「砂糖で子どもが興奮する」は親の思い込み? ニセの砂糖で起きた不思議な実験

読む前に予想してみよう!
砂糖を食べると子どもが興奮しやすくなることが、多くの実験で確かめられている
1995年のメタ分析では、砂糖が子どもの行動や認知に影響する証拠は見られなかった。
- 対象
- 子ども(ADHDの子を含む)
- 規模
- 16本の報告(計23の二重盲検試験)
- 研究の種類
- メタ分析
- 確かさ
- ★★★★☆
砂糖が子どもの行動や集中力に影響するかを調べた研究をまとめると、はっきりした影響は見られなかった。むしろ「砂糖を食べた」と思う親の目が変わっていた。
ひとことで言うと子どもがはしゃぐのは砂糖より「パーティーの楽しさ」のせいかも!
誕生日パーティーやハロウィン。ケーキやお菓子を食べた子どもたちが、キャーキャーと走り回る――。
「ほら、砂糖を食べさせたから興奮しちゃった」
世界中の親が口にするこのセリフ。子育て経験がある人なら「実感としてある!」と思うかもしれません。でも、科学者たちがこれをきっちり確かめてみると、意外な“犯人”が浮かび上がってきました。
01二重盲検で確かめると、差が消えた
砂糖の影響を正しく調べるには、ひと工夫が必要です。子どもも親も、そして観察する研究者も、誰が本物の砂糖を食べたか知らない状態で比べなければなりません。これを二重盲検(にじゅうもうけん)と呼びます。
なぜなら、「砂糖を食べた」と知っているだけで、見る側の目が変わってしまうかもしれないからです。
02「砂糖を飲ませた」と聞いた母親たち
では、なぜ多くの親が「砂糖で興奮する」と感じるのでしょう? そのヒントになる、ちょっと驚きの実験があります。

同じ1994年、アメリカの研究者フーバーとミリッチは、「自分の子どもは砂糖に敏感だ」と考える母親たちを集めました。そして子どもに飲み物を与え、母親の半分には「砂糖をたっぷり入れました」と伝えます。
ところが実は、全員の飲み物に砂糖は入っていませんでした。
それなのに、「砂糖入り」と聞かされた母親たちは、自分の子どもをより落ち着きがないと評価しました。さらに、子どもの近くにぴったりついて行動をコントロールしようとし、批判したり話しかけたりする傾向も強かったのです。
変わっていたのは子どもではなく、親の「見る目」のほうだったのかもしれません。
03本当の犯人は「パーティーそのもの」?
考えてみると、子どもが甘いものを食べる場面は、たいてい特別な日です。
- 誕生日パーティーやお祭り、クリスマス
- 友達がたくさん集まっている
- いつもより夜ふかしをしている
こんな状況なら、砂糖がなくても子どもはテンションが上がって当然。私たちは「甘いものを食べた」と「はしゃいでいる」を同時に目にするので、つい原因と結果を結びつけてしまうのです。
04とはいえ、砂糖を食べ放題にしていいわけではない
ここは大事なポイントです。「砂糖で興奮はしない」としても、とりすぎが体に良くないことは変わりません。
WHO(世界保健機関)は、砂糖などの「遊離糖類」を1日のエネルギーの10%未満、できれば5%未満にすることを勧めています。虫歯や肥満のリスクを減らすためです。
05まとめ
- 二重盲検の研究をまとめると、砂糖は子どもの行動や集中力に影響しなかった
- 「砂糖を食べた」と思うだけで、親の見方が変わることが実験で示された
- はしゃぐ本当の理由は、パーティーやイベントの楽しさかも
次のパーティーで子どもが走り回っていたら、ケーキのせいにする前に、「楽しいんだね」と言ってあげてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany parents believe that sugar makes children hyperactive.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
At birthday parties, children eat cake and run around. Many parents say, "Sugar makes kids too excited." But scientists studied this carefully, and sugar did not change children's behavior. In one test, some mothers were told, "Your son drank a lot of sugar."
In fact, no child had any sugar. But these mothers still said their sons were more active. Maybe the party, not the sugar, makes kids excited.
69 words ・ CEFR A2
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誕生日パーティーで、子どもたちはケーキを食べて走り回ります。多くの親は「砂糖のせいで子どもが興奮しすぎる」と言います。しかし科学者たちが注意深く調べたところ、砂糖は子どもの行動を変えませんでした。あるテストでは、一部の母親が「息子さんは砂糖をたくさん飲みました」と言われました。
実際には、どの子も砂糖をとっていませんでした。それでも、これらの母親は息子がより落ち着きがないと言いました。子どもを興奮させるのは、砂糖ではなくパーティーなのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
砂糖が子どもを興奮させるという考えを確かめた話なので B。
Q2. What was true in the test with mothers?
In fact, no child had any sugar. とあるので C。
Q3. In this passage, "excited" is closest in meaning to ...
run around と同じ文脈で使われ、「興奮した・はしゃいだ」という意味なので A。
Many parents believe that sugar makes children hyperactive. To test this properly, researchers used double-blind studies, in which neither the children, the parents, nor the observers knew who had received real sugar. In 1995, American researchers combined these studies in a meta-analysis and found that sugar did not affect children's behavior or thinking, even in children with ADHD.
Another experiment showed why the belief is so strong. Mothers who thought their sons were sensitive to sugar were divided into two groups. Half were told their child had drunk a sugary drink, but in fact no child received any sugar. These mothers rated their sons as more hyperactive and stayed closer to them. Children usually eat sweets at exciting events, so the party itself may be the real cause.
128 words ・ CEFR B1
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多くの親は、砂糖が子どもを多動にすると信じています。これを正しく検証するため、研究者たちは二重盲検の研究を用いました。それは、子どもも親も観察者も、誰が本物の砂糖をとったか知らない研究です。
1995年、アメリカの研究者たちはこれらの研究をメタ分析でまとめ、ADHDの子どもでさえ、砂糖は子どもの行動や思考に影響しないことを見出しました。別の実験は、この思い込みがなぜこれほど強いのかを示しました。息子が砂糖に敏感だと考えている母親たちが2つのグループに分けられました。半数は子どもが砂糖入りの飲み物を飲んだと伝えられましたが、実際にはどの子も砂糖をとっていませんでした。これらの母親は息子をより多動だと評価し、より近い位置にいました。子どもはふつう楽しいイベントで甘いものを食べるので、本当の原因はパーティーそのものかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is a double-blind study?
neither the children, the parents, nor the observers knew who had received real sugar と説明されているので D。
Q2. How did the mothers who were told about the sugary drink react?
These mothers rated their sons as more hyperactive とあるので D。
Q3. What does the experiment with the mothers suggest?
砂糖は与えていないのに評価が変わった=親の思い込みが見方を変えた、と推論できるので A。
After cake and juice at a birthday party, children often tear around the room, and the "sugar high" has become one of parenting's most confident beliefs. Testing it fairly takes a double-blind design, because adults who know a child has eaten sugar may see that child's behavior differently.
When Wolraich and colleagues pooled such trials in a 1995 meta-analysis in JAMA, they found no effect of sugar on children's behavior or cognitive performance. That included children with ADHD and children whose parents considered them sensitive to sugar. A 1994 experiment by Hoover and Milich points to where the belief comes from.
Some of the mothers who saw their sons as sugar-sensitive were told the boy had just had a large dose of sugar. Every child had in fact been given a sugar-free drink. Those mothers rated their sons as more hyperactive, stayed closer to them and tended to criticize them more.
The children had not changed. What changed was how their mothers saw them. Most of these trials tested single doses over short periods, so they say little about long-term diets. Sugar is not off the hook, either. The WHO still recommends limiting free sugars to protect teeth and prevent obesity.
201 words ・ CEFR B2
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誕生日パーティーでケーキとジュースをとった後、子どもたちはよく部屋じゅうを走り回ります。そして「シュガーハイ」は、子育てで最も確信をもって信じられている考えの一つになりました。
これを公正に検証するには二重盲検の設計が必要です。子どもが砂糖を食べたと知っている大人は、その子の行動を違ったふうに見てしまうかもしれないからです。ウォルレイクらが1995年に『JAMA』のメタ分析でそうした試験をまとめたところ、砂糖が子どもの行動や認知能力に影響するという結果は見られませんでした。これにはADHDの子どもや、親が砂糖に敏感だと考えている子どもも含まれていました。
フーバーとミリッチによる1994年の実験は、この思い込みがどこから来るのかを示しています。息子が砂糖に敏感だと考えていた母親たちのうち一部は、子どもがたった今大量の砂糖をとったと伝えられました。実際には、どの子も砂糖の入っていない飲み物を与えられていました。
それらの母親は息子をより多動だと評価し、子どもにより近い位置にいて、より批判する傾向がありました。子どもは変わっていませんでした。変わったのは、母親の見方だったのです。これらの試験のほとんどは短期間の1回の摂取を調べたものなので、長期的な食生活についてはほとんど何も言えません。また、砂糖が無罪放免になるわけでもありません。WHOは今も、歯を守り肥満を防ぐために遊離糖類を制限するよう勧めています。
4択リーディングクイズ
Q1. Why is a double-blind design necessary to test the sugar belief?
adults who know a child has eaten sugar may see that child's behavior differently とあるので B。
Q2. What does "What changed was how their mothers saw them" mean?
砂糖を与えていないのに母親の評価や行動が変わった。The children had not changed. とあり、変わったのは見る側だったので C。
Q3. Which limitation of the research does the author mention?
Most of these trials tested single doses over short periods, so they say little about long-term diets とあるので A。
重要単語
- hyperactiveC1形容詞多動の、興奮しすぎたSugar does not make children hyperactive.
hyper-(過度に)+active。ADHD の H は hyperactivity。 - double-blindC1形容詞二重盲検のA double-blind test hides who got the real thing.
被験者も評価者も知らない方式。single-blind は被験者だけが知らない方式。 - expectationB1名詞期待、思い込みParents' expectations changed how they saw their kids.
meet / live up to one's expectations「期待に応える」が頻出。 - behaviorB1名詞行動The children's behavior was the same in both groups.
イギリス式つづりは behaviour。behave(ふるまう)の名詞形で不可算扱いが基本。 - intakeB2名詞摂取量WHO recommends limiting sugar intake.
take in(取り入れる)から。calorie intake / salt intake のように使う。 - perceiveB2動詞知覚する、受け取るParents may perceive normal play as hyperactivity.
perceive A as B「AをBとみなす」。名詞 perception。 - cognitiveB2形容詞認知のSugar had no effect on cognitive performance.
cognitive ability「認知能力」、cognitive bias「認知バイアス」は入試頻出。
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「砂糖を食べると子どもが興奮する」説、二重盲検の研究をまとめると影響は見られなかったらしい。しかも「砂糖を飲ませた」と聞かされた親は、実はニセモノだったのに子どもを落ち着きがないと評価したとか。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Wolraich, Wilson & White (1995) The Effect of Sugar on Behavior or Cognition in Children: A Meta-analysis, JAMAdoi.org
- Wolraich et al. (1994) Effects of Diets High in Sucrose or Aspartame on the Behavior and Cognitive Performance of Children, New England Journal of Medicinedoi.org
- Hoover & Milich (1994) Effects of sugar ingestion expectancies on mother-child interactions, Journal of Abnormal Child Psychologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











