カラスの「お葬式」の正体は? 仲間の死体のまわりで騒ぐのは“危険を学ぶ授業”だった

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カラスは仲間の死体を見つけると、その場所をしばらく警戒するようになる
実験では、死んだカラスを見たあと、その場所のエサに近づくまでの時間が長くなり、そのそばにいた人を後で見かけても警戒して鳴いた。
- 対象
- 野生のアメリカガラス・ウェスタンスクラブジェイ
- 規模
- 数十〜百か所以上の実験地点(各研究)
- 研究の種類
- 野外での提示実験(はく製を使用)
- 確かさ
- ★★★☆☆
カラスは仲間の死体を見つけると大声で鳴いて集まる。実験すると、悲しみの儀式というより「ここは危ない」「あの人間が怪しい」を学ぶ行動らしいとわかった。
ひとことで言うとカラスが死んだ仲間のまわりで鳴くのは「ここは危ない」と学ぶためらしい!
道ばたにカラスの死体があると、まわりにたくさんのカラスが集まって、ガーガーと大騒ぎしていることがあります。
まるで仲間を弔う「お葬式」のよう。ネットでは「カラスは仲間の死を悲しむ」と紹介されることもあります。
でも、カラスたちは本当に悲しんでいるのでしょうか? この問いに、実験で迫った研究者がいます。
01はく製のカラスを「置いてみる」実験
アメリカ・ワシントン大学の大学院生だったケイリー・スウィフトさんと、カラスの顔認識の研究でも知られるジョン・マーズラフさんは、シアトル周辺の住宅地で実験を行いました。
まず、カラスたちに数日間エサを与え、エサ場に慣れさせます。そのあと、エサ場のそばに、はく製のカラスを死んだように横たえた人が立ちます。比較のために、カラス以外の鳥のはく製を置く場合なども用意しました。
つまり、カラスたちは死体を見て、「ここは危ない」「あの人間は怪しい」ということを学んでいたのです。仲間の死は、命にかかわる危険があるかもしれない、という強力な情報になります。

02カケスにも「お葬式」があった
同じような行動は、カラスの親戚の鳥でも見つかっています。
2012年、アメリカ・カリフォルニア大学デービス校のテレサ・イグレシアスさんたちは、ウェスタンスクラブジェイ(アメリカ西部のカケス)の死体を置く実験を行いました。カケスたちは死体を見つけると、大きな声で鳴きながら集まり、その後エサ探しが減り、その影響は24時間後にも見られました。論文のタイトルでも、この行動は「カケスのお葬式(funerals)」と呼ばれています。
03死体に触れるのは「まれ」で、ちょっと不思議
では、カラスたちは死んだ仲間に寄りそったり、触れたりするのでしょうか。
2018年、スウィフトさんとマーズラフさんは、カラスが死体に触れるかどうかを詳しく調べました。その結果、カラスが死んだカラスに触れることはまれで、むしろ死んだハトやリスの方によく触れていました(ハトやリスは、カラスがエサにすることもある動物です)。
一方、死んだカラスに触れた数少ない場面では、つついたり引っぱったりする攻撃的なふるまいや、求愛に似たふるまいが、季節によって見られました。研究者たちは、「危険だ」という刺激と、攻撃や求愛を引き出す刺激とが入りまじった矛盾する刺激に、カラスがうまく対応できずにいる可能性を挙げています。
人間の「お葬式」のように、静かに悲しむ姿とはだいぶ違うようです。
04まとめ
カラスの「お葬式」は、悲しみの儀式というより、仲間の死から危険を学ぶ授業のようなものでした。
カラスたちは、死体そのものだけでなく、そのそばにいた人間のことまで覚えています。道ばたでカラスが騒いでいたら、そっと距離をとるのが良さそうです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen crows find a dead crow, they often gather and make loud calls.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Sometimes many crows gather around a dead crow and call loudly. People call this a crow funeral. Are the crows sad?
Scientists in the United States did an experiment. A person stood near a dead crow at a feeding place. After that, the crows ate less food there. They also called loudly when they saw the same person again. So the crows were learning about danger.
66 words ・ CEFR A2
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ときどき、たくさんのカラスが死んだカラスのまわりに集まって大声で鳴くことがあります。人々はこれをカラスのお葬式と呼びます。カラスは悲しんでいるのでしょうか。
アメリカの科学者たちは実験をしました。ある人が、エサ場で死んだカラスのそばに立ちました。その後、カラスたちはそこでエサに近づくのが遅くなりました。また、同じ人をまた見かけると、大声で鳴きました。つまりカラスたちは、危険について学んでいたのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
死んだカラスのまわりに集まる「お葬式」の理由がテーマなので C。
Q2. What did the crows do after the experiment?
the crows were slow to come to the food there とあるので A。
Q3. In this passage, "gather" means ...
gather は「集まる」。一か所に寄り集まることなので D。
When crows find a dead crow, they often gather and make loud calls. This is sometimes called a crow funeral, and some people believe the birds are grieving. Kaeli Swift and John Marzluff of the University of Washington tested this idea near Seattle. After the crows got used to a feeding site, a person stood there holding a stuffed dead crow.
The crows gave alarm calls and gathered in noisy groups. Afterwards, they took longer to approach the food at that site. When the same person returned later without the dead bird, the crows still scolded him. The results suggest that crows use the death of another crow to learn which places and people are dangerous.
116 words ・ CEFR B1
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カラスは死んだカラスを見つけると、しばしば集まって大声で鳴きます。これはカラスのお葬式と呼ばれることがあり、鳥たちが悲しんでいると信じる人もいます。ワシントン大学のケイリー・スウィフトさんとジョン・マーズラフさんは、シアトルの近くでこの考えを確かめました。カラスがエサ場に慣れた後、ある人がはく製の死んだカラスを持ってそこに立ちました。
カラスたちは警戒の鳴き声をあげ、騒がしい集団を作りました。その後、カラスたちはその場所のエサに近づくまでに時間がかかるようになりました。同じ人が後で死んだ鳥なしで戻ってきても、カラスたちはやはりしかりつけるように鳴きました。この結果は、カラスがほかのカラスの死を利用して、どの場所や人が危険かを学んでいることを示唆しています。
4択リーディングクイズ
Q1. Where did Swift and Marzluff do their experiment?
tested this idea near Seattle とあるので B。
Q2. What did the crows do when the same person came back without the dead bird?
the crows still scolded him とあるので C。
Q3. What does the study suggest about "crow funerals"?
最終文に use the death of another crow to learn which places and people are dangerous とあるので A。悲しみは確かめられていない。
When crows discover a dead crow, they often gather around it in a loud crowd. People call this a crow funeral, and some take it as evidence of grief. Kaeli Swift and John Marzluff tested a less sentimental explanation in neighborhoods around Seattle. First they got wild American crows used to feeding at certain sites.
Then a person stood nearby holding a stuffed crow posed as if it were dead, while other trials used different birds for comparison. The crows answered with alarm calls and noisy, chaotic gatherings. For a while afterward they took longer to approach food at the site.
Even when the same person came back later with no dead bird, the crows scolded them. Western scrub-jays reacted similarly in a 2012 report. These results support the idea that crows learn about danger from their dead. The experiments cannot tell whether crows feel anything like grief, so the word funeral goes beyond the evidence.
A 2018 study by the pair added a strange detail. Crows rarely touched dead crows, and when they did, the contact was sometimes aggressive or looked like courtship, depending on the season. The authors thought the birds might be reacting to conflicting signals.
199 words ・ CEFR B2
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死んだカラスを見つけると、カラスたちはしばしばその周りに騒がしく集まります。人々はこれをカラスのお葬式と呼び、悲しみの証拠だと考える人もいます。ケイリー・スウィフトさんとジョン・マーズラフさんは、シアトル周辺の住宅地で、より感傷的でない説明を検証しました。まず野生のアメリカガラスを特定のエサ場で食べることに慣れさせました。
次に、死んだように横たえたはく製のカラスを持った人を近くに立たせ、比較のために別の鳥を使った試行も行いました。カラスたちは警戒の鳴き声と、騒がしく混乱した集まりで反応しました。その後しばらくは、その場所のエサに近づくまでに時間がかかりました。
同じ人が後で死んだ鳥を持たずに戻ってきても、カラスたちはその人をしかりつけるように鳴きました。似た反応は、2012年にウェスタンスクラブジェイ(アメリカ西部のカケス)でも報告されていました。これらの結果は、カラスが死んだ仲間から危険について学ぶという考えを支持しています。実験では、カラスが悲しみのようなものを感じているかどうかはわからないので、お葬式という言葉は証拠の範囲を超えています。
この2人による2018年の研究は、奇妙な事実を付け加えました。カラスが死んだカラスに触れることはまれで、触れるときには攻撃的だったり求愛に似ていたりし、それは季節によって変わりました。著者たちは、鳥が矛盾する信号に反応しているのかもしれないと考えました。
4択リーディングクイズ
Q1. What explanation did Swift and Marzluff test?
a less sentimental explanation を検証し、These results support the idea that crows learn about danger from their dead. とあるので D。
Q2. What did the 2018 study find about touching dead crows?
Crows rarely touched dead crows ... sometimes aggressive or looked like courtship とあるので B。
Q3. Why does the author say that calling it a funeral "goes beyond the evidence"?
The experiments cannot tell whether crows feel anything like grief とあるので C。
重要単語
- funeralB1名詞葬式People call this behavior a "crow funeral."
attend a funeral「葬式に参列する」。発音は /ˈfjuːnərəl/。 - conspecificC1名詞・形容詞同種の個体(の)Crows reacted strongly to dead conspecifics.
con-(同じ)+specific(種の)。species(種)と同じ語根。論文英語で頻出。 - alarm callB2名詞(句)警戒の鳴き声The crows gave loud alarm calls.
alarm は「警報・不安」。alarm clock「目覚まし時計」も同じ語。 - avoidB1動詞避けるThe birds avoided the feeding site for days.
avoid の後は動名詞(avoid doing)。不定詞にしない点が文法問題の定番。 - dangerA2名詞危険Dead crows may signal danger nearby.
形容詞 dangerous、動詞 endanger「危険にさらす」。endangered species「絶滅危惧種」。 - grieveC1動詞深く悲しむSome people believe crows grieve for their dead.
名詞 grief「深い悲しみ」。sadness より重く、死別の悲しみによく使う。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
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カラスは死んだ仲間のまわりに集まって大声で鳴く「お葬式」をするらしい。実験したら、その場所のエサに近づくのが約3日間おそくなり、死体のそばにいた人間を後まで警戒した。悲しんでいるというより「危険を学ぶ授業」に近いのかも。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Iglesias, McElreath & Patricelli (2012) Western scrub-jay funerals: cacophonous aggregations in response to dead conspecifics, Animal Behaviourdoi.org
- Swift & Marzluff (2015) Wild American crows gather around their dead to learn about danger, Animal Behaviourdoi.org
- Swift & Marzluff (2018) Occurrence and variability of tactile interactions between wild American crows and dead conspecifics, Philosophical Transactions of the Royal Society Bdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











