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寝る前の読書は「紙」か「電子」か。ハーバードの実験で差を生んだのは本ではなく光らしい

寝る前の読書は「紙」か「電子」か。ハーバードの実験で差を生んだのは本ではなく光らしい

読む前に予想してみよう!

寝る前の読書は、紙の本でも電子書籍でも睡眠への影響はまったく同じ

研究カード(どんな研究?)
対象
若い成人
規模
12人(実験室)+16人(自宅)
研究の種類
ランダム化クロスオーバー試験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

明るいタブレットで4時間読書を続けた実験では、紙の本より寝つきが遅れ、体内時計も後ろにずれた。ただ、家で30分読む条件では差はかなり小さかった。

ひとことで言うと寝る前の本は、紙でも電子でも「画面の明るさ」がカギ!

もくじ
  1. 2週間泊まり込みの「読書実験」
  2. 家で30分なら? 寝つきの差は出なかった
  3. 光の「明るさ」が効いている
  4. まとめ

寝る前に本を読むと、自然とまぶたが重くなる——そんな「入眠の儀式」を持っている人は多いはずです。

では、その本が紙ではなくタブレットの電子書籍だったら?

2015年、ハーバード大学の関連病院のチームが、まさにこの比較を本気でやりました。ところが話は「電子書籍は悪」で終わりません。別の実験では、寝つきにはほとんど差が出なかったのです。

012週間泊まり込みの「読書実験」

結果、タブレットで読んだ期間は紙の本の期間に比べて、

  • 寝つくまでに時間がかかった
  • 夜の眠気が弱かった
  • 眠りの合図となるホルモンメラトニンの分泌が減った
  • 体内時計のタイミングが後ろにずれた
  • 翌朝、目覚めてからの頭のさえが悪かった

という結果でした。紙の本は、部屋の明かりを反射して見ているだけ。一方タブレットは、画面そのものが目に向かって光を出しています。この光の量と質の違いが、体内時計に「まだ昼だよ」と伝えてしまったと考えられています。

02家で30分なら? 寝つきの差は出なかった

ただし、この実験は「寝る前に4時間、毎晩」というかなりハードな条件でした。

そこで2016年、ノルウェーのグレンリ(Grønli)さんらが、もっと現実に近い条件で調べました。大学生16人が自宅のベッドで30分、iPadか紙の本で物語を読み、脳波で眠りを測ったのです。

すると、iPadで読んだ夜は眠気が少し弱く、深い眠りを示す脳波の立ち上がりが約30分遅れたものの、寝つくまでの時間や、各睡眠段階の長さには差がありませんでした。

つまり、影響はゼロではないけれど、条件しだいでかなり小さくなるということです。

紙は「光を反射する」、画面は「光を出す」。体内時計にとってはここが違う
紙は「光を反射する」、画面は「光を出す」。体内時計にとってはここが違う

03光の「明るさ」が効いている

明かりが眠気に与える影響をまとめた2018年のレビューでも、白い光を明るくするほど主観的な眠気が減るという結果が多く報告されています。一方で、「青い光だけが特別に悪い」という点については、研究によって結果がばらついていました。

実際、グレンリさんの実験でも、iPadで読むときの明るさ(照度)は紙の本の約2倍でした。電子書籍か紙かという「形式」より、目に入る光の量が大事だと考えられます。

電子書籍でも、端末によって事情は変わります。画面そのものが光るタブレットやスマホに対し、電子ペーパーの端末はもともと紙に近い見え方をします。ただし、暗い場所で読むためのライトをつけると、やはり光を出すことになります。

また、電子書籍アプリには「夜間モード」や明るさの自動調整がついていることも多いです。こうした機能で画面を部屋の明かりより明るくしないことが、紙に近づける近道の一つです。

もう一つ見落としがちなのが、内容です。続きが気になって「あと1章だけ」と読み進めてしまえば、紙でも電子でも眠る時間は削られます。寝る前の一冊は、ハラハラしすぎない本を選ぶのも一つの手です。

04まとめ

寝る前の読書そのものは、悪者ではありません。ポイントは「どれくらい明るい光を、どれくらい長く目に入れるか」。

今夜の一冊は、ちょっと暗めの明かりで、ゆっくりページをめくってみませんか。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIs it worse to read an e-book before bed than a paper book? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Is it worse to read an e-book before bed than a paper book? In a 2015 study, 12 young adults stayed at a research center for about two weeks. For five nights they read on a light-emitting tablet for about four hours before bed, and for five nights they read printed books.

After using the tablet, they took longer to fall asleep, felt less sleepy at night, produced less melatonin, and were less alert the next morning. The likely reason is light: a tablet sends light directly into the eyes. However, in a 2016 study, 16 students read in bed at home for just 30 minutes, and there was no difference in how quickly they fell asleep. The amount of light seems to be the key.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

寝る前に電子書籍を読むのは紙の本より悪いのでしょうか?2015年の研究で、12人の若い成人が約2週間研究施設に滞在しました。5晩は寝る前に約4時間、光を出すタブレットで読書をし、5晩は印刷された本を読みました。

タブレットを使った後は、眠りにつくまでに時間がかかり、夜に感じる眠気が弱く、メラトニンの分泌が少なく、翌朝の頭のさえも悪くなっていました。理由は光だと考えられています。タブレットは目に直接光を送り込みます。しかし2016年の研究では、16人の学生が自宅のベッドでわずか30分読書をしたところ、眠りにつく速さに差はありませんでした。光の量がカギのようです。

4択リーディングクイズ

Q1. Which was NOT a result of reading on the tablet in the 2015 study?

Q2. What did the 2016 study find?

Q3. Why might the two studies have different results?

重要単語

  • e-readerB1
    名詞電子書籍リーダーI read novels on my e-reader during the commute. e- は electronic の略。e-book「電子書籍」、e-mail と同じ。
  • melatoninC1
    名詞夜に増える「眠りの合図」ホルモンBright light at night can suppress melatonin. suppress melatonin「メラトニンを抑制する」がこの分野の定番表現。
  • circadianC1
    形容詞約24時間周期の(体内時計の)Jet lag disrupts your circadian rhythm. circa(約)+dies(日)。circadian rhythm / circadian clock の形で使う。
  • brightnessB1
    名詞明るさTurn down the brightness of your screen at night. turn down / turn up the brightness「明るさを下げる/上げる」。
  • alertnessB2
    名詞覚醒度、頭のさえ具合Coffee increases alertness for a few hours. alert(油断のない)+-ness。on the alert「警戒して」。
  • emitC1
    動詞(光・熱・ガスなどを)放出するTablets emit light, but paper books do not. 名詞 emission。light-emitting「発光する」、CO2 emissions「二酸化炭素排出量」。

動画でもっと知る

寝る前にタブレットで本を読むと、紙の本より寝つきが遅れ、眠気のホルモンも減ったというハーバードの実験がある。でも家で30分読むだけの実験では、寝つきの差は出なかった。カギは「光の量」らしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Chang AM et al. (2015) Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness, PNASdoi.org
  2. Grønli J et al. (2016) Reading from an iPad or from a book in bed: the impact on human sleep. A randomized controlled crossover trial, Sleep Medicinedoi.org
  3. Souman JL et al. (2018) Acute alerting effects of light: A systematic literature review, Behavioural Brain Researchdoi.org