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「4-7-8呼吸法で60秒で眠れる」は本当? ネットで話題の入眠テクを科学で採点

「4-7-8呼吸法で60秒で眠れる」は本当? ネットで話題の入眠テクを科学で採点

読む前に予想してみよう!

4-7-8呼吸法は、誰でも60秒で眠れると科学的に証明されている

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な若者・不眠を訴える人など
規模
4-7-8呼吸法そのものの研究は少数で、体の反応を調べた代表例は43人の1研究(ゆっくり呼吸全般は系統的レビューあり)
研究の種類
系統的レビュー+小規模実験
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

ゆっくり長く吐く呼吸はリラックスに役立つ可能性があるが、「60秒で眠れる」と証明された研究はない。期待しすぎず「落ち着く儀式」として使うのが吉。

ひとことで言うとゆっくり息を吐くと落ち着くのはホント。でも魔法じゃない!

もくじ
  1. 4-7-8呼吸法のやり方
  2. 「ゆっくり吐く」と体がブレーキモードに
  3. 「ゆっくり呼吸で寝つきが良くなった」小さな実験はある
  4. 他の入眠テクも採点してみた
  5. まとめ

「4秒吸って、7秒止めて、8秒で吐く。これで60秒で眠れる!」

SNSや動画で一度は見たことがあるかもしれない「4-7-8呼吸法」。アメリカの医師アンドルー・ワイル氏が広めたことで有名になった呼吸法です。

本当にそんなに簡単に眠れるなら、世の中の不眠の悩みはとっくに消えているはず。今日は、話題の入眠テクニックを「科学的にどこまで言えるのか」という目線で採点してみます。

014-7-8呼吸法のやり方

  1. 口から息をすべて吐き出す
  2. 口を閉じ、鼻から4秒かけて吸う
  3. 7秒息を止める
  4. 口から「フーッ」と8秒かけて吐く
  5. これを数回くり返す

ポイントは、吸う時間より吐く時間がずっと長いこと。ここに、ちゃんとした科学の“タネ”があります。

02「ゆっくり吐く」と体がブレーキモードに

私たちの体には、アクセル役の交感神経(戦うモード)と、ブレーキ役の副交感神経(休むモード)があります。寝る前に必要なのは、もちろんブレーキのほうです。

息を吸うときは心拍が少し上がり、吐くときは少し下がる。このため、ゆっくり長く吐く呼吸をくり返すと、ブレーキ側が優位になりやすいと考えられています。

4-7-8呼吸法そのものを調べた研究としては、タイのブラパー大学のVierraさんらが2022年、『Physiological Reports』誌に報告したものがあります。19〜25歳の43人に4-7-8呼吸を数セットやってもらったところ、直後に心拍数と血圧(上の血圧)が下がり、寝不足でないグループでは心拍のゆらぎにもリラックス寄りの変化が見られました。

ただしこれは「呼吸した直後の体の変化」を測っただけで、眠りについては調べていません。4-7-8呼吸法で「何秒で眠れる」かを確かめた信頼できる研究は見当たりません。

03「ゆっくり呼吸で寝つきが良くなった」小さな実験はある

一方、「ゆっくり呼吸」と睡眠を直接結びつけた実験もあります。台湾の国立陽明大学のTsaiさんらは2015年、『Psychophysiology』誌で、不眠を訴える14人に、寝る前の20分間1分間に6回ほどのペースでゆっくり呼吸してもらいました。すると、ゆっくり呼吸をした夜は寝つくまでの時間や夜中に目覚める回数が減ったと報告しています。

おもしろいのは、4-7-8呼吸法を1回まわすと4+7+8=19秒かかること。つまり1分間に3回ほどの、かなりゆっくりした呼吸になります。4-7-8呼吸法が効くとすれば、「4・7・8」という数字の魔法ではなく、ゆっくり長く吐く呼吸の一種だから、と考えるのが自然です。

とはいえ、Tsaiさんらの研究も14人という小さな規模で、本人も「呼吸法をしている」と分かっているため、「効くはず」という期待の効果(プラセボ効果)を切り分けにくいという弱点があります。「可能性がある」段階だと受け止めておきましょう。

カギは「吸う」より「吐く」を長くすること
カギは「吸う」より「吐く」を長くすること

04他の入眠テクも採点してみた

筋弛緩法(漸進的筋弛緩法):体の各部分にギュッと力を入れてからストンと抜く方法。不眠の治療(認知行動療法)の一部としても使われています。アメリカ睡眠医学会の2021年のガイドラインでも、こうしたリラクセーション法は単独の治療として「条件付きで推奨」されていて、4-7-8呼吸法よりはずっと研究の裏付けがあります。

イメージ法:オックスフォード大学のHarveyさんらの2002年の研究では、不眠に悩む41人のうち、「興味が持てる情景を具体的に思い描く」よう指示された人は、何も指示されなかった人より早く眠れた、と報告されています(「羊を数えても眠れない」の記事で詳しく紹介)。

「○秒で眠れる」系の裏ワザ:多くは体験談ベースで、研究で確かめられたものはほとんどありません。

05まとめ

採点結果は「リラックス効果はアリ、60秒で眠れるはナシ」。4-7-8呼吸法は、魔法の睡眠スイッチではありません。

でも、ゆっくり長く吐くことで体のブレーキを踏む、という考え方自体は理にかなっています。今夜は数字にこだわらず、「いつもより長く吐く」だけ試してみてください。それだけでも、肩の力が少し抜けるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe 4-7-8 breathing method, made popular by American doctor Andrew Weil, is often said to put people to… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The 4-7-8 breathing method, made popular by American doctor Andrew Weil, is often said to put people to sleep in 60 seconds. You breathe in for four seconds, hold for seven, and breathe out for eight. Breathing out slowly may help the body switch to "rest mode." A 2022 study of 43 young adults found that their heart rate and blood pressure dropped right after doing 4-7-8 breathing.

However, the study did not measure sleep. A small 2015 study found that people with insomnia fell asleep faster after slow breathing, but it had only 14 participants. No reliable study shows that the method works in 60 seconds.

107 words ・ CEFR B1

和訳を見る

アメリカの医師アンドルー・ワイルが広めた4-7-8呼吸法は、60秒で眠れるとよく言われます。4秒吸って、7秒止めて、8秒で吐きます。ゆっくり息を吐くことは、体を「休むモード」に切り替える助けになるかもしれません。若者43人を対象にした2022年の研究では、4-7-8呼吸をした直後に心拍数と血圧が下がりました。

しかしこの研究では、睡眠は測っていません。2015年の小規模な研究では、不眠に悩む人がゆっくり呼吸をした後に早く眠れたと報告されましたが、参加者は14人だけでした。この方法が60秒で効くことを示した信頼できる研究はありません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What did the 2022 study find?

Q3. Why should the results of the 2015 study be viewed carefully?

重要単語

  • exhaleB2
    動詞息を吐くExhale slowly through your mouth. ex-(外へ)+hale(息をする)。反対は inhale(吸う)。名詞 exhalation。
  • relaxationB2
    名詞リラックス、緊張をゆるめることRelaxation is easier when the room is quiet. relax の名詞形。relaxation technique「リラクセーション法」。
  • insomniaC1
    名詞不眠症Insomnia can make the night feel very long. in-(ない)+somnia(眠り)。suffer from insomnia「不眠症に悩む」。
  • heart rate variabilityC1
    名詞(句)心拍変動(心拍のゆらぎ)Heart rate variability often rises when we feel calm. HRV と略す。variability は vary(変わる)の名詞形で「変動性」。
  • evidenceB1
    名詞証拠、根拠There is little evidence for the 60-second claim. 不可算名詞なので an evidence とは言わない。a piece of evidence。
  • placeboC1
    名詞プラセボ(偽薬)Some improvement may come from the placebo effect. ラテン語で「私は喜ばせるだろう」。placebo effect「プラセボ効果」は科学系長文の頻出語。

動画でもっと知る

「4-7-8呼吸法で60秒で眠れる」ってよく見るけど、それを証明した研究は見当たらない。ただ、ゆっくり吐く呼吸で体が落ち着く仕組み自体はちゃんとあるらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Zaccaro et al. (2018) How Breath-Control Can Change Your Life: A Systematic Review on Psycho-Physiological Correlates of Slow Breathing, Frontiers in Human Neurosciencedoi.org
  2. Vierra et al. (2022) Effects of sleep deprivation and 4-7-8 breathing control on heart rate variability, blood pressure, blood glucose, and endothelial function in healthy young adults, Physiological Reportsdoi.org
  3. Tsai et al. (2015) Efficacy of paced breathing for insomnia: enhances vagal activity and improves sleep quality, Psychophysiologydoi.org
  4. Harvey & Payne (2002) The management of unwanted pre-sleep thoughts in insomnia: distraction with imagery versus general distraction, Behaviour Research and Therapydoi.org
  5. Edinger et al. (2021) Behavioral and psychological treatments for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline, Journal of Clinical Sleep Medicinedoi.org