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睡眠スコアが気になって眠れない「オーソソムニア」。睡眠トラッカーはどこまで正確?

睡眠スコアが気になって眠れない「オーソソムニア」。睡眠トラッカーはどこまで正確?

読む前に予想してみよう!

睡眠トラッカーは、夜中に目が覚めている時間も正確に見分けられる

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な若い成人
規模
34人
研究の種類
比較検証研究(PSGとの同時測定)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

睡眠トラッカーは「寝ている時間」はかなり当てるが、「起きている時間」や眠りの段階は苦手。数字を気にしすぎて眠れなくなる「オーソソムニア」も報告されている。

ひとことで言うと睡眠アプリの点数は「天気予報」くらいの気持ちで見よう!

もくじ
  1. 「完璧な睡眠」を目指して眠れなくなる
  2. 7機種を病院レベルの検査と比べたら
  3. なぜ「起きている時間」が苦手なのか
  4. まとめ

朝起きて、まずスマートウォッチの「睡眠スコア」をチェック。72点……昨日より低い。なんだか体もだるい気がしてきた——。

そんな経験がある人に、ちょっと意外な話をします。

睡眠の数字を気にしすぎて、かえって眠れなくなってしまう状態に、研究者が名前をつけました。「オーソソムニア(orthosomnia)」です。

01「完璧な睡眠」を目指して眠れなくなる

報告された患者たちは、トラッカーが示す睡眠時間を増やそうとして寝床にいる時間を長くするなど、かえって睡眠を悪くしかねない行動をとっていました。

中には、病院の検査で問題がないと伝えても、トラッカーの数字の方を信じてしまう人もいたそうです。

027機種を病院レベルの検査と比べたら

では、そもそもトラッカーはどれくらい正確なのでしょうか。

2021年、米国の研究チーム(チノイさんら)が、健康な若い成人34人に睡眠検査室で3晩眠ってもらい、脳波などで睡眠を測る正式な検査(ポリソムノグラフィー)と、市販の睡眠トラッカー7機種を同時に比べました。腕時計型や、ベッドの横に置くタイプも含まれています。

結果は、はっきりと「得意・不得意」が分かれました。

  • 「眠っている」を眠っていると判定する力(感度):全機種で93%以上と高い
  • 「起きている」を起きていると判定する力(特異度):18〜54%と低め〜中くらい
  • 眠りの段階(浅い・深い・レム)の判定:機種によってバラバラ
  • 途中で起こされるなど眠りが乱れた夜ほど、成績が悪くなる傾向
じっと横になっていると、起きていても「寝ている」と判定されやすい
じっと横になっていると、起きていても「寝ている」と判定されやすい

03なぜ「起きている時間」が苦手なのか

多くのトラッカーは、体の動きと心拍から睡眠を推定しています。脳波を直接測っているわけではありません。

だから、布団の中でじっと目を閉じて考えごとをしている時間は、「動いていない=寝ている」と判定されやすいのです。逆に、眠れない夜ほど判定がずれやすいのは皮肉な話です。

2019年のレビューでも、こうした機器は睡眠の理解を進める期待がある一方、非公開のアルゴリズムや機器の不具合、ファームウェアの更新など注意すべき点が多く、性能を評価する標準的な指針が必要だと整理されています。

数字に頼らずに睡眠をチェックする方法もあります。たとえば、朝すっきり起きられるか、午前中に強い眠気がないか、休日に平日より大幅に長く寝ていないか。こうした「体の感覚」は、実は睡眠の専門家が問診でも重視しているポイントです。

トラッカーは、これらの感覚と照らし合わせて使うと、上手に付き合いやすくなります。

そして、もし数字を見るのが楽しいなら、それ自体は悪いことではありません。大切なのは、数字が主役ではなく、自分の体調が主役だということを忘れないことです。

04まとめ

睡眠トラッカーは「寝ていた時間」の大まかな目安としては便利です。でも、毎朝のスコアに一喜一憂するほどの精度ではありません。

数字は「天気予報」くらいの気持ちで。いちばん頼りになるセンサーは、あなた自身の「よく休めた」という感覚かもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSleep trackers are popular, but their numbers are not always accurate. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Sleep trackers are popular, but their numbers are not always accurate. In a 2021 study, 34 healthy young adults slept in a laboratory for three nights while wearing or using seven different consumer devices. At the same time, their sleep was measured with polysomnography, a medical test that records brain waves.

All the devices correctly identified more than 93 percent of sleep, but they recognized only 18 to 54 percent of the time people were awake. This is because most trackers estimate sleep from body movement and heart rate, so lying still while awake looks like sleep. In 2017, doctors reported patients whose worries about tracker data seemed to make their insomnia worse. They called this problem orthosomnia.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

睡眠トラッカーは人気がありますが、その数値はいつも正確とは限りません。2021年の研究で、34人の健康な若い成人が、7種類の市販の機器を身につけたり使ったりしながら、実験室で3晩眠りました。同時に、彼らの睡眠は、脳波を記録する医療検査である睡眠ポリグラフ検査で測定されました。

すべての機器が睡眠の93%以上を正しく判定しましたが、人が起きていた時間は18〜54%しか見分けられませんでした。これは、ほとんどのトラッカーが体の動きと心拍から睡眠を推定しているため、起きていてもじっと横になっていると眠っているように見えるからです。2017年、医師たちは、トラッカーのデータへの心配で不眠が悪化したとみられる患者を報告しました。彼らはこの問題をオーソソムニアと呼びました。

4択リーディングクイズ

Q1. What percentage of awake time did the devices recognize?

Q2. Why does lying still while awake look like sleep to trackers?

Q3. What can we infer about trackers on a night of poor sleep?

重要単語

  • wearableB2
    名詞・形容詞身につける端末/身につけられるMany people track their sleep with a wearable. wear(身につける)+-able。wearable technology「ウェアラブル技術」。
  • accuracyB2
    名詞正確さThe accuracy of the device was tested in a sleep lab. 形容詞 accurate。反意語 inaccuracy / inaccurate。
  • sensitivityC1
    名詞感度(あるものを見つけ出す力)The test has high sensitivity for detecting sleep. 日常語では「敏感さ、気配り」。検査の文脈では「見逃さない力」。
  • specificityC1
    名詞特異度(違うものを違うと見分ける力)Low specificity means many false alarms. specific(特定の)の名詞形。sensitivity とペアで覚える。
  • obsessionC1
    名詞こだわり、強迫観念His obsession with perfect sleep kept him awake. be obsessed with ~「~に取りつかれている」。
  • backfireC1
    動詞逆効果になる、裏目に出るChecking your sleep score too often can backfire. もとは「(エンジンが)逆火を起こす」。His plan backfired.「計画が裏目に出た」。

動画でもっと知る

7種類の睡眠トラッカーを病院の検査と比べたら、「寝ている」判定はかなり正確なのに、「起きている」時間を見抜けるのは2〜5割ほど。スコアを気にしすぎて眠れなくなる「オーソソムニア」という言葉まであるらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Chinoy ED et al. (2021) Performance of seven consumer sleep-tracking devices compared with polysomnography, Sleepdoi.org
  2. Baron KG et al. (2017) Orthosomnia: Are Some Patients Taking the Quantified Self Too Far?, Journal of Clinical Sleep Medicinedoi.org
  3. de Zambotti M et al. (2019) Wearable Sleep Technology in Clinical and Research Settings, Medicine & Science in Sports & Exercisedoi.org