「右脳派・左脳派」はいなかった。1000人超の脳スキャンを調べた研究の結論

読む前に予想してみよう!
芸術が得意な人は右脳、計算が得意な人は左脳を主に使っている
脳の左右は常に連携していて、人によってどちらかが優位という証拠はない。
- 対象
- 7〜29歳の参加者
- 規模
- 1,011人
- 研究の種類
- 安静時fMRIの解析
- 確かさ
- ★★★★☆
言葉は左、空間は右など得意分野の偏りはある。でも1000人超の脳を調べても「左脳ばかり使う人」「右脳ばかり使う人」は見つからなかった。
ひとことで言うと脳の左右は役割分担のチーム。どっちか派の人はいないよ!
「あなたは右脳派? それとも左脳派?」
腕を組んだときにどちらの腕が上になるか、指を組んだときにどちらの親指が上か――そんな簡単なテストで「右脳派はクリエイティブ」「左脳派は論理的」と診断する話、一度はやったことがあるのでは?
でも、脳を実際にスキャンして確かめた研究者たちの答えはこうでした。「どちらか派の人なんて、見つからなかった」。
01脳の左右に「得意分野」があるのは本当
まず、本当の部分から。
脳は左右の半球に分かれていて、それぞれ得意な仕事があります。たとえば右利きの人の大多数では、言葉を話したり理解したりする中心は左半球にあります。顔を見分けたり、空間の配置をつかんだりする働きは、右半球のほうが強めに関わると言われます。
ここまでは、れっきとした科学です。
02「得意分野」が「性格のタイプ」に化けた
スペリーの研究は、脳梁を切った特別な状態の脳での発見でした。ふつうの脳では、左右はケーブルで常に情報をやりとりしていて、ほとんどの作業をペアで協力してこなしています。
それなのに、1970年代以降、ビジネス書や自己啓発の世界で「右脳を鍛えれば創造性アップ」「あなたは左脳タイプ」といった話がどんどん広まりました。わかりやすい二択は、人を引きつけるのです。
031000人超の脳をスキャンしてみた
では本当に、「左脳ばかり使う人」はいるのでしょうか?
つまり、「言葉の駅は左寄り」「注意の駅は右寄り」といった部分ごとの偏りはあっても、それが「この人は左脳派」というような人ごとのタイプにはつながっていなかったのです。

04「腕組みテスト」は何を測っているの?
ちなみに、冒頭の「腕を組んだときにどちらが上か」「指を組んだときにどちらの親指が上か」といったテスト。これらは主にくせや習慣で決まるもので、脳のタイプを測る方法として科学的に確かめられたものではありません。
逆の組み方をすると落ち着かないのは、慣れていないだけ。何日か続けてみると、意外とすぐに慣れてしまいます。
05創造性も、論理も、両方の脳で
絵を描くときも、数学の問題を解くときも、脳の左右は一緒に働いています。たとえば数学では、数の計算に関わる場所と、図形をイメージする場所が両方の半球にまたがって協力します。
教育の現場でもこの誤解は根強く、2012年の研究では、イギリスとオランダの教師の多くが「右脳と左脳のどちらが優位かの違いで、生徒の個人差を説明できる」という考えに同意していたと報告されています。
06まとめ
- 脳の左右に得意分野の偏りがあるのは本当
- でも「右脳派」「左脳派」という人のタイプは、脳スキャンでは見つからなかった
- 創造性も論理も、左右がチームで生み出している
「自分は左脳派だから絵は苦手」と思っていた人も、安心してください。あなたの脳は、最初から両方使えるようにできています。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPersonality quizzes often say that "right-brained" people are creative and "left-brained" people are logical.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some people say, "I am right-brained, so I am creative," or "I am left-brained, so I am logical." It is true that the two sides of the brain have different jobs. For most people, language is mainly on the left side.
But in 2013, scientists checked the brains of more than 1,000 people. They found no one who used one side much more. The two sides always work together as a team.
72 words ・ CEFR A2
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「私は右脳派だから創造的だ」とか「私は左脳派だから論理的だ」と言う人がいます。脳の左右に違う仕事があるのは本当です。ほとんどの人では、言葉は主に左側にあります。
しかし2013年、科学者たちは1,000人以上の脳を調べました。片方だけを多く使っている人は一人も見つかりませんでした。左右はいつもチームとして一緒に働いています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
右脳派・左脳派という分け方が本当かどうかを調べた話なので B。
Q2. How many people's brains did scientists check in 2013?
checked the brains of more than 1,000 people とあるので C。
Q3. In this passage, "work together" means the two sides ...
work together as a team は「チームとして協力する」なので A。
Personality quizzes often say that "right-brained" people are creative and "left-brained" people are logical. This idea comes partly from real science. In the 1960s, Roger Sperry studied patients whose brains had been surgically divided to treat epilepsy. He showed that each side has its own specialties.
For example, language is centered in the left hemisphere for most right-handed people. But these patients had unusual brains. In normal brains, the two halves share information all the time. In 2013, researchers at the University of Utah studied brain scans from more than 1,000 people aged 7 to 29.
Certain regions had stronger connections on one side, but no person relied mainly on one whole hemisphere. The brain does have specialized parts, but the scans found no left-brained or right-brained people.
128 words ・ CEFR B1
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性格診断はよく、「右脳派」の人は創造的で「左脳派」の人は論理的だと言います。この考えは一部、本物の科学から来ています。1960年代、ロジャー・スペリーは、てんかん治療のために脳を外科的に分けられた患者たちを研究しました。彼は、左右それぞれに得意分野があることを示しました。
たとえば、ほとんどの右利きの人では、言語の中心は左半球にあります。しかし、これらの患者の脳は特殊でした。通常の脳では、左右はいつも情報を共有しています。2013年、ユタ大学の研究者たちは、7歳から29歳の1,000人以上の脳スキャンを調べました。
特定の領域は片側でつながりがより強かったものの、一方の半球全体に主に頼っている人はいませんでした。脳には確かに専門化した部分がありますが、スキャンでは左脳派や右脳派の人は見つからなかったのです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why were Sperry's patients' brains described as "unusual"?
patients whose brains had been surgically divided とあり、特殊な状態の脳だったので D。
Q2. What did the 2013 study find?
Certain regions had stronger connections on one side, but no person relied mainly on one whole hemisphere とあるので D。
Q3. Which statement best summarizes the writer's view?
最終文 The brain does have specialized parts, but the scans found no left-brained or right-brained people が筆者のまとめなので A。
Personality quizzes love to sort people into analytical "left-brained" types and creative "right-brained" ones. The labels grew out of genuine research. In the 1960s, Roger Sperry studied patients whose corpus callosum, the thick bundle of fibers linking the two hemispheres, had been cut to control severe epilepsy. His experiments showed that each hemisphere has distinct strengths, work that contributed to a Nobel Prize in 1981.
Lateralization is real. In most right-handers, language depends chiefly on the left hemisphere, while some spatial functions lean to the right. The mistake lies in the leap from these unusual patients to everyone else. In an intact brain, the two hemispheres communicate continuously and cooperate on almost every task.
To test the popular claim directly, Nielsen and colleagues analyzed resting-state brain scans from more than 1,000 people aged 7 to 29. They found hubs that were lateralized, but no evidence that any individual had a stronger left-sided or right-sided network overall. Brain functions can lean to one side, but whole people do not. Even so, a 2012 survey found that many teachers in the UK and the Netherlands still accepted hemispheric dominance as an explanation for differences between students.
194 words ・ CEFR B2
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性格診断は、人を分析的な「左脳派」と創造的な「右脳派」に分けるのが大好きです。このラベルは本物の研究から生まれました。1960年代、ロジャー・スペリーは、重いてんかんを抑えるために、左右の半球をつなぐ太い線維の束である脳梁を切断された患者たちを調べました。彼の実験は、それぞれの半球が異なる得意分野を持つことを示し、この研究は1981年のノーベル賞につながりました。
側性化は本当にあります。多くの右利きの人では言語は主に左半球に依存し、一方で空間に関する機能の一部は右に偏っています。誤りは、これらの特殊な患者から他のすべての人へと飛躍するところにあります。損傷のない脳では、左右の半球は絶えず連絡を取り合い、ほとんどすべての作業で協力しています。
一般的な主張を直接検証するため、ニールセンらは7歳から29歳の1,000人以上の安静時の脳スキャンを分析しました。側性化したハブは見つかりましたが、全体として左側か右側のネットワークのほうが強い人がいるという証拠は見つかりませんでした。脳の機能は片側に偏ることがありますが、人全体が偏るわけではありません。それでも、2012年の調査では、イギリスとオランダの多くの教師が、生徒間の違いの説明として半球の優位性をいまだに受け入れていました。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, how did the myth begin?
The labels grew out of genuine research として、スペリーの分離脳研究を挙げているので B。
Q2. What does the author call "the mistake"?
The mistake lies in the leap from these unusual patients to everyone else とあるので C。
Q3. What is the author's point about lateralization?
Brain functions can lean to one side, but whole people do not. とあり、機能ごとの左右の偏りはあるが人のタイプにはならないという意味なので A。
重要単語
- hemisphereC1名詞(脳の)半球Language is mainly handled by the left hemisphere.
hemi(半分)+sphere(球)。地理では the Northern Hemisphere「北半球」。 - lateralizationC1名詞側性化(左右での機能の偏り)Lateralization does not create personality types.
lateral(横の・側面の)から。bilateral(双方の)も同語源で時事英語に出る。 - split-brainC1形容詞分離脳のSplit-brain patients helped scientists study each hemisphere.
split(分ける)+brain。split the bill「割り勘にする」の split と同じ。 - connectivityC1名詞(脳の)結合、つながりThe study measured brain connectivity.
connect の名詞形の一つ。IT分野では「接続性」の意味で使う。 - creativityB2名詞創造性Creativity needs both sides of the brain.
create → creative → creativity と派生語をまとめて覚える。 - intactC1形容詞損なわれていない、無傷のIn an intact brain, both hemispheres share information.
in-(否定)+tact(触れる)=触れられていない。remain intact「無傷のままである」。 - analyticalB2形容詞分析的なShe is known for her analytical thinking.
analyze → analysis → analytical。analytical skills「分析力」は就活・入試英語で頻出。
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「あなたは右脳派?左脳派?」って診断、1000人以上の脳スキャンを解析した研究では、どちらかの半球ばかり使う人は見つからなかったらしい。左右はライバルじゃなくて、いつもペアで働くチームメイト。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Nielsen et al. (2013) An Evaluation of the Left-Brain vs. Right-Brain Hypothesis with Resting State Functional Connectivity Magnetic Resonance Imaging, PLOS ONEdoi.org
- Sperry (1982) Some Effects of Disconnecting the Cerebral Hemispheres, Sciencedoi.org
- Gazzaniga (2005) Forty-five years of split-brain research and still going strong, Nature Reviews Neurosciencedoi.org
- Dekker et al. (2012) Neuromyths in education: Prevalence and predictors of misconceptions among teachers, Frontiers in Psychologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









