睡眠・休息ホント

朝練の日は睡眠が削られていた。8時間未満の部活生はケガが1.7倍という調査も

朝練の日は睡眠が削られていた。8時間未満の部活生はケガが1.7倍という調査も

読む前に予想してみよう!

朝練のために早起きしても、その分早く寝るので睡眠時間は変わらない

研究カード(どんな研究?)
対象
トップ選手/中高生アスリート
規模
70人/112人
研究の種類
観察研究(活動量計・アンケート)
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

トップ選手70人の調査で、朝早い練習の前夜は睡眠が短くなり、練習前の疲れも大きかった。中高生の調査では8時間未満の睡眠でケガのリスクが約1.7倍だった。

ひとことで言うと朝練で早起きすると、睡眠がけずられて、ケガもしやすくなるかも。

もくじ
  1. 朝練の前の夜、睡眠は短くなっていた
  2. 8時間未満の睡眠で、ケガのリスクは約1.7倍
  3. トップ選手の多くも眠りに悩んでいる
  4. まとめ

朝6時に起きて、7時から朝練。授業を受けて、放課後も練習。部活に打ち込む中高生にとって、朝練は「頑張っている証」かもしれません。

でも、睡眠の研究から見ると、朝練には見落とされがちなコストがあります。それは「睡眠が削られる」こと。そしてその寝不足は、ケガのしやすさとも結びついているかもしれないのです。

01朝練の前の夜、睡眠は短くなっていた

「朝練の日は早く寝ればいい」と思いがちですが、人はそう簡単に早寝できません。とくに10代は体内時計が夜型にずれやすい時期。夜早く布団に入っても、なかなか眠れないのです。

028時間未満の睡眠で、ケガのリスクは約1.7倍

ここで注意したいのは、この研究の対象が全国レベルのトップ選手だということ。体のケアに気をつかう一流の世界でさえ、朝早い練習は睡眠を削っていたのです。体内時計が夜型にずれやすく、しかも授業や宿題もある中高生では、影響がさらに大きくなっても不思議ではありません。

10代のアスリートについても気になる調査があります。

アメリカのMilewskiさんらは2014年、中高一貫校の12〜18歳の運動部の生徒112人にアンケートを行い、学校が記録していたケガのデータと照らし合わせました。

その結果、1晩の睡眠が平均8時間未満の生徒は、8時間以上の生徒に比べて、ケガをしていた割合が約1.7倍でした。学年が上がるほどケガが多いという関係も見られました。

夜が短くなると、体の「修理時間」も短くなる
夜が短くなると、体の「修理時間」も短くなる

03トップ選手の多くも眠りに悩んでいる

Guptaさんらは2017年、トップアスリートの睡眠に関する37の研究をまとめ、多くの選手に寝つきの悪さ、途中で目が覚める、疲れが取れないといった不眠の症状が見られると報告しました。原因として、練習、移動、試合の3つが挙げられています。

ただし、まとめられた研究の質は全体的に低く、はっきりした結論を出すにはさらに研究が必要だとされています。

04まとめ

朝練の日は、早く寝ようとしても睡眠が削られやすい。そして、睡眠不足はケガのしやすさとも結びついていました。研究はまだ観察研究が中心ですが、「朝練=頑張り」だけでは見えないコストがありそうです。

上手くなるための練習が、体を休める時間を奪っていないか。睡眠も練習メニューの一部と考えてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMorning practice may look like a sign of hard work, but it can have a hidden cost. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Morning practice may look like a sign of hard work, but it can have a hidden cost. In 2014, Australian researchers asked 70 national-level athletes from seven sports to wear activity monitors and keep sleep diaries for two weeks. On average, they slept only about six and a half hours. Before training days, they went to bed earlier but woke up even earlier, so they slept less than before rest days.

On days with less sleep, they also felt more tired before practice. Teenagers may find this even harder, because their body clocks tend to shift later. A survey of 112 student athletes aged 12 to 18 found that those sleeping under eight hours were about 1.7 times more likely to have been injured.

124 words ・ CEFR B1

和訳を見る

朝練は頑張っている証のように見えるかもしれませんが、隠れたコストがあるかもしれません。2014年、オーストラリアの研究者たちは、7種目の全国レベルの選手70人に、2週間、活動量計をつけて睡眠日誌をつけてもらいました。平均すると、彼らの睡眠はわずか約6時間半でした。練習日の前は、早く寝たものの、それ以上に早く起きていたため、休養日の前より睡眠が短くなっていました。

睡眠が短い日は、練習前の疲労感も大きくなっていました。10代は体内時計が遅い方にずれやすいので、これはさらに大変かもしれません。12〜18歳の運動部の生徒112人の調査では、睡眠が8時間未満の生徒は、ケガをしていた割合が約1.7倍だったことがわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why did the athletes sleep less before training days?

Q2. How long did the top athletes sleep on average?

Q3. Why might teenagers find early practice even harder?

重要単語

  • athleteB1
    名詞スポーツ選手Young athletes need plenty of sleep. アクセントは最初(ATH-lete)。形容詞 athletic(運動の・運動神経の良い)。
  • injuryB1
    名詞ケガLack of sleep may increase the risk of injury. 動詞 injure(傷つける)、be injured「ケガをする」。発音は /ˈɪndʒəri/。
  • fatigueB2
    名詞疲労She felt great fatigue before morning practice. tiredness より硬い語で、スポーツ科学や医学の文章で使われる。発音 /fəˈtiːɡ/。
  • recoveryB2
    名詞回復Sleep is an important part of recovery. 動詞 recover from ~「~から回復する」。make a full recovery「完全に回復する」。
  • napA2
    名詞・動詞昼寝・仮眠(する)A short nap can help after an early start. take a nap がセット。長すぎる昼寝は夜の睡眠を妨げることもある。
  • observationalC1
    形容詞観察によるThese were observational studies, so they cannot prove causes. observe(観察する)の形容詞形。observational study は実験(experiment)と対比される研究デザイン。
一流選手70人を2週間調べたら、朝早い練習がある日の前夜は睡眠が短く、練習前の疲れも大きかったらしい。中高生アスリートの調査では、睡眠8時間未満の子はケガのリスクが約1.7倍。朝練の「早起き」、実は体に厳しいのかも。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Sargent et al. (2014) The impact of training schedules on the sleep and fatigue of elite athletes, Chronobiology Internationaldoi.org
  2. Milewski et al. (2014) Chronic Lack of Sleep is Associated With Increased Sports Injuries in Adolescent Athletes, Journal of Pediatric Orthopaedicsdoi.org
  3. Gupta, Morgan & Gilchrist (2017) Does Elite Sport Degrade Sleep Quality? A Systematic Review, Sports Medicinedoi.org