock from an asteroid called Bennu. Scientists studied it and found many building blocks of life. There were 14 of the 20 amino acids that living things use.
There were also all five "letters" used in DNA and RNA. They also found salt left behind when salty water dried up long ago. But they did not find life itself.
69 words ・ CEFR A2
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NASAの探査機オサイリス・レックスは、ベンヌという小惑星から121.6グラムの砂と石を持ち帰りました。科学者たちがそれを調べると、生命の材料がたくさん見つかりました。生き物が使う20種類のアミノ酸のうち、14種類がありました。
DNAとRNAで使われる5種類の「文字」もすべてありました。さらに、ずっと昔に塩水が干上がったときに残った塩も見つかりました。しかし、生命そのものは見つかりませんでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
小惑星ベンヌの砂から生命の材料が見つかった、という内容なので D。
Q2. How many of the 20 amino acids were found?
There were 14 of the 20 amino acids とあるので B。5は「文字」(塩基)の種類の数。
Q3. In this passage, "dried up" means ...
dry up は「干上がる・水がなくなる」。塩水の水分が蒸発して塩が残ったという意味なので C。
Where did the ingredients for life on Earth come from? One idea is that they arrived on asteroids and meteorites. However, meteorites that fall to Earth are easily polluted by materials on the ground. To solve this problem, NASA's OSIRIS-REx spacecraft collected 121.6 grams of material directly from the asteroid Bennu and brought it back in 2023.
In 2025, two research teams reported their results. The samples contained 14 of the 20 amino acids that life uses to build proteins, all five nucleobases found in DNA and RNA, and a lot of ammonia. The scientists also found salt minerals, which show that salty water once evaporated on the larger body that Bennu came from.
114 words ・ CEFR B1
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地球の生命の材料は、どこから来たのでしょうか。一つの考えは、それらが小惑星や隕石に乗ってやって来たというものです。しかし、地球に落ちてくる隕石は、地上の物質で簡単に汚れてしまいます。この問題を解決するため、NASAの探査機オサイリス・レックスは、小惑星ベンヌから直接121.6グラムの物質を採取し、2023年に持ち帰りました。
2025年、2つの研究チームが結果を報告しました。試料には、生命がたんぱく質を作るのに使う20種類のアミノ酸のうち14種類、DNAとRNAに含まれる5種類の塩基すべて、そして大量のアンモニアが含まれていました。科学者たちはまた塩の鉱物も見つけ、それは、ベンヌのもとになった大きな天体で、かつて塩水が蒸発したことを示しています。
4択リーディングクイズ
Q1. Why did NASA collect samples directly from an asteroid?
meteorites that fall to Earth are easily polluted を受けて To solve this problem とあるので A。
Q2. Which statement about nucleobases is true?
all five nucleobases found in DNA and RNA とあるので C。
Q3. What do the salt minerals suggest?
salty water once evaporated on the larger body that Bennu came from とあるので B。once は「かつて」で、今ではない。
Meteorites that fall to Earth are contaminated almost as soon as they land, which makes them poor witnesses to what space rocks really contain. That problem has long hampered tests of one idea about the origin of life, that asteroids and meteorites delivered key organic ingredients to the early Earth. NASA's OSIRIS-REx mission got around it by collecting 121.6 grams of material from the asteroid Bennu and bringing it back in 2023.
Two papers described the samples in January 2025. In Nature Astronomy, a team at NASA's Goddard Space Flight Center reported 14 of the 20 amino acids used in proteins, all five nucleobases that serve as the "letters" of DNA and RNA, and plenty of ammonia. Ingredients are not life, and samples this size may not represent Bennu as a whole.
In Nature, a team at the Smithsonian's National Museum of Natural History identified several evaporite minerals, including sodium-bearing carbonates and phosphates. Such minerals form when salty water dries up. So Bennu's parent body once held brine, which may have given organic molecules a place to form and react. Japan's Hayabusa2 had already returned samples from the asteroid Ryugu containing similar molecules, such as uracil.
196 words ・ CEFR B2
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地球に落ちた隕石は、着地するとすぐに汚染されてしまうため、宇宙の岩石が本当は何を含んでいるのかを伝える証人としては頼りになりません。この問題は、生命の起源についての一つの考え、つまり重要な有機物の材料は小惑星や隕石によって初期の地球に運ばれたという考えを確かめる妨げになってきました。NASAのオサイリス・レックス計画は、小惑星ベンヌから121.6グラムの物質を採取し、2023年に地球へ持ち帰ることで、この問題を回避しました。
2025年1月、2本の論文がこの試料について報告しました。『Nature Astronomy』では、NASAゴダード宇宙飛行センターのチームが、たんぱく質に使われる20種類のアミノ酸のうち14種類、DNAとRNAの「文字」となる5種類の塩基すべて、そして豊富なアンモニアを報告しました。材料は生命ではありませんし、この程度の量の試料がベンヌ全体を代表しているとは限りません。
『Nature』では、スミソニアン国立自然史博物館のチームが、ナトリウムを含む炭酸塩やリン酸塩など、蒸発岩鉱物を何種類も特定しました。こうした鉱物は塩水が干上がるときにできます。つまりベンヌの母天体にはかつて塩水があり、それが有機分子のできる場、反応する場になっていたのかもしれません。日本のはやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料からも、ウラシルなど似た分子がすでに見つかっていました。
4択リーディングクイズ
Q1. Why had it been difficult to test the idea that asteroids delivered life's ingredients?
Meteorites that fall to Earth are contaminated almost as soon as they land とあり、それが仮説を確かめる妨げになってきたと述べているので D。
Q2. What do the evaporite minerals indicate?
Such minerals form when salty water dries up. So Bennu's parent body once held brine とあるので A。brine は「塩水」。
Q3. Why does the author mention Ryugu?
Japan's Hayabusa2 had already returned samples from the asteroid Ryugu containing similar molecules とあり、別の小惑星でも似た材料が見つかっていることを示すためなので C。
重要単語
- asteroidB2名詞小惑星The spacecraft collected dust from an asteroid.
aster-(星)+-oid(~のようなもの)。meteorite(隕石)、comet(彗星)との違いも確認。 - amino acidB2名詞(句)アミノ酸Proteins are made of amino acids.
発音は /əˈmiːnoʊ/(アミーノウ)。acid は「酸」で、形容詞 acidic(酸性の)。 - nucleobaseC1名詞核酸塩基DNA uses four kinds of nucleobases.
nucleic acid(核酸)の base(塩基)。DNAは A・G・C・T、RNAは T の代わりに U(ウラシル)を使う。 - evaporateB2動詞蒸発するThe water evaporated and left salt behind.
e-(外へ)+vapor(蒸気)。名詞 evaporation。反対の「凝結する」は condense。 - brineC1名詞塩水Salt crystals formed from the ancient brine.
salt water より専門的な語。漬物の「漬け汁」の意味でも使われる。 - contaminateC1動詞汚染するMeteorites can be contaminated after they land.
名詞 contamination。pollute が環境の汚染に使われやすいのに対し、contaminate は試料や食品の「混入・汚染」によく使う。
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NASAが小惑星ベンヌから持ち帰った砂を調べたら、たんぱく質を作るアミノ酸20種類のうち14種類、DNAやRNAの「文字」になる塩基5種類すべてが見つかったらしい。さらに、塩水が干上がってできた鉱物まで。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Glavin et al. (2025) Abundant ammonia and nitrogen-rich soluble organic matter in samples from asteroid (101955) Bennu, Nature Astronomydoi.org
- McCoy et al. (2025) An evaporite sequence from ancient brine recorded in Bennu samples, Naturedoi.org
- Oba et al. (2023) Uracil in the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu, Nature Communicationsdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











