カモノハシに紫外線を当てると「青緑に光る」。でも調べたら、光る哺乳類は125種もいた

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紫外線を当てると毛が光る哺乳類は、カモノハシだけである
モモンガやウォンバットなど、多くの哺乳類で毛の蛍光が見つかっている。
- 対象
- 博物館の標本(カモノハシ3体、モモンガ100体以上、哺乳類125種など)
- 規模
- 各研究で数体〜数百体
- 研究の種類
- 紫外線照射による観察・蛍光スペクトル測定
- 確かさ
- ★★☆☆☆
茶色いカモノハシの毛は、紫外線を当てると青緑色に光る。ただしその後の調査で、光る哺乳類はモモンガやウォンバットなど多数いて、何のために光るのかはまだ不明。
ひとことで言うとカモノハシの毛は紫外線で青緑に光る。でも光る動物はほかにもたくさんいた!
くちばしはカモ、しっぽはビーバー、卵を産むのに母乳で子育て。オスは後ろ脚に毒のけづめを持ち、くちばしで獲物の出す電気を感じとる。
カモノハシは、ただでさえ「変な動物」の代表です。そこにもう一つ、驚きの特徴が加わりました。
紫外線(ブラックライト)を当てると、茶色い毛が青緑色にぼんやり光るのです。
01きっかけは「ピンクに光るモモンガ」
話は、アメリカのモモンガから始まります。
ウィスコンシン州のノースランド・カレッジの研究者たちが、紫外線ライトで夜の森を照らしていたときに、偶然モモンガがピンク色に光ることに気づいたのがきっかけでした。
「ほかの哺乳類も光るのでは?」。そう考えたチームが、次に調べたのがカモノハシでした。
02カモノハシは青緑色に光った
蛍光とは、目に見えない紫外線を吸収して、目に見える色の光として出し直す現象です。ブラックライトで白いシャツが光るのと同じしくみです。

03どんでん返し:光る哺乳類はたくさんいた
「カモノハシは特別に光る動物」と思いきや、話はそこで終わりませんでした。
2023年、西オーストラリア博物館のケニー・トラヴイヨンさんたちは、博物館にあるさまざまな哺乳類の標本を、紫外線で片っ端から調べました。
その結果、蛍光は125種で見つかりました。しかもそれは、現在の哺乳類の27の目(グループ)すべて、79の科にまたがっていました。有袋類から、ネズミの仲間、肉食の仲間まで、さまざまな動物の毛や皮ふなどが光っていたのです。
研究チームは、一部の標本の光の性質をくわしく測り、単なる光の反射ではなく本物の蛍光だと考えられる結果も得ました。蛍光は、夜行性の動物や、地面・木の上・地中で暮らす動物でよく見られました。
つまり、カモノハシが光るのは事実ですが、哺乳類の中ではそれほど珍しくないことだったのです。
04何のために光るのか?
ここが最大の謎です。
- 仲間に合図を送るため?
- 紫外線から体を守るため?
- 夜の暗がりで、天敵の目をごまかすため?
いろいろな説がありますが、どれもまだ確かめられていません。研究者の中には、特に役割はなく、毛の成分の性質としてたまたま光るだけかもしれない、と考える人もいます。そもそも、その動物たちの目に、この弱い蛍光が見えているのかもわかっていません。
05まとめ
カモノハシの毛は、紫外線で青緑に光ります。でもそれは、ほかの多くの哺乳類と共通する、まだ役割のわからない不思議な性質の一つでした。
「すごい!」の発見が、「実はみんなそうだった」に変わる。それもまた、科学の面白さです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 2019, researchers in the United States noticed that flying squirrels glow pink under ultraviolet light.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
The platypus is a strange animal. It has a bill like a duck and lays eggs. Its fur looks brown in normal light. But under ultraviolet light, it glows green and blue.
Scientists found this by looking at three old platypus bodies in museums. Later, other scientists found that 125 kinds of mammals also glow. Nobody knows why they glow. Maybe it has no special reason.
66 words ・ CEFR A2
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カモノハシは不思議な動物です。カモのようなくちばしを持ち、卵を産みます。その毛はふつうの光では茶色に見えます。しかし紫外線の下では、緑や青に光ります。
科学者たちは、博物館にある3体の古いカモノハシの標本を調べてこれを見つけました。その後、ほかの科学者たちによって、125種類の哺乳類も光ることがわかりました。なぜ光るのかは誰にもわかりません。特別な理由はないのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
紫外線で光るカモノハシの毛がテーマなので D。
Q2. How many platypus bodies did the scientists look at?
three old platypus bodies in museums とあるので B。125は光る哺乳類の種類数。
Q3. In this passage, "glows" means ...
glow は「ぼんやり光る」。やわらかい光を出すことなので C。
In 2019, researchers in the United States noticed that flying squirrels glow pink under ultraviolet light. This made them wonder whether other mammals glow too, so they examined three platypus specimens in museums. In normal light, the fur was brown, but under ultraviolet light it glowed green to blue-green. This was the first report of fluorescence in an egg-laying mammal.
However, in 2023, a team at the Western Australian Museum found fluorescence in 125 species from all 27 orders of living mammals. It was especially common in nocturnal animals. So the platypus is not as special as it first seemed, and scientists still do not know what purpose, if any, this glow has.
113 words ・ CEFR B1
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2019年、アメリカの研究者たちは、モモンガが紫外線の下でピンク色に光ることに気づきました。そこで彼らはほかの哺乳類も光るのではないかと考え、博物館にあるカモノハシの標本3体を調べました。ふつうの光では毛は茶色でしたが、紫外線の下では緑から青緑色に光りました。これは、卵を産む哺乳類での蛍光の初めての報告でした。
しかし2023年、西オーストラリア博物館のチームは、現在の哺乳類の27の目すべてにまたがる125種で蛍光を見つけました。それは特に夜行性の動物に多く見られました。つまりカモノハシは最初に思われたほど特別ではなく、科学者たちはこの光に何か目的があるのかどうかさえ、まだわかっていないのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What led the researchers to study platypuses?
flying squirrels glow pink ... made them wonder whether other mammals glow too とあるので C。
Q2. In which animals was fluorescence especially common?
It was especially common in nocturnal animals. とあるので D。
Q3. What does the writer mean by "not as special as it first seemed"?
125種の哺乳類でも蛍光が見つかったので、カモノハシだけの特徴ではないという意味。正解は B。
The platypus already holds a reputation as one of nature's oddest mammals: it has a duck-like bill, lays eggs, and can sense electric signals from prey. In 2021, researchers added another surprise. Inspired by their earlier discovery that North American flying squirrels fluoresce pink, Paula Spaeth Anich and colleagues shone ultraviolet light on three museum specimens of platypus.
The uniformly brown fur glowed green to cyan, with a peak around 500 nanometers, the first such report in a monotreme. It seemed like a unique trait, but a 2023 survey by Kenny Travouillon and colleagues tested a wide range of museum specimens and detected fluorescence in 125 species spanning all 27 living orders of mammals, especially among nocturnal species.
By checking that the emitted color did not shift with the wavelength used, they found evidence, in a subset of specimens, that the glow was genuine fluorescence rather than reflection. Its purpose remains a mystery. Ideas range from communication to protection from ultraviolet light or concealment from predators, but none has been tested, and fluorescence may simply be a chemical side effect. The platypus findings themselves rest on only three preserved specimens, so preservation chemicals might have influenced the result.
198 words ・ CEFR B2
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カモノハシは、自然界で最も奇妙な哺乳類の一つという評判をすでに持っています。カモのようなくちばしを持ち、卵を産み、獲物の出す電気信号を感じとることができるのです。2021年、研究者たちはもう一つの驚きを加えました。
北米のモモンガがピンク色の蛍光を示すという以前の発見に着想を得て、ポーラ・スペス・アニッチさんらは、博物館のカモノハシの標本3体に紫外線を当てました。一様に茶色だった毛は緑から青緑色に光り、そのピークは約500ナノメートルで、単孔類でのこうした報告は初めてでした。これは独特の特徴のように思われましたが、2023年のケニー・トラヴイヨンさんらによる調査は、幅広い博物館の標本を調べ、現存する哺乳類の27の目すべてにまたがる125種で、特に夜行性の種の間で蛍光を検出しました。
使う光の波長を変えても出てくる色がずれないことを確かめることで、彼らは一部の標本で、この光が反射ではなく本物の蛍光だという証拠を得ました。その目的はいまだに謎です。仲間との交信から、紫外線からの防御、捕食者からの隠ぺいまでさまざまな考えがありますが、どれも検証されておらず、蛍光は単に化学的な副産物なのかもしれません。さらに、カモノハシについての発見はわずか3体の保存標本にもとづいているため、保存のための薬品が結果に影響した可能性もあります。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 2023 survey find?
125 species spanning all 27 living orders of mammals とあるので A。一部の標本では、反射ではなく本物の蛍光だという証拠も得られた。
Q2. How did the researchers test whether the glow was genuine fluorescence?
the emitted color did not shift with the wavelength used と確かめたので C。
Q3. Why might the platypus results need caution?
最終文に rest on only three preserved specimens、保存の薬品が影響した可能性とあるので D。
重要単語
- fluorescenceC1名詞蛍光Fluorescence is the glow seen under UV light.
鉱物 fluorite(蛍石)から。fluorescent light は「蛍光灯」。自分で光る luminescence と区別。 - ultravioletB2形容詞・名詞紫外線(の)The fur glows under ultraviolet light.
ultra-(超えて)+violet(すみれ色)。UV と略す。infrared(赤外線)と対で覚える。 - specimenC1名詞標本Scientists examined museum specimens.
「見本・検体」の意味も。blood specimen「血液検体」。 - nocturnalC1形容詞夜行性のFluorescence was common in nocturnal species.
反対は diurnal(昼行性の)。nocturne は「夜想曲(ノクターン)」。 - functionB1名詞・動詞機能、役割The function of the glow is still unknown.
function as ~「~として機能する」。形容詞 functional は「機能的な」。 - monotremeC1名詞単孔類(卵を産む哺乳類)The platypus is a monotreme.
mono(1つ)+treme(穴)。カモノハシとハリモグラの仲間だけが含まれる。
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茶色いカモノハシに紫外線ライトを当てると、毛が青緑色に光るらしい。「やっぱりカモノハシは変な動物!」と思ったら、その後の調査で、光る哺乳類は125種も見つかった。何のために光るのかは、まだ誰にもわかっていない。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Kohler et al. (2019) Ultraviolet fluorescence discovered in New World flying squirrels (Glaucomys), Journal of Mammalogydoi.org
- Anich et al. (2021) Biofluorescence in the platypus (Ornithorhynchus anatinus), Mammaliadoi.org
- Travouillon et al. (2023) All-a-glow: spectral characteristics confirm widespread fluorescence for mammals, Royal Society Open Sciencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













