寝不足の日にお菓子が止まらないのは、意志だけのせいじゃない。食欲ホルモンの“反乱”も関わっていた

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寝不足になると、食欲を高めるホルモン(グレリン)が増えた実験がある
2004年の研究で、2晩の4時間睡眠でグレリンが増え、満腹ホルモンのレプチンが減った。
- 対象
- 健康な若年男性ほか
- 規模
- 12人の交差試験+11研究172人のメタ分析
- 研究の種類
- ランダム化交差試験・メタ分析・観察研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
睡眠不足になると「お腹すいた」ホルモンが増え、「もう満腹」ホルモンが減った実験がある。脳も高カロリー食に反応しやすくなり、食べすぎにつながる。
ひとことで言うと寝不足だと、体が「もっと食べて!」と勘違いする!
テスト勉強で夜ふかしした次の日。なぜか甘いパンやポテトチップス、こってりしたラーメンが無性に食べたくなる――。そんな経験はありませんか?
「寝不足でストレスがたまってるからかな」「意志が弱いのかな」と思いがちですが、実はそこには体の中のホルモンの変化が関わっています。寝不足の体の中では、食欲をコントロールするホルモンが“反乱”を起こしているのです。
01「お腹すいた」ホルモンと「もう満腹」ホルモン
私たちの食欲は、主に2つのホルモンのバランスで調整されています。
- グレリン:主に胃から出る「お腹がすいた!」ホルモン。食事の前に増える
- レプチン:主に脂肪の細胞から出る「もう十分だよ」ホルモン。体にエネルギーが足りていることを脳に伝える
アクセルとブレーキのような関係です。ところが、寝不足になるとこのバランスが崩れてしまいます。
同じ年、アメリカ・スタンフォード大学のTaheriさんらも『PLoS Medicine』誌で、約1000人の調査から、ふだんの睡眠が短い人ほどレプチンが低く、グレリンが高く、BMI(肥満度)が高い傾向があると報告しています。

02脳も「ジャンクフード」に反応しやすくなる
ホルモンだけではありません。脳の働きも変わります。
アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のGreerさん、Walkerさんらは2013年、『Nature Communications』誌で、23人の若者に一晩徹夜してもらい、脳をスキャンしながら食べ物の写真を見せる実験の結果を報告しました。すると、冷静に判断する脳の前の部分(前頭葉)の働きが弱まり、高カロリーな食べ物を「欲しい」と感じる傾向が強くなっていました。
つまり寝不足の脳は、「食べたい!」というアクセルが強く、「やめておこう」というブレーキが効きにくい状態なのです。
03実際に、どれくらい食べすぎる?
ロンドン大学キングス・カレッジのAl Khatibさんらが2017年にまとめたメタ分析では、睡眠を短くした人は、ふつうに眠った人に比べて1日あたり約385kcal多く食べていたと報告されています。これは、おにぎり2個分くらいに相当します。
一方で、消費するエネルギーははっきりとは増えていませんでした。つまり、食べる量だけが増えるわけです。起きている時間が長くなる分、夜食のチャンスが増えることも影響していると考えられています。
04ただし「ホルモンだけが犯人」とは言い切れない
ここで少し冷静になっておきましょう。
Spiegelさんらの実験は12人・2晩という小さく短い実験でした。その後の研究では、睡眠不足でグレリンやレプチンが変わったという結果もあれば、はっきりした変化が出なかったという結果もあり、ホルモンの変化は研究によってまちまちです。
また、Al Khatibさんらのメタ分析では、増えていたのは脂質の摂取で、炭水化物の摂取量は増えていませんでした。「食べすぎる」こと自体はかなり一貫していますが、その理由はホルモン・脳の報酬系・起きている時間の長さなどが組み合わさったものと考えるのが今の主流です。
05まとめ
寝不足の日に食べすぎてしまうのは、意志の弱さだけではなく、ホルモンと脳の“反乱”が関わっていそうです。
ダイエットや体づくりを頑張っている人こそ、睡眠も食事・運動と並ぶ「第三の柱」。今夜しっかり眠ることが、明日の食べすぎを防ぐいちばんの近道かもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people find it hard to stop eating snacks after a night of little sleep, and hormones may be partly…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Do you want to eat snacks after a short night? It is not only about willpower. Two hormones control hunger.
Ghrelin says, "I'm hungry!" Leptin says, "I'm full." In a 2004 study, young men slept only four hours for two nights.
After that, their ghrelin went up and their leptin went down. They felt hungrier and wanted sweet and starchy food. So, good sleep can help you eat well.
69 words ・ CEFR A2
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短い睡眠の夜の後、お菓子を食べたくなりますか?それは意志の力だけの問題ではありません。2つのホルモンが空腹をコントロールしています。グレリンは「お腹がすいた!
」と言います。レプチンは「お腹いっぱい」と言います。
2004年の研究で、若い男性たちが2晩続けて4時間だけ眠りました。その後、彼らのグレリンは増え、レプチンは減りました。彼らはより空腹を感じ、甘いものや炭水化物の多い食べ物を欲しがりました。だから、よい睡眠は上手に食べる助けになるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
寝不足で空腹ホルモンと満腹ホルモンが変化することが主題なので C。
Q2. What happened to leptin after short sleep?
their ghrelin went up and their leptin went down とあるので A。
Q3. In this passage, "full" means ...
I'm full. は「お腹いっぱい」。食べ物を十分に食べた状態なので D。
Many people find it hard to stop eating snacks after a night of little sleep, and hormones may be partly responsible. Our appetite is mainly controlled by ghrelin, which tells us we are hungry, and leptin, which tells the brain we have enough energy. In a 2004 study at the University of Chicago, 12 healthy young men slept four hours for two nights and, on another occasion, spent ten hours in bed for two nights.
After short sleep, leptin fell by about 18 percent and ghrelin rose by about 28 percent. The men also felt about 24 percent hungrier and especially wanted foods rich in carbohydrates. A later review found that people with restricted sleep ate about 385 extra calories a day.
122 words ・ CEFR B1
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睡眠の少ない夜の後、お菓子を食べるのをやめにくいと感じる人は多く、その一因はホルモンかもしれません。私たちの食欲は、主に空腹を知らせるグレリンと、エネルギーが十分あることを脳に伝えるレプチンによってコントロールされています。2004年のシカゴ大学の研究では、12人の健康な若い男性が、2晩続けて4時間眠り、別の機会には2晩続けて10時間寝床で過ごしました。
短い睡眠の後、レプチンは約18%減り、グレリンは約28%増えました。男性たちはまた約24%空腹を強く感じ、特に炭水化物の多い食べ物を欲しがりました。後のレビューでは、睡眠を制限された人は1日に約385kcal多く食べていたことがわかりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What does leptin do?
leptin, which tells the brain we have enough energy とあるので B。
Q2. By about how much did ghrelin rise after short sleep?
ghrelin rose by about 28 percent とあるので D。18%はレプチンの減少、24%は空腹感。
Q3. What can we infer from the passage?
睡眠不足で空腹ホルモンが増え、1日385kcal多く食べたのだから、十分な睡眠は食べすぎ防止に役立つと推論できる。A。
Craving snacks after a short night is often blamed on weak willpower, but research suggests that biology plays a role. Appetite is regulated largely by two hormones: ghrelin, released mainly by the stomach to signal hunger, and leptin, produced by fat cells to signal that energy stores are sufficient. In a 2004 crossover study, 12 healthy young men spent two nights with four hours of sleep and two nights with ten hours in bed.
After sleep restriction, leptin dropped by about 18 percent, ghrelin rose by about 28 percent, and hunger increased by about 24 percent, with a particular desire for carbohydrate-rich foods. Brain imaging later showed that after a night without sleep, activity in frontal regions involved in judgment weakened while the desire for high-calorie foods grew. A 2017 meta-analysis found that sleep-restricted participants consumed about 385 extra calories per day without burning noticeably more. But the original hormone study was small and brief, and later experiments have not consistently reproduced the hormonal changes. Overeating itself appears more reliable than any single hormonal explanation.
175 words ・ CEFR B2
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短い睡眠の夜の後にお菓子を強く欲しがることは、意志の弱さのせいにされがちですが、研究は生物学的な要因も関わっていることを示しています。食欲は主に2つのホルモンによって調節されています。主に胃から分泌されて空腹を知らせるグレリンと、脂肪細胞でつくられてエネルギーの蓄えが十分であることを知らせるレプチンです。
2004年の交差試験では、12人の健康な若い男性が、4時間睡眠の2晩と、寝床で10時間過ごす2晩を経験しました。睡眠制限の後、レプチンは約18%低下し、グレリンは約28%上昇し、空腹感は約24%増え、特に炭水化物の多い食べ物を欲しがるようになりました。その後の脳画像研究では、一晩眠らなかった後、判断にかかわる前頭部の活動が弱まる一方で、高カロリーの食べ物への欲求が強まることが示されました。2017年のメタ分析では、睡眠を制限された参加者は1日に約385kcal多く摂取し、消費量ははっきりとは増えていませんでした。しかし、元のホルモン研究は小規模で短期間であり、その後の実験ではホルモンの変化が一貫して再現されてはいません。食べすぎそのもののほうが、特定のホルモンによる説明よりも確かなようです。
4択リーディングクイズ
Q1. What did brain imaging show after a night without sleep?
activity in frontal regions involved in judgment weakened while the desire for high-calorie foods grew とあるので C。
Q2. According to the 2017 meta-analysis, what happened to sleep-restricted participants?
consumed about 385 extra calories per day without burning noticeably more とあるので B。
Q3. What is the author's conclusion in the last two sentences?
ホルモン変化は一貫して再現されていないが、食べすぎ自体はより確かだと述べているので D。
重要単語
- appetiteB2名詞食欲Lack of sleep can increase your appetite.
have a good appetite「食欲がある」。比喩的に an appetite for knowledge「知識欲」とも。 - hormoneB2名詞ホルモンLeptin is a hormone that signals fullness.
発音は /ˈhɔːrmoʊn/(ホーモウン)。ギリシャ語「刺激する」が語源。 - craveC1動詞強く欲しがるI crave sweets when I am tired.
名詞 craving「強い欲求」。have a craving for ~ の形でもよく出る。 - calorie intakeB2名詞(句)摂取カロリーTheir calorie intake rose after short sleep.
intake は「摂取(量)」。take in「取り入れる」から。salt intake「塩分摂取量」。 - obesityB2名詞肥満Short sleep is linked to a higher risk of obesity.
形容詞 obese。overweight より医学的・深刻なニュアンス。 - carbohydrateB2名詞炭水化物Bread and rice are rich in carbohydrates.
carbo-(炭素)+hydrate(水和物)。口語では carbs と略す。 - restrictionB2名詞制限Sleep restriction can make people eat more.
動詞 restrict「制限する」。restrict A to B「AをBに制限する」。
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- Sleep Deprivation and Deficiency(NIH 国立心肺血液研究所)nhlbi.nih.gov
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寝不足の日、なぜかポテチやラーメンが無性に食べたくなるアレ。意志の問題だけじゃなく、食欲ホルモンも関わっているらしい。2晩4時間睡眠にしただけで「空腹ホルモン」が約3割増えたという実験もある。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Spiegel et al. (2004) Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite, Annals of Internal Medicinedoi.org
- Taheri et al. (2004) Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index, PLoS Medicinedoi.org
- Greer et al. (2013) The impact of sleep deprivation on food desire in the human brain, Nature Communicationsdoi.org
- Al Khatib et al. (2017) The effects of partial sleep deprivation on energy balance: a systematic review and meta-analysis, European Journal of Clinical Nutritiondoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












