睡眠・休息ホント

起きて17時間の脳は「ほろ酔い」と同じ? 寝不足とお酒を真剣に比べた研究

起きて17時間の脳は「ほろ酔い」と同じ? 寝不足とお酒を真剣に比べた研究

読む前に予想してみよう!

朝7時に起きた人は、深夜0時ごろには飲酒時並みに反応が鈍ることがある

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な成人・運輸業従事者など
規模
18〜40人規模
研究の種類
同じ人で断眠と飲酒を比べた実験(複数)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

約17〜19時間起き続けると、反応や注意力が血中アルコール濃度0.05%の酔っぱらいと同じくらいまで落ちたという研究がある。

ひとことで言うと夜ふかしした脳は、お酒を飲んだのと同じくらいフラフラ!

もくじ
  1. 研究者が「寝不足」と「お酒」をガチで比べてみた
  2. ただし「完全に同じ」ではない
  3. なぜ眠いと「酔っぱらい」になるのか
  4. 夜ふかしの“ほろ酔い脳”から身を守るには
  5. まとめ

「眠いけど、お酒を飲んだわけじゃないし大丈夫」。そう思って夜遅くまで作業したり、運転したりしていませんか?

実は、長時間起き続けた脳は、お酒を飲んだ脳とかなり似た状態になることが、研究で確かめられています。その目安はなんと「起きてから17〜19時間」。朝7時に起きた人なら、深夜0〜2時ごろです。

01研究者が「寝不足」と「お酒」をガチで比べてみた

02ただし「完全に同じ」ではない

カナダのチームが運転シミュレーターで行った研究(2001年)では、ふらつきなどの指標で約18.5時間の覚醒が0.05%、約21時間が0.08%の飲酒と同じくらいの悪化でした。一方で、道路からはみ出す回数や制限速度とのずれは、お酒のほうが変化が大きかったのです。

つまり「寝不足=飲酒」と丸ごとイコールで結べるわけではなく、ある種の能力の落ち方を、身近な物差し(アルコール濃度)で表したというのが正確なところです。それでも、深夜の運転が「酒気帯び並み」に危ないかもしれない、という警告としては十分な重みがあります。

血中アルコール濃度0.05%というのは、日本の酒気帯び運転の基準(血液1mLあたり0.3mg=0.03%)より高いレベル。つまり深夜まで起きたあとの運転は、数字の上では「酒気帯び運転」にあたるレベルかもしれないのです。

「起き続けること」と「お酒を飲むこと」は、脳への影響が似ていた
「起き続けること」と「お酒を飲むこと」は、脳への影響が似ていた

03なぜ眠いと「酔っぱらい」になるのか

起きている時間が長くなるほど、脳には「休め」というサインを出す物質(アデノシンなど)がたまっていきます。これがたまりすぎると、脳の一部が短い時間だけ勝手にオフになることがあります。これを「マイクロスリープ」(数秒ほどのうっかり居眠り)と呼びます。

本人は起きているつもりでも、ほんの一瞬、脳が“まばたき”するように意識が途切れる。車なら、時速60kmで数秒間は何十mも「目をつぶって」進むのと同じです。

さらに怖いのは、寝不足が続くと、自分の能力の落ち具合に気づきにくいこと。お酒に酔った人が「まだ酔ってない」と言うのと同じで、寝不足の人も「まだいける」と思いがちだと、睡眠不足を続けた実験でも示されています。

「コーヒーを飲めば、眠気は消えて元どおり」と思われがち。カフェインで眠気をごまかすことはできても、脳の疲れそのものが回復するわけではありません。また、窓を開ける・音楽を大音量にするといった対策の効果は短時間で、長くはもちません。

04夜ふかしの“ほろ酔い脳”から身を守るには

05まとめ

起きて17〜19時間の脳は、ほろ酔いと同じくらいパフォーマンスが落ちている。これは気合いでは覆せない、脳の仕組みです。

「まだお酒は飲んでないから平気」ではなく、「今日はもう何時間起きている?」と時計を見る習慣を。夜ふかしの帰り道ほど、慎重にいきましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people believe that being sleepy is not dangerous as long as they have not been drinking. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people believe that being sleepy is not dangerous as long as they have not been drinking. However, research shows that a brain that has been awake for a long time behaves much like a drunk brain. In a 1997 study in Australia, 40 people experienced both staying awake and drinking alcohol on different days.

After about 17 hours awake, their performance on a hand-eye task dropped to the same level as with a blood alcohol level of 0.05 percent. After about 24 hours, it was similar to 0.1 percent. One reason is the microsleep, a lapse of a few seconds when parts of the brain switch off. Sleepy people also tend to believe they are still fine, which makes the situation more dangerous.

124 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの人は、お酒を飲んでいない限り、眠いことは危険ではないと信じています。しかし研究によると、長い時間起きている脳は、酔った脳とよく似たふるまいをします。1997年のオーストラリアの研究では、40人が別々の日に、起き続けることとお酒を飲むことの両方を体験しました。

約17時間起きていると、手と目を使う課題の成績は、血中アルコール濃度0.05%の時と同じレベルまで落ちました。約24時間後には、0.1%と同じくらいになりました。理由の一つはマイクロスリープで、これは脳の一部がオフになる数秒間の途切れです。また、眠い人は自分がまだ大丈夫だと思いがちで、それが状況をさらに危険にしています。

4択リーディングクイズ

Q1. In the 1997 study, what was performance after about 24 hours awake similar to?

Q2. What is a microsleep?

Q3. Why does the writer say the situation is "more dangerous"?

重要単語

  • wakefulnessC1
    名詞覚醒(起きている状態)Long periods of wakefulness slow down your reactions. wakeful(目が覚めている)+-ness。prolonged wakefulness「長時間の覚醒」で頻出。
  • impairmentC1
    名詞(能力の)低下、障害Alcohol causes impairment in judgment. 動詞 impair「損なう」。visual impairment「視覚障害」など医療系でも使う。
  • intoxicationC1
    名詞酩酊、酔った状態Signs of intoxication include slurred speech. toxic(有毒な)と同語源。「中毒」の意味もある。
  • microsleepC1
    名詞数秒間の瞬間的な居眠りA microsleep at the wheel can be deadly. micro-(微小な)+sleep。at the wheel は「運転中に」。
  • equivalentB2
    形容詞・名詞同等の/同等のものSeventeen hours awake was equivalent to a BAC of 0.05%. be equivalent to ~「~に相当する」。equi-(等しい)+valent(価値)。
  • prolongedC1
    形容詞長引いた、長期のProlonged stress can harm your health. prolong「長引かせる」の過去分詞から。long が隠れていると覚えると簡単。
  • vulnerabilityC1
    名詞弱さ、影響の受けやすさVulnerability to sleep loss differs from person to person. 形容詞 vulnerable to ~「~に弱い・影響を受けやすい」は入試頻出。

動画でもっと知る

4コマでわかる

起きて17時間の脳は「ほろ酔い」と同じ? 寝不足とお酒を真剣に比べた研究の4コマ漫画
朝7時に起きた人が深夜0時を過ぎたら、脳の成績は「ほろ酔い」並みに落ちているかもしれない。寝不足とお酒の影響を真面目に比べた研究、ちょっと怖い。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Dawson & Reid (1997) Fatigue, alcohol and performance impairment, Naturedoi.org
  2. Williamson & Feyer (2000) Moderate sleep deprivation produces impairments in cognitive and motor performance equivalent to legally prescribed levels of alcohol intoxication, Occupational and Environmental Medicinedoi.org
  3. Arnedt et al. (2001) How do prolonged wakefulness and alcohol compare in the decrements they produce on a simulated driving task?, Accident Analysis & Preventiondoi.org
  4. Van Dongen et al. (2003) The cumulative cost of additional wakefulness, Sleepdoi.org