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【早稲田の入試に出た】知らない人との「ちょうどいい距離」は国によって2倍近くちがう。42か国調査

【早稲田の入試に出た】知らない人との「ちょうどいい距離」は国によって2倍近くちがう。42か国調査

読む前に予想してみよう!

脳の扁桃体を失った人は、他人がすぐそばに近づいても不快を感じにくかった

研究カード(どんな研究?)
対象
42か国の成人
規模
8,943人
研究の種類
国際比較調査(質問紙)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

42か国・約9,000人に「知らない人とどのくらい離れたいか」を聞くと、国によって大きな差。年齢や性別、気温とも関係していた。

ひとことで言うと人との「ちょうどいい距離」は、住んでいる国によってかなりちがうらしい!

もくじ
  1. 42か国・約9,000人に「距離」を聞いた
  2. 距離感は、体の中の「警報」で守られている
  3. 「距離の文化」を知ると、すれ違いが減る
  4. まとめ

海外旅行や留学で、「この人、なんか近い……!」と感じたことはありませんか? 逆に、相手から「よそよそしい」と思われているかもしれません。

人が他人に入ってこられたくない見えない空間を「パーソナルスペース」と呼びます。その広さが国によってどれくらい違うのかを、世界規模で調べた研究があります。

「国による対人距離の違い」は、2026年度の早稲田大学(人間科学部)の英語で読解の題材になりました(代々木ゼミナールの解答速報・概評で確認)。

0142か国・約9,000人に「距離」を聞いた

広く報道された結果では、知らない人との距離が最も近かったのはアルゼンチン(約80cm弱)、最も遠かったのはルーマニア(約1.4m)。同じ「知らない人と話す」場面でも、2倍近い差があったことになります。

日本で「ふつう」と思っている距離感も、世界から見れば数ある基準のひとつにすぎない、ということです。

02距離感は、体の中の「警報」で守られている

そもそも、なぜ人は近づかれすぎると不快になるのでしょう。カギを握るのは、脳の奥にある扁桃体です。

米カリフォルニア工科大学のケネディらは、病気で両側の扁桃体を失った女性を調べました(Nature Neuroscience, 2009)。すると彼女には、パーソナルスペースの感覚がほとんどありませんでした。実験者が鼻先が触れそうなほど近づいても、不快に感じなかったのです。さらに健康な人では、他人がすぐ近くにいると知っただけで、扁桃体の活動が高まりました。

つまりパーソナルスペースは、ただの「マナー」ではなく、脳の警報システムに支えられた感覚なのです。

誰もが「見えない泡」をまとって暮らしている
誰もが「見えない泡」をまとって暮らしている

03「距離の文化」を知ると、すれ違いが減る

アメリカの人類学者ホールは1960年代に、人と人の距離を「密接距離・個体距離・社会距離・公衆距離」の4つに分ける考え方(近接学)を提案しました。その後、多くの研究者がパーソナルスペースを調べてきましたが、方法や対象がバラバラで比べにくいという課題がありました(Hayduk, 1978)。

ソロコフスカらの調査は、同じ方法で世界中を比べられるデータを作った点で画期的でした。相手の距離感が自分と違っても、それは失礼なのではなく、文化の違いかもしれないのです。

04まとめ

人との「ちょうどいい距離」は、世界共通ではありませんでした。国によって2倍近く違うこともあるのです。

もし海外の人に「近いな」と感じたら、それは相手がフレンドリーな距離の文化で育った証拠かもしれません。距離の違いを知ることは、相手を理解する第一歩です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPersonal space is the invisible area around us that we do not want others to enter. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Personal space is the invisible area around us that we do not want others to enter. Researchers at the University of Wroclaw in Poland showed 8,943 people in 42 countries a picture of two people facing each other. Participants marked how close they would let a stranger, an acquaintance and a close person come.

Preferred distances differed greatly between countries and were linked to age, gender and local temperature. In widely reported results, Argentinians preferred the closest distance from strangers and Romanians the farthest. Brain research also shows why we feel uncomfortable when someone is too close. A woman who had lost both amygdalae, parts of the brain that act like an alarm, felt almost no personal space.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

パーソナルスペースとは、他人に入ってきてほしくない、私たちの周りの見えない領域のことです。ポーランドのヴロツワフ大学の研究者たちは、42か国の8,943人に、2人の人物が向かい合っている絵を見せました。参加者は、知らない人、知り合い、親しい人をどこまで近づかせてよいかを書き込みました。

好ましい距離は国によって大きく異なり、年齢、性別、その地域の気温と関係していました。広く報道された結果では、知らない人との距離はアルゼンチンの人々が最も近く、ルーマニアの人々が最も遠いものでした。脳の研究も、誰かが近すぎると居心地が悪くなる理由を示しています。警報装置のように働く脳の部位である扁桃体を両側とも失った女性は、パーソナルスペースの感覚がほとんどありませんでした。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the participants do in the survey?

Q2. Which factors were linked to preferred distances?

Q3. What does the case of the woman suggest?

重要単語

  • personal spaceB1
    名詞(句)パーソナルスペース(他人に入られたくない空間)Everyone needs some personal space. invade someone's personal space「人のパーソナルスペースに踏み込む」の形でよく使う。
  • interpersonalC1
    形容詞対人の、人と人とのInterpersonal distance varies across cultures. inter(間の)+personal。interpersonal skills(対人能力)も頻出。
  • proxemicsC1
    名詞近接学(人と人の距離の研究)Proxemics studies how people use space. proximity(近さ)と同語源。人類学者ホールが提唱した分野名。
  • acquaintanceB2
    名詞知り合いWe keep a bit more distance from acquaintances than from friends. make the acquaintance of ~「~と知り合いになる」。friend より浅い関係を表す。綴りの c に注意。
  • intimateC1
    形容詞親密なIntimate distance is for family and close friends. 発音は /ˈɪntɪmət/。ホールの4距離 intimate / personal / social / public の最も近い距離。
  • violateB2
    動詞侵害する、破るStanding too close can violate someone's personal space. violate a rule / a law「規則・法律を破る」。名詞 violation。violent(暴力的な)とは別語。
  • amygdalaC1
    名詞扁桃体(脳の情動に関わる部位)The amygdala reacts to possible danger. 複数形は amygdalae。ギリシャ語の「アーモンド」が語源で、形が似ていることから。脳科学系の長文で出る。

動画でもっと知る

知らない人と話すとき「何cm離れたいか」を42か国・約9,000人に聞いた調査があるらしい。国によって大きく違い、最も近い国と遠い国では2倍近い差。年齢や性別、気温とも関係していた。海外で距離感に戸惑うのは当たり前かも。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Sorokowska et al. (2017) Preferred interpersonal distances: a global comparison, Journal of Cross-Cultural Psychologydoi.org
  2. Kennedy et al. (2009) Personal space regulation by the human amygdala, Nature Neurosciencedoi.org
  3. Hayduk (1978) Personal space: an evaluative and orienting overview, Psychological Bulletindoi.org